サイドストーリー

サイレントライン:D機関
「で、俺達が居ない間にこうなったと言うんだな?」

「ああ、突然の奇襲だったからな、コア。」

「それにしても、たったこれだけの戦力で
 かかってくるとは、俺達もなめられた物だな。ハンク?」

「ああ、斬鬼の言う通りだ。」

「所で、シャウシュッツは?」

「あいつなら格納庫にいるぜ。」

「格納庫に?」

「あの見覚えのないACの所か?」

「さすが斬鬼、勘がいいねぇ!!」

ハンク達が格納庫に向かうとそこには
シャウシュッツの他にフライレやメグが居た

「お前達も来てたのか?」

「ええ、シャウシュッツの新型が早く見たくて。」

「新型はどちらかというとブレイブガンナーの方だがな。」

「これがねぇ。」

「シャウシュッツ、聞きそびれた事だが・・ 」

「ああ、そこの休憩室で話そう。」

皆が休憩室にはいるとシャウシュッツはいつになく
重い顔立ちとなった・・・

「どこから話そうかな ・・・」

「取り敢えず、敵のことについて知りたい。」

「なにぃ!!シャウシュッツはスパイだったのか!?」

「落ち着け、コア。・・・ だが
 半分は正解だがな ・・・ 」

「じゃあ、聞こうか ・・ 」

「D機関、それが奴らの組織名だ。」

「D機関?」

「ああ、奴らは元々は地球再生プロジェクトの
 一環で結成された組織なんだが、
 とある事件がきっかけで今のような
 暴走集団に成り下がったのさ ・・  」

「とある事件?いつの話だ?」

「セカンド・グレート・デストロイ。
 第二次大破壊が原因さ・・・ 」

「えっ?大破壊ってのは1回だけじゃなかったのか?」

「そう、斬鬼の言うとおり大破壊は1回のはずだった ・・・ 」

「どういうことだ?」

「大破壊がおきて人類が地下に追いやられてから半世紀、
 そこで一人のレイブンが誕生した。」

「それが親玉か?」

「コア、それならばヤツはもう200歳を超える化け物だぜ。
 ・・・ やつの名はグロックだ・・ 」

「それがグロックというレイブンね。」

「ああ、ヤツはそこでレイブンズ・ネストに所属。
 このグローバル社の原点になった組織さ。」

「で、そいつは何をやったんだ?」

「ヤツはACスパルタクスを駆り、数々の依頼を遂行、
 そして最後にはナインボールというレイブンさえうち破ったのさ。」

「セラフか!?」

「いや、やつはその原型になった試作品さ。」

「・・・ AIレイブンか!!」

「察しがいいな、斬鬼。」

「で、それからどうしたんだ?」

「ヤツはそれから火星にわたり、レオス・クラインという
 特殊部隊の隊長を撃破し、再び地球に戻ってきた。
 そこでもヤツは活躍したが、そこで新たな大破壊の原因を作った。」

