サイドストーリー

EPISODE 23 〜空と海の破壊の神〜
『・・・の途中ですが、緊急ニュース速報をお伝えします!! 自然区のアリエル水没都市地帯から正体不明の巨大MTが出現し、
現在フードーゲン都市地帯のフードーゲン川に出現し、都市を破壊しつつ移動中との一報が入りました!!
詳しい事から、まだ分かっていません、繰り返します!! 正体不明の巨大MTが・・・!!』
『・・・の速報ですが、もう一報の緊急ニュース速報をお伝えします!!
第3都市区のエミネスシティ・キサラギ支社ビル付近の再開発地区003地域から、正体不明の超大型機動兵器が現れ、
破壊活動を続けながらエネルギー生成区に進行中との一報が入ってきました!!
こちらの方も詳しい事からまだ分かっていません、繰り返します!! 正体不明の超大型機動兵器が・・・!!』
この時、地下世界に管理者部隊とみられる2体の機動兵器が現れたという、同時多発テロの緊急ニュース速報が出た。



「火災発生!! ビル倒壊及び機動兵器の攻撃による火災が、エミネスシティ内数カ所で・・・!!」
「キサラギ支社ビルに第1発見者がいるはずだ!!」
「そ・・それが・・・内部とまったく連絡がつかず・・・!!」
「機動兵器は・・・機動兵器は移動を始めています!!」
「エミネスシティ・如月門通りからライアットシティに入り、現在、大月門通りへ・・・
(ドガーン、ゴゴ・・ドズォォォン!!)わぁぁぁ・・・ブブ・・・ザザーーー」
「どうした、応答せよ、応答せよ!!」
キサラギが所有する都市区の1つ、エミネスシティに、正体不明の超大型機動兵器が現れ、破壊の限りを尽くしてエネルギー生成区へ進行していた。
エミネスシティのビルは、機動兵器の多重攻撃で次々と破壊され、ビルが崩れ落ち、火山のように火を噴き上げていく。
空には自衛隊の何機もの戦闘ヘリや戦闘機、重戦闘機、陸には何台もの戦車と対機動兵器用装甲列車が機動兵器に攻撃を仕掛けている。
ドォォウ!! ドォォウ!! ドォォウ!!
バシュゥゥゥーーー・・・ドドドム!! バシュゥゥゥーーー・・・ドドドム!!
ドシュン!! ドシュン!!
ドシュン!! ドシュン!!
ドドドドドドド・・・ガガガガガガ・・・・!!
機動兵器が放った高威力の大型爆弾、それを積んだパラサイトミサイル、超大型ミサイル、プラズマキャノンに大型ビームキャノン、
両側のウイングみたいなモノに付いている多数の小型マシンガンにミサイル砲の、多彩な超ド級巨大戦艦の10コ艦隊分の高火力、
多弾薬の武装によって破壊されたビルや車、通った跡に瓦礫や沢山の死体が転がっている。この機動兵器の名は「D-C001-G」。管理者部隊の切り札だ。
ドウウッ、ドウウッ!! バシュ・・バババババババババ!!
「助けて・・死・・・!!」
「た・・助け・・・殺される・・・!!」
「ぎゃああああ・・・・!!」
「うわあああ・・・!!」
『血・・・血です、瓦礫です、沢山の・・・』
ドウウッ、ドウウッ!! バシュ・・ババババババババ!!
「きゃああ・・あああああ!!」
「の・・飲まれる・・・炎に・・・!!」
「誰か・・母さぁぁん!!」
「た・・・助けてーーーー!!」
『悲鳴が・・・幾つもの悲鳴と崩壊音が・・・』
破壊と殺戮の限りを尽くす機動兵器。それを実況中継しているニュースキャスターがヘリの中で様子を見て叫ぶ。
その時、上空に2隻の飛行戦艦が進行する機動兵器を見下ろしていた。これを見かねた飛行戦艦の艦長たち。
「チッ!! これ以上はやらせん!! 艦長、攻撃許可を!!」
「ようし!! 全砲台、目標超大型機動兵器!! 全門撃て!!」
大量の砲台が機動兵器めがけて火を吹き、無数の砲弾が機動兵器に向かって飛んでいく。
だが何度も受け手もものともせずに、機動兵器は進行していく。暫く攻撃を受け捲る度に機動兵器は大量のパラサイトミサイルを射出する。
パラサイトミサイルは2隻の飛行戦艦を直撃する。
ドガアアアアッ!! ドガアアアアッ!!
「うわあああああ!!」
2隻の飛行戦艦は成す術もなく撃墜。市街地のほうに落ちて、自衛隊の陸軍機動部隊を巻き添えにして、大爆発を起こした。
ドバァァァァァァム!!
『エミネスシティ防衛部隊の2隻の飛行戦艦が堕ちました!!』
『機動兵器、エミネスシティ北側隔壁を突破!』
『(ドガァァァァァン)うわあ、抜けたああっ!! 本部! 本部! 第1から第6防衛ラインを突破されました!!』
『何いいいっ!?』
『機動兵器、クライアシティ・ヘルムポート駅北口を通過中!!』
『クライアシティ最終防衛ライン、持ちません!!』
『・・・・・っ!』


