サイドストーリー

SILENTLINE EPISODE 5 〜孤島の砦〜
環境整備地区・ゴスペル砂漠地帯。
この砂漠地帯にクレストが建造している無人要塞がある。
これは誰のコントロールも受ける事なく、遠くからコントロールできるようになっているのだ。
その設計が、今着々と進んでいて、この施設の開発計画に関わった人間は社内に追い込まれる事になっている。
クレスト無人要塞の周辺に、哨戒塔の砲台「オウルクラウン・VG−924」が5台配置されている。
近づくものに見境なしに砲撃してくるのが盲点である。
だが、このクレスト無人要塞に、襲撃計画が企てられていた。


「門はここと・・・北側にもう1つ・・・西側と東側に1つ・・」
「この4つを落とせばクレストの無人要塞は孤立するだろう」
「よし、フリューゲル&バイン隊準備しろ。合図があり次第攻撃を開始する」
砂漠の道路を行く5台のトレーラーの運転手が、何者かに指示をしている。そのトレーラーには、6機ほどのMTが搭載されている。
おそらく、襲撃部隊の連中だろう。



「南側のゲートは爆薬を仕掛けた。北側はどうか?」
一方、クレストの無人要塞の4つのゲートに、今度は工作部隊の連中がテトラポッド型の爆薬を地面、ゲートの裏に仕掛けていた。
その工作員が通信インカムを片手に喋っている。
「北側、終了した。そして東側と西側も終わったようだ。これから南側の工作員のお前たちを拾いに行く」
「わかった」



チッ・・・チッ・・・チッ・・・
チッ・・・チッ・・・チッ・・・
チッ・・・チッ・・・チッ・・・
チッ・・・チッ・・・チッ・・・
4つのゲートの表の地面に埋め込まれたテトラポッド型の爆薬が、赤い光を放ちながら爆発までのタイマーをゆっくりと音を立てて切ってゆく。
しばらくして、クレストの搬送車のトレーラーが北側のゲートのほうへ向かってやって来た。
徐々にゲートのほうへ近づきつつある。その途端に、地面が、ズズン!! と、音を立てて揺れた。
「!?」
「な、なんだ!?」
搬送車のトレーラーの運転手が驚いて、何があったかと思って慌ててトレーラーを止めようとした。その時・・・・。
ガゴンッ!! バリバリバリバリバリ!!
突然地面が減り込んだ。減り込んだ地面は亀裂を起こしてトレーラーを飲み込もうとした。
そして、減り込んだ地面は急にバリッ、と、大きく割れた。
地盤がマンホールのふたをひっくり返したようにそのままひっくり返る。トレーラーは飲み込まれた。
「うわぁぁっ!?」
ドガバキャァァァァァン!!
北側のゲートにも仕掛けられた爆薬も反応して、バァァン!! と、爆発を起こして瓦礫や破片を山のように降り積もらせる。
その途端、検問所の職員があわてて何かを見た途端に、びっくりした。
目の前にあったのは瓦礫と破片の山で、さらに奥の軍用道路が陥没して、
その下にあった水道管に穴が開き、陥没した道路は浸水状態となっていた。
「い・・・一体何が・・・!?」
職員は驚いて、声が出ないほど呆然としてしまった。



「北側の軍用道路が陥没した? どう言う事だ!?」
クレスト無人要塞の防衛部隊隊長が驚いて、通信機を片手に叫んでいた。通信相手はさっきの北側のゲートの検問所の職員だ。
『どういうことかって・・・道路が陥没して、ゲートの柱も爆発して通行不可能になったんですよ!
今、他の職員が飲み込まれた搬送車のトレーラーの運転手を・・・
(「ロープ投げますからーッ」)あ、今運転手が・・・』
「わかった、役に立つか判らんが、我々の部隊の隊員を・・・」
防衛部隊隊長が言いかけた途端、
ドバァァァン!! ガゴッ・・・バリバリバリバリ!!
