サイドストーリー

SILENTLINE EPISODE 9 〜東と西の反乱〜
「ローダス兵器開発工場救援」―――――。
クレスト部隊とレイヴンたちは大勢力のミラージュの機動部隊の猛攻を押し返す事ができた。
その後でクレスト部隊は勢力の半分を喪失、ミラージュ機動部隊も勢力の半分を失った。
クレストは大半を衛星砲、ミラージュ機動部隊によって破壊されたローダス兵器開発工場の凍結作業に入り、
3日も掛けてローダス兵器開発工場を完全閉鎖した。
「ローダス兵器開発工場救援」の後、グローバルコーテックスの宿舎で、大半の報酬を袋に入れて持って帰ってきた6人
(メビウスリング、フォグシャドウ、アイロニー、フレイム、クラフツパーソン、アドヴェント)は、
各々の部屋に入るとそれぞれで休息を過ごした。

「これはこれは、A-1の「覇王」メビウスリングどの。無事御帰還かい?」
次の日に、グローバルコーテックス宿舎内の食堂で、朝食を食べに起きたメビウスリングはゼロに声をかけられた。
「私が1ランク下のお前に声をかけられるとは、1年ぶり・・・いや、3年以上か。
A-2の「戦神」ゼロどの」
メビウスリングは食事の入った食器をテーブルに置いた。
「お前とフォグシャドウ、その他の活躍は昨日のテレビで聞いたよ。
大勢力のミラージュ機動部隊を6人でクレストと共同して、押し返したんだってね?」
「まあな」
メビウスリングは無表情のままだ。
「このごろ、反ミラージュの武装勢力「F.H.」が動き出しているっていう噂は知っているか?」
「武装勢力F.H.(フライングハーツ)だと?」
「ああ。そりゃあ恐ろしい奴等らしい。新居住区にある沢山の隠れ家を拠点にして、活動しているという噂が流れている。
この前のニュースで、ミラージュの契約相手、社員6人が殺されたって聞いた」
「・・・・・」
「とにかく、F.H.の「東軍」「西軍」「南軍」「北軍」もミラージュを狙っている。
その南軍と北軍のリーダーが、D-1のスネイクチャーマーと、C-7のプロミネンスの姿があると言うんだ」
「何?」
メビウスリングは一度素頓狂な顔をする。
そしてそのメビウスリングに話そうとするゼロの後ろ姿を、恨めしそうで鋭い視線で見つめている者が1人いた。
その者とはカラードネイル。家族を皆殺しにしたゼロを憎んでいるから、その視線で見るのは当然だ。
ゼロはカラードネイルに見られているのに気づいているが、構わずに話す。

「インストラグルの率いる「東軍」は要人襲撃のプロフェッショナルだ。ミラージュ社の要人の乗った車両や飛行機を、影から狙撃、
またはAC・MTで車両、飛行機を襲撃する」

「D-1のスネイクチャーマーの率いる「南軍」はサディスティック、カニバリズムな人間の多い集団で、誘拐や勾引し、
人肉料理を好む残酷な集団だ。女子供問わず、ミラージュの社員を誘拐しては、虐めて虐めて、死ぬ前に止めて、また虐める。
これを誘拐してきた社員が死ぬまで繰り返し続ける。しまいに、その社員たちを煮たり焼いたりして料理してしまったと聞いているぞ。
焼いてバーベキューにされたり、煮えたぎった油で唐揚げにされて料理されたやつが、殆どがまるまる肥えた人間だそうだ。
あとの普通の社員は釜で煮付けにされた」

「デスグリップの率いる「西軍」は、ミラージュビル爆破、ミラージュ重要施設の襲撃のプロフェッショナルだ。
ひたすらミラージュ支社ビルを尽く襲撃しては破壊し、破壊しては攫ってきた要人や社員達を「炮烙」の刑に処する」
「炮烙?」
「油の塗られた棒の上を裸で歩かされる刑だ。下は高温の炎で、落ちたらバーベキューになる。
昔、かつて何処かの国の王が諌言を述べた者をこの刑に処したらしい」

「C-7のプロミネンスの率いる「北軍」は、ミラージュの信望を大きく失墜させる攻撃を狙ってくる。ひたすらミラージュのケツを狙う攻撃だ」
「信望を失墜させる攻撃だと?」
「水精製施設やブリッジなどの、ミラージュの管理する必要拠点、交通網を破壊するってこと。
つまり無防備にケツを振っているミラージュの背後をチクる攻撃だ」

この武装集団の中で4つの勢力が、ミラージュに対する攻撃活動を行っているのをメビウスリングは知った。
さすがにメビウスリングも「ミラージュもモタモタしてられないな」
と詠む。
「どうした? 食わないのならオレにくれ」
ゼロが話し掛けてきて、ハッと我に帰るメビウスリング。そして、黙々と食事を食い始めた。
ゼロは「食う気になったか」と思って、ムシャムシャと食事に手をつける。




