サイドストーリー

EPISODE 18 決戦、セクション614(前)
「こちら輸送ヘリ「ロングホーク」、輸送物資を本部に輸送中」
豪雨の激しい中、1台のユニオン輸送ヘリが自然保護地区の上空を飛んでいる。
どうやら4個のデータカプセルを本部まで輸送中らしい。だが、輸送ヘリ操縦士は下の方に何か光ったのに気が付いてない。
操縦士はインカムを取る。
「こちら輸送ヘリ「ロングホーク」、間もなく本部上空・・・ん!? な、何だ!?
 下の方に・・・うわぁぁぁぁぁっ!!! ガシャーン、ブチッ、ドガァン!! ブッ」
「おい、どうした!?」
「輸送ヘリの反応が途絶えました!!」
ユニオン本部の隊員たちは、大騒ぎとなった。
実はその輸送ヘリは、クレストの特殊部隊に発見され、そして撃墜されたらしい。クレストの特殊部隊はクレスト本部に通信をすぐに送った。

「各機! 積み荷に敵を近付けさせるな!」
「了解」
ユニオンはすぐさま先遣部隊を派遣、データカプセルの回収に向う。
実働部隊の戦力は、迷彩MT「カルバリー」25体、パワードスーツ隊「M・P・TA19L」「M・P・TA19G」両方とも10組。
上空には戦闘ヘリ「ターパニッド」12機。合計全57機の勢力をユニオンは派遣した。なにせ、三百万の勢力を持つ秘密結社だからだ。
そのために、大勢の戦力を持っている。
これに対してクレストは、複数のレイヴンを雇い、1つはデータカプセル回収、もう1つは本部の襲撃に向わせた。

「視界が見えない」
「とにかく、前に進め。アジャンテ、ローン・モウア、ストレンジ。俺とBBの後に
付いてこい」
「了解」
豪雨の降る自然保護区の東側を歩く、2機のACと3体のMT。
黒のカラーリングに塗装したAC「タイラント」「シルエット」の2体は、データカプセルのある地点を探していた。
そしてまた黒のカラーリングの3体のMT「レギュレーター」「チャリオット」「サンダーピーク」も後に付いてきている。
その時、BBのレーダーに敵反応が見えた。3、いや5はいるようだ。BBはインカムを手に取り、通信を送る。
「敵の反応が見えた」
「なに、敵機が?」
「5体ぐらい見えます」
BBとフォグシャドウの部隊は警戒体勢に入る。すると向こうから何体かのMTとパワードスーツの部隊の影が見えた。
BBとフォグシャドウのロックオンサイトにはピッ、ピッ、と赤いマーカーが付いた。
「敵だ」
BBが呟いた途端、いきなり向こうの敵部隊が攻撃を仕掛けてきた。
ドドドドドドドドドドドド!!
パシュ、パシュ、パシュ!!
パパパパパパパパパ!!
パルスライフルとマシンガンの音が響き、銃弾が飛んできた。
「攻撃してきた!」
「応戦だ!!」
「了解」
フォグシャドウの呼び声で、2体のACと3体のMTが散開した。奥のほうでカルバリーが赤い光の塊を放つ。
それはBBのほうに向って飛んだが、途中の木に遮られて爆発を起こした。ボワァァァンッ!! と、爆発を起こす。
「大型ビームか・・・だが、この距離なら当たらんはずだ!!」
フォグシャドウはショットガンの散弾をばらまく。被弾したカルバリー2体は爆発を起こす。
ドガシャアアアンッッ!!
「さすがフォグさん、剛胆舌を巻きますね」
「我々も突撃! 援護します」
3体のMT小隊は援護に入り、各々の武器を放つ。
ドオオッ!!ドオオッ!!ドオオッ!!
バン!! ボン!! ドゥォォォォォオン!!
最初の敵小隊は全滅。だが向こうから、ドシュウウウッ、と、黄色い光の塊が飛んできた。
それも木に当たると、バァァァァン!! と、爆発を起こす。
「グレネード砲か!!」
フォグシャドウが叫んだ途端、前方からも塊が飛んできた。フォグシャドウは慌て避ける。
「くそっ、あんなの1発でも喰らったら終わりだ!! ストレンジ!! ローン・モウア!! 砲台を遠距離から撃て!!」
「了解!!」
ストレンジとローン・モウアの2人は遠距離からロケット砲を撃つ。その途端にグレネード砲台に被弾。
ドッ、ドッ、ドッ、バスンバスンと音が響き、一瞬砲台の動きが鈍る。
「今です!」
「よし!!」
ストレンジとローン・モウアの合図で、BBとフォグシャドウが砲台の方向に向って突撃する。
その先に、長い砲塔を持ったグレネード砲台「グラウルG」の姿があった。
「うおお、畜生!!」
タイラントとシルエットの2体が同時に砲台の上をバズーカとショットガンの同時で攻撃。
ボガァァン、ドサッ、ボキッと音が響き、砲台が火を纏いながらへし折れ、地面に落ちた。
「やったか?」
2人が辺りを見回した途端、
「危ない、右の方に!!」
と、ローン・モウアの声で、2人がその方向をハッとして向いた途端、もう1基のグラウルGが砲塔を向けていた。
だがその途端にレギュレーターが砲台の後ろヘ回り込み、力拳で砲台を押し潰した。
バキィ、ボキキッ、ドゴォォォン!! と、爆発が起こる。
「・・・・・」
呆気に取られるストレンジとローン・モウア。
「サ・・サンキュー、アジャンテ」
BBが声をかけると、モニターにニヤニヤと笑うアジャンテが写る。
「どういたしまして」
アジャンテは返事を返す。
「ここにはないようだな・・・奥へ進むぞ」
「了解」
BBとフォグシャドウの部隊は探索を続けた。

