The Hammer of ASTERISK @ -- 憤怒 --
「様子はどうだ?ロスト。」
「スコープで見る限りだとちょうど今、戦闘が始まってます。」
防衛施設前では防衛部隊のMTと1機のACが戦闘を繰り広げていた。
「わかった、トーメントとロストはそこで戦闘の様子を見ていてくれ、俺たちもすぐにそちらに向かう。」
1機のACがバタバタと周りのMT部隊を破壊してるのがわかる・・。
まるで人VS蟻のようだ。
「トーメント、ここからは気を引き締めたほうがいい。」
「ロスト?あのデカイやつはなんだ?」
MT集団の中からなんかデカイやつが出てきた。そいつが出てきた途端、人VS蟻+象になった。そして象は人を踏み潰した。
「ゲドさん!ゲドさん!」
トーメントが慌てて通信をつなぐ。
「どうした?」
トーメントはMT集団の中から巨大なMTが出てきてACを一蹴したことを話した。
「わかった。今、オペレーターに通信をつなぐからIDを入力してくれ。」
すかさずIDを入力する。
「・・・はじめまして!オペレーターのネイリスと言います!!」
女か・・。
「はじめまして〜!トーメントって言います〜。」
こんな時に女にデレデレするとは・・緊張感の無い奴だ。
「・・・・・。」
「ああ〜こいつはロストマンっていうんだ!ロストって呼んでやってくれ〜。」
つまりオペレーターを通せばいいってことか・・。
「トーメント、ロスト、クレストのMT部隊に向かってるACの反応があるわ、1機よ。」
「了解。」
スコープで見てみる・・。
・・・・あれか。・・・ん、あのAC・・・。まさか・・・。
「ははは!!!楽しいなぁぁぁ!!」
重量2脚のACがMTギボンをデュアルキャノンで木っ端微塵にしていた。
「・・・性懲りも無くまた出てきたか・・。ならこのドムルンクが成敗してくれる!!!」
ドムルンクの乗ったカスタムMTがアサイラムのギガントスに襲い掛かる。
「いいね!!いいね!!粉々にしてやるよぉぉ!!!」
すかさずギガントスがデュアルキャノンをぶちかます。
「・・・・破損率12.73%。こんなもんか。」
カスタムMTも両肩グレネードで対抗する。ギガントスは紙一重で避けていた。
「さっきのACのパイロットよりAC操作技術は上か・・。おもしろい!!」
「・・・ゲドさん。見てほしいものがあります、ネイリスを通じて画像を転送します。」
ロストが気になっているのは今、カスタムMTと戦っている重量2脚のACのことだった。
「・・・こいつは・・。」
画像を見たゲドは驚いていた・・。
「なあロストもゲドさんも一体どうしちまったんだ?」
二人の会話にトーメントが割って入る。
少し沈黙が続いた後ゲドが口を開いた。
「あの今戦っている重量2脚のAC・・あいつがお前達の格納庫を襲撃した張本人だ・・!」
ゲドの言葉におもわず驚くトーメント・・・。
「奴の名前はアサイラム・・前にレイヴン失踪の記事が書かれた新聞を見せただろ?そいつもその中に入っている。」
思い出すだけで怒りが込み上げていく・・。あの事件以来、上司であり自分の恩師であるトロードさんのことを考えると。
「ロスト・・分かってるだろうが今はそのままそこで待機していてくれ。もし動いたら・・・。」
「・・・・ゲドさん、すいません・・行かせてください。」
既にロストは自分の怒りを抑えきれなくなっていた。
「行っちゃダメだ、ロスト!!」
「そうよ!レイヴンは任務中、自分の感情は出してはいけないものよ!!」
トーメントとネイリスも必死なって止める。
「トーメント・・お前は悔しくないのか・・?目の前でメチャクチャにされたんだぞ・・・。」
「・・・・・・・・・。」
ロストの言葉にトーメントも黙り込むしかなかった。
「あの重量2脚のAC、ドムルンク相手に互角に戦ってるな。」
クレストの防衛施設から入り口の戦闘を覗いてる連中がいた。
「確かにさっきの中量2脚のACとは一味違うみたい・・・。」
