サイドストーリー

SILENTLINE EPISODE 4 〜異変と崩壊〜
「まったく、バカのシューティングスターが消えて清々するぜ」
「彼奴、デカイ口叩いてるくせに、超弱いでやんの」
「そうだよな。おれたちは彼奴みてぇに高慢な態度とらねえよな」


シューティングスターが死んで、ミラージュ社がクレストの機密書類を奪回してから次の日の事。
シューティングスターを悪く思っていたレイヴンたちが、そんな言葉を口ずさみ、噂話をするようになって来た。
シューティングスターは、さほど悪名高かったようだ。ギムレットやスネイクチャーマーみたいに。
そう・・・・。
カラードネイルは依頼を受けて作戦を実行し、見事成功を収めたのだ。


「どうした? 浮かれない顔をしてるな、リトル。バカのレイヴンが1人消えたんだぞ、喜べ」
部屋の中でベッドに寝っ転がっているリトルベアに、カラードネイルは話し掛ける。
それにこくりと頷くリトルベア。その途端に、
ピーッ
と、依頼メールが入って来た。
依頼メールには、こう書かれていた。


「Re:電力施設崩壊阻止
 依頼主:キサラギ
 成功報酬:24000c
  レイヴン、緊急の依頼だ。
 建造したばかりのエネルギー生成施設が、突然、原因不明の火災に見舞われている。
 至急、消火装置を作動させ、施設の崩壊を阻止してもらいたい。
 この電力施設は、各都市の電力を司るたった1つの「場所」であり、施設が吹っ飛んだら各都市の電力配給が停止してしまい、
 我が社の信望が大きく失墜してしまう。
 各施設の部屋にある消火装置は現在自動モードは火災によって使用不能になり、現在は 手動でしか使えなくなってしまっている。
 施設に進入して、手動で消火装置を作動させ、火を消し止めてもらいたい。 
 十分な報酬は約束する。危険な任務だが、レイヴンならできると信じている。
 なお、今回はおかしな点が十二分にみられる、注意してくれ。以上だ」


「なんだこれは?」
カラードネイルはこの文章に綴られている「おかしな点」「原因不明の火災」に目を落としている。
疑問が彼の頭では次々と沸騰してて浮かんでは消える水の泡のように浮かんでは消え、消えては浮かんだ。
だが、ここはキサラギの電力施設の電気の配給が通っている場所でもある。
もし、施設が吹っ飛んだりしたら、停電する上にキサラギは大きな痛手を受ける事になる。
「どうかしました?」
リトルベアが起き上がって聞く。その途端にカラードネイルは立ち上がって、パソコンの電源を切った。そして、振り返ってこう言った。
「・・・おい、リトル。支度しろ、行くぞ」
「えっ?」
「いいから支度しろ!」
「はっ、はい!」
カラードネイルの言葉は心なしに震えていた。リトルベアにはその様子が分かったけど、なぜ震えているのかが判らなかった。
準備をおえた後、隣にいるヴァーナルフラワーを叩き起こして、
グローバル古位テックスのACガレージに向かい、各々のACに乗り込み、ガレージを出る。