一方、自然保護区の西側の方角で、バキバキ、ガァーゴゴゴゴッ、ガァーゴゴゴゴッ、とキャタピラの音を響かせ、
2台の重戦車のようなタンクACとその後に続くオレンジの迷彩高火力MT「シガレット」と普通の高火力MT2台が重戦車隊のように行進していた。
「こちらテンペスト・スパルタン。どうだ、何か見えたか、ドランカード」
「こちらシガレット・ドランカード。見えない、どうやら霧の濃度が高すぎるようだ」
「こちらガントレット・パイソン。後の2人も気をつけろ、敵部隊は近いぞ」
「了解」
重戦車隊は武器を構え、辺りを見回しながら前進する。すると、川辺の差し掛かった所にある1つの木の根元にデータカプセルが落ちていた。
「あれだ、あれを回収・・・」
と、スパルタンが言いかけたところで、いきなり向こうの川や茂みの中から敵部隊が現れ、攻撃をしてきた。
ドドドドドドドドドドドドドド!!!
パン、パン、パン、パン!!
バシュパシュパシュパシュ!!
この攻撃に驚いた重戦車隊。
「うわっ!」
「な・・・あっ・・・」
「ユニオンの部隊だ!!」
「邪魔するな!! 全員、攻撃開始!!」
「了解!!」
スパルタンとパイソンの指示で、重戦車隊は攻撃を始めた。
「うおおおおおおぅぅっっ!!」
スパルタンとパイソンは両肩の特殊弾倉型ミサイルを展開し、両方同時に1つ敵部隊に向って射出した。
そしてカパッ、と、敵部隊に届いた2つの弾倉型ミサイルが光った。
「!!」
ユニオン部隊員が驚いた途端、いきなり無数のミサイルが辺り中に噴出され、
地上のMT、パワードスーツ隊、上空の戦闘ヘリを一瞬にして破壊しつくした。
そして、残った残弾ミサイルは周辺に隠れたグラウルGにも襲い掛かった。
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
ズガン、ガガガガガガァン!! ズガン、ガガガガガガァン!!
無数の爆発が起こる。
「あの2体のACは・・・火力の化け物か!」
「ここを抜かせはせん!!」
多少怯んだものはいるが、それでも周辺の残りの小隊は突撃してきた。
そして一瞬に、銃弾が対岸から飛んできた。スパルタンとパイソンの重戦車隊は川に入って対岸に向って攻撃する。
ドドドドドドドド!!!!
ドシュッ・・・ドドドーン!! ドシュッ・・ドドドーン!!
バババババババババババ!!
パシュパシュパシュッ!! パシュパシュパシュッ!!
「砲火を集中!! 五月蝿いのを全員まとめて叩き潰せ!!」
パイソンの指示で、重戦車隊が徐々に距離を詰めて突撃してきた。
その途端に対岸の部隊は徐々に倒れ始めたが、怯む事なく攻撃を続ける。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!」
叫び声が響く中、対岸の部隊は全滅。重戦車隊はもとの川辺に引き返して、データカプセルを回収した。
「こちら探索班02。1つの目標回収」
「こちら探索班01。3つの目標を回収した」
スパルタンとパイソンの部隊と、BBととフォグシャドウの部隊の両方はクレスト本部に通信を送る。
「了解。全ての目標の回収を確認しました。そろそろ迎えの部隊が到着する予定ですが、このスコールでは無理だと・・・」
「何!?」
「探索班1、2、風雨が激しくて、地上と空の部隊も近付けない。すまないが合流して暫く待機してくれ」
「・・・了解」