一方、フードーゲンシティの川を通過中の巨大MTは、小型兵器を5分間隔で射出しながら、
打ち上げミサイルとグレネードを放射しながらフードーゲンシティを破壊しつつ行く。大量の炎が上がり、巨大MTはそれをものともせず行く。
この巨大MTは「D-C101-D」。海上を進む戦艦、海中を進む潜水艦10コ艦隊分の戦力、火力を揃えた管理者部隊専用の巨大MT。
MTともACとも凌ぐ圧倒的な性能を持った大型機だ。巨大MTの動きにあわせるかのように、自衛隊があたふたする。
「フ・・フードーゲンシティ方面・・・謎の巨大MT移動中ーーーー!!」
「アルマート街道及びジャンクドック通り完全封鎖!! 厳戒体制とれーーーーー!!
」「火災発生!! くそっ、こっちにも火が回っている!!」
「だ・・・誰か早く!! もっとこちらに人員を!!」
大量のミサイルの雨、グレネードとレーザーの嵐。怒濤の多重攻撃に、フードーゲンシティの防衛部隊も破られていく。
ガガガガ!! ドォン、ズドォン!!
ヒュゥゥゥーーー・・・ドドドドドドム!!
「うわっ!!」
「ぐぉあーーっ!!」
「ぐはっ!!」
「があああ!!」
「ぐぁああ!!」
「あぁっ・・・」
「なっ・・・」
ミサイルの雨はビルや車を直撃し、次々と強化建造物を崩壊させて車や人をペシャンコに潰し、更に空を飛ぶ戦闘ヘリや戦闘機、
重戦闘機を、そして戦艦を沈ませ、強力なグレネードの連射で戦車を吹き飛ばし、レーザーは装甲列車を飴のように溶かして、
次々と自衛隊の空陸防衛軍を潰していった。まったく、見るも哀れな眺めだった。
『巨大MT、防衛ラインを突破!! クレセント海へ進んでいきます!!』
『クソッ!!』
巨大MTは防衛ラインを突破し、クレセント海の海中深くへ沈んでいく。そして今度は、海深くに潜りながら次の目的地へと進んでいく。
『目標は海中600メートルを進行中です!!』
『各艦、現場に急行!!』
『現場に到着!』
『爆雷投下用意・・・投下!!』
今度はミラージュの海軍部隊の巡洋艦6隻、駆逐艦6隻、航空戦艦3隻の大部隊が巨大MTが海中から上がってこないように、
と海上から爆雷を投下する作戦に出る。
ドボッ・・・
ドボッ・・・
ドボッ・・・
ドボッ・・・
ドボッ・・・
ドボッ・・・
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
『やったか!?』
『いや、まだだっ!!』
『手を休めるなーーー!!』
『チイイッ、適わぬなっ!!』
ミラージュ海軍は爆雷6発でも巨大MTが簡単に沈むわけがない、と判断して何回か爆雷を投下する。
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
ドボッ・・・・
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!!
それに続いて爆雷8発が投下され、海に次々と海柱があがる。爆雷が爆発しているのだ。
『やったか?』
海軍部隊が暫くの間ジッと目を凝らしていると、海に巨大MTが上がってきた。
その途端に両側のウィングらしきものを開いたかと思ったら、大量のミサイルを射出した。