と、南側の門の近くで爆発音と崩れる音が響き、
「わあああああーーーーーっ!!」
「助けてくれーーーー!!」
と、悲鳴が上がった。それに驚いた防衛部隊隊員たちが、
「どうしたあーーー!!」
と、叫んで南側の門へかけていく。
「な・・・なんだ!?」
防衛部隊隊長は唖然とする。その途端に今度は東側と西側のゲートのほうで爆発音が響き、地面が陥没する音と崩壊する音が響く。
そして、4つの道路とゲートが陥没したあと、陥没したあとに浸水が起こり、
陥没した4つの軍用道路はその水たまりとなっていき、完全に水没・・・いや深い掘り状態となっていた。
これでは完全に、陸の離れ小島・・・いや、陸の孤島状態だ。
その途端、向こうからガァァァァァァッ、と、何台かの襲撃部隊のトレーラーがクレスト無人要塞のほうに突っ込んで来た。
それも、亀裂を起こし、浸水した道路を軽々と小ジャンプで飛び越えて、
無人要塞のテント型の弾薬保管庫を押しつぶして、突っ込んで来た。
「どわあっ!?」
防衛部隊隊員たちはあわてて突っ込んで来るトレーラーを避ける。そしてトレーラーは斜めに向けて停車した状態で、そのまま停まった。
「な・・・なにをする!?」
「おい、そこのトレーラーの運転手!! 免許証を・・・うわああっ!?」
その途端に、もう1台のトレーラーが突っ込んで来て、振り向いて飛び退こうとした防衛部隊隊員たちをはねとばしながら、
ギャギャギャギャッ、と、音を立てて停車した。



「何事だ!? それになんだ、このトレーラーは!?」
無人要塞の司令室にいたクレスト司令が窓を開けて叫ぶ。その途端に司令室のほうに行っていた防衛部隊隊長が、そばにいた隊員に命令する。
「要塞防衛に雇ったレイヴンがいるはずだ、すぐに呼んで来てくれ」
「はい!!」
隊員はすぐに司令室を急ぎ足で出ていく。そして、しばらくすると2人のレイヴンがパイロットスーツに着替えながら駆け付けて来た。
この2人のレイヴンは、クラフツパーソンにアドヴェント。両方とも目覚ましい成果をあげたレイヴンだ。
「防衛部隊隊長、お呼びでございますか?」
「ハンガーへ行け! すぐにACを起動させろ。MT搭載のトレーラーが敷地内に進入したらしい」
防衛部隊隊長の言葉に、2人は頷いてハンガーのほうへ向かった。
そして防衛部隊隊長は、急ぎ足で傍を走っていた隊員の1人を掴まえて、司令に知らせてこいと伝えた。
その隊員は急ぎ足で伝言を持っていく。


「出番だ、フリューゲル、バイン。この砦を穴だらけにしてやれ!」
襲撃部隊の命令で、何台かのトレーラーから分離型MT「フリューゲル・Type-F」と
分離型MT「バイン・Type-W」が次々と飛び出し、無人要塞へ攻撃を加えた。
「敵のMT部隊が動き出した。アドヴェントとクラフツパーソンはこれを迎撃しろ。
要塞のゲートを開けると敵が侵入してくるぞ! 各方面のゲートは全て厳重にロックしろ!!」
防衛部隊隊長は指示を出す。
その時、クレストの無人要塞の内部も、慌ただしい動きでいっぱいだった。
「この要塞の防火扉とゲートを全部閉めて中に立て篭れ!! 未完成の要塞と言えども我がクレストの要塞だ、
そう簡単においそれと入って来れるものでも無く、潰せるものでも無いと言う事を教えてやる!!」
クレスト司令は各防衛部隊隊員にテキパキと命令を出す。それで慌ただしく武装した
隊員たちが走っていく。命令を出したあと、傍にいた防衛部隊隊長に聞く。
「後続のレイヴンはどうした?」
「今、メールを送りました。少し時間がたったあとに来ると思います」
「とにかく、後続が来るまで踏ん張るしか無いだろう。何、陸の孤島でも無い、少し時間が経てば・・・」
「それが・・・」
「どうした?・・・何ッ!!? 軍用道路とゲートが潰されてるだとォ!?」
防衛部隊隊長の言葉に、態度と顔色を変えたクレスト司令。
「陸の孤島になってしまっているのですよ!」
パニックに陥る防衛部隊隊長とクレスト司令。だが、あの道は潰されて以上、もうどうにもならない。
ドン!! ドン!! ドン!!
