サイドストーリー

EPISODE 24 管理者 対 人類 偉大なる聖戦
地下世界「レイヤード」の創造主、そして偉大なる存在・「管理者」。

「管理者」は全てを司る存在として、世界中から崇められまつる存在だった。

そして、レイヤードを影で操る、全てが謎に包まれた「支配者」だった。

クレスト・キサラギ・ミラージュ・・・レイヤードに存在する3大企業からも崇められている「支配者」だった。

しかし、「管理者」は何故狂ってしまったのか?

各地に実働部隊を送り込んで、何故人類を潰そうとしたのか?

見た事の無い機動兵器・MTまでもを量産して、何故人類を攻撃する諸刃の剣を作ったのか?

「管理者」は一番信奉している3大企業を手に掛けて、何故捻り潰そうとしたのか?

すべてが管理された世界に訪れた小さな狂いが、大きな狂いとなって管理された世界に暗黒の闇が覆い被さったのだ。

「管理者」は・・・「管理者」の心と精神は・・・崩壊してしまった。

人類は、「管理者」は狂っていると言い様が無かった。



遂に人類は決意する。
「管理者」の牙城・「中枢」に挑み、「管理者」を直接破壊するという事を。
反管理者秘密結社「ユニオン」は、全レイヴンに告知を送る。「管理者」の破壊、その実働部隊等の全面勢力の殲滅を目的とした。
作戦コード名は「ZERO DIVISION」。
人類の未来と明日、真の秩序と平和を懸けた空前のミッションが、始まろうとしていた。
そして、「管理者」との最後の激戦が始まろうとしている。

最初で最後の地下世界の「聖戦(ジハード)」が、始まろうとしている・・・・



「いいか、今夜はこの「地下世界」に訪れた、偉大なる聖戦(ジハード)の時だ。
 我々ユニオン、そして君達レイヴンには人類の明日と未来が懸かっている。
「管理者」はここ自らの牙城「中枢」の最深部に在する。
 このまま「管理者」を放っておけば、犠牲者が増える羽目となる。
 我らユニオン・レイヴン連合軍の手で、狂いに狂い果てた「管理者」を倒そう。
 この世界を滅亡に追い込んだ悪魔の支配者「管理者」をこの世から葬り去ろう。
「管理者」を打倒し、この世界を暗黒の闇から救い出そう。
「管理者」を打倒し、世界に真の秩序と平和を取り戻そう」

轟音を立てて降りていく中枢・地下エレベーター内部。
各レイヴンのACのコクピットの中、ユニオン実働部隊・小隊大隊の部隊員のMT・ACのコクピットの中で、
スピーカーホンからユニオン司令の声が流れてくる。
このエレベーターの到着した先に、神秘的に満ちて静まり返った「管理者」の牙城の一部の「悪魔の迷宮」がある。
ここに、管理者実働部隊のMT・ACがいる。
ガグン・・・エレベーターが止まった。到着したという合図だ。


そして、管理者実働部隊側は・・・
次々と拠点から送り込まれてくる管理者部隊のMT、迎撃システム、そしてACが送り込まれてくる。
その中で、管理者実働部隊の声が響く。
「行けえ、行くのだ、我が同志たちよ!! 奴等を中枢に入れてはならぬ!! 何としても守り通すのだ!!」