バシュッ・・・バシュシュシュシュシューーーー!!
ドム!! ドム!! バキバキバキバキバキ!! ズズズウゥゥゥゥ・・・・
『うわあっ!!』
海軍部隊は驚いて、もう一度爆雷を大量投下しようとした。
だが、遅すぎて、大量のミサイルの雨に打たれ、次々と自分達が乗っている船を沈められてしまう。
『爆雷を14発も喰らって何故沈まん!?』
『バカな・・・ミサイルごときで巡洋艦3隻、駆逐艦3隻を沈められただと!?』
煙を挙げて次々と沈む巡洋艦3隻、駆逐艦3隻。それどころかミサイルを次々と射出し、大量の火矢のような大雨が降り注ぐ。
ドガァァァァム!! ズガガガガ!!
『そ・・・総員退避ーーーー!! ぐああああああ・・・』
『各艦領域から離脱しろ!! 指揮艦を潰されたぞ!!』
指揮艦の航空戦艦を潰されたミラージュ海軍はこの場から離脱する事を命じられ、クモの子を散らすように散り散りと脱出していく。
巨大MTは進路を変えず、そのまま何処かへ進んでいく。
『巨大MT、サラマンテス水没都市地帯へ進入!!』
『水没都市地帯の進入路を封鎖しろ!! そこに巨大MTを閉じ込める!!』
ガラガラガラガラガラガラガラ・・・ズズズゥゥン!!


エミネスシティ市街戦――――
クレセント海攻防戦――――
自衛機動部隊とミラージュ海軍は2体の機動兵器に大打撃を与えられたが、
ミラージュ海軍は巨大MTをサラマンテス水没都市地帯に閉じ込める事ができた。
だが、自衛機動部隊は機動兵器をアヴァロンヒルへ取り逃がしてしまった。
そして、グローバルコーテックス本部では、職員たちが報告書を持って会議室へ走っていく。職員たちは報告書を持ってはその内容を読み上げる。
「報告します!! 機動兵器は現在、アヴァロンヒルを5分間隔で超大型ミサイル・パラサイトミサイルを射出しながら通過中!!」
「報告します!! 巨大MT、機動兵器による攻撃で、ミラージュの海軍部隊、クレストの機甲師団、
我がグローバルコーテックスの機動部隊の10割がほぼ壊滅状態!!」
「報告します!! 巨大MTによる攻撃で、ナイアーブリッジは橋梁及び海中トンネルが完全に崩壊!!」
「報告します!! 巨大MT、機動兵器による多重攻撃で大被害を被った、フードーゲンシティ、トレネシティ、
エミネスシティから脱出しようとする人々で、フードーゲン・トレネ・エミネスエリアの各幹線道路は麻痺状態!!
他、我がグローバルコーテックスの機動部隊が事態の沈静に中っていますが、混乱は更に拡大!!」
「報告します!! 機動兵器による各地に分散した超大型ミサイル・パラサイトミサイルの攻撃で、クレストのバルガス空港、
キサラギの電力施設、ミラージュのオルキス集光施設はほぼ大破状態!!」
「報告します!! 現在、クレスト・キサラギ・ミラージュの3大企業、消防と警察で把握された、
巨大MT、機動兵器による攻撃と火災の死亡・被害者の総数は・・・」
「何人だ!?」
「ひ・・・1000000人・・・」
「ひ・・・・1000000人・・・!??」
あまりの死者・被害者の数に、愕然とするグローバルコーテックスの職員たち。その時、また別の職員が報告書を持って慌てた様子で入り込んできた。
「報告します!! た・・たった今、機動兵器、巨大MT上空を旋回中の我がグローバルコーテックスの機動部隊の戦闘機から連絡があり・・・」
『こちら戦闘機編隊「αチーム」αリーダー!! 現在、アヴァロンヒルを通過中の機動兵器上空を旋回、
攻撃中・・・た・・・大変なモノを発見した!! 目標の右ウイング部分にミサイルを撃ち込もうと攻撃部分を拡大した所・・・』
なんと、その機動兵器に、「DOVE」と文字の書かれた、管理者のエンブレムを発見したのだ。
他に、同「βチーム」のβリーダーも、巨大MTの上面に同じモノを発見したのだ。管理者のエンブレムを。
「管理者のエンブレム!?」
「すると、あの2体の機動兵器は管理者の部隊なのか!?」
「そ・・・そんなはずは・・・」
グローバルコーテックス本部は愕然とした空気に包まれた。
「本部長!! 我が社の機動部隊も已に機動兵器の包囲が完了しております!!」
「本部長!! 全レイヴンも依頼の通知を受けて巨大MT、機動兵器の迎撃に取りかかっております!!」
「本部長、御決断を」
職員たちが椅子から立ち上がって本部長に向かって叫ぶ。本部長は、この言葉を口にする。
「・・・わかった。全レイヴンの総攻撃の許可をだそう」