バシュゥゥン!! バシュゥゥン!!
「くそっ! ちょこまかと上空を飛んできやがる!」
クラフツパーソンはスナイパーライフルとEOを絡めた攻撃を放ちながら叫ぶ。フリューゲルは動きが速く、思うように攻撃が届かない。
爆発する寸前にバインを投下するので、地上の敵を相手にしては空の敵を相手にし、空の敵を相手にしては地上の敵を相手にする。
こんな大忙しなパターンに、2人も疲れを見せ始めた。
ドオンッ!! ドオンッ!!
バシュゥゥッ・・・・ドドオンッ!!
「アドヴェントより防衛部隊隊長・・!! このままでは持たない・・・!! お、応援を・・・応援をッ・・・・!!」
「今、後続の部隊のレイヴンが向かっている。もう少し耐えろ」
アドヴェントも体に震撼する痛みを噛み殺しながら、防衛部隊隊長に応援要請を頼むが、
援軍が来るからもう少し耐えろと言葉をかけられ、頑張れ、頑張れと言い聞かせながら必死に敵を倒している。
哨戒塔のオウルクラウン5台も上空のフリューゲルを狙い撃ちにするが、フリューゲルの動きが速くてなかなかその動きについていけない。
そして、地上におりたバインはガシャ、ガシャ、ガシャ、と、カニ歩きをしながら施設のほうへ攻撃を加える。
入り口のほうの扉にもバインのマシンガンが集中砲火となって攻撃をして来た。カカカカカン、カカカカカンと、マシンガンの銃痕が扉につく。
「こっちのバインも投下しろ、裏側の扉をブチ破ってやれ!!」
フリューゲルのパイロットたちが言い合ってバインを次々と投下した。ガショッ、と、
バインが地面に投下され、投下されたバインの両腕のマシンガンが裏門へと集中していく。
「ダメだ!! マスターピースとスケアヘッドだけでは支え切れない!!」
クラフツパーソンが汗だくの顔を見せて叫ぶ。その途端に、バキッ!! と、裏門の要塞入り口が破られた。
そこへ武装犯の連中が要塞内部へ潜入する。
「敵部隊、基地内部へ侵入!!」
防衛部隊隊長の声が響く。その途端に、敵を迎撃していたオウルクラウンが、銃口を基地へ向けた。その途端に攻撃が始まる。
これを見て、クラフツパーソンが叫ぶ。
「何のつもりだ、貴様!?」
「クラフツパーソン、砲台が敵部隊に占拠された!! 注意しろ!!」
「うぉのれぇ・・・」
クラフツパーソンは怒りだした。その途端、ドドドドドドドド!! と、どこからかマシンガンの銃弾が、
上空を徘徊していたフリューゲルを撃ち落とす。フリューゲルはバインを投下しようとしていたらしく、
それの所を間もなく撃墜された。また、地
上を蟹歩きしていたバインが、投擲銃の弾でバラバラに消し飛んだ。
「「なっ!?」」
「おう、待たせてすまんな!」
「お待たせ、待たせてごめんね!」
「「あっ!?」」
何処からともなく聞こえた2つの声に、クラフツパーソンとアドヴェントは驚いて顔をあげる。
よく見ると、遠くから1体の紫色の重装ACと、黒と赤のカラーリングのタンクACががブーストダッシュでこちらに向かって来た。
重装ACは肩に大型ミサイルとロケット、腕にマシンガンに投擲銃と言い、タンクACは全身投擲銃でかためたACだ。
「あいつは・・・」
「ローテーション・・・カラミティメイカーだ!」
アドヴェントが叫ぶ。重装ACのパイロットは、「ローテーション」。AC名は「ヴァリアードアームズ」だ。
そしてタンクACのパイロットは「カラミティメイカー」で、
AC名は「ダイナミックトラップ」だ。様々な武器を兼ね備えたACで、どれもありとあらゆる状況に使う事ができる。