武装集団F.H.は、新居住区のとあるニュータウンの新造マンションに住み着いている。
空き地とかした公園をMT・ACの訓練場、射撃場にし、様々なオブジェの立ち並ぶ遊歩道を、奇襲訓練の練習場として、
マンションの部屋の大半は宿舎にし、その残りが食糧、弾薬保管庫、資金庫として活用している。駐車場は、MT・AC置き場になっていた。
その訓練の様子を覗いてみると、武装犯の5、6人が、MTに乗ってミラージュ要人襲撃訓練を行っていた。
「車からおりろ!!」
上級格闘MT「カイノス/EO2」に乗った武装犯の1人が、レーザーライフルを突き付けて叫ぶ。
そして車から、豪華な着物を着た男が1人、怯えている演技を打ちながら、車から手を上げておりる。
その時には、3体の高火力MT「ファイアーベルク」がガトリングガンを構えて車を取り囲んでいた。
その時、「東軍」のリーダー「インストラグル」が手を叩いて出てきた。
「よし、上出来だ。だが、ファイアーベルクが出てくるのが少し遅い。カイノス、お前その時だったらミラージュ部隊に蜂の巣にされていたぞ」
インストラグルにいわれて、
「ひええ〜〜、ちゃんと援護してくれよう」
と、カイノスに乗った武装犯がおっ魂消ていた。
「す、すまん・・・」
ファイアーベルクの武装犯たちもペコペコする。
「もう一度」
インストラグルが静かに言うと、「はっ!!」と武装犯たちは敬礼し、もう一度要人襲撃訓練を始める。
その時、武装犯の1人が、駆け付けてきた。
「インストラグル様、南軍の同志達が、ミラージュの一味と思われる6人を捕獲、連行してまいりました」
「でかした! すぐ、連れて来い」
インストラグルが命令を出す。その時に武装犯が8人が、麻縄で縛ったミラージュの社員の6人を連れて来させた。
それを見たインストラグルは大いに喜び、周りにいた武装犯たちも集まってきて、大いに捕虜の社員6人を罵り、
蹴飛ばす殴るの暴行を振る舞う。
「だれか、こいつらを処分してくれるものは?」
インストラグルがそう言うと、武装犯の1人が、
「こういう処理はスネイクチャーマー様にお任せした方が宜しいかと」
と、ペコッと頭を下げた。
「ならすぐにスネイクチャーマーを呼ぶんだ」
と、インストラグル。武装犯はその言葉をのむと敬礼してから何処かへ走っていき、
暫くしてから赤のマントを見に纏い、赤いサングラスをつけた男を伴って来た。
この男こそが、「スネイクチャーマー」。アリーナでは1、2を争う残酷なレイヴンで、
眼前の敵が苦しむのを至福の喜びとし、嫌悪感を持たされている人間を作っているが、その実力は本物。
彼の力は止められず、彼によって作られた犠牲者は増える一方である。
両手に火炎放射器、肩にロケット、リニアガンを装備した4脚AC「コブラワインド」を駆る。
「新たな捕虜が来たようだが・・・こいつ等の処分はどうするべきか?」
インストラグルが聞くと、スネイクチャーマーはニンマリと笑い、
「決まっているだろう、俺が料理してやろう。3人がまるまると肥っていて、もう3人は痩せている。
肥えたやつはタレをかけて香ばしい肉の串刺しにして焼いて食うのが良く、もう3人は火を起こしてフライにし、
タルタルソースの肉フライのサラド(サラダ)にするのが良い。ハァッ、ハッハッハッハッハッハッハッ!」
スネイクチャーマーは高く笑う。そして捕虜の1人にグッ、と顔を寄せた。その1人は、
「お許し下さい、命だけは・・・」と泣き出す。だがスネイクチャーマーは構わずに、
「命だけは・・・だと? フッハッハッハッハッ! 手前は高い税の取り立てにこの新居住区の家を回り、
罪のない人間を苦しめていただろうが! 同志が処分しろとの注文だから、さあ、今度はこっちの番だ。
このスネイクチャーマー様がじっくりと時間をかけてお前等を料理してやる。
お前は肥えてるから、香ばしい焼き鳥の串刺しにしてやるぞ」
と、言うと、スウーッと一息深呼吸して、言葉を区切る。そして、
「おい、お前等。捕虜の処理に取りかかる。7、8人、俺の人肉調理の補助に来い」
スネイクチャーマーが叫ぶと、8人くらいの屈強な武装犯が駆け付けて来た。
そして6人の捕虜のミラージュ社員を、ガミガミ怒鳴って立ち上がらせて、スネイクチャーマーとともに6人の捕虜を連れて行った。
その行き先は、マンション第8号棟の地下に武装犯たちの手によって設けられた、広大な調理場である。
中には沢山の肉切り包丁、調理用の鉈やナイフ、鍋、火起こし釜、コンロ、鉄板が置いてある。
「よし! コイツ等の衣服を全て剥ぎ取れ!」
スネイクチャーマーが叫ぶ。その途端に武装犯の8人が「衣服剥ぎ取り、サンキュー!」と歓声を上げて捕虜の衣服を剥ぎに掛かる。
「わーーー、な、何を・・・」
「ひいいーーー、や、やめろーーー」
「やめてーーー」
悲鳴が上がる。そして10分掛かったあとで、捕虜の衣服は完全に剥ぎ取られていた。
そして真っ裸のまま、6人の捕虜は調理台の上に転がされている。武装犯の8人はスネイクチャーマーに報告する。
「準備ができました!(全)」
「よし・・・では調理に移る。まず、肥えたやつにはソースをブッかけてやれ。痩せたやつにはクリームを塗り、塩をよく身体中に揉み込め」
「はい、ソース、クリーム、塩の持ち込みお願いしまーす!!許可でました!!(全)」
武装犯たちは笑いながら塩とクリームの入った壷、ソースの入った大瓶を持って来て、早速捕虜の身体に塗り、ブッかける。
「な・・・何!? や、やだ、止めて!!」
「うわ、口に塩が・・・」
「ヴっ・・・ゲホッハッ・・・ハッ、ハックション!!」
「ゴホゲホゴホ」
「ブハッ、ソー・・・ソースが鼻に・・うわぁ、そ、そこはあう!!はう!!あう!!」
やがて10分か経った後に・・・スネイクチャーマーは本格的な調理命令を出す。
「よし・・・やれっ!!」
「はい、よろこんでーーーー!!(全)」
「はい、よろこんでーーーー!!(全)」
そして、武装犯たちは肉切り包丁、鉈、ナイフを持って捕虜に近づいて行く。
「う・・・お・・・やめろ・・・・」
トッ、トッ、トッ、トッ、トッ・・・
「や、やめろ・・・やめてくれ・・」
トッ、トッ、トッ、トッ、トッ・・・
悲鳴を上げ、うめき声を漏らす捕虜たち。嬉しそうに口を歪ませて眼をギラギラさせる武装犯たち。
肉切り包丁、鉈、ナイフがギラギラと眼の光と蛍光灯の光を受けて輝く。
「さ〜〜〜〜〜ぁ、覚悟しろ〜〜〜〜〜(全)」
「さ〜〜〜〜〜ぁ、覚悟しろ〜〜〜〜〜(全)」
「うっ・・うわああああ、く、来るな!!」
「やめろ・・・やめてくれ・・・!!」
「か、身体が・・身体が・・・身体が動かない!!」
ギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシ!!
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!
捕虜たちは逃げようとするが、手錠と猿轡で手を拘束されていて、身体が動かない。
トッ、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ・・・・・
トッ、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ・・・・・
「や、やめろぉぉぉ?????????!!!!!」
「や、止めろ・・やめっぁぁ・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァーーーッ!!!」
地下調理場に悲鳴が響き渡った。