「アレが目標です、どれ程の能力があるかは、まったくの未知数です。注意して」
ここ、アヴァロンヒル。オペレーターのレインの通信が入る中、機動兵器「D-C001-G」は蒼い空の中をゆっくりと飛行している。
そして、サラマンテス水没都市地帯。巨大MT「D-C101-D」がゆっくりと水面から姿を現わした。オペレーターのエマの通信が入る。
「目標確認! 見た事のない機体です、注意して!」
アヴァロンヒルの配置に付いているのは、スパルタン、スキュラ、フラジャイル、アップルボーイ、レジーナ、ロイヤルミストの6人で、
水没都市地帯がサバーハンキング、パーティープレイ、フライングフィックス、レボリューション、メビウスリングにフォグシャドウだ。

ゴゴゴゴゴォ・・・・
アヴァロンヒルの上に広がる雄大な空に、黒い巨大な影があらわれる。機動兵器だ。
6台の輸送車が、砂煙を立ち上げてアヴァロンヒルの丘へ乗り上げる。
「目標地点に到達」
輸送車の運転手の声が響く。そして、ガシャン、ガシャン、ガシャンという音が響いて6体のACがおりる。
「本機は作戦領域より、離脱する」
6台の輸送車は去っていく。6体のACは丘を乗り上げて、機動兵器の近くへ辿り着く。
「な・・・なんだ、これは・・・」
スパルタン、スキュラ、フラジャイルは呆然とする。空に浮かぶ黒い影。そのれは、
まるで天使のようだった。
破壊の神・シヴァ神こと「ナタラージャ」か、破壊の天使か、破壊の神・・・恐怖の神・・・イメージを思い浮べてもきりがない。
「見ろ、レジーナ。まるで空中要塞だ・・・」
アップルボーイは機動兵器の全形を見てレジーナに話し掛ける。
近づいてきた機動兵器の本体は、まるで空を飛ぶ要塞のような姿で、大小のサイズの砲台が腹部、胸部、頭部の両側に置いてあり、
両側のウィングにはミサイル砲台が小さく細かく配置されており、1本1本のウィングがパラサイトミサイルの射出口と見られている。
その時、ロイヤルミストがこう呟く。アップルボーイがレジーナに話し掛けたあとに。
「こんなモノ・・・管理者がこんなモノを持ち出すとは、我々の知っている管理者じゃない。管理者は、狂っている」




