サイドストーリー

EPISODE 7  〜静止した都市の中で(前)〜
ある夜の事。
ここ、第一都市区のアルキベル発電所。第一都市区の「電源」を司る「場所」。
発電所の3階・電力制御室では管制員たちが、コンピューターを使って電力の支給の様子を見張っている。
時刻は21:00。住人たちは半分ぐっすり眠っているような時間だ。
「異常は無いか?」
と、扉を開けて管制員長が様子を伺いに来る。
「はい。異常なしです」
管制員の1人が言う。
「よし」
管制員長が返事を返した途端、
ドオオン!!
発電所の近くで爆発音が響いた。
「何だ?」
そのとたん、室内灯が非常灯に変わった。
警報が鳴り響く。
「侵入者発見。侵入者発見。発電所内部の職員は速やかに退避せよ。繰り返す、速やかに退避せよ」

一方、管制室では、
「一体何が起こった!?」
「わかりません。突然未確認の部隊が現れたんです。パワードスーツ系のMTを使っています!」
「アンノーンか! くそ、セキュリティーの全MT、全ガードシステムを起動させろ!」
管制室の職員たちが突然の異常に右往左往している。
だが、判断力に優れた所長の指示でセキュリティーの全MTおよびガードシステムを発動させる。

「目標はあの発電所の最上階にある管制室だ! 他は構うな!」
「ガードシステム等の警護部隊は全て破壊しろ!」
謎の部隊は指示を呷りながら、発電所の周辺に別れる。そこではセキュリティーの全
MTたちとガードシステムが配置され、激しい攻撃を浴びせてきた。
ドドドドドドドドドドドド!!!!
ズガガガガガガガガガガガ!!!!
ドガガガガガガガガガガガ!!!!
パシュゥゥゥッ・・・・ドドン!!!! パシュゥゥゥッ・・・・ドドン!!!!
発電所の周辺は大混戦状態になった。そのすきに、謎の部隊の半数の兵士たちが、混乱に乗じて発電所に進入した。
謎の部隊の兵士たちは強力な火器を携えて、管制室に忍び寄る。
「奴等の目的はなんだ!? 何だと言うんだ!?」
所長が焦りの色を見せて、叫ぶ。
「それはな」
と、後ろから謎の声が聞こえた。
「!!」
所長が振り返ると、
バシュゥゥゥゥン!! バシュゥゥゥゥン!!
と、紫の閃光が走る。
「うわっ!!」
所長が光に目くらましされて、仰け反った。
そして顔を上げた途端、謎の部隊の兵士が、
「この『発電所』そのものだ」
と、銃を突き付けながら答えた。


一方、第一都市区全体では・・・・
バチッ、バチチッ!
バチッ、バチチッ!
と、街の電灯や看板、ネオン、家や店、ビルの室内灯がスパークし始めた。
そして、
フッ・・・・
と、第一都市区全体の全ての電力が停電した。
「!?」
「な、何だ!?」
住人たちがざわめき始めた。
またさらに、電車などの交通手段も全てストップしてしまった。

一方、第2都市区行きのモノレールでも・・・・。
ヴゥン、プシュ−ッ・・・
と、音をたててストップしてしまった。
「!?」
「と、止まった!?」
と、乗客たちがざわめき始めた。
そして、車掌室でも・・・・。
車掌が車員たちと右往左往している。
「何ごとだ!」
「発電所からの送電が突然ストップしました! 原因は不明です!!」
「モノレールの緊急システムは使う事はできないのか!!」
「無理です! コードを打ち込もうにしてもシステムが立ち上げできません!!」
「くそ!! 何だってこんな時に・・・」

「一緒に仕事をする事になりました。スケアクロウさん、宜しく頼みます」
大型輸送車の中で、三機のACが目標地点まで輸送されている。その中で、二機のACが
挨拶をしている。
「ああ、頼む」
ACが挨拶をしてきたACに返事を返す。そう、このACに乗っているのは、スケアクロウだ。
「邪魔する者」の4度目の破壊に赴いたらしい。
スケアクロウと共に仕事をする、この二人のレイヴンは、「アップルボーイ」と「レ
ジーナ」の二人。
「しかし、また『邪魔する者』が現れたとはな・・・。第4ラウンドの覚悟をしておいて良かったぞ」
と、スケアクロウは呟く。途端に、
「目標地点に到達」
と、運転士が言う。
「行くぞ!」
と、スケアクロウは声をかける。そして、我先にとスケアクロウが輸送車からおりた。
アップルボーイ、レジ−ナも後に続く。
「本機は、作戦領域より、離脱する」
運転士はそう言い残し、離脱した。
スケアクロウは通信機を手に取り、モノレールの車掌に連絡を入れる。
「車掌室、聞こえるか?」
と、声をかける。
「こちら車掌室、レイヴンどうぞ!」
と、車員が返事をかける。
「こちらスケアクロウ。キサラギの依頼を受けて当モノレールの防衛に駆け付けた。
我々は当モノレールの電力が回復し、動き出すまで護衛を続ける」
「了解! こちらは電力が回復するまで動く状態が出ないとのことです。敵の攻撃を受けたら、電力の回復に遅れがかかってしまいます。
防衛を、宜しくお願いします」
「了解した」
スケアクロウは通信を切る。
「どうかしましたか?」
レジ−ナがスケアクロウに訪ねると、
「電力が回復するまでモノレールを守れ、とのことだ。弾を乱射し過ぎてモノレールに当たらないよう、注意しろ」
と、返事を返す。
「了解」
と、レジ−ナも返事を返した。
「どうやら発電所にはキサラギの主力部隊が向かったそうだ。電力はキサラギの主力部隊が到着した頃に回復するらしい」
と、独り言を言う。
「敵第一波、来ます! 発電所を襲った謎の部隊だそうです!」
と、レインから通信が入る。
「謎の部隊だって!? くそッ、謎の部隊はこの事を知っていたんだ!」
アップルボーイが叫ぶ。
「今は敵だ! 周りの事を考えろ!」
と、スケアクロウが叫ぶ。
「準備はいいな?」
「はい!!」
「よし、戦闘開始だ!!」
作者:武田 慎さん