サイドストーリー

第二章   第十二話 ゴルディアンノット(非常手段)
「じゃあ内部散策隊は、俺のあとについて来い!」
「基地周辺の探索は、3人で行動しろ。何かあったらすぐに連絡を入れるんだ。くれぐれも深追いはするな。」
それぞれの役割分担が決められており地上についてすぐ皆分かれて行った。
『お気を付けて・・・』
内部探索は、シリウスをリーダーとし他にインフェルノ、ガンナー、イオサカタインダストリィー、
楚良、エクレール、オルテガなど主力メンバーで構成していた。
一方、基地周辺の探索は、ナタラージャをリーダーとしてマーク、ロジャーなどで構成されており、比較的機動力のあるものが選ばれた。
 
「ここから先は、各部屋へチームごとで進んでくれ。内部の構造が分からないゆえ細かい点は、オペレーターに伝えること。
もしかしたらここにキサラギ社員が連れてこられているという可能性がある。その辺りも考慮して散策してくれ。
では、各機解散!!行動を開始する!」
「「「おう!」」」
それぞれ事前に組んでいたチームで分かれていった。各機その部屋ごとに散策していった。
「敵機発見。コレヨリ掃討スル。」
「っち、見つかった。戦闘に入る!援護してくれ。」   バシュ バシュ バシュ
各部屋で戦闘が開始された。敵機は、ほとんどが戦闘AIだったが、その強さは半端では、なかった。
「行け!ビット!!」   バババ   チュンチュンチュンチュンチュン
「っち、オーバーヒート・・・。すまん、先に離脱する!」
『ナイトメアの離脱を確認』
「弾切れか。離脱する。」
『オーグランドの離脱を確認』
   ドガーン
『アルビレオの生体反応消滅』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どんどん仲間がやられていく。ここのAIは、半端じゃない!」
そう、シリウスが毒づいた。
 
『インフェルノ。大丈夫ですか?あなたは、一人で散策すると言っていましたが。』
「もちろんだ。俺を誰だと思っている。それよりこの通路は、やけに長い。この奥に何かある。
発見次第連絡する・・・、と言いたいところだがどうやら大将のお出ましか?」
「っふ。貴様が市街地で無人ACを難なく倒したやつか。どうだ?俺の部隊に入らんか?」
「それより貴様を殺す。」
「おもしろい!やって見せろ!」   ドシュー   ドシュー
「その程度の腕でプラズマキャノンなど使いこなせるわけがないだろう?貴様、弱すぎだな。失せろ。」   パンパンパン
「貴様の負けだ。食らえ、一斉放射!!」   バシュー   ドゴーン   ドシュー
「な!?」
インフェルノは、一斉放射で不意をつかれた。インフェルノの機体に直撃した。
「これがグローバルの最強か。脆かったな。さて、俺は、あの計画を・・・、しぶといな。」
「強制精神リンク開始。システム、ゴルディアンノット(非常手段)機動。」
「今度こそくたばれ!!」   バシュー   ドゴーン   ドシュー
「死ね。」   ブーン バシューン ドゴーン
「がはっ!ば、ばかな。き、貴様いつのまにお・れの・・後ろ・・・に・・・・・。」
インフェルノは、特殊OP-INTENSIFYの真の力を引き出すと同時に自分の精神パルスを機体とシンクロさせ、機体能力の限界を超え、
ただのACではなしえないスキルを追加したのである。そしてさっきのその一つ、「亜空間高速移動」。
主に大型戦艦等に装着されている物である。空間を圧縮し、その反動を利用して高速に移動することができるのである。
ただACで使うと搭乗者に負荷が掛かりすぎ圧死するのでACへの装着は、不可能だと言われている。
『イ、インフェルノ!?それは、プッ』
インフェルノ回線を切りさらに奥に進もうとした時、
「こ、これ・・・で・・・勝ったと思う・・・なよ。もう・・・八相は、目覚めた。誰に・・も止めら・・・れない。
神のちから・・・を持つ・・ものに・・・しか・・・・・。」
インフェルノは、無言で大破寸前の機体へ向かって容赦なくライフルとガトリングを打ち込んだ。そして、
「全てを滅ぼす。」
 
