サイドストーリー

EPISODE 2 〜邪魔する者(前)〜
「『工場占拠者排除』な・・・・」
ある1人のレイヴンのもとに、依頼のメールが届いていた。
そのレイヴンの名は、「スケアクロウ」。レイヴン達の間では、「黒い案山子」と、恐れられていた、かなりの腕利きのレイヴンだ。
依頼メールの依頼主は、「クレスト」という企業からだった。メールの内容は、閉鎖予定の兵器開発工場を占拠した者たちがいる。
こいつらは、この兵器開発工場の閉鎖に猛反対していた議員達であり、ついには武装した作業用ロボットで、
工場を乗っ取ってしまったという。それらの排除を頼むという依頼だ。
「っつつたく・・・こんなやつらはおたくのMT部隊で、まとめて揉み潰せよなぁ。ぶつぶつ」
スケアクロウは渋々言いながら、依頼を受ける事にした。

スケアクロウはAC「ブラックエビル」に乗り込み、さっそく問題の工場へ向かった。
ついた途端に、クレストの警護部隊と不法占拠者達が言い合いをしている。
「あーーーー、あーーーーーっ・・・・。前方の作業用ロボットの部隊はただちに抵抗をやめ、機械を止めておりてきなさい!
繰り返す、抵抗をやめて直ちに・・・・」
「うるせぇー、コラ!! 帰れーーーーーーっ!!」
「とにかく少し話を聞きなさい!!」
「うるせーー、帰れッつってんだろ!!」
「自分たちが何をしたのかわかっているのか!!」
「うるせぇぇぇーーーっ、近寄ったらブチ殺すぞ!!」
この阿鼻叫喚地獄を他所に、スケアクロウは自分の担当オペレーターのレイン・マイヤーズから作戦の内容を耳にしていた。
レインは工場の構造図をコンテナの上に広げて言う。
「今説得を続けて占拠者達の手も止まっていますが・・・。いずれ奴等の要求を聞く事もできないし、いずれ暴動を起こすでしょう。
幸いここの工場はあまり邪魔な器材が置かれていないうえに、占拠者達もあまり作業用ロボットに強力な武装を施してはいないようです。
正面から楽々入れて、占拠者達を排除できます」
スケアクロウは構造図を見ながら、レインの説明を耳にしていた。
「なるほど・・・こりゃ確かに楽そうだな」
スケアクロウは立ち上がり、ACに乗り込んだ。
「よし、それじゃあ一丁、やってやるか! おい、僚機! 僚機はスタンバイできてるかぁ!?」
スケアクロウが叫ぶと、入り口のゲートが開いた。すると、一体のパワードスーツが姿を現わした。
「こちらの準備は、すでにできているぞ!」
パワードスーツは叫ぶ。このパワードスーツの搭乗者は「スパルタン」。
実は依頼を受けた後、グローバルコ−テックスのACガレージ内の中に行った時、好きな僚機を一体選んでもいいと言う通信が入って、
スケアクロウは「スパルタン」を選んだのだ。
「おう、来たか。よし、行くぞ!」
スケアクロウは、スパルタンを伴って、工場の中へと足を踏み入れた。

「どけどけ! 工場占拠者のクソッタレども!」
スパルタンがまずさきに先攻をかけた。スケアクロウも後に続く。
不法占拠者達はスケアクロウのACの姿をみて驚いた。
「あの黒いAC・・・『黒い案山子』だ! 逃げろ!」
「黒い案山子」のうわさは、街の住人達にも犯罪者達にも伝わっていたらしい。
不法占拠者達は逃げ出そうとした。
「そうはいくか! さんざん人を手子摺らせやがって!!」
スケアクロウは、まず手前にいたクレーン車にライフルの弾をぶち込んだ。
ドッ、ドッ、ドッ!!
ドガァァァァァン!!
「ちくしょう・・・・・!!」
クレーン車に乗っていた不法占拠者の1人の、断末魔の声が響いた。そしてクレーン車は爆発した。
「く、来るな!!」
スケアクロウとスパルタンがこっちへ来たのを見て、二台の作業用ロボットがたじろぎ、
逃げ出そうとした。
「お偉いさんに反対した上に、工場を乗っ取った自分達を呪いな!!」
スパルタンはロケット弾を何回かニ台の作業用ロボットにぶち込んだ。
ドーン!!
ドーン!!
ドーン!!
ドガァァァァァァン!!!!
「助けてくれ・・・ぐわァァァァァァッ!!」
「く、来るな・・・・ぎゃああああああああっ!!」
二台の作業用ロボットはロケット弾を打ち込まれ、爆発して崩れ落ちた。
残ったのは二台のクレーン車とニ台の作業用ロボットだ。
「とうとうお前等だけになったな」
スケアクロウはジリジリと不法占拠者達に詰め寄った。
「く、来るな!!」
「お前はあまりにも不快すぎる!!」
不法占拠者達は背後のゲートを開けて、逃げようとする。だが、開かない。
「あ、開かない!?」
スケアクロウはとうとう不法占拠者達の前に立った。
「今のうちに、祈る事だ」
スケアクロウはライフルを構えた。
「や、やめろ!! やめ・・・・」
不法占拠者達が言い終わらない内に、スケアクロウはライフルを不法占拠者達に向けて乱射した。
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!!
ドガアアアアアアアアアアアアアアアン!!
ライフルの銃弾の音と、爆音が響く。
スケアクロウはライフルを降ろした。
目の前には、ニ台のクレーン車とニ台の作業用ロボットの残骸が転がっていた。
もうもうと、黒い煙りを上げながら。
しばらくすると、レインから通信が入った。
「敵戦力の全滅を確認。帰還しましょう」
「・・・・・わかった」
スパルタンはレインに返事を返し、スケアクロウは自分の機体の中で呟いた。
「まあ、こんなものだな。ブラックエビル、帰還するぞ」
そして、コンピューターの音声が響く。
「作戦目標クリア。システム、通常モードに移行します」



武田です。
今回は「工場占拠者排除」をもとにして、この話を作りました。
この話に登場するレイヴン「スケアクロウ」の名の由来は、オープニングに登場する鴉(カラス)を見て、思い付いた名前です。
「邪魔する者」の後編は「アリーナ防衛」をもとに、話を作ります。
宜しくお願いします。
作者:武田 慎さん