サイドストーリー

第11話 過去の産物…その名は…(後編)
 義大達と別れた努達一行。その中で1人だけ…悩んでる者がいた
辰「(…おかしい…なんか調子が悪いような気が…頭打ったのいけなかったかな…)」
鞠「どうかしました?何かとっても珍しい表情していますけど…」
春「辰也さん…この前からお体の調子がすぐれないのですか?」
 なぜか辰也は気分がすぐれないらしい
辰「いや…何でもない」
鞠「え…あ、そう…ですか」
 いつもだったらここで口喧嘩に発展するところなのだが辰也は本気で悩んでいるらしい
鞠「(どうしのでしょうか…いつもでしたら突っかかってくる所なのに…それに…
  雰囲気もいつもとは違うような…)」
 
努「咲耶、エースのACの位置は?」
咲「慌てないで兄さん。ACがオーバーブースト使ってるんだもん、すぐにわかるわよ。
  このトレーラーの索敵能力なめないでよね」
 今回の咲耶と鞠絵…それに雛子は咲耶自慢の万能トレーラーで努達の後を
 ついてきている
 これは最近よく妨害電波による通信妨害の回数が多くなってきたことに咲耶が腹を立て
 コレを用意したのだ。これなら直接回線を切られない限りいくら遮蔽物があったと
 しても通信が可能になる
 …まぁ、いざとなったら咲耶はトレーラーから出て直接声をかけてきそうな
 勢いであったが…
努「ついてくる事に文句は言わないが…戦闘が起きたらすぐに離れるんだぞ?」
咲「はいはい。鞠絵さんも雛子ちゃんも乗ってるんだからそんな危険な事――!
  兄さん!AC反応…」
努「きたか!!」
 努達が身構える…がそれは徒労に終わった
咲「ちょっとまって。AC反応は…2つ?」
努「って、やつの機体じゃないのか?」
 努達の目の前に現れた機体は…どこかで見たような四脚AC2人組であった
???「あっ、聖チャマ、ちょうどいいデス。この人達に聞きましょう」
聖「四葉!“チャマ”はつけるなって言ってるだろ!!」
四「はぅ…ごめんデス…」
 そのACパイロット達はそんなやり取りを努達に見せてくれた
努「あれ?…どこかで見たような機体…」
 と、努が疑問を口にすると…
咲「えっと…ほら!あの時、守ちゃんとランキング戦してた…」
鞠「あっ、たしか…ライトニング・フォールにデス・クローバーでしたっけ?
  でしたらかなり久しぶりの登場ですね〜」
雛「だからか〜。四脚ACって、珍しいから覚えてたんだね」
 咲耶、鞠絵、雛子がそれぞれの反応を示す
 
聖「…なんか、すっげ〜馬鹿にされてるような気がする…なぜだ?」
 とりあえず今の会話は聖達には聞こえていなかったらしい
四「でも、聖兄ぃ、この人達に聞かないと…もう、道わかんないデスよ〜」
聖「それも…そうだな。こちら、EXアリーナランカーライトニング・フォール。応答…」
 聖が四葉に言われて通信を入れると…
咲「はいは〜い。聞こえてますよ〜。どうしましたか?何か、トラブルでもありましたか?」
 咲耶がいち早くそれに応じる。いつもどおりの軽いのりで…
聖「あ…あぁ、ちょっとレーダーがいかれたらしくてな…っと、それにも一応理由はある。
  ここをとおっていったACに…紫色のACに1発貰っちまって…しかも2機とも」
努「――!そのACはどこに行ったんだ!?わかるなら今すぐにでも教えてくれ!!」
四「チッチッチ。そ・れ・は〜…だ〜め、デス」
 まるで子供を相手にするような四葉の態度
努「なにっ!?」
 さすがにこんな態度をとられて怒らないはずなく努は怒声を上げる
聖「まずはこっちの話しを聞いて欲しい。ギブアンドテイクだ」
咲「兄さん…あんまり焦らないの。じゃ、そっちの条件を聞かせてもらえる?」
 咲耶が努を制して、咲耶が聖達に質問をする
聖「とりあえず、ここの住所までの道を教えてくれ」
努「咲耶、頼む」
咲「はいはい。えっとですね、その住所はここから……です。これでいいですか?」
四「はい♪ホントに助かったデス♪どうもでした〜♪これでなんとか帰れるデス〜」
 四葉は歓喜の声とともにお礼を言った
 