座右の銘は「備えあれば憂いなし」。
カラミティメイカーは、敵が策略にはまる瞬間を見るのが堪らなく好きだと語り、奇襲戦法を得意とする。
そのため、地雷や投擲銃で固めた重戦車ACを作り、あふれる作戦や策略を使う事も得意としている。
そのため、レイヴンたちからは「女策士」と言われている。
「バカやろう、待たせすぎだぞ!」
「ローテーション、もう大丈夫なんだな!?」
「ああ・・・心配かけてしまってすまぬ」
「うん、心配かけてごめんね」
4人が笑いあっているのも暫くの内。そしてキッと敵部隊をにらみつけて、
「「「「行くぞ!!」」」」
と、叫んで一斉に反撃を始めた。
「レッツプレイ!!」
クラフツパーソンとローテーションが一斉に攻撃を始める。
両者のマシンガンとEOが一斉に火を吹き、辺りを徘徊していたフリューゲルを次々と撃墜していく。
「さあ・・・反撃開始だ!!」
アドヴェントが地上に降りて、両手の3連ライフルとミサイルを絡めた攻撃を辺り中に打ちまける。
地上をガシャ、ガシャと蟹歩きしていたバインを次々と叩きのめしていく。
「食らえっ!!」
カラミティメイカーは投擲銃を乱射する。そのとき、地上を蟹歩きで歩いていたバインを次々と吹き飛ばす。
爆発が激しく起こり、当たったバインは火達磨になって辺りを歩き回っていた。
「すげ・・・こぇぇぇーーーっ!!」
「左の砲台に気をつけろ、クラフツパーソン! そっちに狙いを定めている!」
アドヴェントが情報を送る。
10体以上のフリューゲルとバインを倒したところで、防衛部隊隊長がインカムを手にとって通信を送る。
「新たな敵影を確認、速やかに迎撃してくれ」
すると今度は、フリューゲルとバインの応援に来たかのように、
北と南の破壊されたゲートからランスポーターとアローポーターの大軍が現れた。
「増援だ!!」
「ま・・・また、すごい数!!」
無人要塞の防衛部隊隊員たちは飛び上がったが、カラミティメイカーは平然としていた。
そして彼女はダイナミックトラップをランスポーターとアローポーターの大軍に突っ込む。アドヴェントが叫ぶ。
「たくさんいるぞ!! 1人じゃ危ない!!」
「こんなもの、私にとっては何人来ようとも普通って事さっ!!」
そう叫んだカラミティメイカーは、肩と両腕の投擲銃を一斉に発射した。
その途端に爆発が激しく起こって、ランスポーターとアローポーターの大軍を次々と吹き飛ばす。
ドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォン!!!!!
ドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォン!!!!!
「うっそぉ・・・」
アドヴェントは呆然としていた。
一瞬にしてランスポーターとアローポーターの大軍を投擲銃のみで一瞬にして撃破したと言う事に、呆然としていた。
その途端に後ろを振り返った途端、
「さらにー!」
と、叫んで驚いた。今度はクラフツパーソンとローテーションが南側のゲート付近でマシンガンとEOの乱射を辺りにばらまく。
さっきのカラミティメイカー同様、爆発が激しく起こり、ランスポーターとアローポーターの大軍を次々と吹き飛ばす。
ドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォン!!!!!
ドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォン!!!!!