そして、キサラギ電力施設プラント内に着いた。
「メインシステム、戦闘モード 起動します」
「メインシステム、戦闘モード 起動」
「システム キドウ」
各々の内蔵コンピューターが起動する中、キサラギオペレーターからの通信が入る。
「高熱の為、防衛システムに異常が発生しています。障害となるものは排除して構いません、消火装置の起動を急いで下さい」
キサラギオペレーターの通信を呑んで、3人は各々の機体をコンデンサルームのほうに動かした。
何本かの太い柱状のコンデンサがドーム型の部屋に並んでいる。
サブコンデンサはメインコンデンサを五旁星の形で囲むように並んでいた。
「この奥にいるのは全て、僕達の敵というわけですか・・・」
リトルベアはカラードネイルに話し掛ける。
「ああ。いくらフル装備でも体にケチャップやマスタードを塗って、裸のまんまサファリパークに入って行くようなものだぞ?
 気をつけろ、リトル、ヴァーナル」
「了解しました」
「了解・・・」
「では、行くか」
カラードネイル、リトルベア、ヴァーナルフラワーは奥の方へ駒を進めて行く。
目の前にエレベーターがある。それに乗って下の方へ駒を下げて行き、到着した先は細長い通路だった。
天井に2つのマシンガン砲台「フライペーパーMG」が3人を見下ろしていて、火を吹かせようとしたがグラッジのバズーカで破壊された。
その途中で、分岐点にさしかかった。3人は、お互いの機体を見合わせて言う。
「道が2つに別れてる」
リトルベアは前と左の通路を交互にみて呟く。
「カラードさん・・・」
ヴーナルフラワーが声をかける。カラードネイルは「わかっている」という表情で頷く。
そして左右の空間を見ていたが、しばらくするとこう言う。
「ヴァーナルはここに残って、左の通路に行け。わたしとリトルがこの奥の通路へ行く。お前はこない方がいい」
その言葉にリトルとヴァーナルは驚く。
「で・・でも・・・ここに1人で残るの・・・・・・」
「この奥も、敵がウジャウジャしている。それに、炎の壁も幾つか存在する。不用意にこの奥に行ったら、
耐久力や防御力の低いお前のACだと炎や敵の攻撃を受けて、オーバーヒートで潰れるかもしれないぞ。
それに、ラジエーターも高性能では無いし。
それでもいいのか?」
「でも・・・」
「ヴァーナルさん、ここにいて下さい」
リトルベアがヴァーナルフラワーにうったえる。
「何かがあったら僕とカラードさんに通信を送ればいいでしょう?」
リトルベアのその言葉で、ヴァーナルフラワーはうるっと目が潤んだ。
「大丈夫だ。そろそろ戻るようになったら連絡を送るから、心配するな」
そしてカラードネイルの言葉で、ヴァーナルフラワーは目をうるうるさせながら頷く。
カラードネイルのグラッジとリトルベアのダブルウィングは、ヴァーナルフラワーの
フラッシュバックをその場に残して、奥の通路へブーストダッシュで走って行った。
「・・・・・・」
ヴァーナルフラワーは2人の機体を見送った後、鼻にツンと来る涙を押さえながら左の通路へ進んだ。
暫くしてから奥にある扉をあけると、スイッチのある部屋に出た。
スイッチを押すと、館内放送が流れた。
「非常用の隔壁を解放します。隔壁開放により、施設内の温度が上昇します。職員は速やかに退去して下さい。
繰り返します・・・非常用の隔壁を解放します・・・」
館内放送が流れる中、がんばれ、がんばれ、と、自分に言い聞かせて、この部屋の中でジッとした。カラードネイルたちが通信を送るまでは。