 そのころ…
エ「…遅い…あやつら…てっきりすぐに追ってくると思ったのだが…つまらん…」
 エースはいまだにオーバーブーストを発動しながら飛んでいた
エ「まぁ、多分あの時接触したACにでもつかまっているのだろうが…レーダーを完全に
  破壊しておいたから…ふむ…しかたがないな」
 そう言うとエースの機体が反転する
エ「我、自ら出迎えてやる事にするか…」
 
聖「すまなかったな。おかげでなんとか帰ることができそうだ」
咲「おたく、ここら辺の地域は初めてだったの?」
四「はい。今日初めてこんな遠いところまできましたね」
鞠「それは大変でしたね」
四「はい…聖兄ぃったらいつもいつもい〜っつも同じような場所でしかミッションの
  依頼をうけないですから…」
聖「なっ…!それはだな…まずACに慣れるように…」
雛「…もしかして…あなた、シスコン?」
聖「…ッ!!」
春「みなさん…あんまりからかってはいけませんよ…ふふっ…」
 こんな感じの談笑が繰り返されている中、努は…
努「(なんで…初めて会ったはずなのにこんなに親しげに話しをしてるんだ?俺達は…)」
 なんてことを考えていた
咲「あははっ! 顔真っ赤にしちゃって――!兄さん!!熱源反応北西より一つ!!
  今度は…間違い無い…この速度はエースよッ!!!」
エ「はぁ…やはりな…」
 咲耶の焦った声がすると間もなくため息と共にエースがその姿を現す
エ「ここまで予想どおりなんて…我の勘も悪くはないのか…」
努「エース…貴様、よくもまぁのこのこと俺の前に現れたな!…決着を――」
 エースを前にすると相変わらずの態度の努
エ「ふっ…そういきり立つな…我が用があるのは…そこの赤いACの奴だ」
辰「へっ?お、オレ…うおわっ!?」
鞠・春「「辰也さん!?」」
 エースはそんな状態の努を軽く流し、辰也の機体にインサイドから何かを発射する。
 それは辰也の機体にあたり爆発は起きず少しの反動と煙があがるだけであった
鞠「辰也さん!辰也さん!!応答してください!!!」
 たまらず鞠絵が通信をいれる
辰「…ん…あ…あれ?オレは…」
鞠「よかった…辰也さん、機体チェックお願いしてもよろしいですか?」
 とりあえず反応してくれた辰也に鞠絵は問いかける…が
辰「――!お、織絵!?」
鞠「…はぁッ!?」
 辰也(?)が口にしたのは…努達の中で誰も聞いたことのない名前だった
辰「生きてる…よかった…オレだ、辰人だ。…わからないか?」
鞠「…辰也さん…ちょっとACから降りてきてくれますか?」
 その辰也(?)を呼ぶ鞠絵の声は冷え切っていた…
エ「ふっ…今回の用件はこれだけだ…」
努「まてよ!俺と決着をつけてから帰れって言ってるだろ!!」
 一部始終を見届け再び帰ろうとするエースに突っかかる努
エ「…今日から一週間たったらここに来い。今日は…もう弾切れだ」
 実際、エースが言っている事は本当である。今回は自分が戦う気は本気でなかったのだ
努「なっ…!くそ…弾切れなら仕方がない。場所は……!!わかった…あの場所…」
 さすがの努も弾切れの相手に対して一方的に攻撃するのはプライドが許さないらしく、
 落ち着きを取り戻し、エースから送られてきた対決場所を確認する
努「…また俺達を騙す気は?」
エ「このエース…今回ばかりはそんな事はしない。誓いに…我の素顔をさらそう」
 ここで初めて、画像付の通信がはいり、エースの素顔が努達にさらされる…
 そして、努の口が開いて塞がらない状態になる
努「――!な…貴様…お、女だったのか…」
咲「うそ!?…あっ、ホントだ…」
 画面に映っていたのはショートヘアのすっきりとした顔立ちの女性であった
エ「まぁ、そんなところだ。…今度会う時は…どちらかが死ぬと思え…」
 その言葉を最後に…エースのインサイドから発光弾が発射され、光りが消えた瞬間には
 もうエースの姿は無かった
努「…やつが…女だったなんて…ありえん…」
 コックピットの中で頭を抱え考え込む努…だが、半ば強制的に現実世界に戻される
咲「へっ?ま、鞠絵さん!?なにその…今にも物凄い必殺技が出来そうな目は…」
鞠「そうですか?わたしはそんな事ないと思いますけど?」
 冷静な口調に見えるがこれは鞠絵の得意技…『笑顔殺し』の前触れである
咲「そ、そんな訳で兄さん!仲裁…」
努「あぁ…わかってる…はぁ〜…」
鈴「休む間も無し…って、感じだね、努…ご愁傷様」
努「からかわないでくれ鈴凛…本気で滅入ってきたから…」
 
