サイドストーリー

格納庫の傭兵 W〜捻れた歯車〜
「うは〜、今日の訓練もけっこうきつかったな〜。」
俺とトーメントは訓練が終わっていつものレストランで遅めの夕飯を食べていた。

「やっぱここのコーヒーはいつ飲んでもうまいな!特に厳しい訓練のあとはGOOD!」
そんなことをいいながらトーメントはステーキにナイフを入れていた。

「今日の俺の射撃の腕はよかっただろ?
 もう揺れもほとんど慣れたし!これならロストには充分勝てるな!ははは〜〜。」
なんか今日のトーメントはやけに上機嫌だ。まあ揺れに慣れてきたからだと思うが・・。

「でもトーメント、ACの揺れに慣れてきたんならもう少しブレードも速くなれよ・・。まだ1分しかタイム縮ましてないんだろ?」
それでもトーメントの格闘センスは向上していなかった。まあ俺も射撃は相変わらずだが・・・・。

「ロストは身体鍛えてるからいいよな。いつも何やってんだよ?」

「ん、毎日起きた直前と寝る直前に腹筋とか背筋鍛えてるだけだよ。
 あとは暇なときに走ったり・・・ってお前、ステーキの付け合せのニンジンくらい食えよ・・。」
トーメントの嫌いなものは野菜全般・・ニンジン、ピーマン、トマト・・・比較的、味がない芋類でさえ中々食わない。
それで肉や乳製品などしか食ってないのになぜか太らない。本当に幸せ者と言いたいくらいだ。

「あーいいのいいの、俺は野菜食わなくても大丈夫だから!」
たしかにお前なら大丈夫そうかもな・・・。



「そういえば今日、訓練終わった後アステカさんが自分の家のパソコン点けとけって言ってたよな・・。」
そうだった・・。なんかミラージュ社からメールを送るとか言ってたな。

「まさか・・任務とかのメールか!?」

「・・可能性はあるかもな。おそらくこの最終的な訓練として用意してるはずだ。」
俺の言葉にトーメントは肩を落としていた。まあ任務をするとしても俺とトーメントが共同で行うはずだ。
夕飯を食い終わって一休みした後、家に戻ってパソコンを点けることにした。






電源を点けると≪新着メールが一通着ております。≫という表示が出ていた。
そこをクリックしてメールの内容を見た。任務の内容だと思ったが内容は少し違かった。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










宛先:asuteka.AC@hotmail.com.jp


件名:課題


内容:俺だ、アステカだ。二人は大分ACの訓練にも慣れてきたと思う。
   だからこれは俺からの課題だ。
   3日後に第一都市区のファーストアリーナで無差別ランク級のアリーナ戦が開催される。普通はアリーナだとランクがE〜Aまである。
   だが今回の無差別ランク級アリーナ戦はアリーナランク外のレイヴンも参加対象になっている。
   だから俺がロストマンとトーメントの二人を申し込んだ。キャンセルはもうできない。
   まず二人ともそのアリーナ戦で勝つことが課題だ。
   もう抽選により対戦相手も決まってる。ロストマン、お前が戦う相手のレイヴンはリリスという女性レイヴンだ。
   女だからと言って油断しないほうがいい。
   あと3日後だからその間に自分の機体の構成を考えといてくれ。
   まあロストマンは格闘が優れてるから機動力を高めた接近戦重視にしてみるのが基本だが、さまざまに対応できるのがベストだと思うぞ。
   訓練の成果が出ることを祈る。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





アリーナか・・・。しかも相手は女性か・・正直、やりづらいかもしれないな。

それより問題なのは機体構成か。射撃がダメな俺はどうすればいいんだ・・・。とりあえずトーメントに電話でもしてみるか。


「・・・もしもし、俺だけど。」

「・・お・・ロストぉぉ・・俺はどうすればいいんだぁぁー!」
やっぱりトーメントもメールを見ていたところか。

「お前は誰と戦うんだ?」

「なんかブラッドとかいう奴なんだけど名前からして怖そうなやつ・・・。ロストは?」

「俺はリリスっていうレイヴンなんだけど、なんでも女性らしくて。」

「なんだよぉー!お前はやっぱいいよな・・。」
こいつなんか変なこと考えてるな・・。

「それより・・機体構成のこと書いてなかったか?」

「あったよぉ、まあ俺は射撃でガンガン攻めるけどな!」
トーメントは気楽でいいよな・・。

「ロストなら大丈夫だろー、みんなと違・・あ・・。」
あ、そうだ。思い出した、あの時の質問の答えをまだ聞いてなかったな。

「今、思い出したけど俺が皆と違うって一体、何なんだ?」

「・・あ、ああ俺もう疲れたから寝るよぉー!じゃなーー!!」

「あっ・・おい・・。」 

ツーツーツー・・・。
なんでそんなことに答えてくれないんだ・・・。あんなに焦ることもないと思うが・・まあいいか。


ん、なんか急に頭が痛くなってきたな・・・。



気づいたら時間も遅くなってるから、俺も寝ることにするか・・。












































・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
・・・なんだ・・、これは・・・。
・・・・・・夢?
・・・・・・・・・・ここはどこだ・・?
俺は夢など見てもこんな鮮明に頭に浮かばないが・・これは・・・。
・・・・・・。

・・・・・・・・・あれはなんだ・・。



それは何かの研究所の実験室みたいなとこに見えた・・。奥に何かがある・・・。
・・・・・・・。
・・・・・。
ぼんやりとしか見えない・・。



あれは人か・・・?
幽かだがホルマリン漬けにされている人のようなものがうっすらと見える・・・。何をしているんだ・・・・。
わからない・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・。




・・・!!頭が痛くなってきた・・・・。なんだこれは・・。





おもわず瞬きをした瞬間、その映像が消えてしまった・・。どこを見ても暗闇・・・。
何も映ってこない・・・・・。


「・・・・・・・・・・・・・・。」

急に目の前に人らしき影が浮かんできた・・。
声を出して喋りたいが・・・出せない・・・・・・。
・・・・・。
・・・・。
気配はする・・。姿形はおおまかだがわかる・・・。顔は暗闇にまぎれてわからない・・・。


「・・・・・・・・・・・・・・。」

人らしき影も話しかけてこない・・・。だがなぜか睨まれてる気がする・・・。
・・・・・。

はやく抜け出したい・・・。これは超常現象か何かか・・・?


・・・・・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・・。


























これが恐怖・・・?

これが孤独・・・?
















俺はどうなるんだ・・・・・。













作者:RYOSUKEさん