アーマードコア・コードネームミネルヴァ 04
ARMORED CORE CODENAME MINERVA
俺は、歩いていた。
否、走っているのかもしれない。
全てを、
破壊するために。
--04神を打ち砕くもの--
いくらか探し続けて、俺はついに見つけた。
『ミネルヴァ』の研究室だ。
俺はそのドアを開けた。
狼鮫「・・・・お前は・・・」
俺にあったのは怒り。
ただ、それだけだった。
???「何!?貴様は・・・・」
狼鮫「俺は・・・・狼鮫。・・・・いやバイオメタル試験型一号といった方が正確か。なぁ、アトム=クォーター?」
アトム「ふん、記憶を取り戻しおったか・・・・・実験直前・直後の記憶は消去したはずだったんだが・・・・」
狼鮫「・・・・戯言はここまでだ。 ミネルヴァを止めてもらおうか?」
左手を鋼剣に変えながら、俺は勧告した。
アトム「・・・それは出来ないな・・・・止めたければ、自分でとめればいい」
狼鮫「・・・・・ならそうさせてもらう。」
俺は奴を斬ろうとした。
が、鋼剣は空しく空を斬った。
狼鮫「!?」
研究所の奥、隠し扉、その近くで奴は罵声を上げた。
その傍らには、セリウムが抱きかかえられていた
アトム「馬鹿が!!それはホログラムだ!!計画の邪魔はさせん!!行け、キメラたちよ!!」
隠し扉の前に数体の「モノ」が現れた。
キメラ。
違う種類の生物と生物、または生物と物体などを「合成」する事によってうまれる「モノ」。
まさかもう量産に踏み切っているとは。
量産型キメラ「ウガッ!!・・・グハァ・・・ハア・・・グワギャアアアアア!!」
奇声を上げて、「モノ」が襲い掛かってくる。
狼鮫「・・・・消えうせろ、お前らは・・・・」
俺は精神を集中させた、そして
狼鮫「邪魔なんだよぉぉぉぉぉッ!!」
蒼白い閃光。
地面から襲い掛かる無数の槍。
それは全てを貫いた。
アトム「な、何!?」
狼鮫「『BMF(バイオメタルフィスト)』、バイオメタルを凝縮して作られた特殊なナックル。
さすがに俺の体のバイオメタルだけじゃ、体の形や硬度を上げるのが精一杯。
だが、こいつを使えばこんな大型形成も出来るってわけだ。」
アトム「そんなもの・・・そこで・・・・」
狼鮫「あんたの・・・奥さんの研究室だ。・・・・お前が、キメラの最終実験台として使ったね。」
アトム「何!?」
狼鮫「自分の妻まで犠牲にして、人の命まで犠牲にして、そこまでして権力が欲しいのか?!」
アトム「お前なんぞに、私の気持ちが分かってたまるか!!」
そういって奴は奥へ逃げていった。
狼鮫「まだ逃げるか!!」
アトム「私は・・・創造主になるんだ・・・・世界の王に・・・・キメラども、奴を殺せ!!」
キメラの大群。
いや、生態兵器の大群が何処からか現れた。
狼鮫「ッ!!・・・・こんなんじゃ・・・・大型形成できない・・・・」
アトム「誰にも・・・誰にも邪魔はさせん!!!」
奴は隠し通路を抜け、何処かへ行った、恐らくミネルヴァの合成所だろう。
狼鮫「・・・・埒が明かない・・・奴も奥に言ったみたいだし・・・でええええやあああああああ!!」
大型形成を発動させ、俺は奥に進んだ
狼鮫「・・・・」
アトム「ふははは・・・後少し・・・あと少しで・・・・」
奴はコントロールパネルを操作していた。
セリウムの姿が見えない。
・・・・・・居た。
ガラスを隔てた向こう側、台の上に。近くにあるのは機動兵器グラント。
狼鮫「・・・・そこまでだ。」
俺は再び勧告した。
BMFを着けた右手をかざしながら。
アトム「もう来たのか!?くそ後一歩だと言うに・・・・!!」
狼鮫「やらせはしない、絶対に・・・・あいつだけでも・・・・・護る!!」
アトム「・・・・えええい!!」
奴は何かを押した。
そして、機械が、合成機が動き出した。
狼鮫「ッ!!手前ェ、まさか!?」
アトム「これさえ完成すれば、私は王だ!!創造主だ!!誰にも邪魔はさせん!!誰にも!!」
