サイドストーリー

地上への回帰 最終章
あの、機動兵器破壊から1週間。
あの時、参戦したレイブンの機体は殆どが
中破〜大破の状態で、
修理が追いつかない状況だった。
俺や、フライレはまだいいが幻やハンク達の機体の
損傷は目に余るほどであった。

「俺の商売道具が . . .」

「ハンク、それは俺も同じだ。
 他の機体との兼ね合いから俺の機は
もう5日はかかるそうだ」

「幻、俺なんか修理の目処すら立ってないんだぜ。」

「 . . . すまない。」

「いや、きにすんな。あの状況で生きているだけで
儲けもんさ。」

「ああ、全くだ。俺も色々な依頼を受けてきたが、
 あの時ほど死を感じたことはなかった。」

「幻、ハンク、すぐに通信室に来い!!」

「シャウシュッツか、何かあったのか?」

「 . . . ユニオンが中枢への侵入ルートを
発見したらしい!!」

「おい、マジかよ!!」

「そうか、あの時のデータ解析が終わったのか . . .」

「幻、何か知ってるのか?」

「あの時の3日前にユニオンからミラージュの
中央施設に侵入して
管理者のデータハッキングを依頼されたんだ。」

「取り敢えずは、通信室に行くぜ!!」

3人が通信室にはいると、そこにはすでに大勢のレイブンが集結し、ユニオンの代表
者らしき人物が
スクリーンに投影されていた。
更に、その正体を見た全員が驚きの声を上げる。

「あれは、Drユージンじゃないか!!」

「ああ、今世紀最大の天才と言われた科学者か!!」

「 . . .皆、集まったようだな。」

その時シャウシュッツが

「Drユージン!!、あなたはなぜ管理者に戦いを
挑むのですか!!
 確かに、ここ最近の管理者の暴走は目に余るが
管理者を破壊すれば秩序は乱れ、
レイヤードそのものが成り立たなくなります!!」

「 . . . 確かに、管理者が破壊されれば秩序は乱れ
 世界のバランスが崩れて大変なことが起きるのは確かじゃ。
 しかし、秩序というのは難しい物で簡単な物でな、
 壊れてもすぐに作り上げられる物なのだよ。
  . . . それに、さっき管理者が暴走しているといっていたな。」

「そうでなければ、一連の天変地異や大型兵器の出現の説明が付きません!!」

「 . . . その回答は50点と言った所じゃな。
 それに、管理者は暴走などしておらんし
故障などもしていない。
 むしろ管理者は正常のままじゃよ。」

この発言に一同は首をひねった。
「管理者は正常」と言う発言はあまりに以外で
現実離れをしすぎていたからである。

さらにDrユージンは

「そもそも管理者は、この世界「レイヤード」を管理する物で
 決して人間を管理・保護する物ではないからじゃ。
 更に恐ろしいことに管理者はレイヤードの
  未来を考えた結果
 「人間」の抹殺が一番の方法と考えたのじゃ。
 それ以外にも君たちレイブンの存在が管理者を
 脅かす可能性を考え、そこのシャウシュッツ君のような
 有能なレイブンの抹殺を考えたのかもしれんがな。」

「おいおい、どういうこった!!」

「人間の抹殺だと . . . 」

「レイブンの存在が管理者を . . .」

一同は、ユージンの言葉に驚き、悩んだ。
特にシャウシュッツは自分の強さが管理者に狙われる
要因になったことに強い脱力感とむなしさを覚えていた

「俺の、力が管理者を . . .そして、排除される . . .
  ふざけ . . やがってぇ!!
  何が、レイブンの驚異だ!!
 何が、俺の力だ!!
 何が、管理者だ!!
 何が . . .レイヤードだあぁぁぁっ!!」

シャウシュッツは、己を見失い叫んだ
それは、己の存在、富、名誉の全てがこの世界から
拒絶された瞬間でもあったからだ

「 . . . シャウシュッツ君の気持ちも分かるが、今は
 そんなことで騒いでいるときではない。
 今は、この状況をどうするかだ。分かるね。」

「 . . . ああ、すまない話を続けてくれ . . .」

「管理者に続く進入路じゃが、思ったより警戒が
 厳しくてな。
 さらにクレストの部隊と思われる戦力が確認された。
 もちろん、管理者の部隊はMTではなくACじゃがな。」

