地上編第三話 紅い魔物 〜オペレーション・ファントムキラー〜
???「クレスト殿、そちらの【オペレーション・ファントムキラー】の実行部隊のほうは?」
クレスト「ミラージュ卿、その話が成立したのはつい昨日の話ではありませんか。数時間で寄せ集めた部隊が役に立つとは思えませんが?」
ミラージュ「そうは言われても、これは早急に行われなければ意味があるまい?」
クレスト「しかし、これでは、、、部隊の一部をキサラギに出すように要求されてはいかがですかな?」
ミラージュ「キサラギ?あんな連中が役に立つとはとても、、、」
クレスト「ですが我が社のほうで出せる部隊はこれで限界です。」
ミラージュ「、、、、わかりました。こちらで何とかしましょう。」
クレスト「よろしくお願いします。共通の敵、【ファントム】に死を、、、」
ミラージュ「えぇ。【ファントム】に死を、、、」
手元にのみ明かりが灯され、相手の顔も確認できないような暗い部屋の中で二つの声が響いていた。
一人はミラージュ卿と呼ばれる、世界を二分するかのミラージュの社長である。
そしてもう一人はミラージュと同じく、世界のほぼ三分の一を治める大企業クレストの社長であった。
本来敵対しているはずの二人がここにいるのには理由がある。【ファントム】と呼ばれた研究所を潰して回っている謎のAC、、、
一般には【死神】と呼ばれている神出鬼没の敵。つまり、ラゴウを消すために二つの企業が手を結んだのだった。そして、、、
リア 「ラゴウ!ビッグニュースよ!!」
ラゴウ「どうした?」
リア 「ミラージュとクレストの研究所に技術を流してる連中が判明したのよ!!」
ラゴウ「何!?それで、相手は?」
リア 「AI研究機関とかいう胡散臭い連中よ。彼らの技術提供はAIに関するものだけじゃなかったみたい。」
ラゴウ「AI研究機関、、、それでそいつらの研究所の位置は掴めているのか?」
リア 「情報によると環境整備地区にあるらしいけど、、、」
ラゴウ「解せんな、、、何故急にそんな具体的な情報が出てきたんだ?今までは企業の研究所の位置を探るだけでも手一杯だったというのに、、、」
リア 「それもそうね、、、今回はやめとこっか?」
ラゴウ「いや、出る。罠かもしれんが叩けば何かわかるだろう。」
リア 「そう、、、やっぱり私も一緒に、、、」
ラゴウ「リア、同じことを言わせないでくれ。君がもうACに乗る必要はない。」
リア 「けど、、、」
ラゴウ「大丈夫。危険だと思ったらすぐに撤退するさ。」
リア 「、、、、わかった。」
ラゴウ「じゃぁ距離もあるし、【フィッシュボーン】にAC積み込まなきゃならないから早めに出撃するが、、、ケイトを頼む。」
リア 「うん。任しといて!」
ラゴウ「じゃ、支度といくか!」
ケイト「、、、、、、、、、」
物陰の視線に気づくことなく数時間が経過した。そして、
『ゲートオープン、【フィッシュボーン】発進、どうぞ。』
ラゴウ「よし、、、行ってくる!!」
コオォォォォォ、、、、、、
リア 「行っちゃったか、、、待ってる人の気持ちも知らずに、、、はぁ、、、、ケイトォ?ケイト!あれ?いない、、、まさか!?」
ケイト「、、、、、、、、、寒い。」
対空レーダー網から逃れるために限界まで高度を上げた輸送機内で一人つぶやくケイトの姿があった、、、
部隊長『第十七混成機動部隊よりロングネック。こちらは配置についた。』
通信士『こちらロングネック、了解。第五AC小隊はどうか?』
小隊長『感度良好。問題ない。』
通信士『了解。司令、全部隊配置完了しました。』
司令官「うむ。思ったより時間がかかったな。」
副官 「ハッ、申し訳ありません。やはり、クレストと組むのを不満に思うものもいるらしく、、、」
