サイドストーリー

SILENTLINE EPISODE 11 〜悪の要塞〜
「ねえ、どうしたんですか、カラードさん・・・」

「・・・?」

「何だか今日は元気無いですよ」

「・・・・ああ」


その日は大雨がふりそそぐ夜だった。
外を見ると、ザザザザーーーという激しい雨音が響く。
カラードネイル、リトルベアは、その日は仕事が無かったから、部屋で売店で買った、
コンビニのジャンクフードを齧りながらニュースを見ていた。

『……昨日、新中央区のジェーコフ旧森林公園で、爆発事故が起こりました。現場は
先程申し上げたようにジェーコフ旧森林公園、負傷者・死亡者についての容態は分かっ
ておりません………』

ニュースの情報を見て、リトルベアが呟く。
「このごろ、「自然保護派」が活動を始めているようですね・・・先週、ジェーコフ
森林公園の開発作業に入っていた作業員が6人殺されたって聴きましたが・・・」
「そのようだな」
カラードネイルは口の中でカツサンドをクチャクチャ噛みながら言った。
「自然保護派」とは、自然を守り、美しい緑を蘇らせるように、緑化運動を続けてい
るとの運動を続けている人間達の集まりだ。

「さて、今日も「自然保護派」は何処かで緑化運動を続けているらしいな・・」






ガーーーー!!
バキバキバキバキバキバキ!!
ガーーーー!! ガーーーー!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!

ブルドーザーやパワーショベルが、うなり声をあげて原っぱの山を切り崩して行く。

ガーーーー!! ガーーーーー!!
バキバキバキバキバキバキバキバキ!!!
ガーーーガーーーガーーー!! ガーーーガーーーガーーー!!
バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!

「ああ!!」

「オオオオ、俺達の遊び場がーーーー!!」

ブルドーザーやパワーショベルの勢いは止められない。

「子供達の遊び場を返せーーー!!!」
「兵器開発工場建設反対ーーーー!!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」

新中央地区の住民達は森林公園の豊かな緑、綺麗な小川を愛していた。だから突然、
兵器開発工場を建設するという噂を嗅ぎ付けて、反対運動を起こした。

「直ちに集会を中止しこの場から撤収されたし!!」

「工場建設を中止しろーーーー!!」
「兵器開発工場建設反対ーーーー!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」

建設反対側の人間達による建設反対コールは、工事側を防衛する自衛隊がアナウンス
をする度に、ますます勢いが上がって行く。建設反対側=自然保護側の人間達は、ペ
ンキ玉や固い石、火炎瓶やペットボトル爆弾を工場している金網に次々と投げる。

「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」

ガン!! ベチャッ!! ベチャッ!!
ドゴーン!! バキバキバキ!!
ガン!! ガン!! ガン!! バキャーン!!
ベチャッ!! ベチャッ!!
ズゴーン!! バキバキバキ!!

「放水だーーーー!!」

ヴォッ・・・バァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!!

「わあ!!」
「うわ!!」
「どわあ!!」
「・・・・・・!!」
「キャアアアアア!!」

自衛隊の指揮官が叫んだ途端、パトリオットミサイル車両のような放水トラックから、
大量の水が自然保護側の人間達にぶちまけられる。
だが、その途端、

「この野郎、節水だろーーーがーーーーー!!」
「こんなとこに撒く水があるんなら森や大地、自然の木々や生き物達に分けてやれ!!
」

ますます暴動を起こして、自然保護側の人間達は暴れ出す。そして、火炎瓶や爆弾に
よる攻撃で、金網についた火の手があがる。

「うわああああああ!!」
「ココココラ、俺達をバーベキューにする気か、この悪魔〜〜〜〜〜〜〜!!」

工事していた作業員達が騒ぎ出す。

「うるせー!! 悪魔なのは手前のほうだろーが!!」
「そうだ!! お前等のような奴らはバーベキューだ!!」
「そうだ!! 未だこの大地では必要のない建造物を次々と建てまくる事によって自
然の動物達、森の木々達が次々と犠牲になっているーーー!!」
「自然を救え!!」
「自然を救え!!」
「森の木々を救え!!」
「森の木々を救え!!」
「自然に生きる動物達を救え!!」
「自然に暮らす動物達を救え!!」

