サイドストーリー

地上編第五話 ヤタガラス 〜その名はジャンクメイカー〜
ラゴウ「お待たせしました、カツラさん。それでご用件とはなんでしょうか?」

カツラ「ハイ、依頼ではないのですが一つお願いがありまして、、、」

ラゴウ「頼み?内容は?」

カツラ「我が社が推進しているAC開発計画におけるデータ収集用ACがロールアウトしましたので、それの模擬戦の相手をお頼みしたいのです。」

ラゴウ「データ収集用のACと模擬戦?稼動データを取るだけなら実戦に出す必要は無いでしょう?」

カツラ「ええ、まぁその通りなんですが、、、」

ラゴウ「社長さん、ですか。」

カツラ「お分かりになりましたか!?もう一体なにを考えているのやら私にはさっぱりで、、、」

ラゴウ「お、落ち着いて、、、」

カツラ「と、いうわけなのでお願いできますでしょうか?」

ラゴウ「は、はぁ、、、分かりました。」


『ターゲット確認。戦闘システム、起動します。』


ラゴウ「流された気がしないでもないが、やるなら全力で、な。」

カツラ『ラゴウさん、模擬戦とは言え弾は実弾です。お気をつけて。』

ラゴウ「模擬戦だよな?これ、、、」


『セーフティー解除、【スターチスT】を確認。それではこれより模擬戦を開始します。』

ラゴウ「よし、、、」

『READY  GO』

キィィン  ゴオォゥ!!


まずは顔合わせ、敵の姿を確認するためオーバード・ブーストを起動し敵がいるはずの場所へ向かう。


ラゴウ「どういうことだ?いない!?」

???『オラァ!!』


ブォン!! 


ラゴウ「クッ!!レーダーに反応しない!?ステルス、、、いや、ジャマーメーカーだと!!この、、、何!!」


突然の攻撃を何とか回避したラゴウだったが反撃に出ることはできなかった。予想もつかない方向から次々と攻撃が浴びせられたのだ。


ラゴウ「オービット!!ええい、邪魔だ!!」


いつの間にか自分の周りにオービットが展開していたことにも驚いたが、戦いの主導権を取ろうと落ち着いてオービットを叩き落す。


???『ヒャッホゥ!!』


ブォン  ザシュゥ!!


ラゴウ「な!?クソ!!」


再度の奇襲、後ろから繰り出されたブレードの一撃をかわし、敵を捕らえようとした瞬間、もう一撃がブリオニアの右腕を切り落とした。


ラゴウ「二連撃!?SAMURAIか!!」

???『こいつで、終わりぃ!!』

ラゴウ「調子にのるなぁ!!!」


ガゴォン!!


???『のわぁ!?』


止めを刺そうとその姿をさらけ出した敵を蹴り飛ばす。


ラゴウ「もらったぁ!!」

???『あちゃぁ、、、マズッた。』


ドゴォォン!!


ラゴウ「ハァ、ハァ、ハァッ、なんて奴だ、、、」


迷彩色とは程遠い金色のACが煙を出しながら倒れるのを見ながらラゴウは一人呟いていた。


カツラ「お疲れ様でした。おかげさまでいいデータが取れましたよ。」


模擬戦を終えた所を社長室に呼び出されたラゴウがACから降りるなりカツラが出迎えた。
疲れているのに、という不満が無かったわけではないがとりあえずついて行く。


カツラ「お疲れのところ申し訳ありませんなぁ、ですが社長がお話して置きたいことがあると言うので、、、」

ラゴウ「話?」

カツラ「恐らく貴方方の仕事内容に関することかと、、、」

ラゴウ「そうですか、、、」


しばらくして社長室に着くと中でレイが待っていた。


レイ 「やぁ、お疲れ様。どうだった?うちのACは。半分は他社のパーツなんだけどね。」

ラゴウ「率直に言わせてもらえば乗り手しだいで雑魚にも難敵にも化ける機体でしたよ。」

レイ 「もっと率直に言うと?」

ラゴウ「汎用性の欠片も無い。」

レイ 「あははは♪だよねぇ?」

カツラ「社長、もっと自社の物に自信を持っていただかなくては、、、」

レイ 「カツラさん、キサラギは特殊なパーツで生きてきた会社だよ?そんな物ばっか詰め込んじゃった機体に汎用性なんかあるわけ無いじゃない?」

カツラ「うっ、それはそうかも知れませんが、、、」


バァン!!!