司令官「クレスト、か。キサラギを併合しようとしているらしいが、、、」
副官 「そうなるといささか厄介ですな。戦力面で我々が劣ってしまいます。」
司令官「そのための【オペレーション・ファントムキラー】だ。ミラージュに付いたほうが得策だとキサラギの連中に教えてやらねばならん。」
副官 「さらにクレストの連中を第一防衛網に配備して戦力の疲弊を誘う、、、というわけですか。」
司令官「ふふふ、そうそう上手くいくものではないよ。現実はな。しかし、ロングネックか。嫌な名前だな。」
副官 「部隊の規模が大きければ大きいほどライフラインとも言うべき司令部は狙われやすくなりますので、、、」
司令官「なるほど。それで狙いやすい弱点という意味を込めて『長い首』というわけか?」
副官 「まぁ、ここさえ無事なら【ファントム】が10機来ても負けることなど、、、」
ビー ビー ビー
司令官「来たか!?」
通信士「司令!!レーダーに反応!高高度輸送機です!!識別不能!!」
司令官「うむ。全部隊に通達する!【オペレーション・ファントムキラー】を発動する!!迎撃、、、始めぇ!!」
その一言をきっかけに迷彩処理やステルスを施されていたおびただしいかずのMTが一斉に攻撃を開始した。
ラゴウ「クッ!やっぱり罠か!?にしてもこの数、洒落にならんぞ!!」
ダダダダダダダ ドシュルルルル ガガガガガガ バシュゥゥゥン ドゴォォォン!!
部隊長「よーし!輸送機を撃墜!!白兵戦に移る!各機、対AC戦闘用意!!」
部隊員「「「「「了解!!」」」」」
部隊員「、、、、、、、、、」
部隊員「、、、、な、なんだ?出てこないぞ?」
部隊員「へ、やっちまったんじゃねぇのか?」
バシュゥゥゥン
部隊員「え?な!?」
ドゴォォォン!!! ゴォォォォォ ザシュン!!
部隊員「うわ!?馬鹿な!?」
ボオォォン!!
部隊長「どうした!?な!?キ、キサマが、、、【死神】」
ザシュゥン!! ドォォン!!
死神と呼ばれたAC、【ブリオニア】はアイカメラを妖しく一度光らせると眼前のMTを切り捨て、『殲滅』を開始した。
MTが密集しているところに突っ込んで2〜3機を切り伏せる。真横の敵にマシンガンを数発叩き込みオペレーション・システムを破壊し、黙らせる。
虎の子のAC部隊は後回しにされているのか追っても逃げられ、まるで役に立てないでいた。そんな時、
???「オレが相手してやるよ。」
AC乗り「あん?こ、子供!?」
ラゴウ「何だ、、、この感じは、、、ケイト!?近くにいるのか!?」
ケイト「汝、禍を呼ぶ紅き閃きよ。来い、【禍閃紅】。」
ビー ビー ビー
司令官「今度はなんだ!?」
通信士「だ、弾道ミサイルらしきものが!!」
司令官「なんだと!?全部隊に通達しろ!!撃ち落せぇ!!」
通信士「え!?ま、待ってください!これは、、、ミサイルの中から熱源反応?、、、、そんな!え、ACだ、、、」
ゴォォォォォォ バン バン バン ガシュン ズシャァァ!!
突如としてミサイルの外部装甲が弾け飛び、なかからACが現れるとそのままパージされ、着地。そして、ケイトを己の中へと招き入れた。
ケイト「さ〜て、殺るよ。」
AC乗り「え、ACが飛んできた!?敵なのか!?」
ケイト「なにうろたえてんだよ。相手してやるって言ったろ。」
ドゴオォォォン!!!
部隊員「な、なんだ!?」
AC乗り「紅い、AC?」
名銃『KARASAWA』、肩と左腕にグレネード、同時二発発射式の中型ミサイルに連動ミサイル。呆れるほどの重武装をした紅いAC、禍閃紅が牙をむいた。
部隊員「こ、こんのぉぉ!!」
圧倒されつつも部隊員がギボンのブレードで切りかかる。が、
ケイト「とろいんだよ。」
ガギィン! ドゴォォン!!