ガグン・・・エレベーターが到着した。連合軍が来たのだ。
そして、ユニオン司令・管理者実働部隊の声が響く。

「「戦闘開始だーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」」


「来たなぁ、ブタども」
「行くぞ!!」
「攻撃だ!!」
「うっしゃあああああ!!」
「よおし!!」
各々の箇所でレイヴン達の呼び声が上がる。そして、各々の戦闘の様子が通信機で流れてくる。
ボーキュバイン「A010ポイントクリア。こちらには最下層の進入路はない、次へ向かう」
ユニオン司令「了解した。バーブドワイヤー、前進だ」
フライングフィックス「C005ポイントクリア」
カラミティメイカー「E145ポイントクリア」
フラジャイル「C456ポイントクリア」
パーティープレイ「こちらジョーカー、N46ポイントクリア。敵の実働部隊ACを発見した、撃破します」
実働部隊A「愚かな人間どもめ・・・聖なる地域を踏み荒らしおって・・・殺す」
ユニオン通信士「ジョーカー、敵実働部隊ACとの戦闘開始を確認」
ボーキュバイン「B666ポイントクリア。なお、実働部隊と思われる所属不明機を確認。これを排除する」
実働部隊B「管理者の恩を忘れた恩知らずの恥知らずめ・・・消えろ」
ボーキュバイン「散れ、外道!!」
ユニオン通信士「バーブドワイヤー、敵実働部隊ACとの戦闘開始を確認」
ファウスト「メーガス、G15ポイントをクリアした・・・」
ユニオン司令「了解、メーガス、前進だ」
フィクサー「敵を殲滅中、キリがねえ!!」
ホヅミ「通信士、敵を殲滅した、次は!」
ツクヨ「敵が邪魔で進めませんね」
サバーハンキング「堕ちろ!! ザコども!!」
ブレーメン「くそっ、機体中破!! 応援をよこしてくれ!!」
ノア「こちらもヤバい、早く!!」
シルバーフォックス「ラストバーニング、X005ポイントをクリア」
囚人番号Bー24715「機体の損傷が激しいぜ」
グランドチーフ「敵の大部隊が矢先に踏み込んで来やがる」
ライオンハート「X077ポイントクリア。機体の損傷が激しい・・・通信士、確認だ!」
D・セバスチャン「E105ポイントクリア、ここも違う、機体が持たない!!」
フライングフィックス「敵実働部隊ACを発見。これより排除する」
実働部隊C「やってみやがれ!!」
ユニオン通信士「フラッグ、敵実働部隊ACとの戦闘を確認」
カロンブライブ「オペレーター、敵を殲滅した、次は!?」
アイアンマン「管理者実働部隊は弱いなあ、G。手応えが無さ過ぎだぜ」
G「油断するな! まだまだこれからじゃぞ!!」
レボリューション「数が多すぎるな・・・」
実働部隊D・E「「殺す」」
ホーンテッド「アルルカンか! こいつらを始末するぞ」
コルレット「了解ッ!」
ユニオン通信士「ブラックスナイパー、アルルカン、敵実働部隊ACとの戦闘を確認」
フィクサー「G175ポイント、敵の実働部隊との戦闘中・・・・もう、持たねぇ!
(ドガァァッ・・・ビービービービービービー!!)チクショォ・・・ザザザー」
実働部隊F「ザコめ・・・」
ユニオン通信士「識別信号消滅。アインハンダーの撃破を確認」
囚人番号Bー24715「ぐはっ!!  実働部隊、強すぎだ・・(ガガガー!! ザッ)」
ユニオン通信士「識別信号消滅。アポカリプスの撃破を確認」
グランドチーフ「D43ポイントに到達した。これより・・・A、AC!? うわっ!!(ガガガガガガー・・・・ザザザザザー)」
ユニオン通信士「識別信号消滅。ヘルハンマーの撃破を確認」
実働部隊A「ぐほぁぅ!! 強すぎる・・・(ガガガガガガザザザー・・・)」
実働部隊B「この俺ぐぁぁああああ・・・(ドガァァァァァン)」
ボーキュバイン「お前ごときにこの俺が負けるわけはない」
パーティープレイ「そんなものですね。さぁ、サクサク行きましょう♪」
ユニオン通信士「敵識別信号消滅。管理者実働部隊AC2体の撃破を確認」
実働部隊F「この俺が・・・・!!(ドドドドォム)」
ホヅミ「この戯け者めが!! この儂、ホヅミの力を思い知ったかァーーー」
ユニオン通信士「敵識別信号消滅。管理者実働部隊ACの撃破を確認」
フライングフィックス「決まりだ!」
実働部隊C「がふ!!(ドガァァァァァァム)」
ユニオン通信士「敵識別信号消滅。管理者実働部隊ACの撃破を確認」
実働部隊G「隙あり!!(ズバァァァァッ!!)」
アイアンマン「ぐうっ、手前ェ、俺のACに傷をつけやがったな!!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァーーーー!!(カチッ・・・ドゴォォーン)」
ユニオン通信士「敵識別信号消滅。管理者実働部隊ACの撃破を確認」
このように、戦況は一進一退の攻防戦。だが、管理者実働部隊はジリジリと押され始めた。
旗色はユニオン・レイヴン連合軍のほうが良くなり、旗色は管理者実働部隊のほうが悪くなってきた。
連合軍のレイヴンは3機のACが倒され、管理者実働部隊は5機のACが倒された。
数少ない実働部隊ACの数が、一度に5機も失ったとは痛手になる事だ。
それに、数多い連合軍のレイヴン達が駆るACは3機ぐらい倒されても何のその。
今までの一進一退の攻防が、ウソのように敵がジリジリと押されつつあるのだ。
「敵のAC・MT混合部隊と我が管理者実働部隊は第1・第2・第3・第4防衛ラインで交戦中。
敵混合部隊の一角が第1防衛ライン・本陣エリアに進入!!」
「メインゲートを封鎖せよ!!」
「本陣エリアに部隊を回せ!! 急げ!!」
中枢・防衛ライン本陣エリア。ここでは六角形の巨大空間が広がっており、その奥に地下エレベーターがもう1つある。
六角形の壁、通路に柱砲台「D-C301-P」が次々と突き出てくる。それも凄い数の。
その砲塔部分に管理者実働部隊隊員たちがトリガーをグッと握り締めて、レイヴン達が来るのを待ち構えている。
その他、実働部隊AC、特殊MT「D-C021-S」がいる。
全て、管理者実働部隊だ。
「よくもオメオメと現れたな・・・」
実働部隊AC隊長機は愚痴る。そして、
「全員射撃用意いいいいい!!」
と、叫ぶ。一斉に管理者実働部隊が銃を構えた。
じりじりとゲートに迫る緊迫感。そして何かが来る予感。ピリリと実働部隊の背中に伝わる。そして・・・
ゴォォォォォォゥゥ・・・ガガガン!!
ゲートが開いた。そして―――――――。
「撃ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
実働部隊の一斉射撃が始まった。
ズドドドドドドドドドド!! 
ガガガガ!! ドォン、ドォン!!
バシュゥゥン!! バシュゥゥン!! 
ズドドドドドドドドドド!! ズドドドドドドドドド!!
ガガガガ!! ドォン、ドォン!! ガガガガ!! ドォン、ドォン!!
バシュゥゥン!! バシュゥゥン!! バシュゥゥン!! バシュゥゥン!!
ゲートの何も無い空間に飛び交う銃弾。その途端、ゲートの向こう側からも閃光、銃弾、ミサイルが飛んできた。
銃弾と銃弾がぶつかりあう。それによって作られた2つの弾幕が波となってぶつかりあう。
だが、その途端、ゲートの向こう側から突然、
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
と、極太の青い閃光が飛び出した。それは、通路と壁から突き出た柱砲台の頭を一瞬にして葬り去った。そして、通路上の特殊MTも。
「なっ!?」
実働部隊は驚く。そして更にその途端、ゲートの向こう側に立っている1体のACがいる。
それは両肩に大口径エネルギー砲、手にライフルにブレードと言った武装だ。
「サンダーハウス・バトルフィールド・・・参上」
そのACは名のる。これこそが、「サンダーハウス」の駆る2脚AC「バトルフィールド」だ。
雷鳴の響くような嵐のような激しい攻撃を繰り出す事から、大勢のファンを掴んでいる。その攻撃の前に誰もが耐えた者はいない。
「なっ・・・なんと言う事だ!! エネルギー砲の一撃で・・今の極太状の青い閃光1本でこれだけの味方がやられるとは・・・・・
おのれェ、行け!! 行くのだぁッ!!」
隊長機のACの指示で、床に突然、ガパッ、と穴が開いた。その途端に大量の球状のモノが現れる。
特殊MTだ。そいつらは一斉に突撃した。
「また、来たか。でも、どれ程現れようとも雑魚は雑魚だ」
「行くぞい、アイアンマン。儂らの腕の見せ所じゃい!!」
闇の奥から声が響いて、サンダーハウスのバトルフィールドの後ろから、2体のACが現れた。
1機は白い武器腕フロートAC、もう1体は黒い武器腕タンクACだ。白い機体は「G」の駆る「サンダーストーム」、
黒い機体は「アイアンマン」の駆る「ハイパーアロイ」だ。Gとアイアンマンは一斉に特殊MTの大軍に突撃する。
「「撃〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!」」
Gとアイアンマンは叫ぶと同時に、大量のミサイルを放った。煙を巻き上げて飛ぶ大量のミサイル。
波のように現れた特殊MTと激突する。
ド・ド・ド・ド・ド・ド・ド・ド・ド・・・・
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァム!!
大量の火花が飛び散り、ミサイルと特殊MTは同時に爆発した。煙が巻き上げられた中、大量の特殊MTは跡形も無く、消えていた。
「何いいっ!? ミサイル1つであれ程の数のMTを葬り去るとは・・・」
実働部隊は顔面蒼白。魂が飛び上がりそうな程驚いた。だがその途端・・・
「MT部隊、突撃用意ーーーっ、ACに続けェェーーー!!」
「おおっ!!」
「突撃ィーーーッ!!」
3体のACの背後から、大量のユニオン部隊のMTがどっと現れた。
バトルフィールド、サンダーストーム、ハイパーアロイの3体がそれに合わせて突撃する。MT部隊はその後に続いて突撃する。
そして、一斉砲火が始まった。
「怯むな、撃て、撃てぇ!!」
実働部隊も負けずに応戦する。2つの弾幕がまたぶつかりあい、火花と爆発が飛び散る。
ガガガガ!! ガガガガ!! ドォン、ドォン、ドォン、ドォン!!
バシュゥゥン!! バシュゥゥン!! バシュゥゥン!! バシュゥゥン!!
ガガガガ!! ガガガガ!! ガガガガ!! ドォン、ドォン、ドォン、ドォン!!
バシュゥゥゥゥン!! バシュゥゥゥゥン!! バシュゥゥゥゥン!!
弾幕がぶつかりあう中、混合部隊は実働部隊の防衛網を突き進んでいく。そして、とうとう実働部隊側のゲートの前まで来た。
「うわああああ、突っ込むぞぉォォ!!」
扉の前にいた実働部隊は慌てて道を開けた。そして・・・
ドガァァァァァァン!!
扉が物凄い勢いで吹っ飛んだ。そして、ガラ、ガラ、ガラララララ・・・という音を立てて下へ落ちていった。
それと同時にユニオン部隊のMTが次々と下へ飛び降りていく。
「うわあ、抜けたあっ!!」
「こちらS42ポイント、防衛ラインを突破されました!!」
『何いっ!?』
実働部隊は混乱状態。その途端に次々と防衛ラインを守っていた実働部隊が次々と倒され始めた。
「ひぃぃぃーーーっ!!」
「も、もう駄目だぁぁ・・・」
実働部隊の面々が悲鳴をあげる。その途端にユニオンMTの大軍の波に飲まれた。爆発が激しく起こる。
その後にユニオンMTの大軍が通った後に、実働部隊MT、AC、砲台の残骸が転がっていた。
「目標の通路を発見した。これより第2次進入作戦を開始する」


