サイドストーリー

EPISODE 17 火炎の激闘
「Re:溶解炉破壊阻止
 依頼主:クレスト
 成功報酬:30000
 各地で頻発していたトラブルの犯人を突き止めました。
 全ては「ユニオン」の仕業だったのです。管理者が狂っているとの偽の情報を
 流し、自分達で芝居をうっていたのです。また、彼等の活動を裏で支えていたのも、
 キサラギだと判明しています。次なるユニオンの目的は、我が社の所有する廃物処理施設だと確認しました。
 そこで処理施設に直行して、彼等がセットされた爆弾を全て解除してほしいのです」

「溶解炉か・・・おもしろい・・・」
ある日、ドラゴンキングのもとに、この依頼メールが届いた。「おもしろい」と言った理由は、未だにわからないが。
ドラゴンキングは依頼メールを受託。そして出撃した。

「・・・・・熱いな」
コクピットの中で汗だくのドラゴンキング。溶解炉の内部には敵の姿が見えている。
「オペレーター、敵戦力はどうなってる?」
「飛行型MT「フィーンドーNB」4機・・・敵AC1体です! 敵ACの情報は現在検索中です!」
「そうか・・・わかった・・・」
ドラゴンキングはオペレーターの情報を掴むと、ゲートを開けて溶解炉内部に進入した。
「ユニオンなんぞ、俺1人で揉み潰してくれる!!」
前をふよふよと移動しているフィーンドーNB2体を見て、ドラゴンキングは叫ぶ。
火炎放射器を構えて前方にブッぱなす。それを浴びた2体のフィーンドーNBは炎を纏って地面に落ちる。
火炎放射器を降ろしたドラゴンキングは、
「さて、爆弾の回収に取りかかるか」
と、爆弾回収に出向いた途端、
「それはどうかな?」
と、どこからか声が響き、向かい側のゲートが開いた。ドラゴンキングが目を凝らすと、
1機の茶色いフロート型ACが現れた。
「・・・ストラスボルグか」
ドラゴンキングはその機体を見て一目で分かった。その茶色のフロート型ACは「ボルケイノ」。
パイロットはEー7のランカー「ストラスボルグ」だ。
「そう、俺だ。待っていたぞ、ドラゴンキング」
「・・・性懲りもなく、またやられに来たと言いたいか?」
「違う。俺はお前につけられた、この傷の恨みを晴らす為に来たのだ。お前が来るとわかって、指折りしながらこの時を待っていたのだからな!」
モニターに写っているストラスボルグの右の頬には、一文字状の傷が髪の毛の下までつけられていた。

あの時、3年前のアリーナで、ストラスボルグとドラゴンキングの試合。
ストラスボルグより機体のバランスと操縦面にはドラゴンキングが勝っていた。
最後にドラゴンキングが火炎放射器をボルケイノのコアに大噴射を浴びせた。
その時にストラスボルグのコクピットの機械が強烈なスパークと炎を噴射して、ストラスボルグの右の頬の髪の毛の付け根の下までに浴びかかった。
吹き出た血が見えた。
「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!」
ストラスボルグの叫び声が上がる。その途端に機体はクラッシュして、地面にドサッ、と落ちる音が響いた。
気が付いた時にはストラスボルグは病院にいて、その傷に、包帯が巻かれていた。
「くそ!! あの野郎め!! 絶対許さねぇぇ・・・」
ストラスボルグは今日からドラゴンキングに復讐を誓った。