 とりあえず様子のおかしい辰也(?)はトレーラーの中で…
辰「本当に…織絵なんだな…」
鞠「…って人は誰ですか…?」
辰「へっ?今なんて…」
鞠「その織絵って人は誰なんですかぁぁぁッ!!!」
辰「ふぐぅぉあ!?」
 案の定、大変な事になっていた…辰也(?)は鞠絵の気合の入った拳を腹にもろに
 受けてしまう…常人ならこの時点ですでにノックアウト状態だ
鞠「あなたという人は…誰なんですか!その女は!!今すぐここに連れてきなさい!!!」
咲「ちょ、鞠絵さん!キャラ変わってるよ!!」
 うずくまっている辰也(?)に向かって、さらに追い討ちをかけようとする鞠絵の間に
 決死の覚悟で仲裁に入る咲耶
鞠「止めないでください!今度ばかりは…」
努「はいはい!…ホントに様子がおかしいみたいだから…お〜い、意識あるか?」
辰「あ…ぐ…あ…あぁ…なんとか…ゲホッゲホッ!」
 怒りに震える鞠絵を制して苦しそうに咳き込む辰也(?)に努が話しかける
努「ん。なら、まずは名前と…AC動かせるならレイヴンネームの一つも持ってるだろ?
  答えてみろ」
辰「えっと…オレの名前は総持寺 辰人。レイヴンネームは…アレスだ」
咲「…誰――!うそ…えっ…ちょっとまって…今、アレスって言った!?」
 自称、辰人の言葉に反応したのは…なぜか、咲耶だった
春「?どうかしたのですか?咲耶さん…」
 驚きと困惑の表情の咲耶に春歌が話しかける
 ちなみに鈴凛はACに乗ってトレーラーの護衛
 雛子は裕紀達と別れた時に心配しすぎて疲れてお休み中
 聖と四葉はお礼を言ってさっさと自分達の家に帰っていった
咲「えっとね、最近歴代のランカー調べるのにはまってて…たしかアレスは…300年前
  のナインブレイカーだよ!でも、なんかいきなり行方不明になったとか…」
辰「…そうだな。あの時(※番外編その2参照)…織絵と共に…300年間…」
 そこから辰人の昔話が始まり…
咲「そこから…へぇ〜そうなんだ。えっとじゃあ次は…」
 咲耶の質問攻めが開始された
辰「…っと、オレが知ってるのはここまでだ」
努「ふむ…大体の事情はわかった。けどなぁ…一人納得してない奴がいるんだが…」
 辰人が説明が終わったことを促すが…どうやら鞠絵は納得していないらしい
 睨むような目つきで辰人を見ている
鞠「…まだ、織絵と言う人のことについては何も言っていませんよね…」
辰「う〜ん…えっと、努さんでいいかな?」
努「いや、努でいい」
辰「んじゃ、努…鞠絵と二人っきりで話しがたい。悪いが席を空けてくれるか?」
努「…ん。わかった。じゃあ俺達は外で警戒態勢にあたってるよ。…咲耶は監視室に待機」
咲「ハァ〜イ」
 先ほどとは声の重みが違うのにきづいた努はみんなを連れてこの場を離れる
辰「……」
鞠「……」
 努達が出ていってから少しの間、沈黙が流れる
 そして…その沈黙を破ったのは…辰人のほうだ
辰「本当に…何も憶えていないのか?」
鞠「えっ…何を…ですか?」
 真顔で…しかも声も本気の質問に思わず戸惑いの声で答える鞠絵
辰「さっきも言ったが…オレは…いや、オレ達は300年前の人間だ」
鞠「…――!ま、まさか…先ほどから仰っている織絵と言う方は…」
辰「察しのとおり…やはり…憶えていないのか…まっ、医者も言っていたしな…」
 さっき触れなかった織絵の件に関して辰人は詳しく話す…
 だが…もっとも重要な事に関しては…辰人は話さなかった…
鞠「それでしたら…なんで、あなたの記憶が戻ったのでしょうか?」
 ある程度納得したのか、鞠絵の声に棘はもうみられない
辰「さぁなぁ…確かに、医者はほぼ完全に記憶をなくすと言っていたんだが…
  なにか変わった事でもあったのか?」
鞠「はい。先ほど、なにか特殊な弾薬かなにかの直撃をを受けましたが…」
辰「なるほどな…まぁ、この状態がいつまで続くかわからないし…ちょっと300年後の
  世界を楽しむか」
鞠「?」
 フッと不適な笑みを浮かべる辰人に鞠絵は疑問の表情しかできなかった
辰「(それに…もしかしたら織絵の記憶を取り戻せるかもしれない…)」
 