「うっそぉ・・・・」
アドヴェントはやっぱり驚く他しか無かった。たとえ1人や2人で大軍に立ち向かおうとも、1人1人の力が強ければ問題ない。
それの結論に、アドヴェントは心の中で感心した。
この調子で4人は敵部隊の勢力を一気に殲滅する。
だんだん敵の数が少なくなって来た頃、防衛部隊隊長の通信が入る。
「敵部隊の後退を確認。レイヴン、君達の働き・・・!? A、AC!?」
「どうしたんですか!?」
「新たな熱源を感知した! ACの接近を確認!! カストールとダイナモだ!」
上空を1体の輸送ヘリが飛んで来て、2体のACがそれに運ばれてやって来て、地面に降ろされた。
1体の「カストール」は、オレンジと薄い緑のカラーリングのタンクACで、腕にライフルと投擲銃、両肩にパルスキャノンと言った武装で、
もう1体の「ダイナモ」は黄色いカラーリングの逆関節ACで、両手にハンドミサイル、肩に小型ミサイル、中型ミサイルと言った武装だ。
「同業者の奴等か・・・これも仕事だ、悪く思うな!!」
カストールのパイロット「バックブレイカー」がにやりと笑いかける。そして、ダイナモのパイロットは「フレア」というレイヴンだ。
「敵ACに敷地内に侵入された、直ちに撃破しろ!!」
防衛部隊隊長が叫ぶ。その途端に6体のACが、“陸の孤島”と化したクレストの無人要塞で激戦を始めた。
「ぬおおおりゃああああっ!!」
ローテーションのヴァリアードアームズが先ず最初にフレアのダイナモに突進した。
だがその途端にフレアのダイナモが高くジャンプしてこちらの突進攻撃を躱した。
その途端に、ヴァリアードアームズの横を素早く通り抜けたダイナモは、
バックブレイカーのカストールと交戦中のアドヴェントのスケアヘッドとクラフツパーソンのマスターピースにむかった。
「クラフツ!! アドヴェント!! そっちに1体行ったぞ!!」
「なにッ!?」
アドヴェントとクラフツパーソンが振り返ると、フレアのダイナモは両手のハンドミサイルから大量のミサイルを射出した。
無数のミサイルが襲い掛かる。
「ちっ!!」
アドヴェントとクラフツパーソンは舌打ちをする。だが、避け切れない。多少の被弾はやむを得ず、スケアヘッドとマスターピースは被弾した。
ドドドドドドドドドドド!! ドガン、ドガン、ドガン、ドガン!!
「クラフツ!! アドヴェント!!」
施設の屋上から援護射撃を続けているカラミティメイカーは、攻撃を受け続けているアドヴェントとクラフツパーソンを見て叫ぶ。
続けてフレアが第2射を放とうとした途端、
「この野郎・・・いい気になるなよ!! ローテーション!!」
クラフツパーソンはそう叫ぶと、がフレアのダイナモのコアを、ガシッと鷲掴みにした。
その途端にローテーションの名を叫ぶと、ローテーションのほうに、ダイナモを押し出した。
「ぬおおおおおおあああああああぁぁぁ!!!!」
ローテーションは渾身の力を込めて、投擲銃と大型ミサイルを至近距離でダイナモに
ぶつけた。グワシャッ、バガァァァァン!!! と、爆発が起こる。
「うっ・・・!!」
フレアは爆発の衝撃に体中を激しく痛み付けて、小さい呻きをあげる。
だがその途端にローテーションがもう一撃を決めようと投擲銃と大型ミサイルの一撃をもう1度決めようと、
ヴァリアードアームズをダイナモに突進させる。
フレアはさっと体勢を立て直し、ハンドミサイルの一斉射撃をヴァリアードアームズに叩き込む。
ドドドドドドドドドド!! ドドドドドドドドドドド!!
ガシッ、ガシッ、ガシッ、ガシッ、ズバン、ズバン、ズバン、ズバン!!