自然保護側の人間達は攻撃の手を緩めようとしない。そしてついに、金網の土台が壊
れて、火を巻き上げながら金網が倒れた。

「まだ工事をやってやがる!! 追い出せーーーー!!」

自然保護側の人間達は、猛然たる勢いで自衛隊の防衛ラインを突き破る。後の半分は
自衛隊の相手をする事になった。

「出てけーー!!」
「この街の住人のくせに何様だと思ってんだーーー!!」
「この街に残る唯一の憩いの場なんだぞ!! これを潰す気か、責任とれーーー!!」

その後は暴動状態。プレハブの休憩所、機械やブルドーザー、パワーショベルも尽く
石やペンキ玉、火炎瓶や爆弾の攻撃を受けてボロボロになった。作業員達も身肌ボロ
ボロになり、傷だらけになり、大怪我を被って工事は一度ストップされ、頓挫された。
そしてまた、次の日。
また、ジェーコフ森林公園で、開発作業が始まった。それを嗅ぎ付けた「自然保護派」
の人間達は、それの中止に向かう。
今日もまた自衛隊の指揮官が、アナウンスを流す。

『ただちに工事の妨害及び集会を中止し、この場から撤収されたし!!』

「工事を中止しろーーーー!!」
「兵器開発工場反対ーーーー!!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」
「建設反対!!」

今日もまた、ペンキ玉や石などを、自然保護派の人間達は金網に向かって投げ付ける。
そして、自衛隊員と乱闘するのもいた。

「放水ーーーーーーーーーーー!!!」

指揮官が叫んだ途端、パトリオットミサイル車両型の放水車から大量の水が打ちまけ
られる。

ヴォッ・・・バァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!
!

「うわあ!!」
「なっ・・・!!」
「くそっ!!」
「ごえっ!!」
「ば!?」

大量の放水で自然保護派側の人間が仰け反る。そこでまた、自衛隊のアナウンスが響
く。

『直ちにこの場から撤収されたし!!』
『集会は認められていない!! 工事の中止は認められていない!! 直ちに撤収さ
れたし!!』

「この野郎、節水だろーーーーがーーーー!!」
「こんなとこに撒く水があるんだったら、自然や森の木々、生き物達に分けてやれ!!
」
「そうだ!! この大地の自然界はいまだ環境が破壊され続けるせいで森の木々、生
き物達が次々と犠牲になっているー!!」
「自然を救え!!」
「自然を救え!!」
「自然を救え!!」
「自然を救え!!」
「自然を救え!!」
「大地を救え!!」
「大地を救え!!」
「大地を救え!!」
「大地を救え!!」
「大地を救え!!」
「母なる自然界を救えー!!」
「母なる自然界を救えー!!」
「母なる自然界を救えー!!」
「母なる自然界を救えー!!」
「母なる自然界を救えー!!」

大地を救えコールはワンワンと犇めき合い、自然保護側の人間達の勢いを上がらせる。
そこで、耐えかねた作業員の1人が、

「いつまで其処でへばりついてんだよ。目障りだ。帰れ!!」

と、怒鳴った。そこで作業員は続けるように、

「まったく、いい迷惑だぜ。何でも自然破壊だなんて言い方しやがってよ。おれたち
作業員は、悪者扱いだ」

と、吐き捨てるように言った。そこで、作業員のグチは、さらに続く。

「女子供の考えでなにもともかもとおりゃ、この世に警察も政治家もいらねーんだよ!
おれたちゃな、食っていかなきゃならねーんだ。世の中のしくみもわからねー人間が、
好き勝手言ってんじゃねーよ!!」

毒づく作業員を、仲間が止せよと宥めている。だがその途端、

「な、なんだとぉーーーーっ、ちっと常識を踏まえているからって調子こいてんじゃ
ねーぞ、金蝿があーっ!!」
「何威張ってやがんだ、この環境破壊者!!」
「てめーみてーなクソったれのケツなんかふきたかねーんだよ!!」

その途端に自然保護者側の大半が、さっきまで毒づいていた作業員のほうへ攻撃を集
中する。毒づいていた作業員は、火炎瓶や爆弾の集中砲火を浴びかけた。
そしてその途端、ガタンと金網が倒れた。ワッと自然保護側の人間達の波が、自衛隊
員を押し退けて作業員たちのほうへ突入する。