辰「努、ちょっといいか?」
努「ん?話しは終わったのか?」
 ACのコックピットでくつろいでいた努に辰人が通信を入れる
辰「だいたいな。…んでさぁ、このトレーラって色々と予備の武装があるみたいだけど…」
咲「そうよ。どんな状況にも対応できる様にコア、脚部、腕部、FCSに肩キャノン…
  右腕武器はもちろんの事にブレード全種まであるのよ♪えへへ〜♪すごいでしょ♪」
 その会話を聞いていた咲耶が自慢げにそう説明する
辰「努、あんたがこのメンバーのなかで一番強いんだろ?…オレと勝負してくれないか?」
努「へっ?」
辰「いやぁ、久しぶりに戦闘意欲が高まっちまって…1勝負いいか?」
努「だ、だが…」
鈴「いいんじゃない?努…300年前のナインブレイカーと戦れるなんて…」
春「そうですよ。滅多な事じゃありませんし…」
 迷っている努に鈴凛と春歌がそこにつっこみを入れる
努「わかった。…でも、戦るからには…」
辰「あぁ、本気でかかって来い。勘も取り戻したいしな」
 
辰「やっぱ300年も経つとパーツも結構変わって…おっ!『月光』があるじゃないか。
  んで、肩には…これと…これで…ったく、カラサワぐらいしか同じ形してないな…」
鞠「あの…辰人さん…」
辰「鞠絵さん、オペレーティングよろしくな。あんたが織絵だったら勘がよく働いて
  適切な判断ができるだろ?」
鞠「は、はい」
 確かに、辰人の言っている事はあたっている。鞠絵は普通の人よりも勘がよく働く
 初対面(?)の辰人が知っているのはやはり、鞠絵が織絵だと言う事を物語っていた
辰「さてと、んじゃ…アレス、出るぞ!」
 