『貴様ら、邪魔だ、退けぇ!!』
「邪魔なのは、君達のほうですよ」
バシュゥゥゥン!!
『ぐわぁぁぁ・・・』
ここ、実働部隊の第2防衛ライン。
実働部隊と交戦しているのは、「バッド・ブレイン」「テラ」「セブンスヘブン」「マイリッジ」の4人の班だ。
ちょうどその時、バッド・ブレインのブラッディーホルンが新たに出てきた実働部隊ACを撃破したところ。
「名銃『MWG-KARASAWA』の威力を見せてやる」
テラはにやりと笑い、実働部隊の群れに突っ込んでいく。
「テラ、早まるな! ひとりでは危険だ!!」
「大〜ぃ丈夫だって!」
警告するマイリッジにテラは笑いかける。
その時に新たに出てきた2体目の実働部隊ACが、グレネードライフルを構えて待ち構えていた。
『1人で死にに来るとは、バカな奴だ』
「どうかな・・・? やってみるか・・・?」
『猪口才な!!』
実働部隊ACはグレネードライフルのトリガーを引いた。
ドシュゥゥゥン!!
オレンジの光の塊がテラのスペクトルに放たれたが、弾速が遅かったから簡単に躱されてしまう。焦る実働部隊はグレネードを乱射する。
『く、くそッくそッくそッくそッ!!』
ドシュゥゥゥン!! ドシュゥゥゥン!!
「もっとよく狙えよ。それじゃ強化人間のオレを倒せねぇぞ、ん?」
『だまれ!! これでもか!!』
テラの挑発にカッと頭に血を昇らせた実働部隊は、今度はカルテットキャノンに武装を切り換えた。
4つの青いエネルギー弾が、4つのキャノン砲から放たれる。
バシュゥゥゥゥン!! バシュゥゥゥゥン!! バシュゥゥゥゥン!!
だが、これもテラのスペクトルに躱されてしまう。何度か乱射しても無駄だ。
『く、くそッくそッくそッくそッ!!』
バシュゥゥゥゥン!! バシュゥゥゥゥン・・・バスッバスッバスッ・・・
『!?  何、弾切れだと!?』
「もらったああああああああ!!!」
弾切れの隙を突かれて、スペクトルのKARASAWAが火を吹く。その一撃が実働部隊ACのコアを貫いた。爆発が起こる。
ドグゥゥゥゥゥン!!
「うっそぉ・・・」
エネルギーライフル1発で実働部隊ACの重装甲を撃ち抜いた事に、セブンスヘブンは魂消る。
その途端、新手の実働部隊ACがブレードを振り上げてこっちに突撃してきた。
「!!  んなろおっ!!」
セブンスヘブンはユートピアを急速旋回させて、ガトリングガン「CWG-MG/300」と投擲銃「KWG-HZL30」を叩き込む。
ガガガガ!! ドォム、ドォム!!
『ぬおっ!?』
実働部隊ACは吹き飛ばされた。それを機に、セブンスヘブンはマイリッジに叫ぶ。
「マイリッジ!」
「おう!!」
マイリッジのヴェノムランスのブレード「MLB-HALBERD」が紅い光を放ち、実働部隊ACの頭部を貫いた。
そして、マイリッジは実働部隊ACを両断する。
ガギガギガギガギガギガギ・・・・ドォォォォォォォォォン!!
両断された実働部隊ACは爆発を起こした。それを見たバッド・ブレインとテラは、
「ひゅー!」とはやし立てた。
「ACを両断するとは、ブレードも強力と言う事ですかね」
「あれは『MLB-HALBARD』といって、全ブレード中範囲の広いパーツなんだぜ。
多分オプションパーツを使ってブレードの攻撃力をアップしただけだろう」
「さすが・・・」
「よっと、(バシュゥゥゥゥン!!)こいつらとっととやっつけて先に進もうぜ」


