第四話 ロスト・メモリー そのU
コオオオオォォォォ、、、、、
誰もいないはずの封鎖された空間、セクション513に轟音が響いていた。
ACが放つブースターの噴射音がまるで己の存在を周りに誇示するかのように響いていた。
ラゴウ「いるんだろ?出てこいよ。」
ブースターを止め、少し開けた空間に出ると誰もいないはずの空間に向かって呟いた。
確かに誰もいない。が、『それ』の存在だけはやけにはっきりと感じる。そう、空気が違うのだ。
この纏わりつくような冷たい空気は前に一度感じたことがある。
???「ククク、女連れじゃないのか?」
誰もいないはずの空間からACが突如として現れた。黒を基調としたカラーリングに白が混ざり、所々から紅い光が漏れている。
武装をマシンガンとブレードのみに絞り、フロートタイプの脚部にステルスを装備した隠密性と機動性に優れた機体だ。
ラゴウ「お前みたいな危険な空気を纏っている奴に誰が好き好んで会わせるものか。」
???「ハハハ、嫌われたものだな?バカ正直にたった一人でのこのこと、罠だとか思わなかったのか?」
ラゴウ「そういう回りくどいことをする奴じゃない。そう感じた。」
???「フン、感じたんじゃない。知っているんだよ。」
ラゴウ「やはり俺の過去を知っているのか。」
???「ククク、知っているなんて生易しいものじゃないがなぁ。」
ラゴウ「いい加減名前の一つでも名乗ったらどうだ?」
執行者「エグザイル、執行者さ、、、」
ラゴウ「エグ、ザイル、、?」
執行者「聞き覚えがあるだろう?お前が俺のことを忘れられるはずが無いんだよ。」
ラゴウ「なんだと、、、?」
執行者「神の手によって阿修羅王より切り落とされし首は復讐に狂い、天を駆け日と月を喰らった。
それは五百年に一度現れては大きな災いを振りまいた言う、、、」
ラゴウ「何を?」
執行者「その星の名は、羅喉!!貴様の名だ!クハハ!いい名前だよ!呪われた、な。」
ラゴウ「クッ、、、」
執行者「フフフ、さあ始めようか?どの道これ以上のことは俺の口からは言えん。」
ラゴウ「お前を倒せば、全てが明らかに、なる、、のか?」
執行者「無理だろうがな。さあ、来いよ。風穴を空けてやる、、、!!」
ラゴウ「南無三、、、!!」
その一言が合図だと互いに知っていたかのように二つのACは勢いよく飛び出した。
ペインチェーンがオービットを展開し先手を取るが、フロートタイプの存在意義といっても過言ではない常識離れの機動性についていけてない。
もともと、エースと対戦した時と機体構成をまったく変えてないのだ。ましてINTENSIFYもない。明らかに不利な戦闘なのだ。
ラゴウ「クソ!オービットじゃ追い切れないか!」
執行者「どうした?そんな貧弱な機体でよく生き残ってこれたな?鬼ごっこしてるわけじゃないんだぞ!?」
エグザイルのAC、アフターペインが高速でペインチェーンの周りを飛び回り、弾痕を刻んでゆく。
ブレードを使わないあたりはまだ遊びに過ぎないのだろう。
ラゴウ「グッ、ガァ!!」
執行者「チッ、ここまで府抜けていたとはな。キサマがイレギュラーなどと、なんの冗談だ!?」
ラゴウ「イ、イレ、ギュ、ラー?」
『RAGOU、私が狂い、私でなくなったとき、私を、、、、、、、破壊してください、、、、、イレギュラーとして、、、』
ラゴウ「!!!今、のは?ぐあ!?ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
執行者「何?これは、、、、!そうか、目覚めるんだな?禁断の技にて生み出された化け物が!!」
ラゴウ「ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!?グウウウウウウ!!!」
割れそうな額の痛み、目に映るのは数式パターンのみ。そして、平静を取り戻さんとする彼の心を、破壊衝動が切り刻んでいった。
ラゴウ「う、あああ、、、アアアアアアアアアアアア!!!」
執行者「!!」
ペインチェーンのアイカメラが妖しく輝いた瞬間、アフターペインをエネルギーの奔流が飲み込んだ。
ペインチェーンの最強武器MWC−LQ/15によるものだった。動きの止まったアフターペインを絶え間ないエネルギーの奔流が襲う。
それは、上空から降り注いでいた。
執行者「ハハハハ!!反動制御をINTENSIFYなしでやってのけるのか!!素晴らしいよ。これが、強化人間か!!」
そして、15発目を撃ち終えると糸が切れた操り人形の如くペインチェーンは倒れ付した。
執行者「ハハハ!!生き残ったぞ!所詮失敗作に過ぎんお前じゃこれが限界か、、、
せめてもの情けだ、真実を知ることなく、人として殺してやろう、、、」
ドゴーーーン!!!!!
エース「させるかぁぁぁ!!」
執行者「エースか!?チッ!いいところで!!やれ!」
ドーーン
エース「こいつはあのときの!?同型機か!?AIなんぞに用はない!失せろ!!」
多少の被弾をものともせず紺色のACに肉薄するとコアをブレードで串刺しにした。
執行者「ほう?アリーナのトップランカー殿がこんなところに何の御用で?」
エース「悪いが、今さっき負けてきたところでな、虫の居所が悪い。やるというなら容赦はせんぞ、、、!!」
執行者「こちらとて無傷じゃない。悪いが今日のところは引かせてもらうとしよう。」
エース「こいつらはいったいなんだ?貴様らはなんなんだ!?」
執行者「実働部隊、さ。すべてを知りたければ管理者の間まで来い。ヒトとの決戦は佳境を迎えた、、、」
そう言い残すと新たに出てきたACに抱えられながらアフターペインは消えていった。勝者として。
エース「ラゴウ!!聞こえるか!?返事をしろ!!」
ラゴウ「近、づくな、、、」
エース「何だと?」
ラゴウ「近づかないで、くれ、、、」
エース「何があったのかはしらんが、その状態じゃ一人で帰還など不可能だ。連れて行く。」
ラゴウ「羅喉、、、オレが、、疫病神?オレは人間じゃない、、、、、」
エース「管理者、ラゴウ、黒いAC、実働部隊、INTENSIFY、各地の巨大MT、、、わからんことだらけだ、、、
クソ!ええい!ラゴウ!!しっかりしろ!」
ラゴウ「こんなのが、オレのロスト・メモリーだったっていうのか、、、オレは、どうすればいい、、、、、?」
エース「ダメか、、、何が起こって、何が始まろうとしているんだ、、、」
それは触れてはいけないパンドラの箱。
それは守る力に非ず
それは破壊する力
それは一体、何のために生み出されたのか、、、
第五話へ続く
あとがき
やっと四話が終わりました。主人公ダークサイドへ突入。かもね?
エグザイル登場させました。ミステリアスなやつだから設定をいじりやすいのなんのって!
実働部隊のACに同型機がいたのかどうか確かではありませんが、たったの10機未満ってこともないだろう!?ってことで出しました。
いつも思うのですが、フロムソフトウェアの皆様方、ACを汚すようなまねをして、ごめんなさい。
作者:ミストさん
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