「自然界の悲惨な生き物達と森の木々を救うんだー!!」

と、自然保護側の人間6人が、毒づいていた作業員を攻撃する。その他の人間も、他
の作業員たちと殴り合い、蹴り合いを演じる。

「やんのかコラー!!」
「お前等のようなバカタレどもが口出す幕じゃねえんだよー!!」
「人としての良心があんのか、お前等はー!!」
「なんだと、このヤルォ!! 生意気な口を叩くな!!」
「開発派のほうこそ、もっと頭つかえってんだよー!!」
「殺すぞコラー!!」
「破壊された自然を返せー!!」
「美しい緑と川を返せー!!」
「ふざけやがってコラー!!」

そこで、また・・・

「放水ーーーーーーーーーーーー!!」

と、指揮官の指示が入る。また、放水車から大量の水が乱闘の場に飛ぶ。

ヴォッ・・・バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーッ!!
!

「うわ!!」
「わあ!!」
「ぐわぁ!!」
「どわおっ!!」
「ぶぉ!?」
「んがっ!!」
「ぐぁぉう!!」

大量の噴水を浴びた両方は、一度仰け反ったが再び大乱闘を始めた。自衛隊のアナウ
ンスが、空しく響く。

『直ちに撤収しなさい!!』
『この場所から直ちに・・・』
自然保護派と開発派の乱闘が16日続いた頃、ジェーコフ森林公園は取り壊され、そ
こに「ジェーコフ兵器開発工場」が建った。
ジェーコフ兵器開発工場は、広大な公園跡の敷地全体(東京ドームがいくつか入るよ
うな領地)をおおいつくし、武装仮設ビルを周囲に50棟以上設け、その仮設ビルに
取り囲まれたピラミッド状の工場本部にはMT・AC工場が設けられた。
この「ジェーコフ兵器開発工場」を建設したのは、キサラギだ。近年、弱体化の激し
いこの企業は、ミラージュの保護を受けて存続を図るつもりなのだろう。それで今回
の工場開発の件は、ミラージュと取り引きしたからだろう。


今日もジェーコフ兵器開発工場の内部では、煽動音や機械の音が響いている。
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
「AパーツとBパーツをこっちに運んでくれ」
「こっちの試作機のMTもエアロブースターを追加だ」
「GパーツとFパーツの取り付けを頼む」
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
「そっちのバーニア取り付け、どうなってんだよ!!」
「あ・・・まだです」
「何やってんだ!! いつまで経っても、新たに送られてくる「プロトタイプ」のA
I機体(強化人間)の組上げが出来ねえだろうが!!」
「す、すいません(ケッ、自分でやれブタ!!)」
「もーー、無茶言いやがって〜〜〜〜!!」
「早くしろタコーーーーー!!!」
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
「お〜〜い、またドリルの電源が切れたぞ!!」
「おっかしいな、ったくよぉ!!」
「知らねぇよ。自分で直せ、バーロー!!」
「・・・あれ? おい、ドリル何処やった、ドリルーー!!」
「誰だよ、スパナ持ってったのはーー、返せよー!」
「知らねぇよ」
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・
カンカンカンカン、ガガガガガガガ・・・・

現場監督に怒鳴られ、叱咤激励されながら、作業員たちは次々とMT・AC(AI機
体・強化人間)の組上げを急ぐ。



数日後・・・
その数60体の、AI機体(強化人間)が組み上がった(でも組み上げはまだ続く)。
それらの報はミラージュ本社に知った時、幾多に渡って無人兵器部隊へそのAI機体
を投入する。これで、ミラージュ無人兵器「最強」部隊は完成同然だった。
だが、それを嗅ぎ付けて、ミラージュ無人兵器の量産を阻止せんとする「企業」がい
た。
それは、「クレスト」だった。

「Re:新型兵器破壊
 依頼主:クレスト
 成功報酬:42000c
 ミラージュが、キサラギ軍事施設の地下工場で無人ACの量産を行っているようだ。
 近年、弱体化の激しいキサラギは、ミラージュの保護を受けて、維持をし続けるつ
もり であろう。
 早速、この施設に進入し、最深部に保管されている実験機を破壊してもらいたい」