「非常用の隔壁を解放します。隔壁開放により、施設内の温度が上昇します。職員は速やかに退去して下さい。繰り返します・・・」
館内放送が響き渡る中、カラードネイルとリトルベアは奥の通路へ進んで行く。その途端に、黒い煙が吹き出ている通路に差し掛かった。
「第1の火災の発生現場はこっちか!? ついてこい、リトル!」
「はい!!」
カラードネイルたちが左の通路へ走り、奥の隔壁を開く。
そして奥の通路へ進んで行く途中、リトルベアの通信機にノイズ音の入り交じった女性の声が響く。
「レイ・・・・ガガガー・・助け・・・ガガガー」
「!?」
リトルベアは驚く。だがその途端、ドガン!! というバズーカの音で、ハッと我に返った。
ドカァァン、ドガシャ、ガシャンッ、という音が響く。
振り返るとカラードネイルのグラッジが通った後に1機のグライドコブラとフライペーパーMGが地面に
倒れ、黒い煙を上げていた。
奥の方のシャッター。グラッジとダブルウィングのモニターにはTARGETという文字が、シャッターに表示されていた。
1個目の消火装置はこの奥にあるらしい。
シュィィィーン、という音と共にカラードネイルとリトルベアは部屋の中に入る。
その途端目に見えたのは部屋中に燃え盛る赤い紅蓮の炎だった。その奥に消火装置のパ
ネルが置いてあり、それを守るように1機の逆脚MT「アローポーター」が歩いていた。
カラードネイルは炎に当たらぬ様、グラッジをガスタンクの上にのせ、その並ぶガスタンクの上をブーストダッシュで走らせる。
だが、途中で、警告音がビーッビーッビーッビーッビーッビーッ!!と鳴り響く。
それと同時に、DANGER  HEART(危険温度
表示)という警告表示がモニターの左に出される。
「DANGER  HEARTだと!? くそっ!!」
カラードネイルは急いで消火装置のパネルを作動させる。
その途端にプシュゥゥーーッ、という音と同時に天井のスプリンクラーが上から噴水のように水を噴射し始めた。
「消火装置の起動を確認。温度が低下しています」
キサラギオペレーターの通信が入る。
そしてに消火装置を守るようにして歩いていたアローポーターを、リトルベアはライフルで撃ち抜いて破壊した。
「早く!!」
「わかっている!!」
リトルベアの呼び声で、カラードネイルは素早く出口の方へ戻る。そして、素早く外へ出て、火災が拡大しないようにシャッターを閉めた。
「次は・・・」
カラードネイルはターゲットポイントセンサーを表示させる。
すると、2つ目のターゲットの消火装置はもと来た道を引き返して、出口近くのマップを30m進んだ所に
ある左側の、ヴァーナルフラワーのいる部屋の近くの隔壁通路にあると判断した。
「引き返すぞ」
カラードネイルはリトルベアに呼び掛ける。そしてブーストダッシュで上を駆け上がり、そして隔壁通路の入り口を見付けた。
ここも、もうもうと奥から黒い煙が吐き出されている。だがその途中、リトルベアの通信機に、またノイズ通信が入って来た。
「レイヴン・・・ザザー・・ガガガ・・助け・・・・」
「!?」
今度は、よほどハッキリと聞こえて来た。だけど、そんな事でぼやぼやとしているわけには行かない。
カラードネイルとリトルベアは通路上でうろうろとしていた4機のグライドコブラを斬り捨てて、
天井に張り付いていた2台のフライペーパーMGを銃で撃ち壊した。そしてまた2つ目の火災現場に辿り着く。
奥に消火装置のパネル、その前をアローポーターが1体、グライドコブラが3体出歩いていた。
「ここも敵か! リトル、雑魚の相手をしろ!」
「はいっ!!」
リトルベアは頷くが早いか、3機のグライドコブラをライフルの銃身で叩き壊し、
さらに炎の中に突っ込んでアローポーターの体をブレードで叩っ斬った。その隙にカラー
ドネイルが消火装置のパネルを押した。すると、1台目のスプリンクラーと同じように、
プッシユゥゥゥゥーーーーーーーと水を噴出し始めた。
「消火装置の起動を確認。温度が低下しています」
キサラギオペレーターの声が響く。
「おい!! それ以上炎に浸ってたらオーバーロードになってしまうぞ!!」
「やばい!!」
カラードネイルの呼び声で、ハッと気づいたリトルベアはあわててダブルウィングを炎の外へ飛び出させる。
シャッターを開けて慌ててカラードネイルと共に外へ出た。
