サイドストーリー

EPISODE 19 決戦、セクション614(後)
「砲台は全部で5つある。これらを全て破壊しろ」
「探索班03、了解」
「探索班04、了解」
一方、霧の雨の降る自然保護区の北と南の方角で、クレストの雇ったレイヴンたちと同行部隊の一部が、
本部周辺の防衛機構の5つの砲台を破壊しに向っていた。
勿論、ユニオンは砲台周辺、森林に大勢の守備部隊を派遣した。
重装型MT「スクータムD」「スクータムC」両方とも各砲台周辺に4体、
ステルスMT「フリューク」15体、上空に戦闘ヘリ「ターパニッド」20機。合計65の大勢力だ。

探索班04は北の方角から砲台を攻めに向った。
構成は、AC「グナー」「ヘルストーカー」の2体、同行MTは中距離戦闘型MT「ナースホルン」3体。
また、探索班03の構成はAC「セミラチス」と「カルマ」の2体のタンクACと、ナースホルン3体の構成となっている。
「音紋確認! 前方に砲台1基、砲台周辺に重装型MT4機!」
ナースホルンの1体が通信を送る。
「了解した。ワルキューレ、俺は右に廻る! 君は左に廻れ。挟撃する!」
「了解しました」
コープスペッカーとワルキューレは二手に別れ、ナースホルン3体は中央で援護する形となった。
「『グラウルG』に近付けさせるな!!」
重装型MTはバズーカを左右に向けて撃ち始める。だが視界は悪く、ACの姿がどこにあるのかわからない。
そのとたん、いきなり右のスクータムC2体が突然何かに被弾し、爆発を起こした。
ドズォォォォォン!!
「な、何だ!?」
左を守っていたスクータムD2体が突然振り返った。その途端にいきなりブレードで斬り捨てられ、2体ともまた爆発を起こした。
その後に砲台の左右にグナーとヘルストーカーが挟み撃ちの隊形を作った。
「ここまでだ」
グナーとヘルストーカーが砲台を潰そうとした途端、上空からいきなりロケット弾が降ってきた。
「!!」
2人はパッと素早く離れる。途端に上空に2本の細長い赤い閃光とロケット弾が飛んで、
その途中で爆発が起こった。どうやら戦闘ヘリが上空を漂っていたようだ。
気を取り直して2人は砲台に攻撃を仕掛ける。砲台は一瞬にして潰れた。
「上空に戦闘ヘリがいたようで、我々で撃墜しました」
「ありがとう?撃墜したナースホルンのパイロットたちにワルキューレが礼を言う。
「音紋確認。東南の方角に砲台1基・重装型MT4機確認」
「そこだな。合流しろ、行くぞ」
コープスペッカーの指示で4班は合流、東南の方角に進む。砲台のある位置に辿り着いた途端、重装型MTが一斉に攻撃を仕掛けてきた。
「散開しろ!!」
コープスペッカーが叫び、1基目を破壊する時と同じ隊形になった。
「くそ、はや・・・ぐああっ!!」
「くっ、来るな!! 来る・・・なっ・・!!」
砲台周辺でワルキューレとコープスペッカーがMTを次々と破壊してゆく音が響く。
流石だ、と、思った同行部隊。砲台が爆発を起こす音が自然保護区の中で響く。

一方、ユニオン指令部では・・・
「砲台2基損壊!! 守備部隊は何をしているんだ!?」
「それが・・・司令、敵は北と南の方角から同時に攻めてきていますので・・・・」
「第3砲台の反応が消えました!!」
「ええい、だらしない奴等め!! 俺が行く!!」
「私も出るぞ」
ユニオン指令部から、2体のユニオン実動部隊ACが発進した。

「こちら探索班04、砲台を1基破壊した」
「こちら探索班03、砲台2基破壊」
砲台を全て破壊した探索班03、04は通信を送る。
「了解、帰還してくさい」
クレストオペレーターが言う。その途端、突入部隊の通信が入り、
「全砲台の破壊を確認。我々はこれより・・・A、AC!? うわぁぁぁぁ・・・!!」
「畜生、こいつら、ユニオンのAC・・・ぐぁぁっ!!」
「な・・何だこいつら・・・がはぁ!!」
「助けてくれ、助け・・・!!」
「救援求む!! 救援求む!! こちらセクション614・ユニオン本部突入部隊!!
 突入途中にユニオン実動部隊と思われる2体のACによる強襲を受け、部隊はほぼ壊滅状態の模様!! 救援求む!! 救援求む!!」
通信が立て続けに入る。クレストのオペレーターは、
「突入部隊がユニオンの部隊による撃退を受けたそうです。すぐに救援に向って下さい」
と、探索班03、04に通信を送った。
「一体何が起こったんだ?」
「とにかく、行ってみましょう」
4班は顔を見合わせながら、突入部隊の救援へ向った。
全員合流して駆けつけた先には、突入部隊はすでに壊滅していて、2体の迷彩のユニオン実動部隊ACがいた。
1体はタンク型で、迎撃ミサイルにカルテットキャノン、レーザーライフルとブレード、
もう1体は2脚型で補助ラジエータにリニアガン、ライフルにブレードという武装だ。
「てめぇら、よくも俺たちの同志を皆殺しにしやがって!!」
「全員まとめて排除する」
2体の実動部隊ACは襲い掛かってきた。
2脚型機体は激しく飛び回ってこちらを攻撃して、タンク型はあまり動かないが強力な火力で押してくる。
2脚型はワルキューレとコープスペッカー、タンク型はミダスとバーチェッタで相手をする。ナースホルン6体は後方から援護する形となった。