ヂャリ・・ヂャリ・・ヂャリ・・・、
ヂャリ・・ヂャリ・・ヂャリ・・・、
ヂャリ・・ヂャリ・・ヂャリ・・・、
ヂャリ・・ヂャリ・・ヂャリ・・・・。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
さて、ここは夜の新居住区。
荒々しい息をしながら左右に眼を光らせながら動く機関銃やロケットランチャーを持った人影が8人ぐらい。
そして6個のズタボロに引き裂かれた、血だらけの「なにか」を引き摺っている。
そして街の路地裏に辿り着く。そして6個の「なにか」を、捨てた。
どさっ。
どさっ。
どさっ。
どさっ。
どさっ。
どさっ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
そしてまた、荒々しい息をしながら左右に眼を光らせる8人の人影。人影の手には、血のついたビニルの手袋が填められていた。
「くくくくく・・・」
「クックックッ・・・」
「ひっひっひっ・・・」
「ヒッヒッヒッ・・・」
「ヒヒヒヒヒ・・・」
「キヒヒヒヒヒ・・・・」
「きひひひひひ・・・・」
「ふははははははは・・・ぶはははははははははははっ!!」
意地悪い笑い声が谺する中、8人の人影はその場を去って行った。



その後で・・・
路地裏に捨てられた6個の「なにか」のまわりにロープが張り巡らされていた。
何人かの住人たち、ダンボーラーがそれを見てザワザワとしている。
「ひでえことしやがるなあ・・・」
「おまーら、顔滅茶苦茶、体中も滅茶苦茶でだれだあかわかんなかたべよ・・」
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
「おんかかかびさんまいえいそわか、おんかかかびさんまいえいそわか」
ダンボーラーの中年男、女たちは次々と呟く。
その「なにか」とはスネイクチャーマーとその手下の武装犯たちによって料理された6人の捕虜の死体で、
要するに美味しそうな部分(臀部、肝臓、腸、頬肉、舌、肋骨、筋肉、腿肉)を切りとられ、顔や指先を壊され、
歯を全部抜かれ、指紋を削られ、体中の骨をバラバラにされ、更に肢体を滅茶苦茶に千切られていた。
「あなたー!! あなたああああーーーー!!!」
「おにいちゃあああーーーーん!!」
「弟よー!!」
「父ちゃん!! とうちゃああああああん!!」
野次馬の中にはその6人の捕虜の社員の、妻や兄弟姉妹がいたらしく、6個の亡骸を見つけたと同時に次々と叫んで、亡骸に近寄ろうとする。
だがそのなかにいた、見せはしまいと何人かの屈強な若者や女性に止められてしまう。
「誰だ、嫁さんと子供なんか連れて来たのは!!」
「見せんじゃねーぞ!!」
「追い返せ!!」
「見せるでねべさ!!」
「追い返すだベ!!」
その押さえの若者、女性に何人かの野次馬が参加する。
野次馬の中にも、カラードネイル、リトルベア、ヴァーナルフラワー、メビウスリングの姿があった。
「酷い・・・」
リトルベアは6個の亡骸を見て唖然としていた。
「先日の会社の帰りに、武装した男たちに取り囲まれ、何処かへ連行されて人肉調理されて殺されたらしい」
メビウスリングはロープを跨いで亡骸を調べる。その時、
「メビウスさん・・その「人肉調理」って一体・・・?」
リトルベアが尋ねる。メビウスリングはロープを跨いでこちらに帰って来た。そして、リトルベアの顔をジッと見つめていたが、
「知りたいのか?」
メビウスリングがリトルベアに尋ね返すと、カラードネイルは言った。
「リトルとヴァーナルはまだ“彼ら”の正体は知らない。状況を知る必要がある」
カラードネイルに推されたメビウスリング。彼は暫く考え込んでいたが、
「フン・・・そのようだな」
と、くるりと背を向けた。そして、彼は続ける。
「此所じゃ話しにくいな・・場所を移ろう」
と、野次馬たちの間をすり抜けると、路地裏の表に出た。
「行くぞ」
メビウスリングの後を追うように、カラードネイルも2人に小声で言うとメビウスリングの後を追った。
リトルベアとヴァーナルフラワーも後に続く。
4人は、新居住区の5番街のレストランに場所を移した。
カラードネイル、リトルベア、ヴァーナルフラワーが席につき、メビウスリングが最後に席につくと、ウエイターに注文を頼む。
それも同じものを4人分だ。
「さて、君達が知る必要がある話を、此所で話すとするか」
メビウスリングはテーブルに置かれた氷水入りのグラスに手をかける。
「ああ・・・」
カラードネイルも頷く。
「武装集団F.H.・・フライングハーツは、4つの軍団によって組織されている。
インストラグルの率いる「東軍」、デスグリップの率いる「西軍」、D-1のスネイクチャーマーの率いる「南軍」、
