EPISODE 13 異形の者たち(前)
「Re:耐性生物駆除
依頼主:クレスト
成功報酬:26000c
我が社の中央研究所が、正体不明の生物に襲撃を受けています。
この生物たちは、非常に強い生命力を持っており、ダメージを与えるのも
難しいです。至急、救援をお願いします」
その日、あるレイヴンのもとにクレストの依頼メールが届いた。
そのあるレイヴンとは、ストラングとロイヤルミスト。どちらも凄腕のトップランカー級のレイヴン。
火星での生活が長かったストラングは、現在新たに組み上げたACで
のトレーニングを行っていたところだった。
「先生、クレストからの依頼メールが来てますよ」
ロイヤルミストが呼び掛ける。
「クレストからだと?」
ストラングはトレーニングを終わらせて、ACから降りて部屋の方へ向かった。
パソコンを起動させて依頼メールを読み上げる。その後にストラングは、
「今、大変な事が起きているらしいな・・・。今度は生物が相手となっているようだ」
「相手は耐性生物だとか言ってましたからね・・・」
「どんな相手でも、私は至急と言う言葉を聞けば行かぬわけにもいかん。ロイヤルミスト、仕度をしろ。行くぞ」
ストラングとロイヤルミストはすぐに仕度を済ませ、車に乗り込んでグローバルコーテックスのACガレージに向かった。
研究所に着いて、ACに乗り込み、中の生物の掃討に向かった。
「うっ・・・」
「こっ、これは・・・・!」
よくみると、なにやら蜘蛛とか蟹とかの生物をごっちゃにしたような、気味の悪い耐性生物が
ガシャガシャ、ガシャガシャ、と地面を這っていた。この生物は、生体兵器「B7723c」だ。
「と・・・とにかく全て排除しろ。見ていると気持ち悪くなってきた・・・」
「は・・・はい・・・」
2人はその場に立っているわけにも行かず、それぞれの武器を生物たちに向かって乱射しまくった。
だが、どうしたわけか、生物たちはなかなかびくともしない。
「馬鹿な、何故効かないんだ?」
ロイヤルミストが驚く。
「とにかく、攻撃するだけ弾薬を無駄にするだけだ。上の足場へ避難するぞ」
ストラングの言葉で、2体のACは、生物たちの攻撃が届かない場所へ避難した。
「一体、どうなっているんだ、コイツら・・・・」
2人は溜息を着く。すると、通信が入った。
「クレスト社より通信が入りました。この生物たちは、酸に極めて弱い性質を持つそうです」
レインからだ。するとロイヤルミストは、
「だが、ここには酸性の物なんてないぞ。どうしたらいい?」
と、問うた。するとレインは、
「そこでクレスト社は、酸性のシリンダーを投下させるそうです。それを破壊すれば、
酸性ガスを研究所内に満たし、生物を弱体化する事ができるそうです」
「なるほど」
「酸性のシリンダーが投下されるまで、この足場にいる事しかないようだな」
ストラングの言葉で、2体のACはその場でジッとしている事にした。
「シリンダーは! 酸性ガスはまだかあっ!!」
ロイヤルミストは叫ぶ。どうやら生物たちは上の方まで攻撃を仕掛けてきている上に、
足場がその攻撃により襤褸襤褸になってきている。この二重のピンチが理由で叫んでいるらしい。
「もう少しで来るようだから耐えろ!!」
ストラングが叫ぶ。すると、
「シリンダー、投下開始。天井のハッチを開きます。職員は速やかに退避して下さい」
館内放送が流れ、天井のハッチが開く。そして、
ゴゴゴゴゴゴ・・・プシュゥゥーーン・・・・。
という音をたてて、シリンダーが2本、投下された。
「あれだ!! あれを破壊すれば・・・」
2人は気づいて、シリンダーめがけて攻撃した。
パリィィィィィーーーーン!! ガシャン、ゴガッ!!
