サイドストーリー

HAGANE Ver1 第六章 「夢の中で AN ANGEL OF A GIRL」


・・・・・・
ここは
どこなのだろうか
体がふわふわしている
まるで現実感というものが無い

彼女が立っている
周りがぼやけて・・・・・・よく見えない
同じように頭の中もぼやけているようだ
彼女の姿だけがはっきりと見える
ぼやけてひどく曖昧な
僕の存在すらも曖昧な世界の中で、彼女だけがはっきりと存在しているように見えた
「ここは何処だい?」
彼女は答えない

ああ、そうか
これは夢だ
僕が夢だと気づいたって事は、この夢はもう明晰夢だ
明晰夢の中では自分が望んだことが出来る・・・・・・んじゃなかったかな?
ためしに空を飛んでみようか・・・・・・

・・・・・・・・・・・・無理だった

周りを見渡す
ああ、そうだ
僕達は廊下に立ってたんだ
真っ白な廊下
角がどこか分からないほど真っ白な廊下
どこの廊下だっけ?
彼女が廊下を歩き出す
ドアを開けて中に入っていってしまった
「待って・・・・・・」

ドアを開けると小さな部屋だった
ああ、そうだ
ここは部屋だ
真っ白な部屋
角がどこか分からないほど真っ白な部屋
何の部屋だっけ?
彼女が向こう側のドアを開けてこちらを振り返った
「来いって・・・・・・?」
うなずくと、ドアの向こうへ行ってしまった

また真っ白な廊下がある
彼女の後ろをついて行く
突然床が消え失せる
足元に周囲の白さとは対照的な真っ黒な穴が現れた
あわてて出した腕が床に引っかかり、何とかぶら下がる
勢い良く胸と腹に加えてつま先まで思いっきり打ったのに、痛みが無い
僕は確かにインテリだけど、それなりに体は鍛えてきた・・・・・・つもりだ
なのに、力が全然入らない
まるで他人の体
どこかに鉛でもぶら下げているのでは?と思うほど今は体が重い

彼女が振り返り、しゃがんでこちらを見た
「     」
と言って僕の頭を撫でた
何て言ったかは聞き取れなかった
聞こえなかったけど・・・・・・
唇の動きと表情から分かった
「君が・・・・・・君がそう言うのなら」
そう言って手を離した

暗闇の中に落ちていく
底の見えない、真っ暗な穴
どこまで落ちるのだろうか・・・・・・
いや、考えるだけ無駄じゃないか?
ここまで加速してしまったら地面についたとたんに轢かれたカエルのようになってしまう
僕は死ぬのだろうか
それも良いかもしれない
彼女は僕を見て微笑んでいたのだから

でも、助かるのだろう
どうやって助かるかは知らないけれど
彼女が笑って
「大丈夫だよ」
と言っていたのだから
・・・・・・


頭の中が真っ白だ
何も考えられない程に真っ白だ
いやいや・・・・・・何も考えようとしていないのかもしれない
もう何も考えたくない
そう思ったときに
彼女と会った
あの頃のままの姿で
あれ?
あの頃っていつだったっけ?

「やぁ」
「あなた・・・・・・ディア?」
「ああ、そうさ・・・・・・どうしてこんな所に?」
「それよりあなた、ここが何処か分かってるの?」
「分からない・・・・・・何処なんだ?」
彼女の驚いた表情がしかめっ面に変わる
「・・・・・・」
黙って歩き出してしまった

仕方なくついて行く
ショートカットで、いつもボーイッシュなスタイルを好む彼女にはあまり似合わない白いワンピース
ひどく懐かしい感じがするのは何故だろうか・・・・・・
何故彼女の背中を見ていると懐かしくなるのだろうか
何故彼女の背中を見ているとひどく悲しい気持ちになるのだろうか
何故・・・・・・

彼女が立ち止まる
まったく気がつかなかったが・・・・・・
ここは廊下で、彼女の前にはドアがある

「ついてきちゃ駄目よ・・・・・・」
こっちに背中を向けたまま話し始めた
「何でだ?」
「あなたはこっちに来ちゃいけないわ」
「どうして?」
「あなたはこっちへ来るタイミングを逃したのよ。もっと早くこっちへ来るべきだったわ。そうすれば、そんなに苦しまずに済んだのにね・・・・・・でも・・・・・・結局無理だったのかな?あなたと彼は二心同体、どちらが欠けても駄目なのよね・・・・・・・」
「タイミングって?それより誰が苦しんだって?」
「あなたも、彼もよ・・・・・・あなたにはやらなきゃいけない事がある」
「・・・・・・やらなきゃいけないこと?」
「何より、私もロランもあなたが元の場所へ帰ることを望んでいるわ」
「・・・・・・ロラン」
思考が色を取り戻していく
世界がはっきりと色付いて行く
そうだ、この廊下は
あの部屋に続く廊下だ
・・・・・・あの部屋?
あの部屋で何があったんだっけか?
俺の思考はまだところどころ白いようだ