この依頼メールに定められた、クレストの目的はただ「2つ」。
1つは、最深部のミラージュの「実験機」の破壊。
もう1つは、地上の軍事施設及び、地下の工場の完全破壊、それによる機能低下。
これらは、ミラージュに対する拠点破壊の「刺客」を差し向ける作戦なのだろう。
そのメールは、「自然保護派」の人間に大きく影響を与えた。
そこで、「自然保護派」から差し向けられたレイヴンは・・・


彼の名は「ビルバオ」。

AC名は「グリーンウィッチ」。

前回よりCPアップした、愛するグリーンのカラーリングの施されたフロートの機体
を、
ビルバオはそれを「矛」として、その「矛先」を「絶対悪」とする「開発派」の作っ
た「悪の帝国」の「悪の要塞」へ向ける。


「あの開発派が、あの開発派の企業が、我々の愛する自然と緑の園を破壊した・・・!
!
あれが、法を越えた巨悪の開発派『悪の帝国』・・・・・・・・!!」
「そして、これが、『悪の帝国』が建てた・・・『悪の要塞』・・・・!!!」

ビルバオは、何棟かの武装ビル・・・いわゆる「砦」と、その奥にある「悪の要塞」
を見て憤りを感じている。
彼は、自分達自然保護派を「絶対正義」として、開発派を「絶対悪」と信じ、今まで
開発派のやる事成す事に、火のごとく不満や糾弾を吐く。そのやり方が、開発派の業
者に反感を買い、怨恨関係を築き、自然保護派の人間達に恩義関係を築きあった。
彼は、ACを『悪の要塞』へ進める。

「待っていろよ・・・!!」

バシュゥゥゥン!! ズガガガガ・・・
門の前に立ち塞がっていた鉄のゲートをプラズマキャノンで一閃して、叩き壊す。そ
して轟音を巻き上げて門が崩れたと同時に、

「第一守備隊より各部隊へ。侵入者確認。全守備部隊攻撃体勢に入れ!!」

と、敵の守備部隊に連絡が入る。さらに武装ビルの砲台が作動して、グリーンウィッ
チを攻撃する。

パパパパパパパパパパパパパパパ!!

「生意気なんだよ・・・開発派が基地を築くなんてな!!」
ビルバオは左腕のパルスライフルを連発する。

パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
ドガァン!!
ドガァン!!
ドガァン!!
ドガァン!!

「武装ビル第1から第4損壊!! 守備部隊は何をしているんだ!!」
守備部隊がもめあう中、ビルバオは構わず攻撃し続ける。

「邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔ァァァァーーーーーーーーーーー!!!」

パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
パシュッ!!
ドガアアッ!!
ドガアアッ!!
ドガアアッ!!
ドガアアッ!!
ドガアアッ!!
ドガアアッ!!

「邪魔だあああああああああああああああああっ!!!」

ズバアッ!!
ズバアッ!!
ズバアッ!!
ズバアッ!!
ズバアッ!!
ズバアッ!!
ズバアッ!!
ズバッ!! バキッ!! ガァーーーーーーーーーゴゴゴガン・・・
ドガアアアアアアアアン!!!

さらに、右腕のブレードをリーダー格の大型砲台搭載ビルを叩き壊した。砲台がスパー
クを起こして、地面に崩れ落ちた。そして、爆発した。
地上の敵はいなくなった。さらにビルバオは駒を進める。





「これが、『悪の要塞』の内部・・・」
ビルバオは基地内部へ進入している。彼の愛機の傍を、トレーラー程のある大きさの
補給車が、ガロロロロ・・・という音をたてて同行している。同行部隊が訪ねる。

「レイヴン、調子はどうだ?」

「ああ・・・」

「補給車は2回分のチャージが可能だ。上手く使ってくれ」


そうこう訪ねられているうちに、ビルバオは基地内部の奥深くまで進んでいた。目の
前に金網が張られていて、その奥に3機の浮遊ガードメカ「パファー」がウロウロし
ている。
「ガードメカか・・・よーし・・・」
ビルバオは金網を叩き破り、パファーの砲火を躱しつつ、1体1体にブレードのひと
刺しを入れる。ひと刺し入れた度に、パファーは吹っ飛んだ。
この部屋の敵は掃除した。そしてその後、この部屋の金網を全て叩き壊し、補給車の
通路を開ける。