一方、巨大MTを迎撃しているレイヴン達は・・・
ガガガガ!! ドォン!! ドォン!!
バシュバシュバシュ!! ドカドカドカドカドカ!!
「く・・・!!」
「この・・・!!」
巨大MTの上に乗り込んで攻撃をするサバーハンキング、パーティープレイ。
紅い色の表面の装甲板が後ろにずれた途端、打ち上げ花火のような垂直ミサイルが次々と撃ち出され、
爆雷ミサイルのごとく雨のように降り掛かってくる。
メビウスリング、フォグシャドウは5分間隔で射出される小型兵器を打ち落とし、真正面に巨大MTの前に立って攻撃する。
レボリューションとフライングフィックスは遠距離から巨大MTと小型兵器を同時に相手している。
「くっそ〜〜〜、デカ鯨野郎め、チョーシに乗りやがって!!
あんな遠くからグレネードと垂直ミサイルを嵐のごとくバカスカ撃ちまくりやがって!! きりがねえよ!!」
レボリューションが憤った途端に、
「来た!! 小型兵器・・・」
フライングフィックスが叫ぶ。バシュバシュバシュ!! と、小型兵器が射出されて緑色の細長い閃光をこちらに向かって放ってきた。
それも、ギザギザに動きながら。
バシュゥゥ、バシュゥゥ、バシュゥゥ!! ドガドガドガドガドガドガドガドガドガ!!
ドオオオオオオオオオオオオオオオ!! ドオオオオオオオオオオオ!!
グレネードとラインビームの嵐がプラスナックルとフラッグのいる足場の金網と柱を激しく打ち付ける。
それと、プラスナックルとフラッグが多重攻撃を受けて足場の端まで推されかけた。
「うわああああああ!!」
「く・・・くそっくそっくそっ!!」
フライングフィックスが悲鳴を上げ、レボリューションが憤る。だが2人は体勢を立て直すと反撃に転じる。
スラッグガンとグレネードランチャーが火を吹く。
ただ、6人は呆れてモノも言えなかった。もともとラジオで管理者の機動兵器だと分かっていて、管理者は切り札を2つと持ち出すとは・・・
人類は歴史を自分達の創造主に潰されるのか・・・・・。
その時、メビウスリングはこう呟いた。
「こんなモノまで持ち出すとは・・・管理者は、我々が尊敬していた管理者ではない」と。
そして、ドズゥゥゥゥン!! ドズゥゥゥゥン!! 巨大MTはグレネードを高速連射して、機体を振動させる。
その揺れに揺り動かされたサバーハンキングは叫ぶ。
「ガタガタ揺らすんじゃねえ、このバケモノーーー!!」
サバーハンキングはそう叫ぶとエネルギーショットガンを巨大MTの顔っ面に連射しまくる。バシュン、バシュン、バシュン!!
と、青緑の閃光が巨大MTの顔っ面を直撃したかと思ったら、バグン!! と、爆発と振動を起こして装甲板が外れた。
「わっ!!」
「うわ!!」
ガストとジョーカーは振り落とされかける。だがお互いのACの左腕が巨大MTの胴体を掴み、水の中に落とされる事は避けられた。
正面の顔(?)の装甲板を壊された巨大MTの本体とみられる顔は、どうやら只の鉄骨と配線をつなぎ合わせたモノだった。
その奥に青緑色の光が現れている。フォグシャドウがその青緑色の光の光源を察知する。
「どうやら鯨の顔の奥にあるのが、リアクター(動力炉)らしい。次の小型兵器射出まで2分切った。どうするつもりだ、メビウス?」
「決まっているだろう・・・次の小型兵器射出まで仕留めるぞ」
メビウスリングとフォグシャドウは頷きあい、巨大MTに接近した。
「どうするつもりですか、メビウスさん、フォグさん!?」
パーティープレイが接近してきたムゲンとシルエットを見て叫ぶ。
「お前等には、差があり過ぎる。ここは私に任せろ」
メビウスリングは言う。そして彼は「下がっていろ!」とサバーハンキング、パーティープレイ、フォグシャドウに叫ぶと、
グレネードを滞空状態で構える。
ロックオンサイトとマーカーが巨大MTを中に入れた。その途端にピッ、とマーカーが赤くなる。
そして、メビウスリングは「決めてやる」と小声で呟くと、グレネーどのトリガーを引いた。
カチッ・・・ドゴォォォォーーーーーーン!!
大爆発が起こる。それと同時に巨大MTの装甲板がバラバラに吹き飛び、左右のウイングが吹き飛ぶ。
ウイングはジョイントを壊されると、ぷかぷかと浮かんで離れていく。
それと同時に顔、左右のウイングの中の鉄骨と配線が剥がされ、水の中へ沈んでいった。
そして、青緑色の光のリアクターが丸見えになる。それを守るかのように、ミサ
イルを射出している箱が現れた。その左右にグレネード砲がある。
「種明かしをすればこんなモノだ」
「ただのガラクタが・・・」
メビウスリングがにやりと笑う。それに続くようにレボリューションとフライングフィックスが憤慨した。だが――――。
ドズゥゥゥゥン!!
「わ!!」
グレネード砲台が正面にいたシルエットとガストに1発をぶち込んできた。シルエットとガストは慌てて避ける。
だが所構わずグレネード砲台は打ち続ける。その途中をシルエットの右腕がロング砲台をガシッと鷲掴みにする。
「ふざけやがって・・・!!」
フォグシャドウはバリバリバリッ、と砲台を引き剥がす。
両側の砲台が剥がされた途端、ミサイルボックスは急にドブン、と沈んだ。そして最後に残ったのがリアクターだけだ。
「今だ、ガスト、ジョーカー!! 撃て!!」
「「えっ!? は・・・はい!!」」
フォグシャドウに叫ばれて、サバーハンキングとパーティープレイがリアクターに攻撃を叩き込む。
その途端にリアクターは爆発を起こし、それを覆っていた殻の巨大MTは沈んだ。爆発を起こしながら。
「ったく、手子摺らせやがって!!」
「バカバカしい、目標は撃破出来たんだ。帰るぞ!!」
レボリューションとサバーハンキングはものっそ怒っていて、巨大MTが沈んだと同時にそっぽを向いた。
「でも、ここからどうやって帰るんですか?」
パーティープレイがチャチャを入れる。その途端に2人は、グッ、と固まってしまった。図星だったのだろう。
「とりあえず、指示があるまで待機していろ」
メビウスリングのその一言で、とりあえず一同は待機して各々の機体の中で休養を取る事になった。