「あーっ、び、びっくりした!」
リトルベアはAPの残量計を慌ててみる。QUT PUT DOWN(危険温度でAP減少中状態)で3000くらい失ったが、
辛うじて残り4588になっていた。あと5000くらいでオーバーロード(熱暴走)で爆発を起こし、愛機と共に吹っ飛んでいただろう。
「最後の消火装置は・・・と」
カラードネイルはターゲットポイントセンサーを作動させ、最後の消火装置の位置を検索する。
最後の消火装置は、今さっき進んだ右側の隔壁通路の向側の奥の部屋にあるとわかった(位置は少々ずれている)。
「こっちだ!」
カラードネイルのグラッジの誘導で、リトルベアのダブルウィングはそれに引かれるように奥へ進む。
だがその途端、また通信機からノイズ通信が入った。
「レイヴン・・・・ガガガー・・・助けて・・・・」
今度は1度目や2度目よりすごくハッキリと聞こえた。
「えっ!?」
リトルベアのダブルウィングは突然立ち止まった。すると、先を走っていたカラードネイルのグラッジも足を止めた。
「どうした?」
「今、僕の通信機から「助けて」って言う声が・・・」
「何? 要救助者がいるのか?」
「そうかもしれません」
カラードネイルはリトルベアの言ってる事は間違い無いと判断した。そして、
「カラードネイルからオペレーター! リトルベアがこの施設に要救助者がいると言っている。
この施設に残っている職員や人間がいるか、検索してくれ」
「了解しました。少々お待ち下さい・・・・・・・・・逆探知できました!
どうやら、この先の部屋の天井にある通気孔の奥にある部屋に、1人逃げ遅れた人がいる様です。未だ身元は判明していません」
「この先の部屋・・・・!?」
カラードネイルとリトルベアは奥のシャッターの奥に目をやった。
それで入ってみたら、いつもと同じように炎が燃え盛っていて、奥の壁に消火装置がある。天井を見上げると、
1ケ所に通気孔の入り口の金網がはってあるのが見えた。そこでカラードネイルとリトルベアは顔を見合わせて、コクッと頷いた。
「わたしが消火装置の起動を急ぐ。リトルは金網を破って通気孔の奥の部屋へいけ」
「はい!!」
そういうと2人は二手に別れた。リトルベアダブルウィングを動かし、並ぶガスタンクの上に立たせ・・・。
シュイイーーーッッ、ズバン!! ドガァァッ!
ブーストジャンプで上がって金網をブレードで壊して、何とか通気孔の奥に進入できた。
その隙にカラードネイルは炎の奥に突っ込み、その奥の消火装置のパネルを押す。
プシュゥゥ・・・プシャァァァァァーーーーーーッ!!
スプリンクラーから水が放たれて、火が徐々に静まっていく。
「消火装置の起動を確認。温度が低下しています」
キサラギオペレーターの通信が入る。
カラードネイルはそして直ぐにリトルベアに通信を送ろうとするが、リトルベアから通信が送られて来た。
「カラードさん、奥の要救助者は無事保護しました」
サブモニターに映るリトルベアの隣に、白衣を着た女性の研究員がいた。女性の研究員は気を失っていた。
「でかしたぞ、リトル」
カラードネイルは親指をビシッと立てた。何故女性の名を聞かなかったのかは、今は作戦中だ。
それは後回しにしようと言う理由と、気が着いてから聞こうと言う2つの理由があったからだ。
「全ての消火装置の起動を確認しました・・・っ!? コンデンサルームに未確認機が侵入!?
敵・・・レイ・・ザザザー・・・迎撃・・・ガガガーガガ・・・に・・・向かって下さ・・・・
(ピガァーーーーッ、ブッ・・・ツ・・・ッ・・・・・・ブツッ)」
突然、キサラギオペレーターの通信は突然ノイズが入り交じり、そこで切れた。
「おい、オペレーター!?」
「どうしたんですか!?」
「おい、おいっっ!!」
カラードネイルとリトルベアは何度か叫ぶが、通信は結局途絶えたまま。
「コンデンサルームに未確認機だと!? なにかあったのか!?」
「通信障害が起こって・・・これは、未確認機のジャミングですか!?」
「とにかく、行くぞ!!」
「はいっっ!!」
2人はとにかく部屋を出て、急いでコンデンサルームの方へ向かった。
その途中でリトルベアは、コンピュータールームで待機していたヴァーナルフラワーに呼びかけをかけ、
3人でコンデンサルームに駆けていった。
そして駆けつけた先で、待っていたものとは・・・・