努「おっ…おぉ…」
辰「何驚いてるんだ、努?」
努「いや…かなり様変わりしてて…ていうかそれで動けるのか?」
咲「ちょっと…無茶があるんじゃない?」
 辰也の機体は…中量二脚の足に右肩レーザーキャノン、左肩デュアルミサイル、
 EXに連動ミサイル…そして、カラサワに『月光』といったあからさまに中量二脚に
 搭載できる装備ではなかった…が
辰「そうでもないぞ。ほれ…」
 そう言って辰人はその場で機敏な動きをとって見せる
努「…んなら別にいい…じゃ、いくぞ!」
辰「あぁ、勘を取り戻せる位の相手してくれよ!」
 
鞠「(わたしは…300年前の人物…辰也さんと…一緒に生きた…唯一の…唯一?)」
 今度は鞠絵が悩む番であった
 辰人に説明を受けてから、何か、心の中に引っかかっている事があるのだが
 思い出せない
 それが自分と辰人の関係にかなり重要な事だと言う事はわかっているのだが…
辰「おり…あっと、鞠絵!サポート…っと、あぶねぇあぶねぇ…」
鞠「(もう少しで…もう喉のそこまで出てきてるのに…うぅ…確か…AC…アリーナ…
  そして…?公園?え…なんで公園が…!)」
 公園と言う単語で…鞠絵の中で何かが弾けた
 鞠絵は思い出したらしくハッとうつむいた顔を上げる
鞠「そうです!わたしは…織絵…辰人さんの…オペレーター…そして…」
辰「――!思いだし…!?なっ…これは…」
努「…?なに向こうで盛り上がってるんだ?」
咲「ちょ…鞠絵さん!?兄さん!急に鞠絵さんが…」
努「なに!?辰人!…あれ?おい!通信…仕方ない…強制通信画面展開」
 努が強制的に相手コックピットを開かせると…辰人はぐったりとして動く気配がない
努「…こっちも大変な事になってる…」
 
辰「(ここは…どこだ?)」
 辰人の視界には何もない真っ暗な空間が広がっている
 そしてどこからともなく大きな叫び声が…その声の主は…
辰(だっしゃコノヤロォッ!!オレの体返せやぁッ!!!)
 真っ暗な空間の中から急に辰人と同じ格好の人物が現れた
 …辰也だ
辰「(は――!?お前は…)」
辰(ったく、急に意識飛んで目が覚めたらな〜んにもない真っ暗な空間にいたんだよ!
  そこでなんかお前達の会話が聞こえてきたんだ!おまえが…過去のオレなのか…)
辰「(…じゃあお前が…現代の…オレ?)」
辰(まぁ、そうなるだろうな)
 淡々と会話する2人(?)…
辰「(でもなんでこんな事に――!?なにを!?)」
 いきなり辰也の方が辰人の首を握る
辰(…なんかこうすればいいような気がする…ほれ、体重なってきただろ?)
辰「(あ…ホントだ…)」
 手の部分からゆっくりと2人の姿が重なっていく…
 
鞠「(ここは…いったい?)」
織(えっと…初めまして…って、なんか変ですね…)
 真っ暗な空間の中で鞠絵の目の前に現れたまったく同じ背格好の人物…
 そう…織絵だ…
鞠「(――!あ、あなたはもしかして…織絵さん?)」
織(はい…昔、辰人さんのオペレーター兼…その…恋人…でした)
鞠「(…そうだったのですか…いいですね、ちゃんと…自分の気持ちが伝えれて…
  わたしは自分の気持ちに正直になれなくて辰也さんを…)」
織(ふふっ…不思議ですね。初めて話したのにこんなに気を許せるなんて…)
鞠「(そんなこと…だって、わたし達はもともと1つの――!?なっ…これは…)」
 2人がこんな談笑をしていると…何かに引っ張られるように2人の体が重なる
織(これは…なに?体が…重なって…)
 