そして、次の部屋に進む。
今度も同じパファー。さっきと同じように3機いるが、この部屋の3つに分断された
空間の中で、うろうろしている。
「またか」
ビルバオは金網を叩き壊して、パファーを誘き寄せる。さっきと同じようにパファー
はロケットを浴びせて来たが、パファーの攻撃は左右の回避運動で簡単に躱せる。
「くだらない、攻撃だ」
ビルバオは次にEOを作動させて、パルスライフルとの併用射撃を浴びせる。さっき
と同じように、パファーは2、3発当てられたと同時に吹っ飛んだ。
この部屋の敵は掃除した。其処で部屋に残っていた弾薬のしこたま詰まった棚を全部
破壊し、さらに部屋の金網を全て壊した。


そしてさらに次の部屋に進む。
今度は、格闘型MT「カイノス/EO2」が2体、パファーが6体、部屋の中をウロ
ウロしている。カイノス/EO2が部屋の出入り口前でウロウロしていて、パファー
がその奥でうろうろしている。
「今度は骨のありそうな奴だ」
ビルバオは先ず最初、肩のプラズマキャノンをカイノスに向けて連射した。さすがに
装甲の厚いカイノスも、2発ぐらい当てられたところで吹っ飛んだ。
「さて、後は・・・」
2体のカイノスを倒せば、後は雑魚。EOで速めに掃除してしまった。
この部屋の敵も掃除した。また、ここにある沢山の弾薬棚と金網を壊し尽くすと、次
の部屋へ進んだ。

そしてまたさらに、次の部屋に進む。
今度は、6体の4脚ガードメカ「トライロバイト?」と2体のカイノス/EO2がう
ろうろしている。金網で2つに分断された空間の中に、トライロバイト?は2体ずつ
地面をゴソゴソ、ゴソゴソと蜘蛛のように徘徊している。
「・・・・・」
ビルバオは今度はキャノンは使わずに、パルスライフルとブレード、EOの併用攻撃
を繰り出す。途中エネルギーが切れかけたが、彼は構わず攻撃を繰り出す。
そしてこの部屋の敵は掃除した。エネルギーが回復した頃、またいつも通り、弾薬棚
と金網を全て破壊した。


そしてまたまたさらに、次の部屋に進む。
今度はカイノス/EO2がいないかわりに、わんさかわんさかとパファー、トライロ
バイト?の両方がうろうろしている。両方とも、8体。あわせると16体だ。
「・・・凄い数だ」
ビルバオが部屋の中に足を踏み入れた途端、パファーとトライロバイト?の集中砲火
を浴びた。これでは、ただのマトだ、と思ってビルバオは一旦部屋の外へ飛び出し、
外から射撃した。
1体、また1体・・・
また1体、1体・・・
次々と吹っ飛ばしていくうち、やがて最後の1体が消えた途端、ゴォーーー・・と奥
の扉が開いた。どうやらここにいたパファーとトライロバイト?が、ゲートをロック
する装置を内蔵されていたらしい。
そんなこんな、工場内部の敵MT、ガードメカを相手してる度に、遂に最奥部に辿り
着いた。画面を見ると、奥に「TARGET」と表示されている。
「ここか・・・目標の実験機の格納場所は」
ビルバオは胸がドキドキするのを感じる。緊張しているんだ、と自分に言い聞かせた。
ついさっき、工場内部の敵を全掃討してから、一度補給車の所に戻って、補給を施し
て来た。自分のACに施した武装・プラズマキャノン×2、ブレード、パルスライフ
ルの弾薬は満タンになっている。
「待っていろよ・・・」
ビルバオはゲートを開け、奥に足を踏み入れた。
その時、

ヴォォーーーーーン!!
ヴォォーーーーーン!!

