サイドストーリー

第一話 運命の分岐路
報酬と引き換えにどんな仕事もこなす者、傭兵。
大破壊以前の世界なら、非合法どころか、なんでもない道を歩くのもためらわれていただろう人種。
しかし、この地下世界レイヤードにおいて彼らの存在はごく一般的なものになっている。
政府とゆうものが存在しない世界。
自分達の身を守ってくれるのは警察ではない。利権目当ての、企業。
そしてそんな企業の頂点に立つのは、AIでありながら、あらゆる存在を管理する者、「管理者」。
どこか歪んでいて、そしてそれが当たり前の世界。
これは、そんな世界の「歪み」に巻き込まれた傭兵の物語……………..



『戦闘モードクリア、システム、通常モードに移行します。』
「はーーー。まぁた、やっちまった!!」
オレはこの地下世界レイヤードの傭兵ことレイブン。「パラサイト・エッヂ」の名前で通ってる。
『また、赤字ですよ?』
「わーかってるよ!リア!!」
彼女はオレのオペレーターを務めている、リア・クリスティーだ。
「しょうがない、またアリーナで一稼ぎしますか。」
『勝てないからってわざわざ順位落とすことないのに….』
「しょうがないだろ?そうでもしなきゃ賞金も入んないんだから!!」
お気付きの通り、オレは凄腕じゃない。レイブンになる奴はそれなりに多いが、その全てが儲けているかといったら、答えはノーだ。
ランカーなんて無縁の存在。だが、オレはそれでいい。それで、よかったんだ。
「お?メールだ。しかもダイレクトメール?いったい誰が?」
部屋に戻ったオレを出迎えたのは差出人不明のメール。怪しい。しかし、いたずらとも思えない何かを感じる。
「訪ねよ。されば開かれん。ってか?見てみりゃ分かるこった。」

『君に力を与えよう。この力に手をつけるなら君は人ではなくなる。それでもいいなら使うがいい。この、諸刃の剣を』

「なんだこりゃ?いたずら?違うな。いったい何を?、、、、寝よ。」
分からないものをいくら考えても答えが出るはずもない。そう考えたオレはミッション明けの体を休めるべくベッドに入った。
メールからの謎の重圧を感じながら。
「くそ、気分最悪だ。」
朝起きたオレは一通りの身だしなみを整えると、いつもACのガレージに行くようにしている。
整備の人を信用していないわけじゃない、ただ気になるだけだ。
ガレージには昨日と何も変わらないオレのAC、ペインチェーンがあった。さすがに被弾跡はもう無いが。
「すいません。パラサイト・エッヂさんあてにAC用のパーツが届いてるんですが、受領印をもらえますか?」
「ん?あ、ああ。しかし、誰からなんだ?」
「それが、差出人不明なんですよ。危険物の反応はなかったんですけど、、、」
――――君に力を与えよう――――
「!!!わかった!すまない!!」
オレは自覚する間もなくその包みを開けようとしていた。胸にあるのはわずかな不安と少しの緊張。そして好奇心だけだった。
AC用のパーツで包みに入って届くといったらOPしかない。そして、粗末な箱の中に【それ】はあった。

OP−INTENSIFY

その名前だけが書かれた紙が落ちた。
                             第二話へ続く




あとがき
第一話といえども実際オープニング!?戦闘シーンも無い駄文を書いた今日この頃。ごめんなさい。
作者:ミストさん