バシュウウウン!! バシュウウウン!!
ドシュッ・・・ドドーン!! ドシュッ・・・ドドーン!!
ドドドドドド!! ドドドドドド!!
パシュウウウウウウン!! バシュウウウウウウン!!
ドドドドドドド!! ドドドドドドドド!!
激しい戦いとなった。銃弾が飛び交い、爆発が激しく起こる。
「くそっ、こいつはかなり高い耐久力を持っているようだ!」
ミダスはプラズマキャノンを連射しながら叫ぶ。
「はっはっはっはっはっは〜〜〜〜〜!!! どうしたどうしたァ!!」
タンク型は激しい攻撃をかけてくる。ミダスとバーチェッタの高い攻撃力の連携攻撃でも打ち消されてしまうので、なかなか歯が立たない。
ミダスとバーチェッタは顔を見合わせる。そして、
「仕方ない、実戦では使いたくなかったこの手段を使う時が来たとは・・・『リミッター・ペナルティ』発動!!」
2人で声をそろえて赤いスイッチを押した。その途端に2人の連射攻撃の速度が高まった。
今度はこっちが押されはじめた事と、攻撃の速さに驚いたタンク型はこう叫ぶ。
「な、何だ!? 何がどうなっているんだ!?」
この言葉にミダスとバーチェッタは、
「敵に教える筋合いなどない!!」
と、叫んだ。
「畜生、こっちだって・・・!!」
タンク型は攻撃を受けながらもカルテットキャノンを構えた。
「何っ!?」
ミダスは相手が激しい攻撃を受けているのに構えた事に驚く。
「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!」
タンク型はカルテットキャノンを放つ。だがそれは途中でミダスとバーチェッタの攻撃で打ち消された。
バシュゥゥゥゥゥーーー、ジジジジ、パシュッ・・・
「そんな曖昧な攻撃で!! 『リミッター・ペナルティ』LV5に移行!!」
また2人はスイッチを押した。そしてプラズマキャノンとグレネードの両方の高速連射が2つの巴となってタンク型を貫いた。
「ぐわぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
ドガァーン、バガッ、ゴキバキドゴォォン!!!
 タンク型ACは大爆発を起こした。それと同時に2人はスイッチを切った。
「ふぅ?強い相手だった・・・」
ミダスとバーチェッタは溜息を付く。そして、キッと残った2脚型に目を向けた。

「くそっ、俺とワルキューレより速すぎる!!」
一方、2脚型と戦っているワルキューレとコープスペッカーは動きの素早い2脚型に苦戦していた。
後方援護しているナースホルンのレーザーでも軽々と躱してしまう。
「どうした! そのまま死ぬだけか」
2脚型はリニアガンを連射する。このリニアガンでワルキューレとコープスペッカーは何発もくらい、当たった時は息が止まりそうだった。
「AP5000を切った! これ以上喰らうとそろそろ機体が・・・」
「くそ、近距離に持ち込もうとしてもだめか!!」
ワルキューレとコープスペッカーは焦る。その隙を狙って2脚型がリニアガンを打ち込もうとする。
途端に、2脚型にいきなりミダスのセミラチスが体当たりを喰らわせた。
「うおっ!!」
2脚型はバランスを崩した。途端に大きな隙が出た。
「!?」
「今だ!! 撃て!!」
ワルキューレとコープスペッカーは2脚型に攻撃を集中し、そして砲火を浴びせる。
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ!!
バシュゥゥゥン!! バシュゥゥゥン!!
集中砲火を喰らった2脚型は大爆発を起こす。
「だぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあああああぁぁぁぁーーーーーーーーっっっっ!!!!
」
ボガァァァァァン!! ドグウォォォォォォォォォォン!!!
ここに2体の実動部隊ACは全滅した。その後に別の突入部隊が通信を送った。
「任務完了、これより帰還する。レイヴン諸君、援護感謝する」

戻る途中で、コープスペッカーはミダスの方に向ってこう言った。
「ミダス、礼を言うぞ」
すると、ミダスは静かに言った。
「・・・どういたしまして」
と。

武田です。
いよいよ終盤に突入という感じがしてきました。
ユニオンは一体、どうなってしまうのか? という感じもしてきまして・・・
次回は「ダクト侵入」をもとに話を描きます。

〈新しく登場したレイヴン〉

名称:ミダス(30)
どんな物でも瞬時に黄金に変えてしまうと言う右腕を持った伝説の王の血を引いていると言われている、名高い誇りを持つトップランカー。
バーチェッタとは昔、恋人同士であり、今も深い交友関係を持つ。タンクAC「セミラチス」を駆る。

名称:バーチェッタ(25)
スマートな体格を持っていることから、「アリーナの華」と呼ばれた美しき女性レイヴン。
その外見とは裏腹に、おもに攻撃力の高い武器を携えたタンクACを駆り、素ざま爺勢いでごり押しするスタイルを持つ。
ミダスとは昔、恋人同士であり、今も深い交友関係も持つ。武器腕タンクAC「カルマ」を駆る。
作者:武田 慎さん