「あなたは右のドアから元の場所に帰るの」
言われてから気づく
頭の中が真っ白だったから全然気づかなかった
・・・・・・いや、今突然現れたようにも感じた
「さぁ、帰りなさい」
「待て・・・・・・良く分からないけど、君も連れて行かなきゃいけない気がする」
「それは出来ないわよ。絶対無理」
「どうして?」
「だって」
彼女が振り向く
「私死んでるし」

彼女の胸にナイフが刺さっている
胸から溢れた血が、白いワンピースを赤く染めていた
「ね?死んでるでしょ?」
そういって、彼女は笑っている
なんでもないような顔で笑っている
あの頃と変わらない笑顔で・・・・・・

「あ・・・・・・」
「驚くことは無いわよ・・・・・・あなたは私が死んでるって知ってるんだから・・・・・・ちゃんと思い出して」
「ナイフが・・・・・・」
「・・・・・・ディア!しっかりしなさい!」
怒鳴られて、ハッとする
「・・・・・・すまん」
「あなたもロランも・・・・・・逃げているだけじゃ駄目よ?」
「・・・・・・すまん」

「復讐してるあなた、見てられなかったわよ」
「見てたのか・・・・・・」
「見てたわよ、人殺し」
「・・・・・・」
「絶対間違ってるって思ったわ」
「そうだな・・・・・・今思うと、俺は間違ってたのかもしれない」
「間違ってたかもしれないじゃなくて間違ってたのよ」
「・・・・・・あの時の怒りも、悲しみも・・・・・・復習なんかに使わないで、ただひたすらに、親父と母さんと、お前の死を悲しむ為にだけにだけ使えば良かった」
「そうよ。そうすれば、記憶と一緒にロランを閉じ込めてしまう事になんてならなかった」
「ああ・・・・・・」
「あなたは憎んでいた父親と同じように、自分にもそういう欲求があるのかもしれないって思ったんでしょ?いくら自分が怖くなったからって、逃げちゃ駄目よ・・・・・・」

「すまない・・・・・・俺は、取り返しのつかない事をしてしまった」
「・・・・・・大丈夫よ。私も、お父さんとお母さんも怒ってなんかいないから。お父さんなんて」
『義理の父なのにあんなに私を思ってくれていたとは!』
「なんて泣き出しちゃってさ」
「親父が・・・・・・?」
「うん・・・・・・私も・・・・・・少しだけだけど、嬉しかったよ」
「・・・・・・何だって?」
「・・・・・・ありがとうって言ってるのよ!」
「ああ・・・・・・どういたしまして」

ああ・・・・・・俺が守りたかったのはこれだった
このなんでもないようなこの雰囲気
普通の人間にとっては只の日常
親父と母さんとソフィーとロランと・・・・・・あの暖かさに俺はずいぶんと救われていた
守りたいと思った
けど守れなかった
もう、手の届かないところに行ってしまったのだと・・・・・・あらためて気づかされる

「それにしても人生ままならない物よね・・・・・・あなたは復讐に走った挙句に悲惨な人生を送るし、私はこの歳で死んじゃったし」
「まぁな・・・・・・」
「私はちゃんと大学卒業して、就職して・・・・・・ロランとの赤ちゃんも欲しかったなぁ・・・・・・」
などと胸の前で手を組んでうっとりした表情で言っている
「ああ、ああ、はいはい、そうですか」
頭の中まであの頃と何も変わってない

進んだ時間が元に戻ることなんて絶対に無い
それでも、あの頃に戻れたらなんて考えてしまった
いや、元に戻せないからこそ過去はこれほどまで輝いて見えるのだろうか・・・・・・

「俺は・・・・・・もっと早くに消えてしまえばよかった」
「なによそれ、自殺したいって事?」
「かもな」
「もう駄目よ。今のロランはとっても不安定だわ。あなたという拠り所を亡くしてしまったら簡単に崩れてしまいそう・・・・・・」
「そうかもな・・・・・・」
「あなた、レイヴンなんでしょう?」
「ああ、まぁな」
企業の専属になってもレイヴンはレイヴンだ・・・・・・
「じゃあ、私から依頼するわ。ロランを守ってあげて・・・・・・悔しいけど、私じゃ傍で見ていることしか出来ないから」
「ああ、言われなくてもそのつもりだったからな。その依頼、受けてやるよ」
「頼んだわよ、私のロランを壊したら承知しないんだから」
「ああ、ああ、はいはい、わかりましたよ」

