EPISODE 12 〜立ち上がる勇気〜
その日の夜・・・・。
ルグレン研究所では、クレストの後続部隊や警護部隊が到着して、激戦のあったルグレン研究所の最奥部の調査にあたっていた。
「現場はどこだ!?」
「研究所第3研究室です!!」
「生存者は!?」
「レイヴン3名、我が社の先遣部隊付属兵士3名!!合わせて6名です!!」
「この研究所内部を徹底的に洗え!!」
「後続部隊隊長が到着次第、指示を仰ごうかと・・・・」
パワードスーツ隊、後続部隊のギボンなどのMT部隊が調査にあたっている。
「酷い事するぜ・・・実際・・・」
両腕をミサイル武器腕にした黄色い逆脚型AC・「マルチボックス」を駆る、
クレストの後続部隊専属レイヴン「ブレーメン」が、スケアクロウのACの残骸を見て呟く。
「ス・・・スケアクロウ・・・さん!?」
アップルボーイとレジーナがモニターを見て呟く。よく見ると、エグザイルに破壊されたブラックエビルから、
スケアクロウ本人が防護服を着た救護班のメンバーたちによって運び出されていく。だがスケアクロウの息はなかった。
すると、ブラックエビルの残骸近くに、1機の重装型ACが近寄り、調査をしていた。
このAC「ダブルトリガー」を駆る男こそ、後続部隊専属のレイヴン「トラファルガー」だった。
「無茶苦茶にマシンガンで撃たれた跡が沢山ある。おまけにコアの部分も半分融解された跡もあるが・・・」
トラファルガーは呟く。そして地面に落とされたブラックエビルの左腕を拾い上げて、
「この鴉のエンブレムが貼りつけていなかったら、誰だか判明しなかっただろう」
よく見ると、鴉のエンブレムが貼付けてある。アップルボーイは息を飲んだ。
「向こうにもACの残骸が1つ・・・・」
ブレーメンがある方向を向いた。レジーナがエキドナを、ブレーメンの視線の方向に向かせる。
よくみると、赤い逆脚型のACの残骸が、2つに別れて転がっていた。
1つはその場に立っている赤い逆脚型の脚部。もう1つは武器腕をつけた袈裟がけ状態となったACの上半身。
その周辺に、3体のギボン、3組のパワードスーツが調査にあたっている。
「これもコアの部分を半分融解させられた状態だ。そして中にいたパイロットの死骸の装備品の手帳が落ちていなければ、
誰だか分からなかっただろう・・・」
ブレーメンは呟く。
アップルボーイとレジーナは、ただ言葉を口にする事もなく、コクピットの中で俯いていた。
あれから・・・・
スケアクロウが死んでから、1週間がたった。
自宅のパソコン部屋で、アップルボーイは俯いていた。
大事な恩師のレイヴンが死んでしまった事で、ショックを受けているだろう。
そのとき、
ピーッ
と、メールの着信音が鳴った。
顔をあげてパソコンの画面を見ると、メールが2件、着信トレイの中に入っていた。
1つは、クレストからの依頼メール。もう1つは、スケアクロウの伝言メールだった。
伝言メールには、こう書かれていた。
『アップルボーイへ
お前は今、レイヴンのあり方を教えてくれた恩師である俺が死んで、相当なショックを
受けているに違いないだろう。だが、俺が死んだ以上、お前とレジーナは俺の分も背
負って生きていかなきゃならない。その為、俺はお前たちに勇気を与える為、このメー
ルを書いた。そして、お前たちのガレージに、新しいパーツを送っておいた。このパー
ツは、お前たちの新たなる力として、新たなる道を切り開く武器となるだろう。
これを使い、新たなる光と共に、怖がらずに突き進め。
立ち上がる勇気を、体中に纏ってな。
スケアクロウ』
メールを読んだ後、アップルボーイはガレージのパーツのストックを見た。よく見ると、
右腕武器の一覧に、「MWGーXCB/75」が追加されていた。
また、オプショナルパーツの一覧にも、「OPーSーSCR」「OPーE/SCR」が追加されていた。
「これが・・・新たなる力・・・・」
アップルボーイは驚いた。そしてそれらを装備、そして武器を新しいパーツに交換して、テストモードに出た。
そしてそれらの結果に驚く。
「すごい・・・・これが、新たなる力の、威力なのか!」
アップルボーイはさらに驚く。そして、フッと笑い、
「ありがとう・・・・スケアクロウさん・・・。僕は、また新しい力を身につける事が出来たよ・・・・。ありがとう・・・・」
あの時のスケアクロウの事を思い出して、アップルボーイはスケアクロウに感謝した。
そして、今度はクレストの依頼メールを開く。それには、重要物資を積んだトレーラーを護衛してほしい、との依頼メールだった。
アップルボーイは、それを受託した。
アップルボーイは作戦目的地へ向かう途中、そこでレジーナと出会った。
「レジーナ!? 何故君が!?」
「私もあの時、ロイヤルミストからの伝言メールを受けて、新戦力でパワーアップした後、
この依頼を受けてここに来たのよ。あんたも、パワーアップしたそうじゃない?」
レジーナのエキドナには、左腕のブレードが「MLBーMOONLIGHT」に変わっている。
ミラージュ自慢の逸品、最強の名刀、という噂のやつだ。
それは、見た事のないパーツだった。「そうか、あの時君も・・・」
アップルボーイは思った。そして、決心した。
「スケアクロウさん、僕が倒してみせます! あなたをあんな目に合わせて、ゆうゆうと
あの時立ち去ったレイヴンを・・・・絶対に!!」
アップルボーイは仇を討とうと、ぎゅっ、と、右手を握りしめた。
「何をしてるの? さあ、行くわよ!」
レジーナの呼び声で、アップルボーイはうなずく。
そして、輸送車をおりる時、
「アップルボーイ、エスペランザ、出る!!」
勢いよく飛び出した。
そして、新たなる道を切り開く為に・・・・
作者:武田 慎さん
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