「その他の大型兵器は?」

「その点は心配ない。」

「どういうことですか?Drユージン?」

「今、我々が開発したコンピュータウイルスがある。
 これを管理者の戦闘プログラムに打ち込んで
 管理者の攻撃プログラムの動きを止める!!」

「有効時間は?」

「短くて2時間じゃ。」

「動ける機体は!!」

「5機しかいない!!」

「それじゃあ、戦力不足じゃないか!!」

「 . . . 今、我々の作業班を向かわせた、
 1時間後にはそちらにつくじゃろう。
 我がユニオンの整備班は有能じゃからの、
 すぐに機体も直るじゃろう。」

1時間後についたユニオンの整備班がつき、
今まで後回しになっていた機体までもが
見違えるスピードで修復されたいった。

「やっと直ったぜ!!」

「ああ、これでまたコイツを動かせる!!」

「久々の感触だ . . .」

「これならいけるぜ!!」

皆、久々に戻ってきた機体を見上げて感想を述べる

「取り敢えずはこれで戦力は整ったな。」

「ああ . . だがシャウシュッツ、エースはどうするんだ?
 せっかく機体が直ってもパイロットがいないんじゃ . . . 」

「ああ、それなんだよな。なにせ全治1ヶ月だからな . . .」

「 . . . それは心配ない。」

「エース!!」

「お前、まだ入院していたんじゃなかったのか!!」

「確かに体の自由は利かないし、頭が
ふらふらするがな . . .」

「そんなんで大丈夫なのか?」

「実際に動くのはマシンだ。人間は
機体を操れればいい . . . 」

「 . . .分かった。だが、やばくなったらすぐにでも撤退しろ。」

「シャウシュッツ!!」

「フッ、そうさせてもらおう。」

午前5時。Drユージンから通信が入った

「ようやく役者がそろったようじゃ。
 今から我々がコンピュータウイルスを送信して敵の
 戦闘プログラムを停止させる!!
 その好きに突入してくれ。」

「よし!!全員出撃だ!!」

一斉にレイブン達が格納庫に配備された機体に
乗り込む。外にでると、
多数の輸送機がスタンバイしていた

「レイブン、こっちはいつでも行ける!!すぐに乗ってくれ。」

各機に3体づつ乗り込む。乗り込んだ機から順に
夜明けのレイヤードの空を飛ぶ

「これで、全員乗ったな!!」

「ああ、また親父さんの機で安心しているよ。」

「こちらも、シャウシュッツの旦那だから安心さぁ。」

「お互い様だな . . .」

シャウシュッツが乗った機にはハンクやフライレがいた。
2人の真新しいボディの機は新品特有の光を放っていた

「やっぱり、新品はいいねぇ!!なぁフライレ?」

「ああ、特にお前の機は殆どが新規のパーツだからな。」

「あんときにボコボコにされたからなぁ、
 さすがにまいったぜ。」

「それに、俺やフライレのように損傷の少ない機も
 殆どのパーツを交換してくれたからな。」

「遅かったなシャウシュッツ」

「ああ、おかげでいつも以上に調子がいい!!」

「全くだ、更にブレードの加速器も新規に交換したらしい。」

「加速器?それってウェイブみてぇなもんか?」

「ああ、ブレードからビームが出せるように改良したんだ。」

「なるほど、それなら武装の少なさが補えるな。」

「ああ、あの時の基地襲撃のあとに考えついたんだが。」

「あんときはどうなるかと思ったぜ。」

「すまなかったな、ハンク」

「3人とも!!中枢についたぞ!!」

「よし、降下する!!」

3機のACが大地に降下するとすでに降下していた
機体と鉢合わせた。

「これで全機揃ったな。」

9体のACは管理者がいるとおぼしき施設に立ちすくんだ。

「さすがにでかいな。」

「確かにこれなら大型兵器の建造も容易だな。」

「ぐずぐずしている暇はない!!突入だ!!」

エースのかけ声に全機体は施設に突入を開始した
施設内は広い部屋がいくつにも有り、
敵の数も大勢だった。

ズガアァァーン!!

「こいつらはクレストの部隊だな!!」

バババババババ!!

「ああ、まだACはでてきてない!!」

バシュシューン!!

「一気に突入するぞ!!」

いくつかの部屋を突破したとき、そいつはいた

「AC ...管理者の部隊か!!」

「ここは俺達がやる!!」

「BBにエース!!それにミスト!!」

「こういう役目はランカーに任せてもらう!!」

「それにここならすぐに撤退できる。」

「すまない!!」

「シャウシュッツ!!今のうちだ!!」

「ああ、ラスター!!」

3人のレイブンが盾になってくれたおかげで、
他のレイブン達は奥の部屋に進んでいった

「 . . . さて、そろそろこちらの番だな!!」

さきにBBが相手に仕掛けた!!
相手の戦力はグレネード機体にマシンガン機体、
さらにライフルを装備した3機で構成されていた

「さっさと墜ちやがれぃ!!」

ドドドドドッ!!