シリンダーが炎を巻き上げて地面に落ちる。そして、紫色の煙りが上がって、部屋の中を満たした。
それと同時に生物たちの皮膚の表面がドロドロに溶け出した。生物たちは悲鳴をあげる。
「先生、弱体化を始めてきているようですよ!」
「よし・・・・・・やれッッ!!」
2人は攻撃を始めた。そして弱体化された生物たちは身を守る術もなく、次々と倒されていく。
「次の部屋!」
2人はシャッターを開けて、奥の方へ向かう。通路を這っていた生物たちはブレードで斬り倒されていく。
「私はここの部屋の生物を掃討する。ロイヤルミストは3番目の部屋へいけ!!」
「了解!!」
2人は二手に別れる。
ストラングは天井にぶら下げてあるシリンダーを先ず破壊した。また紫色の煙りが上がり、同時に生物たちの表面がドロドロに溶け出す。
「今すぐ蜂の巣にしてやる!!」
ストラングはチェーンガンを構え、乱射した。そして、辺り中の生物たちは銃弾を浴びた途端にひっくり返るなり、
壁に吹き飛ばされたりした。そして最後の一匹が倒れた途端、ストラングはチェーンガンの連射を止めた。
一方、ロイヤルミストは通路上の生物を殲滅した後、ショットガンとEO(イクシードオービット)を部屋のシャッターの前で構えた。
突入準備に入るらしい。
「1・・・2の・・・3!!」
ロイヤルミストは「3」のタイミングで突入し、先ず先にシリンダーを破壊。
紫色の煙りが上がったと同時に、こう呟いた。
「耐えられるものなら耐えてみろ」
そして部屋の中央でショットガン、投擲銃、EOの3つの連携攻撃を左右にめがけて乱射した。
生物たちは炎を纏うなり、吹っ飛ばされた。そして、壁にぶつかった奴はグシャッ、ベチャッ、と、音をたてて潰れた。
敵は全滅した。そして、レインからの通信が入った。
「目標の全撃破を確認。お疲れ様でした」
「ふぅー、手強い相手だった・・・」
その後・・・
クレストで召集されたパワードスーツや作業用の機械が生物たちの死体の除去作業に入った。
ロイヤルミストとストラングは、まだACの中に乗り込んだまま。どうやらクレストに警護の依頼を頼まれたらしい。
「おーいそこ! ビビってねぇーでその肉片拾ってそのビニールに入れて持ってけよぉー。
なぁーに、大丈夫だって、じきに見慣れるからさぁーーー」
「あ、あとそっちにある生物の胴体も忘れんなよ! ちゃんと爪の欠片も拾うんだぞーーー」
現場監督のMTが、パワードスーツ隊に指示を出す。
なんとパワードスーツ隊の半分が、ビビっていて、ピンセットとビニールを持ったまま空中で立ち尽くしていた。
中にはソォ〜ッと、怖いのを我慢してピンセットで死体を掴もうとするパワードスーツもいるが、
突然死体が、いきなり、ビクンッッ、と、動いたのにさらにビビった。殺してあるはずなのに。
「うぎゃぁぁぁぁぁ〜〜、う、う、う、う、動いたァ!? ううううう動いたぞ!?
い、今うごうごうご・・・・。ね、ねえ、見ただろォ!? おおおお、おおおおいレイヴンーーーッ!」
言葉を乱すパワードスーツ隊に、2人は呆れて言葉を返す。
「生きてるわけはないだろう? 止めを刺してあるはずなのに」
「ははははは、は、は、筈ってェェ〜〜〜!?」
「いーからさっさと拾って俺等を帰してくれよ」
「そ、そんなぁぁ〜〜!? うわっ、ま、またビクッてぇ〜〜〜〜〜!!」
そんなこんなで、死体除去作業は夜遅くで終わったらしい・・・・
「やれやれ、やっと解放された・・・」
ロイヤルミストはソファーに座る。
「でも、長い間警護したかいがあったぞ。クレストは特別報酬を追加させて、大勢の報酬をくれた」
ストラングが報酬の入った袋を見せる。どうやら沢山入っているらしい。
「・・・・かいがありましたね」
「それを待っていた。今日頑張った序でに、外で食事に行かないか?」
「そうこなくては! 今日はパーッとやりましょう!」
ども、武田です。
途中で途切れないかと心配しながら、この話を書きました。
グロテスクな部分が多少はあるので・・・
後編は「下水溝調査」を書きます。
(途中で途切れてたら悲しいです)
作者:武田 慎さん
|
|