ドドドム!! ドドドム!!
ドグォォォ!! ドグォォォ!!
バシュゥゥゥ・・・・バババババババババ!!
バシュゥゥン!! バシュゥゥン!!
バシュゥゥン!! バシュゥゥン!!
ドグォォ!! ドグォォ!! ドグォォ!!
機動兵器の攻撃は激しさを増すばかり。アップルボーイ達は懸命に機動兵器を攻撃するが、莫大な耐久力を減らすのに苦戦している。
パラサイトミサイル・大型ミサイルが5分間隔に射出され、嵐のごとくの猛攻に苦戦を強いられる。
「こいつ、でかいケツしてるわりに頑丈な装甲しているな!!」
フラジャイルがパルスキャノンを連射しながら叫ぶ。その途端、ドルルルルルルルル・・バスッ、バスッという音とともに
スパルタンのテンペストのパラサイトミサイル、マシンガンと投擲銃の弾が切れた。
「もう弾が無えっ!! 何とかしてくれ!!」
スパルタンがレインに通信を送る。その時、機動兵器の股座に入ったロイヤルミストが他の5機に通信を送る。
「股座に何か見えた。あれは多分、操縦席の入り口らしい」
「「「「「「ええっ!?」」」」」」
フラジャイル、アップルボーイ、スキュラ、レジーナ、スパルタンは驚く。
それに続くように、ロイヤルミストはカイザーをブーストで上昇させ、機動兵器の操縦席の入り口のハッチを抉じ開けた。
「アップルボーイ!!」
「は・・はいっ!!」
ロイヤルミストに叫ばれて、アップルボーイはあわててライフルで股座にあるマシンガン砲台をエスペランザに引き付けさせる。
そのすきにロイヤルミストのカイザーは折り畳み梯子を降ろし、それにガシッと捕まった。フラジャイルが叫ぶ。
「どうするつもりですか、ロイヤルミストさん!?」
「よし、アップルボーイ、もう少し引き付けてくれ!!」
「ちょっと、ロイヤルミストさん!!」
フラジャイルとレジーナは叫ぶ。その途端にカイザーはハッチの奥へ入り込んだ。
「「「「「「あ・・・!!」」」」」

ハッチの入り口は開かれたまま、ブラブラと風になびかされる。ロイヤルミストは梯子を登りながら、こう呟く。
「待っていろよ・・・!!」
ロイヤルミストのカイザーは素早く梯子を登り続ける。
「無茶ですよ、1人で行くなんて!!」
アップルボーイが後から気づいて、梯子に飛び乗る。そして彼も梯子を上りだす。すると今度はレジーナが、
「っったく、あのバカッ!!」
と、エキドナを梯子に飛び乗らせ、上り詰める。
「ロイヤルミストさーーーーん!!」
アップルボーイとレジーナは叫び、ロイヤルミストのカイザーの後を追う。
アップルボーイのエスペランザが梯子の頂上に上り詰めた途端、カイザーが顔を覗かせる。
「アップルボーイ!! 俺のショットガンはもう弾切れだ。お前のレーザーライフルを貸してくれ・・・・・!!」
「はいっ!!」
アップルボーイのエスペランザは、XCBー75をロイヤルミストのカイザーに手渡す。
それと同時にロイヤルミストはショットガンを地面へ投げ捨てた。
バキバキッ!! ボキボキッ!! ガギガギガギガギ・・・!!
梯子の接合部のボルトが悲鳴を上げだし、徐々に梯子のボルトが切り離され始めた。
「ロイヤルミストさん、駄目です!! 梯子のボルトが重みで壊れます!!」
「早く逃げて・・・!!」
アップルボーイとレジーナが叫ぶ。だがロイヤルミストは暫くこっちを見ていたが、こう呟いた。

「アップルボーイ、レジーナ・・・心配してくれて、有り難うな。俺、行ってくる」

ロイヤルミストのカイザーは背を向けて、奥のほうへ進み始めた。その途端、梯子のボルトがバギン、という音を立てて壊れた。
「わっ・・・!!」
「きゃあ!!」
アップルボーイのエスペランザとレジーナのエキドナはハッチから吐き出された。ガシャッ、という音を立てて地面におちる。
ハッチは独りでに閉まった。その時、アップルボーイは閉まったハッチを見て叫ぶ。
「ロイヤルミストさーーーーーん!!」