C-7のプロミネンスの率いる「北軍」だ」
メビウスリングが説明した時、トン、とテーブルに彼が注文した4人分の食事が置かれた。
カラードネイル、リトルベア、ヴァーナルフラワーの前にも置かれる。それは、オムライスと揚げ餃子だ。
「これを食いながら話でもしよう・・・では、いただきます」
「「「いただきます」」」
メビウスリングが声をかける。そしてカラードネイル、リトルベア、ヴァーナルフラワーもいただきますと言う。
そして4人は食事に手をつける。
「インストラグルの率いる「東軍」は、ゲリラや要人襲撃、狙撃のプロフェッショナルの集まった集団だ」
メビウスリングは言葉を区切り、オムライスの一部を1つ切って、口に入れた。
「デスグリップの率いる「西軍」は、ミラージュの重要施設破壊を得意とする爆破テロ、ビルジャックどもの集まった集団だ。
発電施設や協力者の在するビルをことごとく潰す」
メビウスリングの口は話しながら、もぐもぐと動き続けている。
「スネイクチャーマーの率いる「南軍」は、サディスティックな集団だ。
また、カニバリズム殺人やバラバラ殺人、誘拐、人買い、人攫い、不順異性交遊、売春等の、猟奇殺人や犯罪を好む」
「・・・・・!!」
リトルベアは思わず、「スネイクチャーマー」という言葉を聞いて、思わず口にいれていた揚げ餃子のあんを、
ブ厚い皮と一緒に飲み込んでしまった。そして、震えながら口を動かして、
「スネイクチャーマーって、あの・・・」
「知っている。D-1の「キリング・マシーン(kiling machine 殺人機械)」
「シリアル・キラー(serial killier 連続殺人犯)」と呼ばれていた奴の事だ。
いつも眼前の敵が苦しみ呻くのを見る事が、至福の喜びだとか言っていたな」
メビウスリングは言葉をもう一度区切り、揚げ餃子にかぶりつく。
「スネイクチャーマーとその部下の武装犯たちは、誘拐して来たミラージュ社員を、男の場合は虐めて、虐めて、
虐めまくって死ぬ直前で止めて、また虐める。これが、誘拐して来た男性社員に対する仕打ちの場合さ。
女の場合は裸にして、身体を玩び、そして裸にした女の身体の各パーツを、デジカメで取る。
そしてまた玩び、玩び、玩び、しまいにはスネイクチャーマーに玩ばせる。
『玩ぶ』というのはな、股間や胸、尻を舐めて、触ったり、手を突っ込むするという嬲るようなやり方だ。
しまいに死んだ場合には体中の骨をバラバラにして、路地裏に捨てる。さらには、人肉を切りとって料理してしまって食った。
生きたまま身体を切り刻まれて料理されたやつもいるって話だ」
「・・・・・」
リトルベアはあまりにも酷い、スネイクチャーマーのやり方に思わず手をとめる。ブルブルッ、と身体を震わせた。
そこでカラードネイルが、餃子を齧りながら、
「おい、此所で漏らすなよ。お手洗ならそこだ」
と、向こうのほうにある「お手洗」と書かれた看板の部屋を指差した。
リトルベアはコクリと頷いて、もう一度止めていた手を動かして、オムライスと餃子を食い始める。
そして途中で水をぐいっと飲んだ。
「C-7のプロミネンスの率いる「北軍」は、ひたすらケツを狙ってくる」
「ケツ?」
メビウスリングの言葉に、ヴァーナルフラワーがスプーンを持った手を止めた。
「水精製施設、発電施設、エネルギー供給施設とかの、ここ新居住区に繋がるミラージュが作った重要施設を潰すと言うハラだ。
つまり無防備にケツ振って我が物顔でいるミラージュの背後をチクると言う作戦だ」
「・・・・・」
メビウスリングは揚げ餃子を黙々と食い続けて言う。ヴァーナルフラワーはコクリと頷く。
どうやら内容を理解出来たようで、またスプーンを持った手を動かし始め、黙々と食い続ける。そこでリトルベアが、尋ねる。
「C-7のプロミネンスって、水を極端に怖がるレイヴンでしたよね」
「ああ」
「でも、そんな人がよく水精製施設の襲撃作戦なんかに・・」
「さあな。それはプロミネンス本人に聞いてみなければわからない。それよりも疑問点が1つだけある」
「それとは一体?」
「何故、あのような強力な武装を何処から手に入れて来たのか、だ」
「強力な武装?」
「強力な武装とは、高火力MT「ファイアーベルク」と上級格闘型MT「カイノス/EO2」の事だよ。
先日のニュースで、ミラージュの経営する銀行が武装グループに襲われたという話は知っているか?
なんとそいつ等の乗っていたMTが、ファイアーベルクとカイノス/EO2・・・だったのだよ。
おそらくあのスネイクチャーマーとプロミネンスは、何処かの企業から送られて来たレイヴンらしく、あの強力な武装も
その企業が補助する為に大量の資金の添付に、送って来たかもな」
「・・・・・」
3人は黙々と食べながら、首を項垂れた。