「このヤロー、このヤロー、このヤローっ!!」
次第にローテーションも熱くなり、あらゆる武器をフレアのダイナモに打つけまくる。
その度に小さい爆発が激しく起こる。
一方、アドヴェントクラフツパーソンと交戦中だったバックブレイカーは、このままだと分が悪いと見て、両肩のパルスキャノンを一斉に発射した。
パーッ、パーッ、パーッ、パーッと2つの紫の光球がアドヴェントのスケアヘッドの両手のライフルを撃ち潰し、
クラフツパーソンのマスターピースの両腕のジョイントに亀裂を起こさせる。
バグッ、と、クラフツパーソンのマスターピースのジョイントに異変が起こった。
「・・・両腕の調子がおかしい!!」
「今のでライフルを潰された! クソッ・・ふざけた事しやがって!!」
アドヴェントは武器をミサイルに変えた。そして両肩のミサイルを放ち、カストールのパルスキャノンの銃口に撃ちこんで誘爆を起こす。
バシュゥゥッ、と、音が響いてパルスキャノンがバーストする。
「パルスキャノンのエネルギーゲージがバーストしたか!!」
パックブレイカーは左肩のパルスキャノンがバーストによって使えなくなった事を知り、焦って武器を変えようとする。
だがその途端にマスターピースのブレードを右腕に受けた。
バキィン、ドバシュッ、ガシャン! 土煙をあげてカストールの右腕が地面に落ちる。
「くそっ!!」
バックブレイカーはブーストジャンプで後ろへバ?する。
そして投擲銃と実弾EOでクラフツパーソンのマスターピースに狙いを付け、同時に両方を絡んだアタックを試みようとする。
だがその途端に上から落ちて来たカラミティメイカーのダイナミックトラップの投擲銃の攻撃で、EOを潰された。
バキッ、と、EOが地面に落ちる。
「ちっ!!」
バックブレイカーはEOを封じ込まれた事に舌を打つ。
その途端にすぐ近くで爆発音が響き、カストールの通信機から通信が入り込んで来て、
「ぎゃああああぁぁぁぁぁ・・・」
と、フレアの断末魔が響き渡る。驚いて何かと隣を見ると、フレアのダイナモが爆発を起こし、
火をその場に巻き散らして倒れていく姿だった。 そして、バァン!! と、爆発が起こった。
「フレア!」
ドァァァァム!! と、2度目の爆発が起こる。
その途端に煙の中にボロボロになったローテーションのヴァリアードアームズがその場に立っている影が見えた。
「貴様・・・許さんぞ!!!!! うおおおおおおおお!!!!」
バックブレイカーは右肩のパルスキャノンと投擲銃を絡めた攻撃を当たり中に放ちながら、ローテーションのヴァリアードアームズへ突進した。
「!? な、何だ・・・・!?」
ローテーションは突進して来るカストールを見て驚く。
その途端にバキッ、バキッ、といやな音が響き、肩武装と腕武装ごと吹き飛ばされていく自分の愛機の両腕が見えた。
「なっ・・・!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ドガァァァム!!
「うわぁぁぁ・・・!!」
その瞬間にカストールの波状攻撃に押しつぶされて、ローテーションのヴァリアードアームズは押し倒され、行動不能状態になっていた。
「ローテーション!!」
「すまない、クラフツ! もう大破状態だ、帰還する!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
カストールは今度はアドヴェントとクラフツパーソンの方へ向かって来た。だがカストールは、馬鹿な方向に攻撃ばかりしていた。
バックブレイカーの周りを吹き荒れる負の感情のせいで周りが見えてないせいなのだ。
「こいつ、完全にイカレてるな」
クラフツパーソンは呟く。カストールは未だ完全に馬鹿な方向に攻撃しまくっている。
目の前にカストールが迫って来た。だがまだ無意味な方向に攻撃をし続けている。
「クラフツ!」
アドヴェントが、頷く。
「クラフツッ!」
要塞の上にいるカラミティメイカーも、やれと言った。
そして、クラフツパーソンのマスターピースは左腕から閃光を放ち、それをカストールへ振り上げる。
「さっさと悪しき夢から目を覚ませよ、この一撃でなぁ!!!」
渾身の力を込めて痛恨の一撃を決める。カストールは幹竹割りのごとく阿た間から真っ二つに斬り降ろされ、爆発を起こした。
「こ・・・こんな・・・筈・・・・は・・・!?」
バックブレイカーの最期の一言が聞こえたが、誰も聞いてはいない。
その途端にブースターパックに直撃し、カストールのコアがオーバーロード。そしてそのまま大爆発を起こした。
「ぐぅぁぁぁぁ・・・・」
断末魔の声が響く中、カストールは砕け散った。爆発が大きく広がる。
ドグォォォォム・・・・ドドドドゥゥンン!!