リーダー格の男の言うことに隊員の一人の女も納得していた。
「・・でも俺らには適いませんな。」
もう一人の大男が口を開く。
彼らはクレスト最後の砦といってもいい、精鋭部隊ラガターン隊であった。
大男の名前はフグス、クレストでは<必中のフグス>という名前で有名である。
「そういえばあいつはどこに行ったのよ?」
今、リーダー格の男に話しかけたのがメンバーの中で唯一女性であるガーベラ。
彼女は人の声や顔の表情、人が話してるときの口の動かし方などでその人が何を思ってるか瞬時に察知できる能力を持っている。
「・・機体の整備でもしてるんじゃないのか?そのうちくるだろ。」
この男が若くして精鋭部隊ラガターン隊のリーダー、ラガターンである。
3人が話している時に部屋の扉が開いた。
「・・・・・・。」
出てきたのは冷たい目をしている男であった。
「ようやくきたか、エグザイル。」
そう、この男こそ戦闘で出会ったレイヴンのACに風穴を残していくことで有名なエグザイルであった。
「あいつらはいないのか・・・。」
エグザイルが入り口の戦闘を覗き込んでいる。
「そのうちしたらあいつらはくるさ、絶対な。」
「ゲドさん、俺はこのまま行くつもりだ。」
ロストの融通のきかなさにゲドは頭をかかえて考え込んでいた。
「ゲド、ロストとトーメントなら大丈夫だろう?」
ゲドもアステカの言葉に遂に決断を下した。
「分かった・・だがアサイラムを撃墜したらすぐにその場所から離脱して、前に話したエネルギー施設に来てくれ!」
ゲドの了承と同時にロストは飛び出そうとしていた。
「ロスト、焦りは禁物だ!まず相手の出方をちゃんと見て同時に飛び出そう!」
トーメントの言葉にロストも少し落ち着きを取り戻した。
「・・・・はぁ・・はぁ・・破損率67.76%・・・やるな・・。」
戦況は既に傾き始めていた。
無残に転がってるクレストのMT・・・。黒い煙・・。錆びた鉄の匂い・・。
「は!MTつってもやっぱりただのデカブツだな!!!はははは!!!!」
アサイラムの乗ったギガントスはなんとほぼ無傷の状態であった。
「・・・隊長、あのAC思った以上にやるみたいですぜ。」
「さすがと言うべきなのかな・・?」
隊長のラガターンは焦りも見せず微笑んでいた。
「でもこのままだとドムルンクもヤバイんじゃない?」
ガーベラもアサイラムの実力に少し驚いていた。
「よし・・・トーメント行くぞ!!!!」
「OKだロスト!!!」
ロストの合図と同時にオーバードブーストを思いっきし吹かす。
「隊長、中の部隊を入り口に配置したほうが・・・。」
フグスは部隊の中でも人一倍慎重派である。
「ん?いや・・その必要は無いみたいだ。」
「え?」
ラガターンの言葉に他の3人は一瞬、目が点になっていた。
「・・・・このままではやられるか・・無念・・。」
「はははは!!!!!」
ちょうどその時であった。
パパパッという音と同時にギガントスがバランスを崩した。
「つっ!!誰だぁぁぁ!!!!!」
アサイラムは後ろからの不意打ちにブチキレ寸前であった。
「あれは≪アスタリスク≫の新手・・・?」
「いや見てみろフグス、あの2機どうやらあのACに用があるらしいな・・。ガーベラ、ドムルンクを離脱させろ。」
「了解。」
ガーベラの通信にドムルンクも仕方なく撤退していった。
「さて、また高みの見物と行かせていただきますか。」
「てめぇら!!名前ぐらい言え!!」
「・・・・・お前なんかに名前は名乗るつもりはない・・。」
すでにロストは怒りを完全に自分で抑えていた。
「な・・なんだと!!!」
ロストの言葉にますますアサイラムが怒りを募らす。
「いいぞロスト、このまま相手を怒らせて集中をとぎらせれば。」
「がぁぁぁぁ!!!頭にくるヤローだ!!!!!!」
遂にアサイラムがキレてしまった。
「・・・・・・ならやってみろよ。」
もう俺は躊躇しない・・・。
作者:RYOSUKEさん