翌日、テレビのニュースで・・・
「今朝未明、新居住区の10番街の高層ビルで、そこで休息を取っていなさったミラージュ社の契約相手3人が、死体で発見されました。
契約相手は28階の第10休憩室で、休息をとって御食事中の最中、何者かに銃撃されて殺害された模様。
ミラージュ警察は、要人襲撃殺人事件と見て捜査しています・・・」
取引先の3人の契約相手が武装グループの手によって殺害された事で、ミラージュ社とその管轄下の警察は大慌て。
そう・・・昨日の夜に、デスグリップの命令によって、彼の配下の暗殺部隊が高層ビルに侵入し、
そこで休憩していた契約相手3人の暗殺に成功、見事成功を収めたのだ。
それを知ったF.H.側は一計が成れりと喜び、次なる一計を案じた。
混乱してる隙に2つに勢力を分割して、その先のミラージュの拠点を潰す作戦に出た。
1つは、ミラージュの主要ビル、もう1つはオルキス集光施設。
主要ビルは東軍、北軍が行き、集光施設は西軍、南軍が進攻する形となった。

インストラグルの配下部隊はビルの裏手からMT部隊を使って侵入。
さいわい裏手の入り口にMT1体入れるスペースがあったので、堂々と中へ進入する事ができた。
裏手から入ったホール内部には、見張りはいなかった。
そして堂々と次々とMT部隊が侵入。全てのMTが進入出来た後で、奥に進んでみると外に物資搬送用のエレベーターが2基あった。
「あのエレベーターを使って、このビルの各部屋を占拠する。
そうしたら中にいた社員やミラージュの協力者をことごとく人質にし、施設破壊用のダイナマイトを部屋に仕掛け、
指示があるまでセットはしないようにしろ」
インストラグルの指示で、MT部隊は了解しながらエレベーターを使って1部隊
(カイノス2体、ファイアーベルク2体で構成した中隊規模)ずつ、ビルの各フロアーに進入して行く。
ビルの各フロアーの1つずつの部屋が制圧され、中にいた社員や協力者はことごとく武装犯の部隊に捕まった。
そして、1つずつの部屋にダイナマイトが運び込まれ、完全なるビルジャック状態になった。
最後にインストラグルのスワンダイバーがビルの最上階に進入。
最上階には1つだけ広大な部屋があり、そこには已に6個中隊がそこにいた社員、協力者達を人質にとっている。
「全員、動くな」
インストラグルはライフルを人質の社員達に構えて言う。その時、武装犯の1人が自動小銃を構えて、協力者の1人に向かって怒鳴る。
「やい、やい、ブタ野郎、よく聞け。オレたちがこうして武装して貴様らと此所の社員を人質に取っているのは、
みんなミラージュのおかげだ。後からゆっくり詮議してやるから待っていろ!!」
そいつの額に、ゴリッと小銃の銃口が押し付けられた。そいつは「ひいい!!」と怯えている。
「おい、お前達。私はモニタリングルームへ行って、このビルを爆弾占拠した、とミラージュの奴等に思い知らせてくる。
好きに詮議をしていてもいいぞ」
インストラグルはスワンダイバーから降りて、モニタリングルームへ向かった。
そして行き先のモニタリングルームへ辿り着くと、ミラージュ本社に通告を送る。

「ミラージュ社及びその関係者諸君に告げる。自分は武装集団大隊「東軍」隊長・インストラグルである!
今から28時間以内に我々がこれから送るレーザー通信の中にある、我々の要求を聞き入れ、実行しろ。
さもなくばこの主要ビルに仕掛けてある施設破壊用の爆弾を作動させて、この主要ビルを破壊する。
また、主要ビル内には500〜6800名の人質が確保されている。
卑怯にも諸君らミラージュ部隊が攻撃してきたさいには、人質の命は保証できない。繰り返す、今から28時間以内に―」