???「ヨォ!クソガキ!!相変わらず生意気そうだなぁ?」

レイ 「お!来た来た。遅いですよ?ラジルさん。」

ラジル「んなこと言ったってどっかのクソガキがとんでもねぇ奴と模擬戦組ませるからすすだらけになって大変だったんだぜ?」

カツラ「『ジャンクメイカー』!!あなたはいつものことながら雇い主に向かって失礼すぎです!!」

ラジル「オイオイ、カツラのおっさん、勘違いしないでくれよ?オレが雇われたのはキサラギという組織であってキサラギの社長じゃねぇ。」

レイ 「そうそう。あまり気にしない気にしない♪」

カツラ「それでも仮に最高責任者の向かって、、、」

ラジル「最高責任者云々以前にこいつはクソガキなんだからそれでいいだろ?」

レイ 「ひどいなぁ。これでも二十歳なんだからガキはやめてくださいよ。」

カツラ「な、な、な、、、」

ラゴウ「(つ、ついていけない、、、)」


この場にリアを連れてきていないことを深く後悔するラゴウだった、、、




ラゴウ「(まだ終わらないのか、、、)」


既に三人で大論争(口喧嘩ともカツラ講演会とも言う)を繰り広げてから小一時間。
あまりの長さに抜け出してシャワーを浴びてきたラゴウが帰ってきても未だ終わりの兆しさえ見えない。
いい加減イラついてきたのでとうとう口を挟むことにした。


ラゴウ「いつまでやってるつもりだ?」

カツラ「ですから、、、何故、、、あなたはいつも、、、、、、」

ラジル「それが、、、そんなもん、、、うるせぇってんだ、、、、、」

レイ 「ZZZ、、、ZZZ、、、」


レイのおやすみマークはラゴウを我慢の限界へと誘った。護身用の銃をホルスターから抜き、真っ直ぐ天井へと向ける。そして―

ドォォォン!!