ドシュゥゥゥン!! ドシュゥゥゥン!!
シュゴォォォォォォーーードドドッ・・・・・
シュゴォォォォォォーーードドドッ・・・・・
ババババババババババババッ!!
「お出迎え御苦労!」
ドシューッ、ドシューッ、ドシューッ!!
「どうした、そのまま死ぬだけか!?」
バスン、バスン、バスン!!
バスン、バスン!! バスン!!
ここ、実働部隊の第3防衛ライン。
ここを守る実働部隊と交戦しているのは、「ストラング」「ロイヤルミスト」「ワルキューレ」「コープスペッカー」
「シルバーフォックス」「レボリューション」で、どの6人も上位のトップランカーで、ソツのない攻撃、強力な攻撃を繰り出しまくる。
実働部隊も簡単に押され始めていた。
『〜〜〜〜〜〜〜っ!! 全員まとめて抹殺だ!!』
実働部隊も焦りを見せ始めている。その時、増援の特殊MTを15、6機を送り込んだ。
球体のMTが大量に現れ、次々とトップランカーたちに突撃していく。
「この固いMTにはミサイルでは少し無理みたいだな・・・そろそろ我はこれを使うか」
シルバーフォックスは武器をKARASAWAに切り換え、銃口を特殊MTたちに向ける。
「MWG-KARASAWA・・・・・シュートッ!!」
トリガーを引いた途端にシルバーフォックスは叫び、KARASAWAを乱射する。いとも簡単に、D-C021-Sの固い装甲を撃ち抜く。
バシュゥゥゥン!! ドドドオッ!!
バシュゥゥゥン!! ドドドオッ!!
バシュゥゥゥン!! ドドドオッ!!
バシュゥゥゥン!! ドドドオッ!!
バシュゥゥゥン!! ドドドオッ!!
バシュゥゥゥン!! ドドドオッ!!
『なっ・・・何いいいいッ!? 何だ、あのエネルギーライフルは!? 特殊MTが紙屑のように!』
驚きを隠せない実働部隊AC。その途端、横からグレネードランチャーを突き付けられた。
横を見るとレボリューションのプラスナックルだ。
「避けてみろ」
レボリューションは呟くと、トリガーを引いた。
ドシュゥゥゥゥン!!
グレネードの1発で実働部隊ACは頭を吹き飛ばされ、頭の無いACの機体がオレンジ色の硝子を突き破り、階下へ落ちていった。
『こっ・・・こいつら・・・!!』
他の実働部隊ACも、あまりものトップランカー達の強さにたじろぐ。
だが、この後も負けてはいられないと、轟々と大量の特殊MTを送り込んだ。
「ボール野郎だ!!」
「ま・・また、凄い数!!」
コープスペッカーとワルキューレは驚く。
「チッ・・・しつこい奴等だ」
「おい、ここは私とお前でビシッと決めようでは無いか?」
ロイヤルミストとストラングは頷きあう。そして、特殊MTの大軍の前に2人で立ち、バズーカとショットガン、投擲銃を構えた。
「「お前等だけは・・・灰すらこの地上には残さんぞ」」
そして、トリガーを引いた。