その途中で、思う存分の武装犯たちの詮議が始まった。
後から来たプロミネンスとアスターの率いる部隊も到着し、主要ビルの各フロアーの部屋は詮議所となり、思う存分の詮議が始まった。
指示がある間では・・・
最上階の部屋では、部屋のまん中に何人もののミラージュ関係者と協力者が椅子に座られ、縛られている。
その前に武装犯のメンバー達と、プロミネンスがジッと詮議しているメンバーの様子をみている。詮議する武装犯は2、3人まで。
武装犯A(最初の詮議する人)手にトマトケチャップのボトルを持って、
椅子に縛られたミラージュの協力者の、1人のお金持ち風の着物女に近づいて行く。そして前に来た途端、自分の過去を喋り明かして、
「今、何とか武装集団の仲間入りになって食ってっけどぉ・・・
そこで主張―――税金1つで俺の人生台無しにしやがってよぉ〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」
武装犯はボトルを女の顔に叩き付けた。バシャッ、と蓋が開いていたので中身の赤い血のようなケチャップが女の顔とにかく、
着物まで真っ赤にベチャベチャに染めた。
「グホッ、グホッ」と女は咳き込む。その隣の紳士服の男が、「お、奥様〜〜〜」と悲鳴をあげる。
そこでプロミネンスと仲間の武装犯たちは、「いーぞお―――っ!!」
「イエ〜〜〜イ!!」と歓声をあげる。そこへ新たな武装犯が、唐辛子爆弾とヨード卵を持って、
「俺は此所でミラージュの社員をやっていたが、彼女とのSEXが不純異性交遊とか言われて18の時に――――
退社だよ〜〜〜〜〜っ!!!!(高校みてえによーッ」
と、ミラージュの関係者(全)の顔に叩き付けた。
ベヂャッ、ベヂャッ、ベヂャッ!!
「てめぇーらのせいで俺は家を追い出されてこの16年間武装集団の仲間入りになっててめぇーらの仲間殺して金奪って生きていってンだぞ、
バカヤルォーーーーー!!!!俺の前に現れたらギタギタにしてやるからなーーーーー!!!」
と、叫んで次々と唐辛子爆弾とヨード卵を関係者たちに投げ付けまくった。
「ヒュー、ヒュー!」「やれやれやれやれやれーーーーー!!!!」と歓声をあげる武装犯たち。
そして更にもう1人の武装犯が詮議している所で、6人の武装犯たちが、
「よーし、今度は服ぬがしちまおーぜー!!」
と、関係者や協力者達に襲い掛かる。そして、そいつらの服をぬがしまくる。
「わー!! な、何を・・・・!!」
服を脱がされた関係者や協力者達は悲鳴をあげる。そこで、彼等、彼女等の姿を見た少女の武装犯たちは、、罵声をあげる。
すると、ついさっきまで詮議していた武装犯が、
「ビールぶっかけろ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
と、自分に言い聞かせるように、目の潰れそうなビール瓶を、ミラージュ関係者の豪華な服姿の女の頭にぶっかけた。
そしてさらに、女の胸元を押し開くや、瓶を突っ込む。
「キャ〜〜〜〜〜〜ッ、目が、目があああああああああ〜〜〜、胸が、胸がああああああああ〜〜〜〜」
と、悲鳴をあげる女。武装犯たちは「ワハハハハハハハハハハハハハハ〜〜〜」と大笑い。
そして今度は新たな武装犯が詮議に出て来て、自分の前にいたお茶の水の様な男に、
「ミラージュの会社によ――――、テメェーみてぇーなハゲでデブでチビな上司がいてよぉー、
俺を「君みたいなダニがいるから我が社まで経済不信のあおりを――――」
ととか怒鳴りやがってよ―――、そして俺を中途退社させやがって・・・」
と、マヨネーズを頭からニョロニョロと男にぶっかける。お茶の水男は、
「わあーーーーーーーーー、やめやめやめやめやめやめやめやめやめやめ・・・!!」と悲鳴をあげる。
そしてさらに、追打ちをかけるように武装犯の2人が、
「うらぁーーーーっ、自分達の会社のトイレのモップでも食って、頭冷やせやーー!!」
「ハゲがよおーーー、ワハハハハハハハハハハハハハ〜〜〜〜〜〜〜〜」
と、モップを男の口に突っ込もうとした。その時!
『そのくらいにしておけ』
と、何処からとも無く声が響いた。
「!?」
その場にいた武装犯全員、ミラージュ協力者、関係者全員は辺りを見回す。
「な、何者だ!?」
プロミネンスが叫ぶ。そして声は響く。
『っったく、そんなクズな理由で、ミラージュを恨むとはな・・・お前らよっぽどバカだよ』
「レ、レイヴン!!」
「来てくれたのか・・・助かった!!」
ミラージュ関係者・協力者は喜んで叫ぶ。
「レ、レイヴン!? ど、どこだ!? え?」
武装犯たちはきょろきょろと辺りを見回す。すると、声は、
『ハッハッハッハッハッ、すぐ近くにいるぞ、お前らのな』
と、響く。
「ど、どこだあああーーー、で、出て来い!! くそーーーっ!!」
『ワアッ、ハッハッハッハッハッハッハッハッ!! さぁ?て、謀叛人ども、Q(クエスチョン)だ。俺は何処でしょう?
 @番・屋上、A番・隣の部屋、B番・床下、C番・この下の階の部屋、D番・右側の部屋』
あちこちから響く謎の声の問に、その問の場所に嘖まれ、その場所に武器を向ける武装犯たち。
だがDで、隣の部屋のドアを開けた途端、向かいの壁にテトラポッド型の通信機・発信機が取り付けてあった。
そこから謎の声は響いていた。
『さあーーー、俺は何処でしょーーーーワハハハハハハハハハハハハ』
「ふ、ふざけやが・・・」
武装犯はテトラポッドを攻撃しようとしたが、その時後ろの壁を蹴破って何かが飛び出した。
それも、左肩に「0」と書かれたエンブレムを付けた、赤い逆関節のACが。
ドガァァァァァーーーーーン!!!!
爆発音が6度響いた。その時、部屋を開けた武装犯が様子をみてみようと振り返ると、
そこに火を挙げてクラッシュしているカイノス/EO2とファイアーベルク。
「!!」
その場にいた全員が驚く。
『ハッズレェ???、ANSWER(正解)は、E番・シャッターの向こうでしたぁ?』
その赤いACはおどけた声で喋っていたが、急に自分の口調に戻り、
「残念だったなぁ、暴徒クンよぉ?」
と、腕の火炎放射器「FTL450」を突き付けた。そのACとそのパイロットが、誰だかはプロミネンスに分かった。
「なっ・・・・ゼ・・・ゼロ!?」
プロミネンスは叫ぶ。
A-2の「戦神」ゼロ。その赤い逆関節ACは、彼の駆る「クラッシング」。
ゼロはアリーナの上位に長年君臨し続けるレイヴンで、火力の高い兵器を好んで敵を破壊し尽くす。
そんなコアでディープな戦いぶりに、根強い人気を誇り沢山のファンを作り、さらにファンクラブまで作られている始末。
「ACだと!? くそっ、ミラージュめ、レイヴンを雇ったか・・・」
武装犯たちは驚く。
「このビルの、待機している全部隊に連絡だ!!」
「は・・・はい!!」
プロミネンスの命令で、6人くらいの武装犯が物資搬送用のエレベーターのシャッターを開けて、下の階の部隊へ連絡しに行った。
「さぁーて、覚悟しろ・・・今夜は朝までバトルDEオールナイトだ」
ゼロはにやりと笑った。