「傷ってぇのは、その一文字のトレードマークのことか?」
「と、トレードマークだとォ!? ててててて手前ェ、俺を馬鹿にしてるのか!?」
「ただの屑ごときが、俺に復讐を誓うとは何たる馬鹿なやつだな」
「・・・・・・」
「どうした? 怖くて何も言えないのか?」
「・・・上等だぜクソ壁蝨野郎!!! 手前なんか炎の藻屑にしてやるぜ!!」
こうしてドラゴンキングとストラスボルグの、2度目の戦いが始まった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
先ずストラスボルグのマシンガンが火を吹いた。その途端にドラゴンキングはブーストダッシュで高速移動をする。
マシンガンは軽々と躱された。
「温い! 風邪を引く!!」
ドラゴンキングは6連ミサイルを放つ。6つのミサイルがストラスボルグに向って弧を描きながら激突。爆発が起こった。
爆煙の隙間から今度は2発のミサイルが弧を描いて飛んできた。そのミサイルはフレーミングアローの脚部に激突、爆発した。
「ぐっ!」
ドラゴンキングは不意を突かれる。すると煙の中からストラスボルグが飛び出してきた。
「もらった!!」
ストラスボルグはブレードを振るおうとして、左手にピンクの光を発した。
「甘いぜ」
ドラゴンキングは火炎放射器を構えた。そして、ブレードと火炎放射器の両方が同時に発せられた。
シュッ・・・ブオオオオオオオオオオオオーーーーーッッッッッ!!!!
シュバァッ・・・・ブイィィィィーーーーンンンンッッッッ!!!!
そして、2つの爆発音が響いた。
ドグォォォォォォォーーーーーーーーーーーーンンンンンンンッッッッッ!!!
2体のACはヘッドパーツと各部分に同時の攻撃を受けられて、頭部の部分が煙をあげた。
煙から2体のACが左右に飛び出す。フレーミングアローの頭部は後ろの部分が壊れ、右腕をライフルとミサイルごと吹き飛ばされていて、
ボルケイノは頭部のアンテナ(?)を破壊され、左腕のブレードと右腕のマシンガンは炎を浴びて半分ドロドロに解けていた。
「・・・・・まだまだ!!」
ストラスボルグはもう一度ドラゴンキングに突っ込んでいった。ドラゴンキングは火炎放射器を構える。
「馬鹿な奴め!! もう一度これを喰らえ!!」
炎が噴射された。炎を浴びながらもストラスボルグは突っ込んでいく。熱暴走を起こして警報音が鳴り響く。
「ぐっ・・・お・・・・くおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
ストラスボルグはドロドロに解けたブレードをドラゴンキングの左腕に突き立てる。
それと同時に爆発が起こった。
ボッ!! キュバムッ、キュバムッ、キュバァァァァァァァンッッッ!!!!
左腕が爆発を起こした。
「ぐッ!!」
ドラゴンキングが驚いた途端、大爆発がまた起こった。
ブィィィィィ・・・バシュッ!! ドドドドォォォォーーーーーーン!!!!
ピンクの閃光が放たれて、煙が再び巻き起こる。
それと同時に火炎放射器、ドロドロに解けたマシンガンとブレード、ミサイルが炎の中に落ちた。
ボチャッ、ボチャッ、と、溶岩の中に落ちた。
「バランサーが!! 動かない!!」
「しまった!! さっきの爆発で武器のコッキングレバーが動かねーーー!!」
2人は爆発の影響で半分の機器が動かなくなったのに驚いた。
生きている機器は、EO(イクシードオービット)、エクステンション、インサイドの管制装置だけだ。
両腕を吹き飛ばされた2体のAC。ここは、EOの撃ち合いの場となるようだ。
「これが最後だ!!」
2人はEOのトリガーを引き、バッと距離をとった。
フレーミングアローのEOからは2つの緑の閃光、ボルケイノのEOからはピンクの閃光が走った。
2つの閃光がぶつかり合い、お互いの方向に2つの閃光が飛ぶ。
2つの閃光が2つのACのコアにぶつかった途端、カッ!! と、眩しい光が走った。
ドオン、ゴオオッ!! ズバォォォォォォォォォォォォンンンンン!!!!!!
2つの爆発が起こった。またも煙が巻き上がり、2つのACの姿は隠される。
その時に、ゲートが開いて、2つのACが飛び出してきた。
あのACは、ツインヘッドBとツインヘッドWの乗るAC「パトリオット」と「スクリーミングアニマル」だ。
「無事か、キング!?」
「救援に駆け付けてきました!!」
ツインヘッド姉弟の声が響く。
煙が晴れた途端に、コアの半分が壊されたフレーミングアローが壁にぶつかったまま空中でブーストをかけたまま、クラッシュしていた。
「お・・・俺は・・・無事だ・・・」
ドラゴンキングがコアの中から顔を出して声をかける。ツインヘッド姉弟が胸を撫で下ろした途端、もう1つの煙からピンクの光が放たれた。
2人が驚いた途端に光が炸裂して、ピンクの閃光が連続で走る。ドラゴンキングのフレーミングアローを貫いた。
「ぐ・・・・あ・・・・・ああああああっ!!」
「キング!!」
「ドラゴンキングさん!!」
ドラゴンキングの断末魔とツインヘッド姉弟の声が響いた途端、フレーミングアローは爆発を起こした。煙から、ボルケイノの姿が見えた。
「フン・・・雑魚ごときが・・・ん?」
ストラスボルグは目を凝らした途端、いきなり四つのミサイルと緑の閃光が自分に向って走った。
「ば・・・馬鹿な・・・・・・ぅぅうぁぁあああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
その途端に、ストラスボルグとボルケイノは爆発で吹き飛ばされていた。

その後で、ツインヘッド姉弟は爆弾を全て回収した。その後に通信士から連絡が入る。
「爆弾の回収を確認した。帰還しろ」
「ツインヘッドB・パトリオット・・・帰還する・・・」
「ツインヘッドW・スクリーミングアニマル・・・帰還します・・・」
2人は沈んだ声を返した。

今度も長く書いてしまいました武田です。
ここも途切れたらちょっと哀しいです・・・。
次回は「データカプセル回収」「ユニオン襲撃」をもとに描きます。
(前後編に分けます)
作者:武田 慎さん