サイドストーリー

BIO METAL RAVEN〜 命鋼の渡鴉〜


命鋼の渡鴉




俺は、迷っていた。

俺は、何のために生きるのか?

俺は、何故生きるのか?



その答えは、何処にも無い。

俺には、生きる意味など無い。

俺には、生きる理由など無い。

そう思っていた。 あの日まで。



狼鮫「・・・・」
俺は、何の目的もなく、ただひたすら、ACに乗ってさまよっていた。

スラム街。

俺は、そこで足を止めた。



ACを降り、曇空のスラム街を歩く。

ところどころで、子供が物乞いをしている。

ところどころで、人が死んでいる。

ところどころで、争いが起きている。

ところどころで、それぞれが消えていく。


そんな中、俺は老人に出会った。
彼は、壁にもたれかかり、酒瓶を持っていた。
恐らく飲んでいたのだろう。
彼は俺を見上げ、何かを悟ったかのように、ゆっくりと語りだした。

老人「君は、迷っているのではないかね?」
狼鮫「・・・・・何故そう思う」
老人「・・・・人は、皆何かを背負っているのだ。 それが、どんなものでも。 私にはそれが見える。」
狼鮫「・・・・・・」
老人「君は迷っている、自分が何のために生きるのか、何故、行き続けなければならないのか。」

雨が、ぽつ、ぽつと降ってきた。
そこらじゅうで物乞いをしていた子供が、何処かへ去って行く。

狼鮫「・・・・あんたには分からない。 俺の気持ちなど・・・」

老人「・・・・・君は、知っているかね?」
狼鮫「・・・・・何を?」
老人「人には・・・必ず、生きる理由・意味は有るのだ」
狼鮫「・・・・俺には・・・・理由も・・・意味も無い・・」
老人「なら何故君は生きているのだ」

彼は目をかっと開き、そういった。
そして再び語りだした。

老人「人は、生きる理由、意味を失ったとき、やるべきことを全てしたときに死に、この世から消えるのだ」
狼鮫「・・・・・」
老人「だが、現に君は今こうして、君は生きている。そうだろう?」
狼鮫「・・・・・・」
老人「それがどういうことか分かるか?」
狼鮫「?」

老人「君にはまだ、生きる理由がある。 まだ生きる意味がある。 まだ、やるべきことが有る。 だからではないか?」
狼鮫「・・・・・」
老人「私は時々こう思う。 人は、死ぬために生きるのではないか。と」
狼鮫「死ぬために・・・」
老人「生きる理由、生きる意味。やるべきことを全て成し遂げて、死ぬ。 そのために、人は生きる。私は、そう思うのだ」
狼鮫「死ぬために生きる、か」
老人「・・・雨が本降りになってきましたな・・・私もそろそろ帰らねば。 では・・・・・」


そういって老人は足重に帰っていった。

数日後、再びこのスラムを通りかかると、ダンボールで造られた小屋の中に彼の遺体を見つけた。
安らかな寝顔だったので、最初は寝ているだけかと思ったのだが・・・・
おかしいと思い、触ってみると、彼は冷たくなっていた。


彼は「やるべきこと」を全てして、死んだのだろうか。

もしかすると、俺との会話が、彼の最後の「やるべきこと」だったのかもしれない。


彼は、俺に、生きる意味を教えてはくれなかった。
だが、彼は、俺に生きる理由を教えてくれた。


「やるべきこと」が、まだ残っている。

だから俺は生きるのだ。

死ぬために生きるのだ。


「やるべきこと」を探す、そしてそれをやる。
そして死ぬ。
その日まで、俺は、生きる。



俺は彼を、近くの見晴らしの良い丘の上に埋葬した。
墓標代わりの護身用ナイフに、花束を添えて。



俺は旅立った。
生きる意味を、
「やるべきこと」探しに。

「やるべきこと」をするために。

死ぬために。



そして、俺は今、こう呼ばれている。





命鋼の渡鴉と。


























官(また違う








あとがき
はい、どうも、狼鮫です。
この後ネクサス編につなぎます。無理やりに。
・・・・一応言っておきますが。
「鋼の」ではないです。
似てるかもしんないけど。
あ〜でも少しは影響あるかな・・・・・
ま、そゆことで。(どゆことやねん。
以上!!m(__)m (あ、逃げた
作者:狼鮫さん