EPISODE 1 〜初めての試練〜
「そろそろ目標地点に到達する。それからもう一度、君達に課せられた任務を確認しておく」
AC(アーマード・コア)と呼ばれる人型機動兵器の中で、試験官の指示がスピーカーから流れてくる。
「作戦内容は、この街に逃げ込んだMT部隊を全滅させる事だ。これに成功すれば、君達はアリーナに登録され、レイヴンとして認められる」
試験官は言葉を区切った。
「・・・・・失敗すれば、その時は死ぬだけだ」
この言葉は、試験生達を震え上がらせるような言葉だった。だが、震えている間も無かった。
ガシャッ・・・ゴゴゴゴゴ・・・。
輸送機のハッチが開いた。出撃の合図だ。
「作戦目標地点に到達。これより投下する」
ドスッ、ドスッ・・・。
試験生たちのACが地面に着地した音だ。
「システム キドウ」
試験生たちのACの中でコンピューターの音声が響く。メインモニターがうつった。
「これに生き残れば・・・・!」
試験生たちの中で、必死にこんな事を考えている1人のレイヴンがいた。彼の名は「アップルボーイ」。
敵MTはビルの裏に隠れたり、うろうろと歩いたり、周囲を警戒していた。
試験官の声がスピーカーから流れ出てきた。
「レーダーに表示されている赤いラインは、「LEVEAING AREA」といい、
作戦領域ラインだ。これを越えてしまうと任務放棄とみなす。気をつけろ」
試験官の言葉を聞き、アップルボーイはレーダーを見る。黄色いラインの外側に、赤いラインが表示されている。
これか、と、アップルボーイが考えた途端、
ヒュウウウ・・・・
と、何かが飛んでくる音が響き、
ドンッッ!!
と、衝撃が走った。
「!!」
アップルボーイがあわてて音のした方向を振り返ると、そこにMTが左右に歩きながらロケット弾をこちらに向かって撃ってきていた。
「くそッ!」
アップルボーイはブーストダッシュでMTに近づき、ブレードで斬り付けた。MTは爆発をおこしながら崩れ落ちてゆく。
レーダーを見た。左に赤い反応が3つ、動いている。
アップルボーイがそこへ向かって進んでいくと、左のビルの影からMTがぬうっ、と、姿をあらわしてきた。
アップルボーイは驚いて、一歩飛び退いた。その途端に、アップルボーイとMTは目があってしまった。
その瞬間、MTがロケット弾を撃とうとしてきたので、アップルボーイはブレードで斬り付けた。
ズバアアッ!! ドドーン!!
斬り付けられた途端、MTは爆発した。
すると、MTが2機、反対側のビルの影から現れた。どうやら爆発の音を聞いて、何だろうと思って駆け付けてきたようだ。
アップルボーイの姿を見た途端、ロケット弾を飛ばしてきた。不意を突かれ、アップルボーイは2、3発のロケット弾を受ける。
「く・・・・!」
アップルボーイはブーストダッシュを使い、MTの距離を一気に縮めた。
そして、一機にブレードで二回斬り付ける。
ズバアアッ!! ズバアアッ!! ドドーン!!
斬り付けられたMTは爆発し、破片が辺りに飛び散った。
もう1機のMTがロケット弾をぶち込もうとしたが、アップルボーイは素早く振り返り、そいつにはライフルを何回かぶち込んだ。
ドッ、ドッ、ドッ!! ドドーン!!
ライフルの弾を数回打ち込まれたMTは崩れ落ち、爆発した。
「これで全部か・・・?」
アップルボーイはそう呟きながら、辺りを見回した。その途端、
ドガン!!
と、背後からロケット弾を、1発食らった。
「どあっ!」
アップルボーイはまたもや不意を突かれ、よろめいた。
振り返ると、右側のビルの影に、MTがもう1機、隠れていた。
「まだいたのか!」
アップルボーイは叫び、ブーストダッシュでMTに近づいた。MTはガシャン、ガシャン、と、後退して間合いをとろうとしていた。
「これで最後だ!」
アップルボーイはブレードでMTを斬り付けた。MTは爆発をおこして、崩れ落ちた。
そして、試験官から通信が入る。
「敵部隊の全滅を確認。新人にしては、腕はましだという事か」
試験官の声が響く。その途端、向こうで爆発音が響いた。どうやら他の試験生もMTを
片付けたようだ。
「ようこそ、新たなるレイヴン、君達を歓迎しよう」
試験官の通信がスピーカーから響いてくる。アップルボーイは、ふう、と、ため息をついた。
そのとき、コンピューターの声が響いた。
「モクヒョウ タッセイ」
ここから、新たなるレイヴンたちの日々が始まるのだ・・・・!
作者:武田 慎さん
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