各部屋が奥に行くと広い一つの部屋に出た。
「あれ?ガンナーじゃん?なんでここに?」
「俺たちは、入った部屋につながるところ全て行ってみて奥のこの部屋には行っただけだが。」
「あ、みんなここに来てる。じゃあどの部屋でも戦う相手が違うだけだったってわけ?」
「おそらくな。だが何名が戦死、離脱した。」
「サカタインダストリィーのガトリング攻撃は、すごかったけどな。ノーロックで撃ってたし。」
   ウィーーーーン   ガッコン
部屋の中央から8体のACらしき機体が出てきた。
「あれも撃破するぞ。ただなんだか今までとは、違う感じがする。みんな気を付けて掛かるんだぞ。」
「「おう!」」
 
そのころ基地周辺の探索チームは、大規模な戦闘を繰り広げていた。小チームではなく、全員での真っ向勝負になっていたのである。
「こんだけ弾が飛び交うと流れ弾が多い!」   ダダダダダダダダダダダダ
「だけど敵は、それも回避してるって一体なんなんだよ!?」   バシュ バシュ バシュ
「弾の消費が激しい!オペレーター、補給車の手配を頼む!」
『了解しました。早急に手配します』
「ナタラージャ!!北西より敵増援を発見。接触までおよそ5分です!どうします?こちらも増援の手配をした方が―」
「わかってる。オペレーター、増援もよこしてくれ。数で圧倒されるうえ、相手の実力も半端じゃない。時間がない。急いでくれ。」
『了解しました。増援も送ります。どうかご無事で』
 
そのころ内部では、8体ののAC、つまり八相との戦いが始まっていた。しかし・・・、
「なんて動きだ。重量ニ脚の奴でさえ捕らえきれない!ガンナー、遠距離から援護を頼む。俺は、一気に接近戦に持ち込んで囮になる。」
「待て!いくら接近してもあのスピードについて行けない。楚良ですら追いつかないに・・・。」
八相は、重量ニ脚なのに速度が400q/hをゆうに超えていた。それなのに重装備をしているという特殊兵器であることは、間違いなかった。
そして奥の扉が開いた。
「イ、インフェルノ!?無事だったか。」
「排除する。」
「えっ?」
400q/hをゆうに超えて動いていた重量ニ脚のAC、通称メイガスが一瞬にしてコアから真っ二つにされたのである。
「何だよ!?今の!一瞬であいつの機体に近づいたぞ!?シリウス、あれって一体・・・。」
「あれは、インフェルノの特殊OP-INTENSIFYが持つ性質の一つだな。」
「ク、クライン!?いつここに?」
「ついさっきな。増援部隊より一足先にこっちに来たわけ。」
「でも、クライン。一体なんだ?その特殊OP-INTENSIFYって・・・。」
「ああ。それは、インフェルノ専用といっても過言じゃあないOPだ。自分の精神パルスをそのOP-INTENSIFYとシンクロさせ、
同調し、限界を超える。まぁ単にそれだけだが、あの状態になると搭乗者の負担が半端じゃない。さっきの一瞬で移動した技。
あれをACで使えば一瞬で搭乗者は圧死だ。」
「じゃあ、なんでインフェルノは、無事なんだ?」
「それは、やつが―」
クラインが喋ろうとした時、上からACが3機降りてきた。
「久しぶりだな、インフェルノ。」
「あいつらがインフェルノを育てたからだ。」
インフェルノは、戦いながらも答えた。その頃には、八相が残り5機にまで減っていたが。
「バルムンク、ワーグナー、ジークフリート。何しに来た!」
作者:テロメラーゼさん