そして次、実働部隊第4防衛ライン。6機の実働部隊ACに囲まれた、ボーキュバインのバーブドワイヤーがいる。
『こっちは6人、お前等は1人だけか? 1人で死にに来るとは度胸の良い奴だ』
「散れ、外道・・・」
ボーキュバインは呟くと、デュアルブレードを構えた。
『・・・・・・・』
6機の実働部隊ACはボーキュバインに襲い掛かった。
だが、ボーキュバインはその1体に突進して、すり抜けざまにブレードで斬り付けた。
そして、包囲網の後ろに出た途端に斬られた実働部隊ACは、突然上半身が脚部の上からずり落ちた。
ゴトッ、という音を立てて落ちる1体目の実働部隊ACの上半身。
『!?』
『こ、こいつぁ・・・』
残った5人の実働部隊ACはたじろぐ。その途端、
ザシュン!!
という音が響き、また1体の実働部隊ACが後ろからブレードで貫かれて、地面に倒れた。
『!?』
4体の実働部隊ACはまた驚く。すると、貫かれたACの後ろに、白とピンクのカラーリングのACが立っていた。
軽量2脚のACで、右腕に突出型ブレード「KWB-MARS」、左腕に高出力ブレード「MLB-MOONLIGHT」と言った武装だ。
これこそが、「カルカース」の乗る「コーラルスカイ」だ。
「カルカースか。こいつら全員を叩っ斬るぞ」
ボーキュバインがカルカースに話し掛ける。
「了解しました」
カルカースは丁寧に返事を返す。
『小賢しい!!』
残った4体の実働部隊ACは、バーブドワイヤーとコーラルスカイに襲い掛かる。
先頭の4体目がブレードをボーキュバインに振り上げかかってきたが、
ボーキュバインのバーブドワイヤーは両腕デュアルブレードからリング状のピンク色の光波を放つと、
3、4体目の、脚部に内蔵されている腰部アクチュエーターの繋ぎ目を貫いた。
ガグン、と3、4体目が音を立てて少し揺れた。その途端に動きが止まった。
『!?』
3、4体目が驚いた。その途端にシュ、シュ、シュッと自分の機体の周りをピンク色の線が走ったかと思ったら、
バシュゥゥゥゥゥン!! ドドドゴォッ、という爆発を起こして3、4体目はズタズタに斬り裂かれ、
そのボロボロの上半身を崩れ落ちさせる。
『な・・・何いいィィィッ!?』
残りの2体が驚いた。その途端に3、4体目がコーラルスカイのKWB-MARSの一撃を顎に喰らって地面に倒れる。そして、操縦不能となった。
『このヤロオオオオオオオオ!!!!』
5体目の実働部隊がコーラルスカイに向かってグレネードを撃ってきた。
その巨大な火を吹く鉛玉はコーラルスカイにギリギリに飛んできたが、コーラルスカイはMOONLIGHTで撃ち消すと、
今度は5体目に向かって高速移動で突進する。5体目はグレネードを乱射するが当たらない。
そして、ブーストをふかして連続回転斬りをお見舞いする。
ジバッ、ジバッ、ジバッ、ジバッ、ジバババババババババ!!!!!
ズゴォォォォォォォォォォム!!
『ぐぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
5体目の実働部隊ACのパーツがバラバラに吹き飛んでいく。
残った6体目がブレードをボーキュバインのバーブドワイヤーに向かって振り回しまくり、突きまくり、
バーブドワイヤーに攻撃を当てようとする。だが、バーブドワイヤーの高速移動に尽く躱される。
『くそ!! スピードに追い付かん!!』
6体目が憤る。そしてバーブドワイヤーのデュアルブレードが6体目を一刀両断にして、幹竹割りのごとく6体目を真っ二つにした。
ドッ、ドッ、ドッ。
地面に5体の実働部隊ACの残骸が倒れた。そして火の粉、炎と煙が舞い散る中、2体のACが立っている。



『くそ! 全滅だとッ!? 実働部隊の大半が全滅だとッ!?』
管理者の間・階下。モニターから写し出される、第1から4の防衛ラインが全部突破された事に憤慨する隊員たちの姿が見える。
これを見ていたのは、スケアクロウの仇敵で、“黒い死神”エグザイルだった。
「なぁーにやってンだか・・・」
エグザイルは呆れる。その時、別の実働部隊隊員が駆け込んできて、
「最終防衛ラインの味方部隊が全滅しました。エグザイルどの、ユニオン部隊の勢いは止められません」
「やはりな・・・」
エグザイルはパチン、とビール瓶の栓を掌で弾くと、グビグビグビグビと口にあてて喇叭飲みをする。
そして、空になったビール瓶を投げ捨てると、隊員に話し掛ける。
「やはり、俺が出なきゃ駄目みたいだな。おい、俺も出るぞ。アフターペインの整備・修理はできてるか?」
「いつでも出られます」
「アフターペインを出撃させる。準備しろ!!」
ゴゴゴゴ・・・プシュゥゥゥ・・・
中枢・地下エレベーターホールの第3ゲートがシャッターのように開き、
実働部隊AC2機とエグザイルのアフターペインが飛び出してきた。3機は、エレベーターホールの回廊をゆっくりと降下していく。
「旗色が悪くなってきたな」
エグザイルがポツリと話し掛ける。
「はい・・・残存部隊をここに集結させますか?」
「いや・・・・、“アレ”と“アレ”を使うぞ」
「“アレ”ですか?」
「管理者護衛用機体の・・・IBISを起動させろ。それと、この中枢を消し去れ」
「え?」
「ア・・・IBISですか?」
「もう一度言う。IBISの起動とこの中枢の爆破だ」
「バ・・爆破・・・・!?」
「従わないのなら・・・貴様らと言えども殺すぞ」
「「は・・・はい」」
2機の実働部隊ACは先に下降していく。その時、エグザイルはゆっくりと下降しながら、1人大笑いしていた。
「まだまだ、これからだ・・・人間ども。あまり調子に乗るなよ・・・クックックックックッ、
ここからが人間と管理者とのゲームが始まる時だ・・・クックックックックッ、クックックハハハハハハハハハハハハハ、
クハハハハハハハハハハハ!! ハーハハハハハハハハハハハハハハ・・・ハァッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」


中枢・地下コントロールルーム。ここでは2体の実動部隊ACがコントロール盤の操作をしている。
その計器越しの硝子に、何かの大きな黒い影が仰向けに眠っていた。
「準備はいいか?」
「ああ、いつでも起動できる」
「では、起動する・・・XA−26483・IBIS・I−CFFF−SERRE・・・システム起動・・・開始!!」
ペコッ!! ゴクッ・・・ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・・カチ・・ヴヴヴン・・・
『シリアルを確認・・・・XA−26483』
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・ヴヴヴヴン、ヴヴヴヴン・・・ゴクッ
徐々にシステムを立ち上げていく黒い影。その途端、ビクン、ビクンと自分の機体を振動させる。そして、徐々に起き上がりつつある。
『登録・・・・確認』
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・・ゴク、ゴク、ゴクッ・・・ヴヴン
『端末セキュリティ・・・・解除』
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピ・・・ガシュン、ヴヴヴヴン、ヴヴヴヴン・・・・
黒い影の背中にプラグみたいな物が繋がった。
『接続を開始・・・』
ヴヴヴヴン、ヴヴヴヴン、ヴヴヴヴン、ヴヴヴヴン、ヴヴヴヴン・・・ザシュン、ザシュン、ザシュン・・・・
ガギギギギギギギギギギ・・・・ガグッ
プラグが外れた。その途端、黒い影の目に4つのピンク色の光が宿る。
ヴンッ!! 
そして、徐々に手を天井に捧げる。先ず左手の握りこぶしが解かれていく。
ギギギギギギ・・・ギギギギギギ・・・ゴファッ
次は、右手だ。
ギギギギギギ・・・ギギギギギギ・・・ゴファッ
ググググググ・・・ゴゴゴゴゴゴ・・・ガキッ、ガキッ、ズズン・・・グオオウ・・・
影は、立ち上がった。覚醒した。その時、背中に大きな壷みたいなモノが繋がった。
ガグッ・・・ガグッ・・・
『接続を完了・・・・』
ゴォォォォォ・・・プシュゥゥゥゥゥ・・・・