左腕で動きを止められ、そのままグレネードによってそのギボンが二度と動くことはなくなった。
ラゴウ「ケイトか!?」
ケイト「父さん?」
ラゴウ「お前、、、どうして来た!!」
ケイト「これは俺の意思。仲間の仇、とってやりたいから戦う。父さんだって同じはずだろ?」
ラゴウ「お前、、、わかった。いまは許そう。だが、あまり殺すんじゃないぞ、、、」
ケイト「わかってる。敵は、こいつらじゃない、、、」
会話を終えた二人の周りには瓦礫の山が出来ていた。ラゴウはブレードで、ケイトはその火力を余すことなく使い、二人に近づこうとする者さえいなかった。
ラゴウ「強い、、、か。なら、(この機を逃す手はないな。)」
ケイト「やっぱとろいのは嫌いだ。汝、敵を惑わす紅よ、妖しき閃き。来い、【妖閃紅】。」
ドシュ!!
部隊員「が!?、あぁぁ!!」
ズズゥン!!
誰もが崩れ落ちたMTを見る。しかし何もいない。
ザシュン!!
AC乗り「な!?腕が!!」
部隊長「レーダーに反応?なんだこの数は!?」
今度は突如として一体のACの腕が切り落とされた。さらにレーダーに無数のAC反応が現れる。そして、
ヴィィィィィン、、、ドシュゥゥゥ!!!
数機のMTが何もないところから放たれたエネルギー砲により消し炭となった。
部隊員「なんなんだよ、、、どうなってんだ!?」
混乱に陥る敵部隊の中にまたも『紅いAC』が現れたのはその時だった。
ケイト「禍閃紅、AIモード『マガツ』、起動。行くよ、妖閃紅。」
部隊員「ま、また紅いACかよ?なんなんだぁ!!お前はぁ!?」
ケイト「オレはオレ。」
紅く、相手を惑わすような紫色に彩られたAC、妖閃紅に誰もが我を見失い、無防備な姿を晒した。
司令官『落ち着かんか!!ダミーに気をつけろ!動く敵を狙うんだ!!』
通信士「司令!!」
司令官「何事だ!?」
通信士「一機、物凄い速度で侵攻中!!識別、、、【ファントム】です!!」
司令官「な!?カイノスとフォイヤーベルク部隊に通信、迎撃せよ!!AIの用意もさせておけ!!」
通信士「りょ、了解!!」
副官 「司令、よろしいのですか?AIはまだ、、、」
司令官「解析しきれていないと言うのだろう?そんなことはわかっている!
しかし、たった数機のACによってミラージュ・クレストの主力部隊が 壊滅したなどとなってみろ!?冗談ではすまされんぞ!!」
副官 「確かに、、、わかりました。」
司令官「出し惜しみするなよ!?プロトタイプ全てをつぎ込んでもかまわん!!なんとしても、ここで落とす!!」
通信士「グスタフ部隊、突破されました!距離、20000!グレイボア、及びエグゾゼ部隊が交戦状態に入りました!」
グレイボア、そしてエグゾゼ。数が集まるとどちらもMTの中では厄介極まりない相手である。
高速移動に特化したグレイボア、そしてACに引けをとらない攻撃力を持つエグゾゼ。最も、並みのACが相手ならばの話だが。
ラゴウ「ウオオオオオ!!!」
キィィィィン ラゴウが力を解き放つ。うろちょろ回りを動き回るグレイボアをすれ違いざまに両断し、エグゾゼは皆マシンガンの餌食となった。
ラゴウ「これで、終わりか、、、いや、来る!!」
ババババババ!!