アナウンス『ミネルヴァカンセイマデ、アト3分』
狼鮫「この下郎がぁあああ!!」
アトム「ふん、さあ来い!!キメラよッ!!」
ドオォオオオオン・・・
目の前に落下してきた、「モノ」。
狼鮫「ッ!!まだ居やがったのか!?」
そんな最中、あいつは、目を覚ました。
セリウム「・・・・?・・・ここは!?」
アトム「気が付いてしまったか・・・・何も恐れる事はない、お前は神に・・・・」
狼鮫「セリウム!?起きたか!!早くそっから逃げろ!!はやく!!」
俺は力の限り叫んだ。
セリウム「!?・・・・あなたは・・・・」
狼鮫「俺のことはいい!!さっさと逃げろ!!」
彼女は懸命に逃げようとしているようだ。
後はこっちを片付けて・・・・
そんなときだった
セリウム「・・・・駄目、身動きが・・・私の事はいいから逃げて!!」
狼鮫「諦めるな!!」
セリウム「!?」
狼鮫「俺は・・・お前から依頼を受けた!!お前を、ここから逃がすって!!」
セリウム「・・・・」
狼鮫「今一度言う!!」
アナウンス『ミネルヴァカンセイマデ、アト30秒』
キメラが、俺の目の前に迫ってきた、
醜い牙を見せながら。
俺は右腕を、巨大な剣に形成した。
狼鮫「諦めるな!!お前は、俺が護る!!そして、全部、ミネルヴァ計画を、全部ぶっ壊してやる!!だから諦めるな!!」
セリウム「・・・・・・・」
キメラに巨剣を突き刺す。
一撃だった。
醜い巨体は、その場に倒れた。
狼鮫「待ってろ、今機械を止めてやる!!」
アトム「そうは行くか!!」
後ろから奴がのしかかってくる。
狼鮫「どわッ・・・手前ぇ、何を・・・!!」
アトム「計画の邪魔はさせん!!」
セリウム「・・・・・レイヴン」
狼鮫「くそッ!!」
アナウンス『ミネルヴァカンセイマデ、アト10秒。」』
セリウム「・・・・・さよなら」
狼鮫「え?」
一瞬のことだった。
それは、奴にとっても誤算だった。
彼女は、舌を噛み切って自殺した。
アトム「!?あああああ・・・なんと言う事だ・・・・!!!」
狼鮫「何!? 馬鹿野郎・・・・諦めるなって行ったのに・・・・なんで・・・・・」
アナウンス『ミネルヴァカンセイマデアト3,2,1・・・・』
目の前で、今、まばゆい光を上げて何かが起きた。
そして、爆発。
ドオオオオオオオオオオオオオオン・・・・
ガラスが吹き飛び、爆風で俺は壁にたたきつけられた。
アトム「・・・・?・・・あれは!!」
狼鮫「・・・・何?」
爆発の中心、そこには
白い翼を持った何かが居た。
人の姿をした、しかし人じゃない、何かが。
アトム「・・・ミネルヴァだ・・・」
俺は耳を、目を疑った。
馬鹿な、ミネルヴァは・・・・あいつが・・・・・
あいつの自殺で・・・・・合成は・・・失敗するはずじゃなかったのか?
これじゃ・・・あいつは・・・・ただの・・・無駄死にじゃないか・・・・・・・
アトム「おお・・・・・美しい・・・・実に美しい・・・・・・」
その何かに、奴は近づいていった。
アトム「ッ!?ぐわあああ・・・・ひ、ひ・・・ぐわああああああ!!」
奴の首が、
360°、回転して、地面に落ちた。
そして、奇声
その何かは、空へ飛び立っていった。
狼鮫「・・・・なんなんだよ・・・・・あれは・・・俺は・・・・・俺は・・・・・俺はッ・・・・!!」
スラッガー「おい、何だ今のは!?おい!!答えぬか!!」
外で待機していた、ACが、スラッガーが、俺の前に着地した。
狼鮫「・・・・・あいつが・・・・・・」
俺はことのいきさつを全て伝えた。
スラッガー「・・・・そうか・・・つらかったな・・・・」
狼鮫「俺は・・・・俺は・・・・・・何も護れないのか・・・・?」
スラッガー「そう己を責めるでない・・・・・」
俺は泣いていた。
何でかは分からない。
ほんの数時間前あった
あんな奴のために、俺は泣いているのか?
何でそんなに悲しいのか?