大爆発が起こった。それを見て、防衛部隊隊長とクレスト司令がぼやく。
「決まった・・・・な」
「ああ・・・レイヴンたちの圧勝です」
防衛部隊隊長は爆発した2体の敵ACの姿を見送りながら、そのまま司令室を出ていく。

「敵部隊の後退を確認。レイヴンたち、君達の働きに感謝する」
グローバルコーテックス・宿泊施設のラウンジにて、4人は夕餉をかこみながら、御苦労会をしていた。
ローテーションがクラフツパーソンとアドヴェントに飲みねえ飲みねえ、食いねえ食いねえと進めている。
「どうした、何を吃驚している? もっと食っていいんだぞ」
「あ・・・ああ・・・」
「何を驚いているの?」
「い・・いやあ・・・2人のおごりってどうせパンや弁当なんかだろうって・・・・・」
「特別報酬がドッサリと出て来たからな。救援に駆け付けるのに遅れてしまったお詫びだ。まあ、此れ食って御苦労会や反省会を開こうな」
出されたものは、大皿に盛られた山ほどのサンドイッチに、2つのボトルに入ったワインというものだ。
ローテーションが1つ掴んでガバッとかぶりついて言う。
「それで・・・おれたちがいない間、クレスト無人要塞の様子はどうなっていた?」
「分離型MTの大軍に踊らされながら、要塞ん中に敵を入れさせないのが精一杯だったよ。
おまけに気がつけば敵を狙撃していた砲台が敵に乗っ取られたって言うしよ」
クラフツパーソンは、ハムとチキンのサンドを口でクチャクチャさせながら言う。
「それは大変だったな」
「大変も何も・・・作戦を受ける前にクレストが
「敵の攻撃によって被った要塞の被害の段階によって、報酬額は決定させてもらう」という言葉に嘘は無かった。
それで5000cもクレストに奪われて、修理費や弾薬代に込まれて帰って来た報酬の額が1000cこれっぽっちなんだよ。
「十分な報酬は約束する」とか言ってさあ・・・笑い事じゃ無いぞ!! 資金不足でこの作戦を受けた結果がこの様だ」
アドヴェントは冷たいワインを飲みながらぶつくさ言う。カラミティメイカーは1つ掴みながらワインを飲んで言う。
「しっかしグローバルコーテックスも、冷静沈着な元MT乗りのクラフツの才能をよく見抜けたものね」
「おいおい、そんな事言うなよ。グローバルは俺の才能を見抜いたわけじゃ無く、俺の才能に最初から気づいてたものだ。
おい、アドヴェント・・・悪いけどグラスを取ってくれねえか?」
「ああグラスね・・・はいよ」
「お、サンキュー」
グラスをクラフツパーソンに手渡したアドヴェントは、付け入るように聞く。
「おい、1つ聞いていいか」
「何だ?」
「お前、元MT乗りだろ。レイヴンの仲間入りになって楽しいのか?」
アドヴェントの質問に、クラフツパーソンはまた1つ掴んでかぶりつきながら言う。
「別に楽しいから・・・・やってるわけじゃ無いぞ」
クラフツパーソンは続ける。
「任務を受けたら戦場に行く。そして成功させて帰ってくる。そして報酬を受け取る。
あとはしらない。こういうのが任務を受ける日頃の流れだと言うのは知っているからだろ。
でも、戦場は臨場感を魂に受け取る場所で、死の場所・・・いわゆるデスエリアだ。
レイヴンは、俺たちはそう思いながら緊張感を噛み殺しながら、戦場に旅立つ。
まぁ、こんな緊張感を噛み殺し続ける場所で、つまらないなら自分で楽しくさせればいい。
そして、油断したものに訪れる「死」というモノに気を付けてな。俺はそう思ってるけどな」
クラフツパーソンの力説に、3人は頷いたかのように見えたけど、ププッ、と、笑い出した。カラミティメイカーが、笑いながら呟く。
「冷静沈着なクラフツ君に力説させられちゃうとねぇ〜〜〜」
「わ、悪いかよーーー!?」
カラミティメイカーは、笑うのを止めてニコッ、と、微笑みかける。
「でも、ありがとう。ちょっと勇気が出たよ」