と、警報が鳴り響き、館内放送がけたたましく響く。

『敵部隊、防衛ラインヲ突破』

『防衛システムヲ起動シマス・・・』

と、館内放送が終わった途端、天井にあるハッチが開き、その中から1体のACが飛
び降りて来た。赤紫のカラーリングの、軽量2脚だ。
そのACの武装は、

レーダー。
スモールロケット。
デュアルパルスライフル。
ブレード。

と、言った武装だ。

「A・・・AC!?」
ビルバオが驚いた途端、そのACはいきなり襲い掛かって来た。
「あ! くそっ! 不意打ちなんて汚いぞ!!」
ビルバオは接近して来たACをブレードで突き刺す。だがそれは、一瞬、ACのコア
を擦っただけで、ダメージは小に押さえられた。
「おっ、外したな!」
ビルバオはプラズマキャノンを構え、1発御見舞いしようとした。だが、構えようと
した所をブレードでほんの少し斬られた。
「ぐっ・・・」
ビルバオは怯んだが、負けずにプラズマキャノンをACのコアめがけて撃ち込む。
バシューーーーン!! ドドドドド・・・
ACは軽量2脚だから、防御力に甘さがあった。ACは撃ち砕かれた。
「なんだったんだ、あれは・・・」
ビルバオが呟いた途端、ゴォォォォーーー・・・と、扉が開く音がした。その時、ま
たさっきのACが現れて、こちらに向かって来た。
「何!?」
ビルバオは驚く。だがその途端ACはデュアルパルスライフルを撃ちながら接近して
来た。その火筒から放たれるソニックブーム状の光弾は、グリーンウィッチの装甲を
削っていく。
「く!」
ビルバオは焦る。だがその時、ACは目の前にいた。ブレードをグサリと振り上げ、
振り降ろそうとしたとき、ビルバオはプラズマキャノンをもう1発撃ち込む。1体目
と同じように、脆い装甲を打ち砕かれてバラバラに砕け散った。
そこへまた、ゴォォォォォーーーー・・・と、再び扉の開く音が響き、またさっきの
ACが現れて、ビルバオのグリーンウィッチめがけて襲い掛かった。
「これはどうした事か?」
3体目のACも、さっきのと同じようにパルスライフルを連射してこちらに突進して
来た。目の前まで近づいた所を、ブレードを振り上げる。
「くそっ!」
ビルバオはプラズマキャノンをさらにもう1発撃ち込む。そしてまた3体目も、脆い
装甲を持っていたからバラバラに砕け散った。
だがさらにまた、ゴォォォォォーーーー・・・と、扉の開く音が響き、今度は4体目
のACが現れた。そいつもまた、ビルバオに突進していく。
「どうなっているんだ、こいつらは一体〜〜〜〜!?」
ビルバオは悲鳴をあげる。その時、同行部隊から通信が入る。

「レイヴン、聞こえるか! ゲートのロックをこちらから解除してみる。それまでは、
そちらに応援を向かわせる。少しの間、耐えていてくれ」

だが、ビルバオは構わず4体目のACを相手している。今度はEOとパルスライフル
の併用射撃をかまして来た。
EOか・・・ならばこちらも」
ビルバオはEOのトリガーを引いた。そしてパルスライフルとEOの併用射撃を使い、
真正面から4体目のACと撃ち合う。
だが、ビルバオのグリーンウィッチは押されかける。相手の持っているデュアルパル
スライフルとは威力が違う。それで、徐々に押されかける。
「くっ、こうなったら」
ビルバオは一度機を部屋の左の隅に積まれているコンテナを盾にし、そこでプラズマ
キャノンを構えた。
バリ、バリ、バリ、バリとコンテナが徐々に破壊されていく。そしてとうとう、グリー
ンウィッチを盾にしていたコンテナが吹き飛ばされた。
目の前に煙が立ち篭めていたが、その煙にACのシルエットがぼやけて見える。ビル
バオはぐっとトリガーを握りしめる。
「そこだーーーーーーーーーーーー!!!!」
その時、グリーンウィッチのプラズマキャノンは炸裂していた。放たれた光弾は、A
Cを粉々に吹き飛ばした。
そしてまた、ゴォォォォォーーーー・・・と扉の開く音が響き、またまたACが現れ
た。
「くそ、またか・・・」
ビルバオはぐっとプラズマキャノンを構えた。その時、

