サイドストーリー

キオクノカイロウ
ここは…何処だ?
俺はいったい、何をしに来た?
光り輝く、壁。壁。壁。
果てしなく続く道。
…「道」?
俺の目の前には、何も見えない。
遠すぎて、先が見えない。
俺はいったい、何をしに来た……?

…ロボットに乗っている。
俺は、座っている。
目の前にあるのは、巨大なスクリーン。
「目」の代わりなのだろう。
「メインカメラ」というべきか…?
…何故?
何故俺は、ロボットに乗っているんだ?

………記憶。
おぼろげな、記憶。
「それ」をたどっていけば、目的が見える気がした。
何をしに来た?
ここは何処だ?
俺の目的は……ここへきた目的は…?
そもそも、何でこんなことになったんだ?
何故?
俺という人間は…。
………。
………。
……さっきから、3つの単語が頭から離れない。
「レイヴン」。
「アーマード・コア」。
「最初と最後」。

……ああ、そうだ。
戦っていたんだ。

………今から、数時間前の話になるだろう…。
記憶。
これをたどっていこう。
前に、進みながら。

俺は、アリーナで戦っていたんだ。
相手の名前は……覚えていない。
ただ、ミサイルがあちらこちらに飛んでいた…。
俺は確か、ロボットに乗って経験は浅かった。
俺は、かわすのに精一杯だった。
俺は……相手の隙を見て、右手のパルスガンの引き金を引いていた。
俺は、操縦には自信があった。
飛び交うミサイルは、簡単にかわせた。
………どっちだ?
どちらが「真実」だ?

…俺は前へ前へと進んでいった。
ガシャンガシャンと、足音を立てて進んでいく「アーマード・コア」。
光り輝く壁は、壊れた道しるべのように狂った光を見せていた。
そして俺は再び、おぼろげな記憶の中へ入っていった。

相手は、怯えている様だった。
こちらには、全く攻撃は仕掛けてこなかった。
俺は余裕で、相手を切りまくっていた。
装甲が剥がれ、
腕が落ちて、
首を斬り、
片足を焼き斬って、
コックピットが見えて、
…パイロットを、撃った。
しかし相手は、空中でグレネードを撃っていた。
俺はそのグレネードを何とかかわして、パルスガンで応戦した。
………どっちだ?
どちらが「真実」だ?

1本道だった。
分かれ道など、なかった。
狂ったように、壊れたように前に進むしかなかった。
この先に、何がある…?

相手の主力武器は、マシンガンだった。
ミサイルではない。
相手は私にロケットを数発打ち込むと、
主力武器のブレードで突っ込んできた。
俺は操縦に自信があったので、簡単にかわせた。
しかし俺は経験が浅かったので、ミサイルは当たってしまった。

輝く壁のほかには、何も無かった。
ガシャンガシャンという足音以外は、何も聞こえなかった。
この先に、必ず何かある…。
…何がある?
何を根拠に、そう言う…?
何故ここにいる?
俺は、誰だ?
何のために、ここへ…?

…記憶をたどろう。
再び。

空中戦が得意な奴だった。
相手は地上でバズーカを撃っていた。
遠距離から主力のエネルギーライフルの連射だった。
相手はよく、近距離からロケットを撃っていた。
空中から、スナイパーライフルを撃っていた。
近づいて、射突型ブレードを当てていた。
ステルスで、とにかく逃げている奴だった。
くうちゅうでとびまわっていたやつだった。
ぐれねーどをちじょうからよくうっていたやつだったな。
いや、ぶれーどしゅりょくだった。
ちがう、しーるふどをはって、すてるすをつかって、ぶれーどをそうびして、みさいるうって、きゅうせんかいぶーすとをつかっ
て、ぐれねーどをうって、すないぱーらいふるとましんがんとばずーかとはんどがんとしゃとつがたぶれーどとすてるすばずーか
みさいるろけっとしょっとがんすてるすえねるぎーらいふるぐれねーどぱるすがんみさいるぶれーどしーるどとうてきだんりょう
かたみさいるかくさんみさいるえねるぎーほうちぇいんがんぐれねーどみさいるぱるすがんぶれーどぐれねーどみさいるぱるすが
んぶれーどぐれねーどみさいるぱるすがんぶれーどぐれねーどみさいるぱるすがんぶれーどぐれねーどみさいるぱるすがんぶれー
どぐれねーどみさいるぱるすがんぶれーどぐれねーどみさいるぱるすがんぶれーどぐれねーどみさいるぱるすがんぶれーど……

グレネード。
ミサイル。
パルスガン。
ブレード。

俺は、進んでいった。
真っ直ぐ、真っ直ぐ。
俺の目の前には、光り輝くものが見えたのだ。
笑おうとした。
笑えなかった。
何故だかは、わからない。
声も、出なかった。
しかし目の前には、光り輝くものが見えた。
これが「神の光」とでも言うのだろうか。
とても神々しく、神秘的な光に見えた。
俺は、その光に向かって、急いだ。

記憶を、たどろう。
回廊の中へ、入ろう
再び。

あたりを見回すと、自分と同じ「AC」がいくつもあった。
アナウンスらしきものが、聞こえてきた。
「レイヴンを根絶やしするのが、君達の目的…」
「アーマード・コアを破壊しろ…」
「君らの名前は『@☆%&〓』…」
「ゆけ!『Θξ♯εー∠』達よ!!」

最初と、最後。
俺は、2つの名前がある。
一つは、最初。
一つは、最後。

その神秘的な輝きが、俺を包んだ。
やっと、ここから出られる……。
そう、思った。

…今から、数十分前の話になると思う。
俺が、ここへ来た理由。
ここはいったい、何処なのか。
わかる気が、してきた。
何の根拠も無いけれど。
何の証拠も無いけれど。
何の確信も無いけれど。

飛んできた。
何も乗らずに。
このロボットだけで。
俺は飛んできた。
あの島へ。
地上にある、失われた島へ。
その中に、入ったのだ。
何故?
目的を達成したから。
目的とは?
戦うことだと思う。
何故戦う?
生きがい……?
そんなものではない。
………任務?
義務?

………排除。
それが、俺の目的
…少し違うな。
それが、「俺ら」の目的。
そうだ。
俺は………。

その神秘的な輝きが、俺を包んだ。
やっと、ここから出られる……。
そう、思った。
「出る」。
これは、違った。
正確には「入る」だった。
俺はその中へ「入った」。
………そう。
その中は「俺ら」で満たされていた。

グレネード。
ミサイル。
パルスガン。
ブレード。
最初の名前。
最後の名前。
赤。
黒。
AI。

俺は、俺じゃなかった。
俺は、誰でもなかった。
俺は、俺らだった。
最初の名前は「1」。
最後の名前は「9」。
みんながみんな、そうだった。
みんながみんな、俺だった。
皆、同じ目的を持ち、
皆、同じ声を持ち、
皆、同じ頭脳を持ち、
皆、同じ身体を持ち、
皆、同じ記憶を持っていたのだ。
皆の記憶は、一つだった。
一つの記憶は、みんなの記憶だった。
俺は、俺らは「量産」されていたんだ。
「レイヴン」を根絶やしにする為。
「アーマード・コア」を破壊する為。
そのために、俺らは作られた。
俺は…。
俺らは…。
最初の名前は「1」。
最後の名前は「9」。

…そう。

最初の名前は「ハスラーワン」。
最後の名前は「ナインボール」。
作者:アーヴァニックさん