「勇気?」
「そ、勇気。「勇気」という武器を手に入れる事ができたんだよ♪ まあ、力説で手に入れたのはほんのチョビッとの勇気だけどね。
ちょっと化粧室に行って来るよ」
カラミティメイカーはそう言い残すと、ラウンジを出ていった。
「何だ、彼奴・・・・」
アドヴェントはまた1つ掴んで齧りながら、カラミティメイカーの後ろ姿を見送った。
そしていつの間にか、ローテーションはテーブルに突っ伏して寝ている。
クラフツパーソンは、ハムチキンのサンドイッチとツナのサンドイッチをを頬張りながら、窓の向こうにある夜空に浮かぶ月を見上げた。
「飯を食って、寝て、また起きて・・・普段のお決まりの日常はこう流れていくのか。
任務のある日常とは違うしな・・・。まあ、この日常は平和だ」
クラフツパーソンは食べかけの2つのサンドイッチを置くと、夜空に浮かぶ月にワインのグラスを捧げて、こう言った。

「帰れなかった者たちに、いつか帰れる事を信じて・・・そして、この世界の戦乱がいつか終わる事を信じて、美しき月に、献杯」



ども、武田です。
いやー、今回は11ページに渡る長編(?)を描いて、
書いていて本当に素晴らしかったと思います。
皆さんは長編と言えば、何ページ書いているでしょうか?
まあ、今度はもっと長く書こうかなぁー、と、考えていますし・・・。
では、次は「特殊輸送車両追撃」の予定です。

(新しく登場したレイヴン)
名称:ローテーション(36)
全身に多彩な武器と弾薬の多い武器を装備し、攻撃パターンも様々に繰り出すレイヴン。
弾切れになると言う事を心配して、そのために積載量の多い重量2脚を選び、耐久力の高いパーツを選んで長期戦を得意とした機体で挑む。
また、本人は様々な武器を使う事で、どれを使えばいいのか迷ってしまう事も多い。
座右の銘は「備えあれば憂いなし」で、AC「ヴァリアードアームズ」を駆る。

名称:カラミティメイカー(28)
敵が策略にはまる瞬間を見るのを堪らなく好きだと語る彼女は、
奇襲戦法を得意とする。機体に様々なトラップ用の地雷、投擲銃で固めた重戦車で、
あふれる策略や作戦で敵を確実に葬り去る事から、「女策士」と呼ばれている。
自分の頭脳に自信を持っているから、予想外の展開となれば熱くなり、苛立ちはじめる傾向がある。
タンクAC「ダイナミックトラップ」を駆る。

(今回登場した敵レイヴン)
名称:バックブレイカー(48)
AC:カストール
頭部:MHD-RE/008
コア:CCL-02-E1
腕部:MAM-SS/ALS
脚部:CLC-03-MLKS
ブースタ:None
FCS:AOX-X/WS-3
ジェネレータ:CGP-ROZ
ラジエータ:RMR-ICICLE
インサイド:None
エクステンション:KEEP-ELIX
右肩装備:MWC-XP/75
左肩装備:MWC-XP/75
右腕装備:MWG-RF/300
左腕装備:KWG-NHZL60
オプション:OP-S/SCR   OP-E/SCR   OP-ECMP   OP-SP/E++   OP-TQ/CE

名称:フレア(18)
AC:ダイナモ
頭部:CHD-09-OXI
コア:CCD-OV-IKS
腕部:CAM-11-SOL
脚部:CLB-32-NMU
ブースタ:MBT-OX/E9
FCS:VREX-ST-12
ジェネレータ:MGP-VE905
ラジエータ:RMR-SA44
インサイド:CWI-FM-30
エクステンション:CWEM-R20
右肩装備:CWM-S60-12
左肩装備:CWM-M36-4
右腕装備:CWGG-HM-80
左腕装備:MWGG-HML-18
オプション:OP-S/SCR   OP-E/SCR   OP-LFCS++   OP-A/AXL
作者:武田 慎さん