ドズゥゥゥン・・・ドズゥゥゥン・・・
機動兵器がグレネードを発射する度に、その振動で機動兵器の機体が揺れる。ロイヤルミストのカイザーはその揺れにもがきながら、奥へ進む。
通信機から、レインの声が響く。
『ロイヤルミスト!! 応答して下さい、ロイヤルミスト!? 無茶はダメです、危険です!! 返事を、ロイヤルミスト!!』
ロイヤルミストはそれを聞いてはいない。そして、奥へと駒を進めた。
ドズゥゥゥン!!
「くっ・・・!!」
揺れに押されかけたカイザー。だがロイヤルミストは引こうともせず、奥へ進む。その時、目と鼻の先に赤いランプの付いたシャッターが見えた。
「今、そのシャッターの先にあるコントロールルームへ乗り込んでやるぞ!!」
ロイヤルミストは叫ぶ。だがその途端にガゴン、という音が響く。そして、通信機からアップルボーイの声が響く。
アップルボーイ『もう1つのハッチです!!どうやらロイヤルミストさんが言った操縦席の進入路は、ここだけでは無いようです、レインさん』
レジーナ『丁度いい、こちらの梯子は丈夫そうよ、あたしとあんたなら入り込めるだろ』
アップルボーイ『機動兵器の内部へ?』
フラジャイル『簡単には入り込めないようになっている、管理者実働部隊がコードキーを持っていたとか・・・』
アップルボーイ『だからこそ中に入るんです!』
レジーナ『だからこそって・・・あ、ちょっとアップルボーイ!! 待って・・・!!
 とにかく、レイン、中へ入ってみる!!』
通信機のやり取りを聞いているうちに、ロイヤルミストは、フッ、と鼻で笑う。
「皆・・・やってくれるな・・・」
ロイヤルミストは気を取り直して奥へ向かう。そして、シャッターの前へ辿り着いた途端、こう叫んだ。
「行くぞ・・・化けの皮、剥いでやるからな!!」
ガッ、とシャッターが抉じ開けられた。


「なんだこれは・・・!?」
「どうしました、中に何が・・・!?」
「非常灯しかついていないのですが・・・こ、これは一体・・・!?」
「また梯子よ、上へ登れるわ!!」
「登って見なさい、早く!!」
次々と迷宮のように入り組んだ機動兵器の内部の奥へ進むアップルボーイとレジーナ。
その途中で、通信機をONにしていたからロイヤルミストの様子が聞こえた。
ロイヤルミスト『これさえ潰せば・・・』
ガガガガ!! ドォン、ドォン!!
ギギギギ・・・ゴゴゴゴ・・・・ゴゴゴォン・・・
アップルボーイ「と、止まった?」
・・・・ヴシュン、ガガガガガガガガガガガガガ・・・・グォォォウ!!
アップルボーイ「!!  ロイヤルミストさん、まだ動いています!!」
ロイヤルミスト『何ッ!?』
レジーナ「何で!?」
ロイヤルミストが踏み込んだコントロールルームは破壊されたが、機動兵器はほんの一瞬止まったが、突然動き出した。
とすれば、どこかにもう1つの動力源が・・・アップルボーイとレジーナは、考えた。その途端に、レーダーに敵の反応が写った。
ビーッ、と警告音が響く。
「敵!?」
「どこだ!?」
2人が辺りを見回している途端、エンジンタンクの影に何かが隠れていた。ACだ。
「そこにいるのは誰だ・・・!!」
「誰だ!! 出てこい!!」
2人が何度か叫んだとたん、エンジンタンクの影から何かが現れた。それは、2体のACだった。
群青色のACで、1体は2脚に腕にショットガンにブレード、両肩に垂直ミサイルという武装で、
もう1体は逆関節にプラズマライフルにシールド、両肩に大型ミサイルという高火力の武装だ。
それも腕のエンブレムは、「DOVE」と書かれた管理者のエンブレムがある。
「管理者実働部隊・・・!?」
『見られたからには・・死んでもらう』
2体の管理者実働部隊ACは襲い掛かってきた。
アップルボーイ『くそっ!! 手強い!!』
ロイヤルミスト『どうした、アップルボーイ!!』
レジーナ『管理者実働部隊ACがいた!!』
ドン!! ドン!! ドン!!
管理者実働部隊『管理者に仇なす者ども・・・滅ぶべし』
ドン!! ドン!! ドン !!
ロイヤルミスト『今行く!! 持たせろ!!』
ロイヤルミストはコントロールルームの壁を突き破り、隣の部屋にある下へ降りれる梯子を見つけて急ぎ足でカイザーを降りさせる。
途中で、レインの通信が入ってきた。
「ロイヤルミスト、聞こえますか? レインです。今、アップルボーイ達が管理者実働部隊と戦っている場所のエンジンルームに、
16本のリアクターのうち、6本に放射能マークが描かれているモノがあります。それは、原子力のリアクターの可能性があります!!
それを破壊すれば、機動兵器は止まるはずです!!」
「わかっている!!」
ロイヤルミストが返事を返した途端、
バグゥゥゥン!!
という爆発音が響き、機動兵器の外壁が吹き飛ぶ音が響く。その途端にガグン、という音が響く。
ズズズズズズ、という音が聞こえ、機動兵器が傾く音が響く。
「な、何だ!?」
ロイヤルミストが叫ぶ。そして今度は爆音が響き、隣の壁が吹き飛んだ。
ドドドド・・・ドン、ドン、ドン!!
銃声と激しい爆発音が響く。その途端、頭部と腕を吹き飛ばされた逆関節が倒れ込んできた。ロイヤルミストが驚いて、壁の穴の先へ走る。
バグゥゥン!! バグゥゥン!!
バグゥゥン!!! バグゥゥン!!!
なにかが爆発する音が幾度か響く。