『レイヴン・・・・・』


ドズゥゥゥゥン!! ドズゥゥゥゥン!!
ガガガガ・・・バラバラバラバラ・・・バラバラバラバラ・・・・ガガガガ・・・・
中枢動力区画・エネルギー炉柱で、爆発と地震が起こり、4つの支柱代わりのブリッジが崩壊を起こす。
そして、柱の一段一段の境目から、パラパラパラパラ、と砂が落ち始めた。警報機と館内放送がわんわんと鳴り響き、ひしめき合う。
館内放送「中枢動力区画で、火災事故発生。中枢動力区画で、火災事故発生。警戒レベルを10に移行・・・」
館内放送「防衛機構の全ACを起動」
動力区画にある冷凍保存室のシリンダーから、次々と自動扉が開いてAI機体(強化人間)が現われる。
そして、それらは次々と現われては奥のほうへ消え、そしてまた現れ、数を沢山増やしていく。防疫システムのようだ。
プシューーーン、プシューーーン、プシューーーン、プシューーーーン・・・・
ガガガガ・・・バラバラバラバラ・・・バラバラバラバラバラバラ・・・
館内放送「中枢動力区画で、火災事故発生。中枢動力区画で、火災事故発生。警戒レベルを11に移行・・・・」
ガガガガ・・・バラバラバラバラ・・・ガガガガ・・・バラバラバラバラ・・・
プシューーーン、プシューーーン、プシューーーン、プシューーーン、プシューーーン、
プシューーーン、プシューーーン、プシューーーン、プシューーーーン・・・・・



「この奥だ、この奥に行けば・・・」
中枢のエレベーターホール付近まで差し掛かったところで、4体のACがここ最奥部まで足を踏み入れていた。その4体のACとは。
アップルボーイの「エスペランザ」。
レジーナの「エキドナ」。
スパルタンの「テンペスト」。
コールハートの「ザ・サン」。
4人は奥のほうまで突き進んだところで、ドズゥン、という地震を感じた。何かが遠くで爆発したのだ。
「な、何だ・・・?」
コールハートがあたりを見回している。その時、レーダーに敵機の反応が写り、警報が鳴り響く。
「敵!?」
「どこだ!?」
4人が辺りを見回す。その途端、
バリイイイイイイイイイン!!!!
と、上の硝子が突然激しく砕け散った。そして、1体のACが現れた。
アップルボーイ・レジーナの2人に見覚えがある。
黒い、4つの目のドーム状の頭部。
黒い、EOタイプのコア。
黒い、白の装甲板の填められた両腕。
黒い、速そうなフロートタイプの脚部。
両肩のステルス「MEST-MX/CROW」。
紅い色のマシンガン「MWG-MG/1000」。
そしてブレードの名刀「MLB-MOONLIGHT」。
まぎれも無く、“黒い死神”エグザイルの乗る「アフターペイン」だった。
「・・・エグザイル!!」
アップルボーイが怒りを混じらせた声でエグザイルに向かって叫ぶ。
「お前か・・・またしてもここで会うとは、奇遇だな」
エグザイルは由々しげに言う。そして、彼は4人のほうを向いて続ける。
「それにしても、よく、ここまでたどり着けたものだ。管理者の牙城『中枢』を」
「ああ、お前等のせいでひどい目にあってんだよ」
コールハートのザ・サンがバズーカを突き付ける。
「話してもらおうか・・・お前が管理者実働部隊を指揮していたのか!?」
コールハートが叫ぶと、エグザイルは由々しげにもう一度言う。
「まあな」
「てめ・・・手前ェ、何と言う事をするんだよ・・・・ッ!!」
「ああ? 御門違いだな、コールハート。俺はただ、『管理者』の指図に従ったまでなんだよ。言うなれば張本人は「管理者」だ」
「な・・・・・」
「それに、あの“デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)”はただの不完全なAIそのものだ。時代遅れの過去の年物さ。
じきにユニオンが破壊してくれるよ」
「あんた・・・雇い主・・・「管理者」に逆らうつもりなの? エグザイル」
「俺の雇い主は、「管理者」じゃない」
顔を紅潮させるコールハートを無視して、レジーナの返答にニヤリと笑うエグザイル。
そしていつの間にかアップルボーイのエスペランザがアフターペインの後ろに立っていた。
「話はもうお終いだ」
その途端、アフターペインの頭部にレーザーライフルが突き付けられた。
「この中枢には、もう已にユニオンの機動部隊が雪崩れ込んでいる。お前は、この中枢から生きて出られない」
アップルボーイの言葉に、エグザイルはたじろぐ事なく言い返す。
「面白い事を言うガキだ。だが、もう準備は整っている。ここから本当のゲームの始まりなんだよ・・・・・」
「な―――――――?」
アップルボーイが驚いた途端・・・・
ドズゥゥゥゥゥゥゥゥン!! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
「おおぉォォ!?」
「なっ!?」
突然の2度目の地震がその場にいた全員を襲う。そして、天井からバラバラと砂と小石が降ってきた。
「な、何だ!?」
突然の地震にスパルタンが叫ぶ。
「中枢動力区画のエネルギー炉をオーバーロード状態にして、俺たちはお前等諸共ここを吹き飛ばすというを手段に出たと言うわけだ。
そしてあと数時間もすればここは爆破される。これが、ゲームの第1のスイッチだ。
そしてもうその頃には多数の強化人間のAI機体が眠りから目覚めて中枢内の敵勢力を排除する。
そしてそのまま中枢が爆破されて、お前等の死体とともに吹き飛ばされ、生き埋めになる。
そしてこれが・・・第2のゲームのスイッチだ。いわゆるこれは、自決か特攻『デッド・オア・アライブ』というゲームだ。
そしてお前等は嫌でもこのゲームに参加しているんだよ。強制的にな・・・」
エグザイルは続ける。
「お前等に残された道は2つある。諦めてこの場を引き返し、尻尾を巻いて逃げ帰るか、
それともここで俺と戦って、俺と「管理者」を破壊して崩壊に巻き込まれて皆死ぬかだ」
エグザイルの出した選択肢に、4人はググッと詰まった。そして追打ちを掛けるかのように、エグザイルが言葉を捩じ込む。
「どうした? 何を躊躇っている?「管理者」を破壊しに行けよ。遠慮はいらない。
言っただろう、お前等は強制的なゲームに参加してるって。そのゲームは自決か特攻――『デッド・オア・アライブ』だって」
エグザイルの言葉が終わった途端、アップルボーイが小声で言う。
「答えは、これだ」
そして、その瞬間にエスペランザは、足場にあったエレベーターの起動パネルを押した。
ダン、という音が響き、そして次にガグンという音が響いた。
「なっ!?」
突然下に下がり出したエレベーターに、レジーナとスパルタンとコールハートは驚く。
そして同時にアップルボーイのエスペランザが高々とブーストジャンプで飛び上がった。
「おい、アップルボーイ!?」
コールハートが叫ぶ。そして、アップルボーイはその時にエグザイルと対峙する位置の足場にいた。
「待って、アップルボーイ!!」
レジーナはエキドナをブーストジャンプでエスペランザのいる位置に飛び上がる。
その途端、もうエレベーターは低い位置にあったため、ブーストゲージの残量計が少なくなって、レッドゾーンに近づいていた。
バスン・・・・チッチッチッチッチッ・・・・チャージングにかかった。
「あっ・・・!!」
エキドナはブーストパワーを失い、エレベーターに落ちた。その時、対峙するアフターペインとエスペランザの姿が僅かだが見えていた。
「アップルボーーーーーーーーーイーーーーー!!!」
レジーナの叫ぶ声が響く中、エレベーターはもう最下層に届いてしまっている。もう、アップルボーイには声は聞こえなかった。
そしてそのまま、3人の乗る3体のACを乗せたエレベーターはもう地下深くまで行ってしまっていた。