「世話を焼かせやがって・・・ビルバオ、援護する!」

と、扉が開き、1体のACが現れた。それは軽量の逆関節で、肩に軽量グレネードに
レーザーキャノン、両手にはスナイパーライフルを持っている。
「ボブキャット・・・ソロイストか!」
“戦場の肉食獣”ソロイスト。長距離戦を得意とした武装を施し、機動力を確保した
機体「ボブキャット」を駆る。かつては味方に裏切られて以来、共同の以来を一切引
き受けないタイプだ。でも、どうしても引き受けなければならない時には、不服感を
抱きながら戦うタイプ。そのために、単独で戦えるように、長距離戦を得意とし、機
動力を確保した機体を作った。
「はん! こんな奴・・“戦場の肉食獣”と渾名されているこの俺に掛かれば・・・
ひと捻りだな」
と、ソロイストはグレネードを撃つ。グレネードは5体目のACを見事貫き、バラバ
ラに5体目のACを吹き飛ばした。だがその時、6体目のACが現れた。
「これは・・・レプリカかっ!」
ソロイストはもう一度突進して、6体目のACの周囲を回りながらスナイパーライフ
ルを連射する。両腕のスナイパーライフルは高い威力を誇っていて、15発ぐらい当
てた所で、6体目のACも大破し、粉々にくだけ散った。
すると今度は、両側の扉が開く音がして、7体、8体目のACが現れた。それらはサ
イドアタック(挟み撃ち)をかますように両側から襲って来た。
「くそ、今度は2体とも現れたか!!」
ソロイストとビルバオはさらに焦る。2体のACは同時荷重攻撃を仕掛けて来た。
「くっ、もう持たない!」
ビルバオのグリーンウィッチから白い煙と火花が飛び散り始めていた。そしてさらに、
彼のACのAPは「0594」となっていて、1発でも受けたらジ・エンドだ。

「レイヴン、ロックは解除した。作戦を続行してくれ」

ソロイストとビルバオのACに、同行部隊の通信が入った。
「これ以上攻撃を受け続けるわけにはいかない!」
と、ビルバオは扉に近づこうとした、その時。後ろからACの撃ったスモールロケッ
トを食らった。ブースターパックに直撃だ。

ドゴン!! ガガガガガガガガガガガガズズズゥゥーーン・・・
「くそ、こんな所で・・・後は頼む・・・」

そして「グリーンウィッチ」は爆発した。
「何だ、もうやられたのか!?」
ソロイストは叫ぶ。だがその時、グリーンウィッチを倒した2体のACが突進して来
た。
「うぬっ、調子に乗らせるか!!」
ソロイストはレーザーキャノンを連発する。槍のように尖り、緑色に光る閃光が次々
と2体の敵ACに突き刺さる。そして何度か受けまくるうちに、打ち砕かれた。
ゴォォォォォーーーー・・・と両側の扉が開きかける。また、2体のACが突撃して
くると言う合図だ。
「これじゃあ、キリが無いぞ」
ソロイストは部屋の奥にある扉を開けて、中へ踏み込む。
そこは、無人ACの実験機の保管室のようだった。3つの調整ケージが置かれていて、
その1つに「TARGET」と表示された、実験機体ACが置かれていた。同行部隊の通信
が入る。
「ビルバオはどうした?」
「俺が援護してる途中、ACにやられたようだ・・」
「そうか・・・仕方がない、そいつの破壊を頼む」
止むを得ないと判断した同行部隊の指示が入る。
「とんだ思いつきだったな・・・」
ソロイストはそう言うと、颯爽に実験機体ACを破壊してしまった。

「作戦は成功だ、帰還してくれ」

同行部隊の指示が走る。




その後の翌日。
完膚なきまでに破壊されたジェーコフ兵器開発工場は、やはりこの大規模な工場の復
旧作業にも分があり、半分機能停止に陥った状態になった。
ジェーコフ兵器開発工場は、使い物にならないと判断され、放棄された。
そして、自然保護派の人間達が、この報を喜び、早速工場の取り壊しに掛かった。
数日か経って、工場の取り壊しは完全に終了。地下にあった工場は、埋められた。
その後で、住人からの訴えで、工場跡地は植樹を何回も施され、緑を徐々に回復して
いった。