ラゴウ「いきなりか。敵は、、、ACか!?」
いきなりマシンガンをばら撒いたのは数機のAC。しかし、装備は貧弱。マシンガンだけのもいれば、武装を施されていない機体まであった。
ラゴウ「なんだ、、、こいつら、、、殺気がない?まぁいい、敵なら、、、ねじ伏せる!」
突進するブリオニア。数機がその貧弱な武器で攻撃してくるものの、足すら止めることができない。
ラゴウ「動きが硬いな、、、新人?いや、AIか!?」
考え事をしつつも既に二機戦闘不能に追い込み、ラゴウは敵がAIであることに気づく。
パイロットの人命を優先し、コアに攻撃を加えなかったラゴウにとってそれはもう敵ですらなかった。
ラゴウ「まだ未完成らしいな。これじゃぁ使い物にならない。」
回り込みつつグレネードで三機続けて黒焦げにする。集団になっている所へ飛び込み、一機の首を刎ね、一機を串刺しにし、
もう一機に至近距離でレーザーキャノンを撃ち込んだところで敵は全滅した。
ラゴウ「ちっ、弾切れか、、、ケイト、無事だろうな、、、」
少し遡ったころ、ケイトは次から次へと向かってくる敵に苛立ちを憶えていた。
ケイト「うっざいなぁ。ステルス起動。」
ヴゥン 鈍い音と共に妖閃紅は姿を消した。あの目立つ色彩をしたACが消えたのである。再び混乱の渦に巻き込まれるのは時間の問題だった。
AC乗り「くそぉ!どこだ!?どこに行きやがった!?」
ケイト「ここ。」
ブィィィィィィィン、、、、、、、ドシュゥゥゥゥ!!!
AC乗り「ウワァァアァァ!?」
ドゴォォォン!!!
部隊員「ひ、、、ひぃぃ!!」
部隊長「ば、化け物、、、か。」
ケイト「化け物?、、、オレ、その言葉が一番嫌いだ。勝手に化け物にしたくせに、、、ふざけてんじゃ、、、ねぇゾォォ!!!」
普段から感情の起伏のないケイトからは想像もできないほどの怒声だった。まるで怒りを溜めていたかのように、その形相は全ての者を怯ませた。
部隊員「く、くるな、、、くるなーーー!!」
ステルスを解除し、無防備な姿を晒した妖閃紅だったが、攻撃できる者は誰一人いなかった。
一歩一歩近づいてくる妖閃紅。怯え、半分狂ったように一機のグスタフが主砲を放とうとしたその時、
グシャァァ!! ドォォン!!!
一機の白いACがグスタフの砲身を捻じ曲げ、今にも切り殺さんとしていた紅いACを突き飛ばしたのだった。
リア 「やめなさい。ケイト。彼らに殺されるだけの罪はないわ。」
ケイト「、、、母さん。」
リア 「あなたが牙を剥くのは違う相手でしょう?お父さんを早く追いなさい。ここは私が引き受けます。」
ケイト「、、、母さんだけじゃ、危ない。」
リア 「あら?これでも訓練だけはラゴウの目を盗んで続けてたんだから。ダスティーだって突貫作業でピカピカよ?」
ケイト「、、、それじゃぁ、禍閃紅と妖閃紅を置いてく。気を、、、付けて。」
リア 「ケイト、、、ありがとう。でもその機体まで置いてってどうするの?」
ケイト「汝、空の王。紅き龍王の閃きなり。来い、【龍閃紅】。」
部隊員「お、おい、このパターンって、、、」
部隊員「ああ、まだ来るのかよ!?」
ゴオォォォォ 徐々に近づいてくる風を切る音。空の王者が来襲した
ケイト「妖閃紅、AIモード『アヤシ』、起動、、、今だ、飛べ!」
ケイトの声に合わせ、妖閃紅が飛翔する。そして、コクピットから飛び出したケイトは次の瞬間には龍閃紅の中だった。
ケイト「全機能アクティブ、オーバード・ブースト、、、起動!!」
キィィィィン ドオォォォゥゥ!!!