そして、エレベーターが目の届かない位置まで行ったのを確認して、アップルボーイはエグザイルに行った。
「こんなゲームのスイッチというのは・・・どうだ?」
アップルボーイの言葉を呑み込んだエグザイルは、ニヤリと笑った。
「面白い選択肢だ」
エグザイルは由々しげに言う。そして彼は続ける間もなく、アップルボーイが言う。
「時間切れだ。どうする、“黒い死神”?」
「いいだろう、そしてこれからゲームの開始だ」
「ああ・・・・」
アップルボーイはシュッ、とブレードを唸らせた。
「僕が尊敬していたスケアクロウさんは、僕の目の前で相棒のゲドさんと共にお前に殺された・・・!!
お前を倒せば・・・・スケアクロウさんは安らかに眠れるんだ!!」
「ハーッハッハッハッハッ、ハハハハハハハハ!!」
アップルボーイの言葉に、エグザイルは愉快そうに大笑いした。そして、こう言った。
「ではお前を・・・案山子の所へ送ってやろう!!」


通信機のやり取りを地下エレベーターから聞いていたスパルタン、コールハート、レジーナ。その時、3人は最も驚いた。
「アップルボーイが・・・エグザイルと・・・?」
レジーナは涙ぐむ。その途端、ブーストジャンプで彼を助けに行こうとしたが、
「待て、レジーナ!!」
スパルタンに止められた。
「助けなきゃ・・・!!」
「駄目だ。相手は“死神”だぞ。弾薬の切れそうなその武装だと、あのエグザイルには勝てない」
「でも・・・」
「止めておけ、レジーナ」
「・・・・・っ」
「相手は幾多の戦場に出没した、数々のレイヴンを葬ってきた奴だ。
それに、その実力はA-1のエース、A-2のBBよりもはるかに凌ぐと言われていた奴なんだぞ」
コールハートにも止められて、レジーナは俯いた。その途端、向こうの扉が開く音が響いた。
後ろを振り返って、コールハートとレジーナは驚き、スパルタンが憤った。
扉の向こうにいたのは、2体の実働部隊ACだった。どうやらコントロールルームから戻って来た奴等らしく、
目の前にいる3体のACを見た途端、敵としていきなり攻撃してきた。
「!?」
「くっそー、厄介な奴らが出てきやがった!!」



中枢・地下巨大空間「管理者の間前廊下」。
ここでは、損傷だらけの1体の実働部隊ACが扉の前で、破壊されたグレネードライフルとボロボロのカルテットキャノンを持って、
「管理者の間」の扉を守っているかのように立っていた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
中のパイロットの実働部隊は息を漏らしながら、一滴の血をゴホッと吐いた。そして、自分は、
「ああ、これはもう助からないな」
と、思った。その途端、ショットガンの銃弾をコアに喰らい、さらに胸に装甲を貫いたそのショットガンの銃弾を喰らった。
ドゴッ
「ぐはぉぉぅ!!」
大量の血を吐く実働部隊。そして、コクピットのモニターに大量の血をベショッ、とかけた。
「終わりだ」
スピーカーホンから自分の敵の声が流れた。その「敵」に実働部隊は怨差をぶつける。
「ぐぉおお・・・貴様・・・」
実働部隊はレーダーを見た。その時、高速で近づいてくる緑色の反応を見た。味方だ、と判断した実働部隊は、「敵」に通信を送った。
「これで勝ったと思うなよ・・・此所から我々の復讐が始まるのだ・・・ガフッ!!
 お、おお・・・管理者よ、我・・・に・・・・力を・・・ガファ・・・ゴハッ・・・」
実働部隊はそう言い残すと息絶えたと同時に、AC腹部に仕掛けてあった爆弾が爆発した。
ドシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
爆発した実働部隊AC。そして、その実働部隊ACと戦っていた「敵」とはフォグシャドウとBBだった。
フォグシャドウのAC「シルエット」の両手のショットガンが銃口から煙をあげている。
ズズズズズズ・・・・空気が揺れ始めた。その途端、もの凄い気がこの空間にもの凄いスピードで寄り始めた。
「!? な、何だ、この凄い気配は・・・」
BBとフォグシャドウはゾッとし始めた。そして、あとから2人の応援としてメビウスリングとエース、アレスが駆け付けてきた。
「な、何だ・・・・?」
メビウスリング、エース、アレスもゾッとした。その途端・・・