「一気に片付ける!!」

バシュシュシュン 
バガガガーンッ!!

「半端な覚悟では避けきれんぞ!!」

ドガガガガガッ!!

BB、ミストの順にエースが続いて攻撃を仕掛ける!!
激しい銃撃戦の中、相手も負けじと反撃してくる。
しかし、火力の差があまりに大きく形勢はレイブンに
傾いていた。

「これなら、3人来る事なかったな、エース?」

「BB、それでも管理者の部隊だ!!気を引き締めろ。」

「そうそう、ここで起死回生なんてされたら、
たまったもんじゃあ . . 」

「緊急プログラム . . . 開始 . . .」

とつじょ、相手の機体が光り出し禍々しいオーラを
放ちはじめた . . .

「なんだありゃあ!!」

「わからん!! . . . 来るぞ!!」

「こなくそー!!」

ダガガガガガガッ!!

だが、変貌した機体の前にはランカーレイブンとは言えど
そう簡単いく物ではなかった。

「くそ、なんて強さだ!!」

「ああ、先ほどとは比べ物にならん!!」

圧倒的な強さで迫り来る管理者部隊。
それに対して3人の戦力は相手の4割にも満たなかった

「だめだ!!やられる!!」

「うわあぁぁぁー!!」

その頃シャウシュッツ達は中枢エリアの
3分の2まで来ていた

「だだっ広いとこだな」

「ああ、それにここまで来るのになんの反応もない」

「 . . .レーダーに反応!!」

「ラスター、どこだ!!」

「シャウシュッツ、左だ!!」

皆が見るとそこには1体のACがいるだけだった。

「なんだありゃ?」

「この期に及んでAC一体だけとは見くびられたもんだ」

「だが、何があるかわからんぞ。」

「はいはい、ロックの旦那よぉ」

突如、相手の機体が中を飛ぼうとした!!

「空中に行こうたってそうはいかねえ!!」

キュワァーン . .バシュウウゥゥン!!

相手に合わせてコアがエネルギーキャノンを発射した!!

「いまだ!!総攻撃!!」

皆、コアの攻撃を皮切りに攻撃を開始した!!

「うおおぉぉー!!」

「墜ちろぉ!!」

ダダダダダッ!!
バシュン . .チュンチュンチュン!!
ダガガガガガッ!!

皆の攻撃に一時視界はは真っ白に染まった
だが、これが全ての間違いであった。

「やったか?」

「ああ、あの攻撃じゃあなぁ!!」

「油断するなよ!!」

「だから、ロックの旦那は. . .」

バシュウウゥゥン!!

「ぐあぁ!!」

「どうした!!コア!!」

「わかんねぇ!!いきなり攻撃を!!」

「レーダーの反応が消えてないぞ!!」

「なんだと!!」

「 . . . 諸君、初めましてと言った方がよろしいかな?」

「誰だ!!」

「誰とは心外だなレイブン. . .」

「まさか . . . 管理者か!!」

「そうだよ . . シャウシュッツ君、キミは
 非常に勘がいいようだな。
 おそらくはその勘の良さが過去に二度の
 大型兵器の撃破を生んだんだろうな。」

「やはり、あれは」

「そうだ。あれは君達に対する一種の挑戦状だよ。」

「なんだと!!」

「そう、この新型兵器ゲヴァイアに戦わせるためのな。」

「ゲヴァイア?」

「まず私は水中で活動できる兵器を作ったが
アレでは範囲が 限定されてしまう。
そこであの機動兵器を作った。」

「まさか、それで得られたデータを元に . . .」

「ふふふっ、さすがにキミは勘が鋭いな。
 その通りだよ。あの二つともう一つのデータを元にな . . .」

「もう一つのデータ?」

「そう、あのナインボール・セラフだよ. . 」

「あの伝説のACか!!」

「元々基本設計はセラフの時点で完成していたが
 それだけでは不十分だった。
 その欠点があの伝説のレイブン、グロックによって
 うち砕かれた原因だったのだよ。」

「グロック . . .?」

「スパルタクスと言えば分かるかな?」

「なるほど、あのレイブンのことか . . 」

「シャウシュッツ、何か知ってるのか?」

「ああ、ちょっとな . . .」

「さて、話も終わりだ。
 見せよう。このゲヴァイアの性能を . . 」

「くるぞ!!」

三機のデータを用いたゲヴァイアの性能は凄まじく
普通のACが束になってかかったのではまるで
歯が立たなかった . . .

