サイドストーリー

EPISODE 3 〜邪魔する者(後)〜
「工場占拠者排除」を済ませて、自分の家に帰ったスケアクロウ。
「ふー・・・・・」
スケアクロウは冷蔵庫からコーラの缶をとり、それをゆっくりと栓を開けて飲んだ。シュワ−ッ、と、爽快感が得られる。
「長い1日だったな・・・」
スケアクロウは呟いて、椅子にすわった途端、ドンドン!と、ドアを叩く音が響いた。
スケアクロウは缶をテーブルに置いて、玄関に向かった。
「誰だ?」
呟いてドアを開けた途端・・・
「!!」
外に一人の男が立っていた。スケアクロウには見覚えがあった。
あれは、ランカーAC「ゲルニカ」を駆る、一人のレイヴン・・・。
「ゲド!!」
「久し振りだな、スケアクロウ」
「何故お前がここに?」
「グローバル・コ−テックスから新しい依頼文をお前に渡せと言われたから、これを渡しに来た。その依頼は、明日に済ませろとの事だ」
「その依頼とは何だ?」
「封筒を開ければ分かる」
ゲドは依頼文の封筒をスケアクロウに渡した。
「今日のお前の活躍、聞いたぞ。占拠者を全て撃破したんだってな?」
「・・・・・ああ」
「さすがは『黒い案山子』だ。多少の実力はあるな」
「・・・よせやい」
「疲れたか?」
「少しだな。数が多かったからな・・・・」
「・・・・そうか」
ゲドは背を向けて、歩き出した。
「何処へ行くんだ?」
「用事を済ませたから帰って報告をしてくる。お前の実力は気に入ったが、一言だけ言っておかねばならない事がある」
「言うって何をだ?」
「・・・・失望させるなよ・・・・それだけだ」
ゲドはそう言うと、立ち去って行った。

スケアクロウは、封筒を開けて、依頼文を読んでみた。
依頼文は、「アリーナ防衛」とあって、グローバルコ−テックスに対するテロリストの計画があると判明し、
近日中に予定されているアリーナの開催を休止に追い込む為、会場を破壊する計画であり、その計画を阻止する為、
テロリストの一味のMT部隊を全滅させて欲しい、との事だった。報酬は敵の撃破数に応じて払う、という。
だが、スケアクロウには分からない点があった。
何故、テロリストの一味はこんな事をするのか。レイヴンに恨みを持つやつがいるのか?いや、レイヴンに恨みを持つやつは少ないはずだ。
なのに、どうして?それが、分からなかった。
考えても無駄だ、と、判断したスケアクロウは、明日を待つ事にした。

翌日。
スケアクロウは朝早く起きて、ACにのりこみ、アリーナの会場へと向かった。
1分でもはやく、アリーナに向かわないといけないと考えたからだ。
「ちッと早く来ちまったかなあ・・・」
と、後悔の言葉を口にしている。
とにかく指示があるまで待とう、と、考えて、暫く待つ事にした。
暫くすると、通信が入った
「朝早く来てここで待っていたなんて・・・珍しいですね」
「! その声は・・・オペレーターか?」
「ええ。そろそろ敵が来る時間になったようです。予想以上に戦力を投入してきたようですから・・・気をつけて下さい」
「わかった」
レインからの指示を受けて、スケアクロウはシステムを戦闘モードに切り換え、じっと敵が来るのを待っていた。
そして、レーダーに赤い反応が見えた。敵が来たとの合図だ。
「来たなぁ、ブタども」
スケアクロウは攻撃体勢に入る。
邪魔する者は皆、俺の「金」になってもらう。
そう考えて、最初に向かい側のMTにブーストダッシュで突っ込み、ブレ−ドで斬り付けて破壊する。
その後に地面を徘徊する二台の戦闘メカにライフルの弾をぶちこむ。
ドン! ドン! ドン!
ズバアアアッ!! ズバアアアッ!!
ドガアアアアン!!
爆発音と銃弾が激しく飛び交う中、スケアクロウはもう十機ちかくの敵を撃破した。
だが、スケアクロウに疲れが見えてきた。そのため、動きも少し遅くなってきて、だんだん的になってきてしまう。
「くそ・・・・数が多すぎる!!」
そう呟いた途端、
「手子摺っているようだな。スケアクロウ・・・・。・・・・手を貸そう」
と、謎の通信がはいってきた。その途端、向かい側のゲートから赤い逆脚ACが飛び出してきた。この声。そしてこのACは、もしや・・・・
「ランカーAC、ゲルニカを確認しました」
レインの通信で、誰が応援に来てくれたのかがわかった。
「ゲドだ。ゲドだったのか!!」
スケアクロウは驚いた。だが、そんな間も無い。
スケアクロウは体勢を立て直し、MT部隊の掃討にかかった。
目の前にMTがいる。そいつをブレ−ドで袈裟がけに斬り捨てた。
そして、他の敵を探しに回る。見つけた敵は、すぐに破壊した。
ゲドは素早い動きで敵を翻弄し、両腕の拡散レーザーを浴びせかける。敵はゲドのゲルニカの動きについていけず、破壊された。
全ての敵を撃破し終わった途端、
「なるほど、いい腕だな。気に入った! お互い生きていれば、また会うとしよう」
ゲドから通信が入ってきた。すると、スケアクロウはこう答えた。
「・・・・おうよ」
と。


武田です。今回は「アリーナ防衛」をもとに、
この話を作ってみました。
作ってこう思ったのは、スケアクロウとゲドの二人って、なかなかいい味してるな・・・と思いました。
作者:武田 慎さん