ビルの最初の階に、5人のレイヴンが入り込んで来た。
カラードネイル、リトルベア、ヴァーナルフラワー、ローン・モウア、ドランカードの5人だ。
「・・・わたしの家族を殺したやつと一緒に仕事するとはな」
カラードネイルが詰っていると、
「突撃ィー!!」
と、ローン・モウアのチャリオットが突撃する。彼の悪い癖が出てしまったのだ。
「つい飲んじまったぜ・・・俺はこの酔い気分で武装集団の奴等を捻り潰すぜぃ・・・ウーーーイ、ヒック・・・」
一方のドランカードもヒックヒック言いながらビールを飲んで、チャリオットに続いてビルの奥へ入って行く。
酒欲しさのためにACやMTの中でも酒を飲んで運転している・・・ドランカードも悪い癖が出ていた。
「その内ゲロ吐くな、こいつ・・・」
カラードネイルは呆れて声もでない。そして、
「リトル、ヴァーナル、行くぞ・・・」
と、後の2人に声をかけて、ビルの奥へ進む。
「了解しました」
「了解しました・・・」
リトルベアとヴァーナルフラワーも後に続く。

一方、ビルの各フロアーでF.H.のMTが、カラードネイルたちを待ち構えている。
「我々の要求は、聞き入れられないと言う事か」
F.H.の小隊長機の1体が、言う。そして続けるように、
「各自攻撃を許可する! 我々が本気だと言う事を、教えてやれ!!」
と、攻撃命令をかけた。



「目標を確認した、これより作戦を実行する」
「敵防衛部隊を確認した、これを撃破する」
一方、オルキス集光施設では、武装集団の「西軍」「南軍」の連合部隊が、オルキス集光施設本体の攻撃に掛かって来ていた。
施設防衛部隊のレイヴンは、OX、フラジャイル、カラミティメイカー、ストリートエネミーの4人。
他のメビウスリング、シルバーフォックスの2人は地上の武装集団の攻撃部隊の掃討に掛かっていて、戦線を離れている。
「敵ACを確認、ランカーACコブラワインドとロングスピアーです」
エマが通信を入れる。それと同時に、コブラワインドとロングスピアーが地面に降りた。
「来たぞ、油断するな」
ストリートエネミーは叫ぶ。


「オラァーーーーーーーーーーー!!!!」
スネイクチャーマーは両手の火炎放射器を噴射しながら、眼前の敵に突っ込んで行く。
それと同時に、デスグリップのロングスピアーもバズーカを連射しながら、小ジャンプ移動を繰り返して敵を翻弄する。
「しつこいんだよ、お前等!!」
ストリートエネミーのスタティック・マンはライフルを連射して、ロングスピアーに突っ込む。
それに応じるかのように、ロングスピアーもブレードを振るう。
スタティック・マンのブレードとロングスピアーのブレードが重なりあい、バチッ、と青緑とピンクの電撃を放つ。
そこでフラジャイルのナイトフライヤーが加勢して、3体は場を離れてから、銃撃戦を繰り広げる。
「くそ・・・動きが鈍い!!」
一方、OXのパルテノンは、スネイクチャーマーのコブラワインドの火炎放射器を喰らって、悪戦苦闘していた。
もちろん、カラミティメイカーのダイナミックトラップもだ。
「はははははは!! どうした、どうした!!」
スネイクチャーマーは高笑う。
「黙れ、これでもか!!」
OXはバズーカを連射する。弾速の遅いバズーカは、軽々とコブラワインドに躱されてしまう。パルテノンからは、白い煙が吹き上げていた。
「くそ、動きが速い!」
カラミティメイカーも懸命に投擲銃を連射するが、やはりそれもコブラワインドに躱されてしまう。
「つまらん勝負だ。終わりにするぞ」
スネイクチャーマーはトリガーを強く握り込む。その途端に火炎放射器から放たれる量が一段的と多くなった。
OXのパルテノンはそれを一気に浴びた途端、爆発を起こす。その時にOXは、叫ぶ。
「こ、こちらパルテノン、オーバーヒート、熱が・・・・!!」
ドガァァァァァァァァァァァン!!
「OX!!」
カラミティメイカーが叫んだ。
「鉄の闘牛」OXは、パルテノンもろとも灰燼として消え去った。パルテノンが撃破されたと知ったフラジャイルは、
「何っ、OXが! くそぉッ、コブラワインドめ」
向きをかえたナイトフライヤーは、スネイクチャーマーへ突進する。
「むっ!?」
スネイクチャーマーはフラジャイルに気づく。それと同時にナイトフライヤーのパルスキャノンに、自分の愛機の両腕を撃たれた。
「このおお、こしゃくな!」
スネイクチャーマーはリニアガンを連射しようとトリガーに手をかけようとした。
だがスネイクチャーマーの天性の勘が働き、あわててコブラワインドの右腕でコアを庇った。
ザクッ―――――!! ゾッとするような、いやな音がした。
コブラワインドの右腕に、ナイトフライヤーのブレードが突き刺さっていた。ドウッ、とコブラワインドの右腕が地面に落ちた。
スネイクチャーマーの窮地を悟ったデスグリップは、慌てて救援に向かおうとする。
だがその時・・・
ドゴッ!!! 
「ぐっ・・・・!?」
と、デスグリップは血を吐いた。後ろからの攻撃に不意を突かれたのだ。
よく見ると、ストリートエネミーのスタティック・マンが、ブレードをロングスピアーのコアに突き刺していた。
ロングスピアーが背を向けたのを好機として、背を突き刺していた。
「そっ・・・そんな、卑怯な・・・」
デスグリップが言い終わらないうちに、
「終わりだ」
ストリートエネミーは止めの一撃を刺した。
ザシュン!! 
「ぐぉッ!! ぐ・・ぐ・・・」
デスグリップの断末魔と共に、ロングスピアーは爆発を起こした。
「なに!?」
スネイクチャーマーはデスグリップがやられたのを知って、慌てた。そしてさらに、
「スネイクチャーマー隊長、ミラージュの増援部隊が現れました!」
武装犯の1人がレーザー通信を送る。
よくみると、サブモニターにミラージュのMT部隊が突撃を開始し、仲間の武装犯のMTを次々と撃破していた。
「むうっ、忌々しいが、退却を考えねばならんか・・・いかんながら襲撃作戦を放棄する。全部隊、撤退するぞ!!」
スネイクチャーマーのコブラワインドが撤退すると同時に、武装集団のMT部隊が次々と撤退をする。