ガシャン、ガシャン、ガシャン。
燃え盛る五旁星のサブコンデンサに囲まれて、煙をあげて燃えているメインコンデンサの影から、1体の白い重装型ACが現れた。
手にプラズマキャノンにレーザーブレード、肩にグレネードに2連小型ミサイルと言った武装だ。
これこそが特殊AC「I−C003−IN」だ。
その特殊ACは3体のACの姿を見るなり、コンピューターの声からこの世の人間の声で話し掛けて来た。
『イレギュラー確認。イレギュラー確認。
これより排除に入る・・・ブブ・・ザザー、ゴトン・・・見つけたぞ・・・。お前たちが「イレギュラー」か?』
UNKNOWNが話し掛けて来た事に、リトルベアは驚いた。
「しゃべった!?」
「お前・・・どこからかのAIACらしいな。サイレントラインから這い上がって来たのか?
それにしてもかっこいいではないか、その重武装は・・・」
カラードネイルが茶化す。だがUNKNOWNは動じる事なく、言葉を返す。
『マセたイレギュラーだ・・・そのような言葉でお世辞をかけても容赦せんぞ』
「容赦せんぞ、か・・・・どす黒い言葉だな。だが、それはこっちの台詞だ。覚悟しろ」
『小賢しい! 死ね、イレギュラー!!!』
そう言った途端にUNKNOWNは襲い掛かって来た。
「散れ!」
カラードネイルが叫んだ途端、リトルベアとヴァーナルフラワーはパッ、と左右に別れた。
カラードネイルはバズーカとグレネードランチャーを同時に発射させ、EOのトリガーを引く。
その三重の波状攻撃がUNKNOWNのI−C003−INを直撃した。
『うおっ!!』
多少たじろいだ様子が見えたが、だがそいつはブーストジャンプをしてからグレネードを放って来た。
カラードネイルのグラッジはブーストジャンプで上に上がる。
グレネードの砲塔から放たれたオレンジの塊は、地面に着いた途端にバシュゥゥン、と、大爆発を起こした。
「くらえ!!」
いつの間にか後ろに回り込んだリトルベアのダブルウィングは、ブレード攻撃をI−C003−INのブースターパックに突き立てようとする。
だがその途端にI−C003−INが振り返ってダブルウィングのブレードを左腕の装甲板で受け止めた。
「なにッ!?」
UNKNOWNは、リトルベアが驚く間も無く、バシンと装甲板でブレードを弾き返した。
リトルベアのダブルウィングはエレベータの入り口近くのサブコンデンサに叩き付けられた。ドシン、と、音が響く。
「ぐぅぅっ!!」
『パワーと火力はお前等と比べてI−C003−INが上だ。対AC戦でこれほど有利な条件があるか?』
UNKNOWNはそう言うと、プラズマキャノンを構えた。
『消えろ、イレギュラーッ!!!』
その言葉と共に高出力のプラズマがロングバレルの銃口から吐き出される。その青白く光る塊は立続けに銃口から吐き出された。
バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ!!
バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ!!
バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ、バシュュゥ!!
『消えろ・消えろ・消えろ・消えろ・消えろ!!!』
UNKNOWNはプラズマキャノンを立続けに乱射しまくるが、カラードネイルたちに狙いを付けておらず、全て無意味な乱射だった。
「どこを狙っている!!」
カラードネイルがその隙に後ろヘ廻り込み、
バズーカ・グレネードランチャー・EOの3重の波状攻撃をI−C003−INのブースターパックに叩き込む。
バガァァァン!! ボキッ、ドゴォム!!
『うお・・・!!』
その途端にI−C003−INの小型ミサイルは使用不能となっていた。
そこへ一瞬動きが止まった所を見て、カラードネイルがヴァーナルフラワーとリトルベアに呼び
掛ける。「今だ!! 撃て!!」
「「はい!」」
『くそ・・・・・・・っ!!』
すかさずI−C003−INが立ち上がろうとした途端、リトルベアのダブルウィングの二重垂直ミサイル、
ヴァーナルフラワーのデュアルミサイル、カラードネイルの
グラッジのバズーカとグレネードランチャーとEOの怒濤の波状攻撃が仕掛けられた。
ドドドドドドド!! ドドドドドドド!!
ズガズガズガズガズガズガズガズガズガズガ!!!!
バシュッ・・・ドドゥーン!! バシュッ・・・ドドゥーン!!
ガン!! ズガァァン、ドバァァム!! ズガズガズガズガ!! ドドドォォーーン!!
ドゴボォォォォォォォム・・・・・・!!!
『うぐぅぁぁぁ・・・・・ガガガー、ゴトッ・・ザザザザザーーーーブッ』
怒濤の波状攻撃を仕掛けられ、UNKNOWNはI−C003−INごと沈黙した。
「やったか・・・?」
カラードネイルたちが目を凝らした途端、
『ザザザーーー・・・・ゴトッ・・・ブブッ・・・消え・・・ロ・・イレぎゅラー』
突然、UNKNOWNは再び動きだした。
「ま・・・まだ動くのか・・・こいつ・・・・!?」
リトルベアは驚いた。その途端に、
『消エロ・・・きえ・・ロ・・・イれ・・・ぎュラーーー・・キエロ・・・消え・・・』
1度目の波状攻撃で、コンピューターの思考回路が完全にイカレてしまっていたが、生命線は未だ生きているようだ。そしてさらに、
『いれ・・・ギュらーーー・・・消・エ・ロ・・・・・』
UNKNOWNはグレネードを構えた。
「壊れたガラクタのくせに抵抗すると言うのか?」
それと、カラードネイルは同時にバズーカとグレネードランチャーを構えた。
『イレ・・・ギュらーー』
UNKNOWNはグレネードを構えたまま、撃鉄を起こして安全装置を解除していく。
「もう1度壊れたガラクタ状態になれ・・・消えろ・・・UNKNOWN!!!」
カラードネイルは2つの武器を同時に発射し、銃口めがけて撃ち込む。
すると充填されていたグレネード弾が逆に引力効果を起こし、大爆発を起こした。その爆発がI−C003−INを巻き込む。
キュバァァァァァム!!!!
『・・・・ザザザザザガガガー、ゴトッ・・・ブツッ・・・・・・』
特殊AC「I−C003−IN」は、UNKNOWNを巻き込んで消滅した。
特殊AC「I−C003−IN」がやられたと同時に、REMNANTS ENEMY(敵の勢力表示計)が0になった。敵は全滅した、と言う表示なのだ。
しばらくすると、リトルベアが救い出した研究員は意識を取り戻した。リトルベアがそれに気づいた途端、こう言った。
「レイヴン・・・助かりました、ありがとう」
「カラードさん、ヴァーナルさん、研究員が意識を取り戻しました」
リトルベアが報告すると、カラードネイルはにやりと笑い返して、
「知っている・・・さっきサブモニターをONにしていたから、わたしとヴァーナルにも聞こえた」
カラードネイルがそう言うと、キサラギオペレーターの通信が入る。
「通信機能が回復した様です。何かのジャミングに妨害されて・・・とりあえず、敵は全滅した様です。全レイヴン、お疲れ様でした」
通信が終わった途端、カラードネイルは2人のレイヴンに呼び掛ける。
「さあ、帰るぞ。リトル、ヴァーナル!」
「「はいっ!」」