ドグゥゥゥゥン!!
「何!?」
「機動兵器が爆発とはどう言う事だ!?」
外にいたフラジャイルとスキュラ、スパルタンは突然爆発した機動兵器の姿に驚く。
機動兵器は煙を上げながらもそのまま空をゆっくりと廻り続ける。
その途端、ガグン、という音が響いた。それに続くかのように、レインの通信が入る。
「敵の反応が増えてきています!? 目標、分離します!!」
「「「そ、そげな〜〜〜〜〜〜!?」」」
3人は驚いた。突然、機動兵器の上半身の後部部分が分離した。それこそが分離型機動兵器分離部分「D-C001-F」だ。
分離部分の接続部分に、エネルギーが集中し始めている。恐く波動砲を撃つ気だ。
「まずい、エネルギーが!!」
デルタとナイトフライヤーがあわてる。
シュゥゥゥゥゥゥ・・・・
エネルギーは集中しつつある。
「うわああああああああああああああああああああああ!!」
その途端ーーーー。
バグゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
また、大爆発が響く。機動兵器のエンジンルーム部分から突然爆発がおこる。その途端、
3体のACが飛び降りてきた。
「また・・・爆発!?」
「AC!?」
「あれは・・・!? カイザー、エスペランザ、エキドナ!? 無事だったのか!」
ある者は驚き、ある者は歓声をあげる。
爆発する機動兵器と分離部分。火を吹き上げて煙を吹き上げて沈んでいく機動兵器と分離部分。
その時、エスペランザ、エキドナ、テンペスト、ナイトフライヤー、デルタのモニタにはロイヤルミストが写って、
彼はビッ、と親指を立てて笑いかけた。他の5人も、笑いながらお互いに親指を立てた。

「目標の撃破を確認。全レイヴン、帰還しましょう」


その後日・・・
機動兵器の爆心地から、破壊された機動兵器の残骸から2体のACの残骸が発見された。肩のエンブレムから、管理者のマークが発見された。
これをユニオンは、管理者実働部隊だと判断した。
そしてここから、彼らは管理者との全面戦争を始める決意をした。


ども、武田です。
今回は「巨大兵器撃破」「機動兵器進攻阻止」の両方をもとに、
今まで書いてきた話の中でパワーを込めて書きました。
13ページに渉る長編が描く事ができて、嬉しい限りです。
さて、あと2話で僕のサイドストーリーも完結です。
最終話前後編は「中枢侵入」という設定で、
多くのレイヴンの登場で、衝撃のクライマックスを迎えます!
全てのレイヴンに告知を送るユニオン。
そしてレイヴンたちは、管理者の牙城「中枢」へ矛先を向け、侵入を開始する。
管理者対人類の戦いは、どちらが勝利を掴んで終わるのでしょうか?
作者:武田 慎さん