「敵部隊が撤退を開始した。作戦成功だ」


「同志達の命・・・貴様等で償え!!」
「レイヴン・・・死んでもらう!!」
武装集団のMTを撃破しつつ、最上階に上がったカラードネイルたち、最上階で野次ってたゼロに、
プロミネンスのウォーターハザード、インストラグルのスワンダイバーが襲い掛かって来た。
「オラァァーーーーーー!!!」
プロミネンスは両側の武器のトリガーを引く。すると同時に大量のオービットがバラ撒かれ、ゼロ、カラードネイルたちを攻撃する。
パシュッ・・・パーパーパーパーパーパー!!
パシュッ・・・パーパーパーパーパーパー!!
緑色のラインビームが複数の敵ACを襲う。それと同時に大量のミサイルが飛び、次々と柱を吹き飛ばす。
ドランカードは次々と襲いくるオービットとミサイルの雨嵐を受けながら、悲鳴をあげる。
「いててっ! おい、これ何とかなんないのかよ!」
「くそッ、これじゃあ近寄れない」
カラードネイルはまた詰る。だがその時、「俺に任せろ!」と、ローン・モウアのチャリオットが我先にと突撃して行く。
「たくさんのオービットの攻撃範囲があるぞ! 1人じゃ危ない!」
カラードネイルが叫ぶ。だがその時、ドガアアアン、と爆発が起きた。
「うわっ!!」
「ローン!?」
その場にいたカラードネイルたちが叫ぶ。
だが次の瞬間、柱から出て来たのは、小さい爆発を起こし、火を纏いながら逃げ惑って来たプロミネンスのウォーターハザード、
それを追い掛けるゼロのクラッシングとローン・モウアのチャリオットだった。
「あぢぢぢーーー!! あぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢちぢぢぢぢぢぢ!!」
プロミネンスが悲鳴をあげている。よく見ると、ゼロは左腕の火炎放射器をプロミネンスのウォーターハザードに火のシャワーを浴びせていた。
それに続くように、オーバーヒートを狙わんとチャリオットもハンドガンとEOの併用射撃を行っている。
「はーっはっはっはっはっはっ、丸焼きになってしまえ!!」
ゼロは高笑う。その時、後ろでリトルベアとヴァーナルフラワーと戦っていたインストラグルのスワンダイバーがハッと振り向いて、
「うわああああっ! お前、こっちに来るな!」
と、あわててウォーターハザードを避ける。その時、彼女と戦っていたリトルベアとヴァーナルフラワーも慌てて避ける。
プロミネンスのウォーターハザードは壁を突き破ってビルの外にあった庭園の池にドブーン。
「ふー」
何とか火を消せたプロミネンス。だが安心するのはまだ速いと判断して、
「ダメージが激しい・・・インストラグル、すまない、離脱する」
と、そのまま逃げ去った。帰り際に、「ゼロめ、この仕返しは、絶対にしてやるぞ!」
と、憤りの言葉を残した。
「わーっ、プロミネンス、何処へ行ったんだー!!」
と、インストラグルは悲鳴をあげながら逃げ惑う。あちこちから四方八方から攻撃を受けて、機体がボロボロになりかけていた。
だがその時、柱の影に隠れていたゼロが、
「決まりだっ!」
と、スワンダイバーに狙いを付けて、腕のプラズマライフルのトリガーを引いた。
バシューン、と赤い光の塊がスワンダイバーを撃ち抜いた。爆発を起こすスワンダイバー。
「うっ・・・ぐぐ・・・」
インストラグルの断末魔と共に、スワンダイバーは跡形も無く消え去った。
「何だ、大勢力で率いて来た上に呆気無い奴等だ」
ドランカードは言う。その時にゼロが、カラードネイルに言った。

「今日の借りは貸しにしといてやるぜ、カラードネイル」
「・・・ふん」



武田です。
今回は「武装集団排除」「集光装置破壊阻止」を元に描かせて頂きました。
何やら自分も読んで気づいたのですが、ストーリー中、やけに戦闘シーンが少ない・・・
と、思ったのです(オイ)。
今回現れた敵レイヴンの「スネイクチャーマー」「プロミネンス」は、紹介しようと思ったのですが
ページが長くて今回は省略します(「デスグリップ」「インストラグル」も同じです。
でも参考のプロフィールが無いので、省きます)。
次回は、「機密データ先取」の予定です。
作者:武田 慎さん