カラードネイルとリトルベアが部屋に帰ると、パソコンのメールボックスに1件の新着メールが届いていた。
それは、リトルベアが助け出した女性の研究員からだった。
彼女の名は、「セレ・クロワール」と言い、彼女は「AI研究者」という職業に着いているらしい。
セレ・クロワールの送ったメールには、こう書かれていた。

「Re:感謝します
 差出人:セレ・クロワール
 初めまして、レイヴン。
 私はAI研究者の「セレ・クロワール」と言います。
 先程の施設の件の事ですが、私は貴方達レイヴンのおかげで、無事施設から脱出するこ
 とができました。感謝します。
 私たちが施設内で目撃した機体は、「サイレントライン」付近で出没したものと思われていて、
 この機体が、サイレントラインの付近の地区の住民に被害を齎していると、実 しやかに噂されています。
 3大企業が争っている中で、サイレントライン付近で出没した機体が暴れ回っている
 と言う噂に、私たちAI研究者も安心して仕事が出来ず、仕事は滞るばかりで、
 困っています。果たして、一体サイレントラインに何があるのでしょうか?
 そしてレイ ヴンである貴方がたの目には、何が映っているのでしょうか?」

セレ・クロワールのメールはそこで終わっていた。
AI研究者とは、一体どう言う人達なのか?
セレ・クロワール・・・彼女は一体何者なのか?
謎が多く積まれた中、カラードネイルはこの2つの疑問を頭に浮かべながら、パソコンのメールボックスを閉じた。




どうも、武田です。
今回は、AI研究者のセレ・クロワールが終盤に初登場といって、
「電力施設崩壊阻止」は終わりました。
はたして、セレ・クロワールは一体何者何でしょうか?
まあ、確かに謎が多く積み重なりました。
次回は「新設基地防衛」の予定です。
では、今回はこれにてッ!

〈今回登場した特殊AC〉
名称:特殊AC・IーCOO3ーIN
〈表細〉
・AP:18800
・OFFENCE POINT:2260〜18100
・DEFENCE POINT:7786
・プラズマキャノン(ATTACK POWER:2260)
・グレネードランチャー(ATTACK POWER:4000)
・スモールミサイル(ATTACK POWER:890)                   
レーザーブレード(ATTACK POWER:3800)
作者:武田 慎さん