そうか、
あいつは、認めてくれれたんだ。
俺を、人間として。
今まで、2年間で、あいつ一人だけだった。
俺を、人間として認めてくれたのは。
だからか。
だから、
だからこんなに、
悲しいんだ。
俺は、涙が止まらなかった。
俺は、ACに乗り込んだ。
その時。
『キギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
奇声。
さっきの。
ミネルヴァの。
狼鮫「・・・・・」
スラッガー「く、あやつ、何故あそこまで巨大化しておるのだ!?」
そいつは、ACと同じくらいまで大きくなっていた。
そいつは、セリウムと同じ姿だった。
翼があるか、無いか、その違い以外は。
スラッガー「・・・・やるぞ狼鮫。」
狼鮫「・・・・・・・出来ない。」
スラッガー「何だと!?」
狼鮫「あいつは・・・・あんな姿だけど・・・・・あいつは・・・・・・」
スラッガー「奴はもうあの小娘とは違う!!ただの生態兵器だ!!それが分からんのか!!」
狼鮫「でも・・・あいつは・・・・・・」
スラッガー「目を覚ませ!! あやつが何故自殺したか分かっておるのか!?」
狼鮫「・・・・・・・・」
スラッガー「あやつは知っておったのだ。 自分がミネルヴァの一片であることを。 だから自分さえ死ねば・・・・・」
狼鮫「・・・・・・・」
スラッガー「おぬしは言ったのだろう?諦めるな、と。あの時、あやつは諦めかけていたのだ。 計画を止めることを。」
狼鮫「・・・・・・・・」
スラッガー「だが、それは報われなかった。見ろ、奴を。」
狼鮫「・・・・・!!」
その何かは、
泣いていた。
血の涙を流して。
スラッガー「なぁ・・・狼鮫よ、あやつを・・・・開放してやらぬか?」
狼鮫「・・・・・・」
スラッガー「辛いだろうが、受け入れろ。これは、『現実』だ。」
狼鮫「分かってる・・・・だけど・・・」
スラッガー「迷っている暇は無いぞ?」
静寂。そして
狼鮫「・・・・やろう。」
スラッガー「・・・・うむ。」
狼鮫「ミネルヴァを破壊する!!行くぞ!!」
俺は涙を拭いた。
OBを起動させ、奴に迫る。
ミネルヴァ『・・・・・』
狼鮫「あいつは・・・敵だ・・・・あいつは・・・・敵だ・・・敵なんだッ!!」
俺はマシンガンを撃った。
血があたりに飛び散る。
ミネルヴァが苦痛の表情を上げる。
ミネルヴァ『ぐあああああああああああああぁあああああああ!!』
奇声とともに真空波が飛んでくる
狼鮫「うわああああああああああ!!」
OBでそれを避ける
そして、後ろを取る。
狼鮫「・・ぐ・・・・畜生・・・」
俺は、引き金を引けなかった。
スラッガー「馬鹿者!!早く撃て!!奴を・・・・・楽にしてやれ」
狼鮫「分かってる!!でも・・・・・」
ミネルヴァが振り向く。
そして再び真空波を放とうとする。
狼鮫「しまった!!」
その時だった。
奴は、また泣いていた。
ミネルヴァ『殺して・・・・私を・・・殺して!!』
狼鮫「!?」
その声は、間違いなく、彼女の物だった。
狼鮫「セリウム!?」
ミネルヴァ『ごめんなさい・・・・・貴方に辛い思いをさせて・・・・・』
狼鮫「・・・・・・」
俺は、また涙が止まらなくなっていた。
ミネルヴァ『これはまだ完全じゃないの。・・・・破壊するなら今しかない。』
狼鮫「なにをいってるんだ!?」
ミネルヴァ『私はもう、元には戻れない。だから、さっきの依頼は、無かった事にして』
狼鮫「・・・・・・」
ミネルヴァ『・・・・・・早くして!!』
狼鮫「・・・・・」
それは、彼女の、
最後の、
悲痛な叫びだった。
スラッガー「・・・・終わらせてやれ。・・・・・全てを。」
狼鮫「・・・・」
ミネルヴァ『さぁ・・・殺して・・・・私を・・・殺して!!』
狼鮫「うわあああああああああああああああああああ!!」
俺は、
引き金を引いた。
鉛の弾が撃ち出される。
奇声が響く時、
全てが、終わった。
最期の奇声の中に、
ありがとう。
その一言を、聞き取った気がした。
俺は、戦闘システムを切った。
そして、思い切り泣いた。
気が済んでから、俺はコクピットを出て、外を見た。
山の奥に、夕日が、とても綺麗だった
完
あとがき
長・長・長・長・織田信長!!(え
長〜・・・・・・
長すぎだよこれ〜。
2つにするべきだったかな〜。
まあいいや。(イクナイヨ
これでミネルヴァは完結です。
呼んでくれた人有難う!!
で、読み直しててきがつく。
あ!!OBコアなのにEO使ってる!!
スンマセンm(__)m
その部分だけ飛ばして読んで・・・・(え
がーん・・・・・・
以上!!
狼鮫でした!!
作者:狼鮫さん
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