リア 「さて、と覚悟はいいかしら?」
部隊長「ぬ、ぐぬぬぬ、、、なめるなぁ!総攻撃、開始ィ!!」
リア 「ペーパーパイロットだからってなめないでよね!!」
数機のアローポーターがミサイルを撃ちながら近づいてくる。そのミサイルをエクステンションであっさり迎撃すると一気に間を詰め、真っ二つに両断する。
残った機体が機銃を掃射して距離を開けようとするが、そのときパイロットに見えていたのは眼前に迫ったライフルの銃口だった。
ドォン ドォン ドォン!! ドゴオォォォン!!
リア 「私ってばやる〜♪」
部隊員「こ、こいつ!!」
リア 「LQ/15、バレル展開、、、ファイア!!」
バシュゥゥゥゥン ドォォン!!
リア 「さぁ、、、かかってらっしゃい!!」
部隊員「くっ、、、、フーグリオンじゃ、、、」
ギュゥゥゥン
部隊員「ん?な!?」
ゴオオオン!!! 後ろを振り向いた途端、視界に入ったのは真っ黒に焦げたギボン。その奥では悠然とグレネードを構えた真紅のACがいた。
リア 「あの重装AC、カセンコウって言ったっけ?離れとこっかな、、、なんか、見境ないしね、、、」
本気で味方に怯えるリアだった。
司令官「通信士!!状況を報告しろ!!」
通信士「ハッ!【ファントム】はAI部隊と交戦後、後退!前線では二機の紅いACに続き、白いAC、もう一機紅いACを確認。
両機とも敵対行為を見せております。」
司令官「損害は?」
通信士「MT部隊の60%が戦闘不能。ACは稼働率40%です。信じられませんが、、、」
司令官「くっ、、、これでは勝ったところで何にもならんではないか、、、!!」
通信士「はい、、、ん?これは、、、馬鹿な、、、そ、そんなところに何故いる!?」
副官 「驚く前に報告せんか!!」
通信士「ほ、本部周辺のブーバロスが交戦状態に入りました!!」
司令官「なんだと!?」
副官 「な、、、なんでいままで敵の接近に気がつかないんだ!!」
部隊長『本部!!どうなってる!?いきなりACが降ってきやがった!!く、こいつ、、、ウオォォォォ!!』
ドゴォォォン!!
通信士「ぶ、ブーバロス部隊の全滅を確認、、、」
司令官「、、、総員撤退。本部を破棄する。」
副官 「な!?し、司令!!」
司令官「急げ!!格納庫、私のACの用意をしろ!!大至急な、、、」
副官 「司令、、、」
司令官「君も脱出したまえ。」
副官 「いえ、ここで『皇帝』と呼ばれたあなたの戦いを拝見させていただきます。」
司令官「ふ、、、昔の話だよ。あの世で会おう。」
副官 「ハッ!!」
整備員「司令!!準備は万全です!ご武運を!!」
カイザー「あぁ、、、【ロイヤルミスト】、カイザー出るぞ!!」
高高度からの奇襲によってブーバロスの部隊を仕留めたケイトは、敵の本拠地を目指し進行を続けていた。
散発的な抵抗はあったものの、ケイトを止められる者は無く、すでに本部は目前と迫っていた。
ケイト「見えた、、、研究所はあったんだ。それすらウソだと思ってたけど。」
ビー!ビー!