「ちょっと待って、そんなことはどの歴史の
 文献でも見たことがないわ」

「そう、全ては管理されているのさ。
 あの時の管理者の時と同じように ・・・ 」

「なるほど・・・だが個人で大破壊を引き起こすのは不可能に近いが・・・ 」

「ああ、たしかに不可能だが、セラフとの戦闘の際発生した
 膨大なエネルギーが再び地球を壊滅させたのさ。」

「なぜそんなエネルギーが?」

「ナインボール・セラフが原因さ。
 ヤツは何者かが再生してグロックを消そうとしたんだ。
 エネルギー爆雷を搭載させてな・・・ 」

「何者って誰だよ?」

「地球政府の老人共さ・・・ 」

「なんでそんな無益なことを?」

「奴らは、彼の類い希ない才能とセンスに警戒し、
 密かに抹殺の機会を伺っていた。」

「それがセラフか。」

「そうだ。だが、結果は地球の崩壊という結果になったがな。」

「だが、なぜ彼は生き残ったんだ?」

「そこはよく分からないが
 爆発の際、セラフが何らかの行動をとったらしい・・ 」

「何らかって?」

「さあな・・・ そして、ヤツらは生き残ったグロックを
 組織に引き込んだ。特別顧問という肩書きでな・・・」

「なるほど、生還したグロックを引き込んで
 生き残った政府がもう一度、暗殺を狙ったのか。」

「汚ねぇやり方だぜ!!」

「酷い・・・」

「むしろ、奴らは抹殺よりも利用という手段で
 彼を抹殺したがな・・・ 」

「それで、腐敗した政治家が原因で
 今のような状態になったのか・・・ 」

「ああ、それでオレはこの情報を知ったときから
 脱出の機会を伺っていたのさ。」

「脱出?」

「そうか、みんなにはまだ話してなかったな。」

この後、オレはDrとの関わりやそれまでの経歴を
皆に話していった。

「なるほどね、それでこの機体をそのスパルタクスという機体を
 ベースに使ったのも、グロックに対するせめてもの手向け
 と言うことか ・・・ 」

「ああ、そうでなくては余りに悲しすぎるからな・・・ 」

ピーピーピー

「んっ?依頼か・・・ しかたねえな、今日はここまでかよ。」

「まぁ、そう言うなよ、コア。」

「仕方ねぇ、腹いせにENキャノンを何発もたたき込んでやるか!!」

「相変わらず、派手な戦法がお好きなようだね。」

「うるせぇよ、ハンク・・・ 」

「じゃ、今日はこれでお開きにするか。
 そのほうがフェアだろ、コア?」

「ああ、すまないなシャウシュッツ。」

それから一週間が過ぎたが、D機関にさしたる動きはなく
不気味さだけが広がっていた ・・・

「仕掛けてこないな、シャウシュッツ。」

「ああ、おそらくは奴らもあの時の敗退が
 思った以上に痛手だったんだろう。」

「じゃあ、今のうちに攻め込んだらどうだ?」

「いや、それは無謀すぎる。第一に奴らのエースは
 カーライルだけではない。」

「そう簡単にはいかないってか?」

「そう言うことだ。」

ピーピーピー

「依頼か・・・ 」

ピッ

「シャウシュッツ、相手はキサラギからよ。」

「了解だ、レイン。」

ピッ

「仕事かい?」

「ああ、今回は久々にリリスを連れて行こうと思う。」

「なるほど、実戦訓練と言うことか?」

「そんなところだ。」

「で、どっちの機体を使うんだ?」

「今回は普通の依頼だ。ブレイブガンナーでいくよ。」

「そうか、じゃ頑張って稼いでこいよ!!」

リリスを呼び出し、共に格納庫に向かうと
スタンバイ状態の機体に乗り込む。
先にリリスがヘリに向かい、シャウシュッツが続いて
乗り込むと、いつものパイロットがモニターに出る。

「旦那が、リリスちゃんを連れてくるなんて珍しいですね。」

「ああ、たまにはいい勉強になると思ってな。」

「そうですかい、じゃ行きますよ!!」

数分後、目標の地点に到達するとリリスが
今回の依頼内容について聞いてきた

「リリス、今回は対空砲台の破壊が目的だ。
 雑魚には目もくれるな!!」

「了解です!!先生!!」

「旦那、目標地点に着きやしたぜ。」

「わかった、投下してくれ!!」

機体が投下されると、砲台が輸送ヘリ目掛けて
グレネードを発射するがそこは熟練の腕、
ひらりと旋回で回避して安全なエリアまで飛んでいった

「さっすがぁ!!」

「ぼやぼやしてる暇は無いぞ、リリス!!」

「はい、先生!!」

機体が地表に着陸すると数基の砲台に囲まれた
要塞が見えていた・・

「正面に敵AC確認!!これより攻撃します!!」

要塞から防衛隊らしきMT部隊が続々と出てくる

「リリス、来るぞ!!」

バシュン、バシュン!!

言うや否や、リリスは手にしたカラサワを敵
目掛けて発射する!!

ボゴォン!!、バガァン!!

今まで訓練で鍛えたおかげか、今まで以上な正確な射撃と
正確に相手に攻撃を回避する!!

「うわあぁぁぁー!!」

バシュン、バシュン、バシュン!!

勢いづいたリリスは敵MT目掛けてカラサワを発射し続ける!!

「・・・ 全く、雑魚には目もくれるなと言ったのに ・・・ 
 リリス、オレは裏に回って砲台を破壊する!!
 お前は近くの砲台を沈黙させろ!!」

「了解!!」

「・・・ さてと、さすがに彼女だけに戦力が集中
 するはずがないか ・・・ 」

「各員、相手は貧弱な武装だ!!一気に叩くぞ!!」

「・・・ マシンガンとブレードしか無いからと言って
 調子づいては困るのだがな ・・・ 」

ババババババッ!!・・・ ガシュ!!

「うわ!!」

「なんだコイツの機動力は!!」

「く!!もう一機の方より強いぞ!!」

「・・・何処に消えた!!」

「貰ったな・・・」

ズバワァァァァン!!

「ぐわ!!」

「何、後ろか!!」

「さっさと片を付けさせて貰う!!」

バガガガガガッ!!

「うぉぉぉぉ!!」

「ぐわ!!」

「砲台は・・・ 二台か!!」

バガガガガガッ!!

チュンチュンチュン・・ バガァァン!!

チチチ ・・・ バガァァン!!

「ふっ、もう少し落ち着いて照準を合わせるんだな!!」

バガガガガガッ!!

ズズーンッ!!バガァァン!!

「 ・・・ シャウシュッツだ、そっちはどうだ?」

「 ・・・ いま、最後の砲台の攻撃に入ります!!」

リリスが通信をしてきた時には既に要塞の6割が大破し
対空施設のしての機能は完全に失なっていた

「そうか、ご苦労・・・ レーダーに反応だと!!」

「 ・・・ 相変わらず、いい仕事してるじゃない。」

「 ・・・ まさか、お前なのか?」

「お前って、失礼ね。これでも元は恋人だったんだから。」

「 ・・・ 変わってないな、ディードリッド ・・・ 」

「それはお互い様ね、シャウシュッツ・・・」

「・・・ 先生、砲台の沈黙を確認しました!!」

「 ・・・ ああ、そうか ・・・ 」

「どうしましたか?先生?」

「 ・・・ 安心して、あなただけに反応するようにしているわ。」

「 ・・・ 何でもない、いまシステムのチェック中だ ・・・ 」

「分かりました、ここで待機しています。」

「・・・ 相変わらず嘘をつくのが下手ね。」

「 ・・・ 唐突に現れたやつに言われる筋合いは無いと思うがな?」

「ひどい言いぐさね。でも安心にして、今日はこれでいったん引くわ。」

「なに!!待て、ディードリッド!!奴らの狙いは何なんだ!!」

「さようなら、シャウシュッツ。私の愛しい人 ・・・ 」

その言葉と同時に暁の広野から
ディードリッドの機体が消えていく・・・

「・・・くそ!!ミラージュステルスか!!」

「先生、輸送機が来ましたよ。」

「・・・そうか、離脱するか・・・」

「・・・ほえ? 」

            サイレントライン:D機関 完
作者:ハンクさん