スパルタンとパイソン、BBとフォグシャドウの部隊は合流した。
「全員、無事か」
「はい」
「目標は全部回収できたらしいな」
「ああ」2
「なら、これで作戦成功ですねえ」
皆が頷いた途端、いきなり全員のレーダーに敵反応が写る。
「敵!? どこだ!?」
全員が辺りを見回している途中、ガサガサッ、と、音が響く。向こうの茂みから、2体の迷彩ACが現れた。
これは、ユニオンの実働部隊ACらしい。
「我らが計画の邪魔はさせん」
2体のACはそう言うと、いきなり襲い掛かってきた。
1体はパルスガン、ロケット、ブレード、もう1体はオービットキャノン、レーザーライフルとブレードと言う武装である。
パシュ、パシュ、パシュ!!
ズバォォン!! ズバォォン!!
シュパッ・・・ピーピーピーピーピー!!
ドシュウ、ドシュウ、ドシュウ!!
「くそ、APが4000切ったからARMOR LOW状態になった!! これ以上喰らうと機体が持ちそうにないぞ!!」
「チクショ〜〜〜!!! 2体とも速い!!」
BBとフォグシャドウが悲鳴をあげる。2体の実動部隊ACは素早い動きでこちらを翻弄し、死角から正確に攻撃をあててくる。
「そのままではやられるぞ!!」
「くそ、これ以上やらせん!! くらえ・・・コンテナミサイルッ!!」
スパルタンとパイソンは同時に残り3つのミサイルを全部一斉に放つ。
パシュッ・・・ドドドドドドドドドド!! ボカァァァン!! ズズゥゥン・・・
2体の実動部隊ACはこれでもかわしきれず、撃沈した。
「よしっ、2体とも撃破!!」
「さすがに強いな、コンテナミサイルと言うのは・・・」
「BB、もう少しブースターとジェネレーターを性能の良いのに変えた方が良い。そのままだと動きの速い敵を見失ってしまうぞ」
「気をつけます」
そのときだ、通信が入った。
「雨がおさまって来たようだ。今すぐそちらへ向う」
「レイヴン達、待たせたな。機体を全て回収次第、帰還する」
回収部隊からだ。
「あとは、ユニオン襲撃部隊の役目だな」
全員は頷く。

ども、武田です。
もっと長いのを書いてしまいました。
後半は長い話が沢山出てきそうで・・・。
皆さんは長い話を書く時、どうやって送っているのでしょうか?
後編は「ユニオン襲撃」の予定です。
作者:武田 慎さん