ケイト「ロックオン?、、、どこ?」
カイザー「経験が足りんな!!」
ドドドドドドド!! 突然の声と共にケイトのいた場所を大量のミサイルが降り注いだ。
ケイト「クッ!!」
カイザー「甘いぞ!!」
ボボボボォン!! 次々と降り注ぐ一方的な攻撃。
ケイト「上?見っけ、、、ちょっとムカついたかな。」
ゴオォォ!! 空中戦を得意とする機体が空から攻められ、怒りと共に猛然と龍閃紅は飛び上がった。
ケイト「もう好き勝手させない。」
カイザー「腕がいいだけの、素人がぁ!!」
ケイト「しまっ、、、」
ドゴォォォン!!! 空なら負けない。その自信を打ち砕くかのように龍閃紅は落下速度も味方に付けたロイヤルミストに踏みつけられ、地面に激突した。
ケイト「う、うう、、、」
カイザー「ロックオンされているのにその場を動かず、位置関係もつかまずに上昇か?随分とかわいい化け物だな?」
ケイト「く、、、この、、!!」
カイザー「だから素人だと言うのだよ!!」
ガァァァン!! 体勢も整っていない龍閃紅をロイヤルミストの重装脚部が蹴り飛ばす。
ケイト「グァ!!」
カイザー「喋っている相手に一撃加えるしたたかさも持ち合わせていないひよっこがぁ!貴様のような奴が戦場に出てくるんじゃない!!」
ケイト「クソ、、、」
カイザー「拍子抜けだな。さよならだ、、、」
コックピットに向けられたショットガンの銃口。この距離ならば装甲を貫き、パイロットにも致命傷を与えるだろう。
目前に死が迫ったケイトにできることは、『解き放つ』ことだけだった。
ケイト「ァァァ、、、」
カイザー「む、、、なんだ?」
ケイト「ァァァアアアアア!!!!」
ギィィィィィィン!! それは、『化け物』が『魔物』に変貌する音だった。
ケイト「アアアアア!!!」
カイザー「な、なんだ!?」
雄たけびと共に龍閃紅がブースターを噴射、体を削りながらも銃口から逃れる。同時に脚部の間接部を蹴り、ロイヤルミストの体勢を崩した。
カイザー「くっ、まだ死んでないか、、、いいだろう!!」
体制崩されつつもショットガンを放つロイヤルミスト。龍閃紅のコアに次々と銃痕が刻まれていく。
ケイト「死にたくない。死ねない。死ぬ気も無い。死んで、、、たまるかぁぁ!!」
ババババババ!! マシンガンを放つ。しかし、それはロイヤルミストにはあたらなかった。そう、ロイヤルミストには。
カイザー「どこを狙って、、、」
ドドォォォン!!
カイザー「ぬおぉ!?」
ケイトが狙ったのはロイヤルミストではない。
そもそも重装ACとマシンガンで撃ち合うのは圧倒的に不利である。ならば何を狙ったのか?ロイヤルミストの、ミサイルだった。
カイザー「ちぃぃ!小癪な、、、うお!!」
ロイヤルミストが僅かに下がったその隙間を青い月光が通り抜けた。
ケイト「、、、、、、、、」
カイザー「なるほどな、、、勝てん、か。」
ザシュン
カイザー「見事だったよ。レッド・モンスター、、、、、」
ズズゥゥゥン!
コアを貫かれたロイヤルミストが崩れ落ちた。
ケイト「ハァ、ハァ、ハァ、殺さないよ、、、お陰で、強くなれたから、、、」
???「そうもいかないんだ。これが。」
ケイト「え?」
バシュゥゥン!! ドォォン!!
ケイト「ぐ、あぁ、、、」
凍えるような蒼。突如として現れたそれは、美しくもあり、震えるような蒼いACだった。
???「こんなボロ負け、そのままにしちゃいけないっしょ?責任取らなきゃさぁ。」
カイザー「ぐっ、『マリオネット』か、、、」
???「心外だなぁ。ボクにはソウゲツって名前があるのに。まっいいや、そういうわけだから。おっさんもう要らないってさ♪」
ケイト「くっ、なにを!!」
ソウゲツ「悪いけど、ちょっと黙ってて?」
ドドドドド!! 容赦ないミサイルが龍閃紅を襲い、ケイトの意識はそこで絶たれた。
ケイト「う、、、、、、」
ソウゲツ「研究所も潰しといたから安心してよ。じゃ、改めて、バイバイ。おっさん、、、、、」
ドゴォォォォン!!!
それが、戦いの終わりを告げる鐘だった。
あとがき
ケイト大暴れの巻。(爆)
と、いうわけで。
第二回敵のお名前講座〜〜〜!!
