幽霊ＡＣがいる・・・。

その噂はまたたくまにアリーナ内で広がっていった。

なんでもアリーナに突如として現れ試合をしているランカーたちを次々と破壊していくというものだった。

そのＡＣの目的が何なのか、どこから来たのか、所属はどこなのか、知る者はいなかった。

なにせ追撃しようとしても返り討ちにあうからであった。

ジオマトリクス、エムロード、そしてコンコード社自らがレイヴンを雇っても今まで追撃できたものはおらず、

コンコードとしても途方にくれていた。

噂ではそのＡＣは旧型の装備で赤い機体だということだ。

そういえば昔そんなトップランカーがいたということを思い出す。

結局敵討ちにあい、死亡したとか言われていた伝説のレイヴン・・・。

名は確か・・・ナイン・・・

電子音とともに一通のメールが届いた。

内容は噂の幽霊ＡＣの捕獲、もしくは撃破・・・。

「ついに俺にも回ってきたか・・・」

声を出してそうつぶやく。

いつか来るかもとは思っていた。Ｂランクともなればそれなりの腕だ、こういう依頼が来てもおかしくない。

「いくか・・・」

依頼を断る理由も特になかったので、受けることにした。

めんどくさいことは嫌いだったが、それでも報酬は高いからだ。

暗い部屋の中、一人のレイヴンがガレージに向かった。