「ACの反応・・・上です!!」

メビウスリングのオペレーター・エマが叫んだ。全員が上を見上げた途端、
バグァァァァァァァァァァァァァァン!! ガラガラガラガラガラ・・・ドウドウドウッ
と、いきなり上から黒い影が飛び降りてきた。その影は、ACだった。
「やはり出たか・・・管理者護衛用機体・IBIS・IーCFFFーSERRE!!」
メビウスリングがその黒い影を見て叫ぶ。
管理者護衛用機体・IBIS・IーCFFFーSERRE。右腕にロングレーザーライフル、左腕に3本の、鈎爪状のブレード。
両肩にマルチブースター兼オービット射出ポッド。まさに、機動型に載せた完全武装型とも言えよう。
「モード変更・・・最終確認へ・・・移行します・・・」
IBISに内蔵されているコンピューターが喋った。そしてコンピューターは続ける。
「システム起動・・・22ー4フェーズ・・・」
5人は、最強の管理者護衛用機体・IBISが目の前にいる事に圧倒される。
だが、5人は気を取り直し、戦う意志を取り戻した。


「フ・・・俺も最近、身体が鈍っていたところだぜ・・・丁度いい!!」
「こんな所で逃げ出したら、俺は・・・俺を許せねぇな・・・!!」
「私よりも強いと言われたACと戦う事ができるとは・・・嬉しい限りだ」
「さいは投げられた・・・後にも引けない」
「乗りかかった舟とも言うがな・・・よし、やってみよう!!」


それぞれの意志が固まる中、IBISが喋った。
「システム起動。攻撃開始」




武田です。
いよいよ次が、AC3SSの最終章ですね・・・。
今回と最終章は6つのパートに分けられました。
先ず1つは、「中枢の進入」。
2つは、「管理者を守護する複数の実働部隊ACとの決戦」。
3つは、「実働部隊の防衛ライン突破戦」。
4つは、「アップルボーイとエグザイルの、最後の対決」。
5つは、「IBISとの決戦」。
最後の6つは、「管理者の破壊」。
そして今回は、たくさんのレイヴンが登場しました。
その一部を此所に紹介します。

〈今回新しく登場したレイヴン〉
名称:サンダーハウス(35・強化人間)
雷鳴の響くような攻撃を繰り出す事から、大勢のファンを掴んだ人気レイヴン。
一撃必殺のリニアキャノンとライフルを絡めた攻撃の前に、耐えた者はいない。
おまけに、無口でクールな性格だから、女性にも人気がある。
AC「バトルフィールド」を駆る。

名称:バッド・ブレイン(28)
ナパームと火炎放射器で敵を火達磨にする戦法を好み、
近・遠距離の武器を両方に装備させ、バランスの良いACを作った知恵者のレイヴン。
自ら愚者を演じて「バッド・ブレイン(狂った脳)」という名に変えて、
愚者を演じているが、実は知恵者と言う事から非常に頭の切れるレイヴンである。
何故彼が愚者を演じている理由は、誰も知らない。
AC「ブラッディーホルン」を駆る。

名称:G(68)
雷雨と呼ばれる攻撃を絶えまなく放ち、挙げ句の果てに敵を潰す、速攻スタイルを持つ。
真正面から戦うその彼の姿勢は、彼と戦ったレイヴンを、清々しい気分にさせるほどの凄まじさを持つ。
また、アイアンマンとの激戦は、「アリーナの名物」と呼ばれ、観客を熱狂させている。
武器腕フロートAC「サンダーストーム」を駆る。

名称:アイアンマン(38)
敵の攻撃を受け付けて、その後でじっくりと存分に自分の実力を発揮させるという、哲学的な戦闘スタイルを持つレイヴン。
「鋼鉄の要塞」と呼ばれるタンクACを駆り、激しい攻撃力の武器を多数携えている。
生半可な武器では、その頑丈な装甲を削る事もできず、膨大な耐久力さえも減らす事はできない。
また、Gとの数々の名勝負は、「アリーナの名物」と言われ、語り草となっている。
武器腕タンクAC「ハイパーアロイ」を駆る。

名称:シルバーフォックス(28)
すでにベテランの域に3年間君臨していると言われる、名高いレイヴン。
名銃と呼ばれる「MWG-KARASAWA」から繰り出される攻撃は、「蒼い炎」と思わせるほど激しい。
ここまで辿り着いたレイヴン達にとっては、立ちはだかる驚異と思わせる。
AC「ラストバーニング」を駆る。

名称:マイリッジ(34)
無駄な浪費や出費を嫌うレイヴン。
弾薬を撃ち尽くすよりも短期決着を心がけ、一撃で相手を倒すそのスタイルを心掛ける。
また、敵をいたぶる事が至上の喜びとしていて、
弾薬をうち尽くすことすらかまわないレイヴン「ギムレット」と考えがあわず、対立している。
逆関節AC「ヴェノムランス」を駆る。

名称:セブンスヘブン(24)
敵の攻撃をに受けまくって、攻撃しながら敵に突進する突撃スタイルと言う事から、
数々の機体をスクラップにしてきた女性レイヴン。
普段は温和な性格だがACに乗れば敵に突っ込む事しか考えない。
そしてそれが、絶妙な戦果をあげる事がある。タンクAC「ユートピア」を駆る。

名称:テラ(20・強化人間)
名銃「MWG-KARASAWA」を手に持ち、いつもそれを自慢している目立ちたがり屋のレイヴン。
だが、自慢している事だけで無く、その腕もハッキリと言って強い。
名銃から繰り出される攻撃はシルバーフォックスのラストバーニング同様、
高威力で光速(ライト・ベロシティー)を思わせる程激しい。
AC「スペクトル」を駆る。
作者:武田 慎さん