出てきた順にいきますと、
ギボン 正式名称『ギボン MS−HA』 早い話がAC3の機体テストに出てくる奴。武器はロケットと射突型ブレード。
カイノス 正式名称『カイノス/EO2』 ACになり損なったような機体。上級MT。武器はライフル、ブレード、ミサイル。
フォイヤーベルク 正式名称『フォイヤーベルク』 要塞内の狭い通路でグレネードぶっ放す。私的に嫌な敵NO、1。武器は機銃、グレネード。
グスタフ 正式名称『グスタフ mk,8−R』 戦車。MTですらない。けど硬いからある意味MTより厄介かも。武器はロケット、のみ。(そりゃそうだ)
グレイボア 正式名称『グレイボア mk,3』 『特別輸送機護衛』に出てくる白くて速くてイラつく奴。武器はラインビームのみ。
エグゾゼ 正式名称『エグゾゼ』 『最終防衛ライン侵攻阻止』に出てくる。武器はプラズマキャノン。重装甲タイプも存在する。
アローポーター 正式名称『アローポーター』 逆関節MT。ちなみに密林用のステルスバージョンが『アローポーターC』(まんま)武器は機銃、ミサイル。
ブーバロス 正式名称『ブーバロス』 SLの機体テストに出てくる。、、、としか言いようが無い。武器はロケット、アーマー脱ぐとパルスライフル。
でもって、機体説明に参ります。
【禍閃紅】カセンコウ
重武装の紅い奴。敵の殲滅、及び制圧作戦に適している。
ちなみに、某紅い稲妻は乗らないのであしからず。AI『マガツ』は、『禍』の読み方を変える+αしたもの。
頭部 MHD−MX/RACHIS
コア CCH−0V−IKS
腕部 CAM−11−SOL
脚部 MLH−SS/RS
ブースター MBT−NI/MARE
FCS お好みで
ジェネレータ CGP−ROZ
ラジエータ RIX−CR14
インサイド 無し
エクステンション CWEM−R10
右肩装備 MWM−S42/6
左肩装備 CWC−GNL−15
右腕装備 MWG−KARASAWA
左腕装備 CWGG−GRSL−20
【妖閃紅】ヨウセンコウ
対人戦闘重視。侵入、奇襲作戦に適している。
ゲームではコンピューターにダミー通用しないので役立たず。AI『アヤシ』は禍閃紅と同じ理屈。
頭部 CHD−07−VEN
コア MSL−SS/RAY
腕部 CAL−44−EAS
脚部 MLL−SS/EDGE
ブースター MBT−NI/MARE
FCS お好みで
ジェネレータ CGP−ROZ
ラジエータ RIX−CR10
インサイド CWI−DM−32
エクステンション MEST−MX/CROW
右肩装備 MRL−SS/SPHERE
左肩装備 MWC−LQ/15
右腕装備 MWG−MG/800
左腕装備 MLB−HALBERD
【龍閃紅】リュウセンコウ
一対一、及び機動戦闘に特化。オレ的設定では高高度からの奇襲を得意とする。
三機とも某アニメ劇場版の某敵キャラの機体に名前が似てはいますが、そのアニメを知る前からこの名前は使ってました。本当です。
頭部 CHD−SKYEYE
コア MCL−SS/RAY
腕部 CAM−11−SOL
脚部 CLM−55−RVE
ブースター CBT−FLEET
FCS お好みで
ジェネレータ CGP−ROZ
ラジエータ RIX−CR10
インサイド 無し
エクステンション KWEL−SILENT
両肩装備 MWB−MX/WAKE
右腕装備 MWG−MG/1000
左腕装備 MLB−MOONLIGHT
オリジナル・メカ解説
【フィッシュボーン】
ジャンクから造り上げたAC用の高高度輸送機。追加ブースターのように背中に背負うようにして発進する。
高度を維持するために限界まで軽量化が施され、魚の骨のように見えることから「フィッシュボーン」と名づけられた。
なお、有人でも操縦でき、操縦席の後ろに大人1人ぐらいのスペースがある。ケイトはそこに忍び込んでいた。
また、最後にちょびっとでてきた蒼いACについては後日説明します。なんとなく、ごめんなさい。
作者:ミストさん