努「おい辰也!じゃなくて…辰人!おい!!返事しろ!!おい!!!」
 努は今、コックピットをこじ開けて辰也(?)の体をゆすって声をかけている
努「ったく、どうした!?目を覚ませって!!鞠絵さんが大変な事になってるんだぞ!!」
辰「…う…あ…あ?つ…とむ…か?」
 鞠絵の名前に反応したのか辰也(?)がやっと目を覚ます
努「…今はどっちだ?辰也か、辰人か?」
辰「オレは…ふっ、両方…だよ」
 2人の記憶が1つになったのか…辰也の物腰は以前とは違って落ち着いている
努「はいはい。カッコつけてないでとりあえず鞠絵さんも気を失ってるみたいだから
  見に行くぞ!」
 その状態の努はツッコミをいれる事も無く軽く流した
 
咲「あっ!兄さん…鞠絵さん、今目を覚ました所だよ」
 トレーラーに入ると…咲耶と鞠絵が話しをしていたらしい
鞠「…辰…也さん…で、いいですよね」
 鞠絵が辰也の存在を確認すると…目に涙が溜まる
辰「鞠絵…で、いいよな…全部…思い出したんだよな?」
鞠「…はい…あなたも…ですよね…辰也さん!!」
 辰也がそばによると…鞠絵は辰也に抱きつき、その胸に顔を埋める
辰「300年か…まさかこんな話しがホントにあるなんてな…」
鞠「はい…」
 鞠絵の顔が上がって、赤くなった瞳で辰也を見つめる
 辰也も、その鞠絵の瞳をジッと見つめ返す
 そして…2人の唇が重なる
努・咲「「――!!!」」
 その光景を見た努と咲耶の顔が真っ赤に染まり、目をそらす
鈴「お〜い、努〜。どうなって――!!」
春「辰也さん!ご無事でし――!!」
 そこにある意味グッドタイミングで鈴凛と春歌が入ってくる
 鈴凛は努達同様、顔を真っ赤にして目をそらすが…
 春歌の表情は正反対に真っ青になっていき…
春「や…そんな…辰也さんと…鞠絵さんが…そんな…あぁぁ…」
 額を押さえながら春歌はその場に崩れる
義「お〜い、みんな、すまなかった…心配かけ――!!」
藍・麗「――!!!」
守「…――!?」
 そこへ、これまたグッドタイミング自分の両端に藍華と麗華…その背後に睨みをきかす
 守を連れて義大が入ってくる
 思わず義大と守は顔を見合わせて…苦笑した後、顔を赤くしてうつむく
 藍華と麗華は…もう何も言えないようだ…
裕「お〜っす。こっちはなんとかけり、つけれ――!!」
ちか「ACは…ボロボロだけ――!!」
 そのすぐ後に続いて裕紀と千影が姿を現し、他のみんな同様顔を真っ赤にする
 このメンバーには今の出来事は少しハードな内容だったようだ…
 そして…いつまでも同じ体制の辰也と鞠絵に…
「「「「「「「い…いい加減にせぇやぁぁぁッ!!!」」」」」」」
 
 後日…正式に辰也と絵は付き合いを始めだした
 その事実に春歌は…
春「…ワタクシ…絶対に負けませんッ!必ずや辰也さんの心をワタクシのに…」
 と、まだ諦めてない模様です…
                          第12話に続く…
あとがき
 
そろそろエースとの決着が…つくかなぁ?
と、いった感じです。
ネクサスも発売されることだし、さっさと決着をつけて…
と、いった感じもあれば、もう少し…このテンションで書いていきたい
という感じもある…まぁ、今後はなるようになります(笑)
 
こんな微妙な文章に最後まで付き合っていただきました方、
どうもありがとうございます。
それでは、また…
作者:キョウスケさん