その後で、工場跡地に自然保護派の人間達がテントを何個か張り、そこを自分達の拠
点にした。




そしてある雨の日。
「おい、見たか。工場跡地の奥に何やら自然保護派の人間達が集会を開いているぞ」
と、住人たちが噂して、急いで跡地に行ってみると、奥の方に集まっていたのは本当
だった。
奥の方にある破壊された武装ビルの1つの前に、自然保護派の人間達が集まっていた。
そこで彼らの前に、十字架型の墓石で作った墓が立っていた。その前に、食べ物や、
コスモスや菊、椿の花が添えられていた。
「ほら、涙を流しているやつもいるぜ」
「本当だな。葬式をしているようだ」
住人たちはヒソヒソと話し合っている。その中に、ソロイストの姿もあった。
ソロイストは、こう呟いた。

「レイヴンの人生が、また1つ終わった・・・か」

彼はそう呟くと、帰っていった。
その墓石のところに、かつて彼と共に戦ったレイヴンの名前が、こう書かれていた。

「ビルバオ」
と。






ども、しじみ汁です。
今回は、自然保護派と開発派の戦い、「新型兵器破壊」をもとに描かせてもらいまし
た。
自然保護派は、この話に出てるだけじゃ無く、
世界の何処かで活動しているかもしれませんね。
次回は「ウィリアス植物研究所探索」「生体兵器破壊」の予定です。

〈今回登場したレイヴン〉
名称:ビルバオ(36)
自然緑化運動に徹底的に参加し続けている、自然保護派レイヴン。
実弾兵器は環境を悪くすると言って絶対使わず、光学兵器は環境に優しいという妙な
信念を持っている。それどころか、戦闘中にエネルギー切れを起こして、負けてしま
う事もしばしば。クレストの依頼を受けて、キサラギの軍事施設に進入して実験機を
破壊しようとするが、途中でTYPE:γの挟撃にあって死亡。
AC:グリーンウィッチ
頭部:MHD-RE/008
コア:MCL-SS/ORCA
腕部:CAM-11-SOL
脚部:MLR-MX/LEAF
ブースタ:None
FCS:VREX-ND-2
ジェネレータ:MGP-VE905
ラジエータ:RIX-CR14
インサイド:None
エクステンション:None
右肩装備:MWC-IR./20
左肩装備:MWC-IR./20
右腕装備:KWB-SBRO2/RS
左腕装備:MWG-KPL/150
オプション:OP-S/SCR   OP-E/SCR   OP-TQ/CE

名称:ソロイスト(38・強化人間)
“戦場の肉食獣”と渾名されている名高いレイヴン。
その渾名のごとく、肉食獣のごとく敵に食い掛かり、野獣のような強い力を発揮する。
かつては共同で依頼を受けていたが、味方に裏切られて以来、共同の依頼を受ける事
はあまり無くなった。そのために、単独で戦えるように、長距離戦用の武装を施し、
機動力を確保した機体を作った。
AC:ボブキャット
頭部:CHD-MISTEYE
コア:CCL-01-NER
腕部:CAL-44-EAS
脚部:CLB-SOLID
ブースタ:CBT-FLEET
FCS:VREX-ND-2
ジェネレータ:MGP-VE905
ラジエータ:RIX-CR10
インサイド:MWI-DD/10
エクステンション:CWEM-AS40
右肩装備:MWC-LQ/15
左肩装備:CWC-GNS-15
右腕装備:MWG-SRF/60
左腕装備:CWG-SRFL-50
オプション:OP-INTENSIFY

〈今回登場したAI機体〉
AI機体・TYPE:γ(強化人間)
頭部:MHD-RE/005
コア:MCL-SS/ORCA
腕部:MAL-GALE
脚部:MLM-MX/077
ブースタ:CBT-01-UN4
FCS:AOX-F/ST-6
ジェネレータ:CGP-ROZ
ラジエータ:RMR-ICICLE
インサイド:None
エクステンション:None
右肩装備:MRL-MM/011
左肩装備:MWR-M/45
右腕装備:MWG-DKP/100
左腕装備:MLB-LS/003
オプション:OP-INTENSIFY
作者:しじみ汁さん