ラゴウ「もう一度言ってやろうか?いつまでやってるつもりだ?」


世界が凍りついた。


ラジル「えーその、なんだ、オレがラジル・ジャンクメイカーだ。よろしくな。」

ラゴウ「ジャンクメイカーはレイブンネームじゃなかったのか?」

ラジル「元々はそうだったんだけどな。気に入ったからそんまま使わしてもらってんだ。」

レイ 「ちなみに元からグローバルコーテックスには登録してない違法レイブンです♪」

ラジル「うるせぇ!他人が勝手に決めたルールになんざ付き合ってられるか!!」

ラゴウ「さっきの機体にはアンタが乗ってたんだな。俺はラゴウ。セカンドネームはない。」

ラジル「おう!腕のいい奴は好きだぜ。よろしくな。」

カツラ「では、自己紹介も済んだところで本題に参りますかな。」

レイ 「そうですね。ラゴウさんとラジルさんを呼んだのは他でもない、未登録レイブンを中心に構成された特殊部隊の名前についてです!!」

ラゴウ「、、、名前?」

ラジル「どうでもいいだろ?」

カツラ「いや、そうでもありませんよ。呼称というのは中々重要なことでしてな。味方の戦意を高め、相手の士気を挫くような名前が中々ないんですなぁ。」

ラジル「名前、ねぇ、、、」

ラゴウ「レイブンネームとはわけが違うからな、、、もっと他のレイブンにも聞いたほうがいいんじゃないか?」

レイ 「いえ、二人とも私のお気に入りですから♪」

ラジル「ゲッ!きもちわりぃ、、、」

ラゴウ「それほど気に入られるような事をした事があるように思えないんだが?」

レイ 「そんなことはありませんよ?剣は壁に、盾は右手に、の意味をしっかりと捉えてたじゃないですか?」

ラゴウ「偶然だよ。」

レイ 「あなたの目には常人じゃ考えも及ばないような何かがある。そんなところがすごく惹かれるんですよ。」

ラゴウ「、、、、、」

レイ 「ラジルさんなんか大真面目な顔して『左利きか?』なんて言ってましたから。」

ラジル「クソガキ!その話はもうすんなつったろうが!!」

カツラ「まぁその話は置いといて、、、何かありませんかなぁ?」

ラジル「ラジルとその下僕達。」

カツラ「味方の士気を挫いてどうするんですか?」

ラジル「なんだとこの野郎!!オレはてめぇらが何もいわねぇから仕方なく、、、」

レイ 「その割には即答でしたね?」

ラジル「うっ、ラ、ラゴウ!なんか出せ!!」

ラゴウ「やれやれ、、、そうだな、【ヤタガラス】、なんてのはどうだ?」

レイ 「ヘェ、中々かっこいいじゃないですか?でも何でカラスなんです?」

ラジル「レイブンの語源はカラスからきてんだよ。それ以外にもレイブンはカラスに例えられることが多いしな。」

カツラ「おや?以外に博識ですな?」

ラジル「うるせぇ!オレは元々知的なタイプだろうが!?」

レイ 「まぁ、ラジルさんの冗談は置いといて、それでいきましょうか?」

ラジル「オイ。」

カツラ「私は依存ありませんが。」

ラジル「いや、だから、、、」

ラゴウ「提案者の俺が異を唱えるわけにもいかんだろうが。」

ラジル「もしも〜し?」

レイ 「それでは、今ここに特殊独立機動部隊【ヤタガラス】の誕生をキサラギ社社主、レイ・キサラギの名の下に宣言します!!」

ラジル「オレ、こんなかで二番目に年長者なんだけどな、、、へこむわ、、、」

レイ 「ドンマイですよ、ラジルさん。あぁ、そういえばカツラさん、サルビアの花はもう咲きましたかね?」

カツラ「八部咲きといったところでしょうか。今週中には、、、」

レイ 「そうですか、じゃぁ、お金もかかってることですし一生懸命お世話して下さい。」

カツラ「かしこまりました。」

ラゴウ「、、、?」



第六話へ続く






あとがき

皆さんおはようございます、こんにちは、こんばんは。最近急激にギャグ要素が強くなってきたミストです。
なぜ急にギャグが入ってきたかといいますと、全てはラジル=ジャンクメイカーを出したかったがためです!!(爆死)
冗談はさておき、SSを書くにあたって必ずラジルのような人物が一人いないと話がどこまでも暗くなっていってしまうような気がしたからです。
なんたってアーマード・コアはリアルが命なので、、、でも登場したてでラジルは好きなキャラベスト3には入ってます。
彼のキャラクター設定については人物紹介part2を書こうと思っているのでそっちで詳しく書いていきたいと思ってます。
また、今回から『キサラギ・レイ』を『レイ・キサラギ』に改名し、名前の表示を『レイ』に変えました。
これは他企業の社長とは扱いが違うところを強調したかったからです。ご理解いただけますよう、お願いいたします。
キサラギ社の皆さんについて、『こんなトップがアホばっかな会社があるわけねぇだろ!!』とお思いの方々へ、ごめんなさい。


AC解説

【スターチスT】

キサラギのAC開発計画におけるプラットホーム機。各所にキサラギ製のパーツを組み込んでいるため、非常にクセが強い。
パイロットの意向により金色に染め上げられている。名前の由来は[スタート]をもじったもの。Tはtestの意。

頭部 CHD−09−OXI
コア CCL−02−E1
腕部 KAW−SAMURAI2
脚部 CLM−02−SNSK
ブースター CBT−01−UN8
FCS お好みで
ジェネレータ KGP−ZSV
ラジエータ RGI−KDI01
インサイド KWI−RJ/30
エクステンション KWEL−SILENT
肩装備 KWX−OC−22
作者:ミストさん