サイドストーリー

第二章   第十三話 裏切り
「師に向かって、『何しに来た!』は、ないだろう?」
「そうだな。インフェルノ、お前を育て上げたのは、我々だぞ。」
「だからなんだ?もう貴様らには、用はない。」
「そう言うな。それにしてもさすがだな。この八相をものともしないとは・・・。恐ろしい奴め。」
確かに。インフェルノは、短時間で不変の象徴と言われる八相を撃墜して行っているのである。
「は!これが八相?くだらんな。一度滅びた者は、復活してもその年月を取り戻すことは出来ない。それ故、自身の腕が鈍る。
しかし戦闘AIなら関係ないがな。」
「見抜いていたのか。」
「当然の結果だろう。本物の八相ならば、8体集結している時点でインフェルノに勝ち目はない。」
「なぁ、クライン。なんなんだよあいつら。さっきからグダグダと。うざいんだよ!!」
オルテガがバルムンクたちにそう叫んだ。
「ザコが叫びおって。まぁいいだろう。少し身体でも温めるか。なぁ、ワーグナー?」
「ええ。まずは、邪魔者を排除しておきましょう。」   キュウィーーン   ドシューン
「空中からこんなデカいキャノン撃つのかよ。信じらんねぇ。サカタインダストリィー、後ろからチェイン頼むぜ!!」
「任せろ!派手にぶっ放していくぜ!」   ダダダダダダダダダダダダダダダダ
「食らえー!」   バシュン バシュン バシュン
「その程度か。弱いな。」   ズバシューーーーン
「がっ。すまん。もろに食らっちまって、脚部をやられた。これじゃあ動けねぇ。」
徐徐にグローバルが押されつつあった。敵は、ピンポイントで脚部ばかり狙ってくる。およそ、後で一気に全機撃破するつもりだろう。
「もういいだろ。そろそろ片付けようか。」
そして銃口がエクレールの機体に向けられた時、
「俺を忘れてるな。」
「っち!まだ一機残ってやがったか!?」
クラインがステレスを使用し、上空に隠れていたのである。
「だがたかが一機だ。苦戦するほどでもないな。」   ズバシューーーーン
しかし流石は、元S−2のランカーである。最小限の動きで攻撃をかわしながら攻撃を加えている。
「ふっ。こいつもサンプルにしておきたい素材だな。だが俺たちの依頼は、インフェルノの奪還だ。貴様に用はない。
悪いがじっとしていてもらおう。」   ビシュン ビシュン
ジークフリートは、特殊武器を使用してクラインを翻弄させ始めた。
(なんて軌道を描きながら飛んでくるんだ、あのミサイルは・・・。)
そうクラインが思っているところに不意に後ろから攻撃を食らった。
「っぐ。やはりお前たちも。」
「知っているのなら話は早いな。俺たちは、そのサンプルとしてインフェルノの奪還を命じられた。悪いが邪魔をしないでくれ。
そうすれば、命の保障はしよう。」
「お前たちは、ここに雇われたのではないのか!?」
「いや。ここに雇われたが、それは単なる表向きの行動に過ぎん。本命の依頼は、さっき言ったとおりだ。」
クラインは、それを黙認するしかなった。桁が違いすぎる。インフェルノと同等かそれ以上の者と戦って勝てるわけがなかったからである。
それに心のどこかでクラインは、密かにこう思っていたのである。
(インフェルノがいなくなれば、再び俺も頂点に立つことがぢきるかもしれない。そうだ。このままインフェルノがやられれば・・・。)
と。
「消えろ。」   ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
「バカも休み休みにしろ。貴様が俺たちに勝てるわけがないだろ?あの時から一度も俺たち誰かに勝てたことがなかったのだからな。
そうだっただろ?インフェルノ。」
「だが今の俺は、昔とは違う。」   パンパンパンパン
「ふっ。まだまだだな。格の違いを見せてやろう。バルムンク、ワーグナー。いくぞ。」
「「了解。」」
ジークフリートたちは、絶妙のタイミングでインフェルノに攻撃を仕掛けてきている。
しかしインフェルノもそれを回避してはいるが、複雑に飛び交う弾丸を全弾回避することは無理だった。
「っち!」
「いい加減諦めろ。貴様に勝ち目はない。戻ってくるんだ、貴様の意思でな。そうしなければ、少々手荒なまねをすることになるが。
どうする?」
「お前らごときにこの俺が・・・。」
「貴様の真の武を見せてみろ!オベディエンスリング発動!」
「なっ!か、身体が・・・。い、意識が・・・保てない・・・。」
「貴様が巡礼船団に来た時に、埋め込んだリングによって貴様は、全てを支配される。手始めだ。あのザコを消して見せろ。
俺たちは、一足先に戻っておく。さっさと済まして来るんだぞ。」
「わかりました、師匠。」   ドシューーー   ダダダダダダダダダダ
「お、おい!インフェルノ。や、やめろー!!」   ドゥーーーーン
「1機撃墜。残り9機。」
『オメガの生体反応消滅』
インフェルノが容赦なく味方に攻撃を仕掛けてきた。
「うわぁーーーーーーー!!」
   ギーン   ジジジジ
「「え!?」」
オルテガとの機体を庇うように1機のACが現れた。ブレードで鍔迫り合いをしているのである。
「インフェルノ。お前は、もうレイヴンとしは失格だ!吹き飛べ!!」   バシューー   ドゴーン
『機体破損率、50%を超えました』
「こちらインフェルノ。ただ今を持って巡礼船団に帰還する。」   キュウィーン   バシューー
インフェルノは、OBを使ってバルムンクたちが進んだ方に向かっていった。
作者:テロメラーゼさん