「なんちゅう性能だ!!」

「くそ!!攻撃がまるであたらん!!」

「グレネードだ!!」

空中で強力な火器を乱射してくるゲヴァイアの前に
シャウシュッツ達は為す術がなかった . .

「だめか . .  」

「そう簡単にあきらめるな!!」

「なに!!」

バシュウーン . .バガーン!!

「うぉ!!」

「エース!!」

「それにBBやミスト、無事だったのか!!」

「ああ、少し無理はしたがな。」

「馬鹿な、お前達はあの三機にやられたのでは . . 」

「俺達がそう簡単にくたばってたまるかよ!!」

「これでもランカーレイブンなのでな . . .」

「なるほど . . だが雑魚が何匹集まったところで
 このゲヴァイアに勝つことはできん!!」

「さあ、そいつはどうかな?」

「なに?」

「おっ、お得意のひらめきってヤツか?」

「ああ、ハンク。みんなよく聞いてくれ
 ヤツの弱点についてだ!!」

「なんだって!!弱点だと!!」

「ああ、管理者はセラフの弱点を克服したとか
言っていたが実際はそうでもない。」

「どういう意味だ?」

「要するに、セラフの弱点だった射撃戦の弱さを
 重火器で補ったというだけさ。」

「そうか、その分機動性が落ちて格闘戦がやりづらい
 と言う意味だな!!」

「さすがだな幻!!」

「なかなか面白い回答だな。だが、その読みが
 はずれていたらどうする気だ?」

「いや、この読みにはずれはない!!」

「自信家だな。では試してみるのだな . . .」

「 . . .幻、機動性が低い機体がブレードを使うとき
 何を重視する?」

「射程 . . だな。」

「ああ、射程が長い分零距離では威力が落ちる!!」

「なるほど、そう言うことか」

「よし、シャウシュッツ、幻、ラスター!!支援するから
 その隙に頼むぜ!!」

「ああ、ハンク!!頼んだぞ!!」

「俺も行くぜ!!」

コアとハンクの機体が一斉に火を噴き
それに続いて、BBやエル・フライレが攻撃を
再会する!!

「今だ!!シャウシュッツ!!」

「行くぞおぉぉ!!」

「ムーンライト!!」

「オーバー!!」

「リミットオォ!!」

ムーンライトが直撃する寸前、ゲヴァイアから
ムーンライトの二倍はあろうブレードを繰り出した!!

「勝負だ!!」

三機のACがゲヴァイア目掛けてオーバーリミットを
繰り出す!!激しいエネルギーのぶつかり合いであたりは
一時騒然とした。

「今度こそやったか!?」

「そうあって欲しいな」

閃光が消えると、そこには三機のACと
中破したゲヴァイアがいた。

「あの野郎!!まだ生きてやがる!!」

「だが、もう戦力は無いはずだ!!」

「このまま一気に行くぞ!!」

「待て!!何か様子がおかしいぞ!!」

よく見ると、三機のACは火を失いぐったりと倒れ込んだ

「なに!!やられたのか!!」

「いや、それはゲヴァイアも同じだ!!」

三機のACと同じくゲヴァイアも火を失い、仁王立ちの
状態で機能が停止していた。

「あれじゃあ、まるで弁慶だぜ」

「ああ、だが手強い相手だった。」

「それよりシャウシュッツ達は無事かよ!!」

「 . . . ああ、なんとかな . . . 」

「おい、今の通信!!」

「ああ、なんとか無事みたいだな」

「大丈夫か!!三人とも!!」

「俺達は無事だがACがな . . .」

「やっぱり、機体はだめなのか?」

「ああ、なにせあのエネルギー量だ。
 マシンが逝かれてもおかしくはない。」

「たしかにな。」

「だが、歩行だけなら問題はない」

「おい、奥の方に通路があるぜ!!」

「管理者への道か!!」

「取り敢えずは急ごうぜ!!」

満身創痍の機体が管理者の元に行くとそこには
大規模なコンピュータがあった。

「これが . . 管理者 . .? 」

「そうみたいだな。」

「取り敢えずはコイツをぶっ壊さないとな . . .」

「 . . レイブン達よ、良くやった。
 お前達ならあの地上を渡すことが出来るだろう . . .」

「どういう意味だ?」

「私の言葉にこれ以上の意味はない。さあ、私を破壊しろ。
そして、真実を、未来をつかめ。
 これはお前達の義務だ . .」

「おい、止まっちまったぞ」

「良し、照準OK!!最後は景気良く行くぜ!!」

「そうだな」

「よし、発射!!」

最終章 完
作者:ハンクさん