Non Chapter:深淵
(沈黙と闇。幽かな灯り。人影三人分)
「……」
「また考え事かい、~~~さん?」
「……」
「やれやれ、コミュニケーション不全は相変わらずか。
ねぇ~~~~~~~さん、嗅ぎ回る連中の始末は終わったかい?」
「…私はお前達~~~~の為に~~~を駆っているわけじゃない。
ただ“強者”と出会う為だ。――そしてまた失望させられた」
「完了、と受け取っていいのかな?了解、上に報告しておくよ。
しかし何だかんだでハエはたかるもんだねェ……いつも目を光らせておかないと」
「その為にここにいるわけではないと言っている」
「有能なレイヴンは他が忙しいのさ。第一僕にそんなこと言われても困る。ま、気の毒だとは思っているよ。
目的を果たせないのは歯痒いものだからね。そうだろう、~~~さん」
「……」
「……禁句だったかい?悪かった、見ないでくれよ。あなたの目はどうにも冷たすぎる」
「……」
「やれやれ。……そうだ、それより連絡があってね。情報部のコンピューターが何者かにハッキングを受けた
とのこと、注意されたし。と言っても、ま、それほど重大な情報が持ってかれたわけじゃないそうだよ。
ただ、近い内にまたハエが来るかも知れないね」
「………了解した」
「……」
「“エアヘッド”といい、最近心が落ち着くことが無いよ。落ち着いて依頼も受けられやしない。そうだろ?」
「さあな」
「おっとそうだった、貴方は“興味が無い”んだったかな。向かって来るもの以外は、ね」
「……性格分析か。暇なことだな」
「そりゃあ、仕事仲間のことは多少は知っておかないと。どちらにせよ厄介な人格だけれど」
「話はそれで終わりか」
「……」
「ああ、連絡は終わったからね。貴方はアリーナへと戻ればいい。必要に迫れれば連絡が来るだろう。
それじゃ健闘を祈るよ」
「…………了解した」
「……」
(散る人影。灯り。静寂。深淵の如き闇)
作者:アインさん
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