「よろしい。では右のドアから出て、ここからさっさと立ち去るように」
「どうしても一緒には無理か・・・・・・?きっとロランが悲しむ」
「無理だってば・・・・・・でも安心しなさい。私達はずっとここであなた達を待っていてあげるから・・・・・・何年でも、何十年でも何百年でも耐えてみせるわ」
「俺の事もか?」
「ついでよ、ついで」
そう言って意地の悪い笑みを浮かべる
胸にナイフを刺したままで・・・・・・

「胸のナイフ、抜かないのか?」
「いいの、ロランに抜いてもらうから」
「・・・・・・ああ、ああ、はいはい、そうですか」
「何よ、その言い方」
このふてくされている表情もロランにも見せてやりたかった

「・・・・・・無駄話が過ぎたわね。そっちは辛い事ばかりでしょうけど・・・・・・気が変わらないうちに行きなさい。そして・・・・・・しっかり生きなさい。二人で協力しながらね」
「ああ・・・・・・そうだな」
ドアを開ける
真っ暗で、何も無い闇・・・・・・

「ディア」
呼ばれて、振り向く
「このワンピース似合ってる?」
「・・・・・・ぶはっ」
思わず吹き出してしまった

「何よ」
「・・・・・・いや、全然似合ってない。それに、血まみれでそんな事言われてもなぁ」
「それもそうかしら・・・・・・」
「そのナイフ、やっぱり抜いておけよ」
「いいのよ!それより、ロランによろしくって」
「ああ、必ず伝えよう」
「・・・・・・私達は何時でも何処でも二人の傍にいて、二人を見守ってるわ」
「プライバシーも糞もあったもんじゃないな。便所と風呂くらいは自重してくれよ?」
「・・・・・・馬鹿」

今までと違った、泣きそうな笑顔
何時でも、何処でも傍に居るからといって、寂しくないわけでは無いだろう
見てほしい、聞いてほしい、触れてほしい、気づいてほしい・・・・・・
一番そうしてほしい相手はこちらの存在にすら気づいてくれないのだから・・・・・・

「・・・・・・ロランをつれて来れなかったのが残念だ」
「馬鹿・・・・・・私の・・・ロランを・・・・・・危ない目に合わせたら承知しないんだから・・・・・・」
もう彼女の目からは大粒の涙があふれ出ている
こっちも、そろそろまずいような気がする
「あ・・・・・・さっきの依頼、必ず達成してみせよう」
「さようなら・・・・・・」
「違う。またね、だ」
「うん・・・・・・またね・・・・・・」
俺は、暗い、暗い闇に、体を預け、委ねた・・・・・・


・・・・・・あれ?
戻ってきたのか?
「反応有り・・・・・・目が覚めたようですよ」
おおーという声が周囲の研究員から上がる
「ディアさん?」
何か少し・・・・・・少しだけ違和感がある・・・・・・
「・・・・・・なんだ?」
再びおおーという声が上がる
「なんだ?揃いも揃って・・・・・・せっかくいい夢を見てたのに」
おおー?と今度は疑問系で声が上がった
「なぁ、回収してから一日半の間稼動してなかったんだよな」
「ええ、俺チェックしてたッスから」
「なんで?スタンバイ状態だったとか?」
「それも無いッスよ。こいつと二人で点検したから間違いないッス」
ぼそぼそとそんなことを話している

「・・・・・・ディアさん?夢を見たって本当ですか?」
「見た・・・が・・・・・・なにか問題か?」
またしてもおおーという声
「思考回路が完全に停止していなかったのに夢を?」
「ありえないよな・・・・・・脳があるわけでもないしなぁ」
「あれッス!きっと夢は魂が見るものなんッスよ!」
「それだ!お前頭いいな!」
「お前ら今まで何の研究してたんだ・・・・・・?」
などと再び話し始めた
「ディ、ディアさん?」
「な、何だ?」
「とりあえず・・・・・・今の状況を説明しましょうか・・・・・・」

「あれから許子さんたちに回収・・・・・・じゃなくて救出されてから二日経ってます」
「ところで、その怪我は?」
右の側頭部、耳を完全に・・・・・・というか頭半分を覆うように大きなガーゼが貼られている
その上、首にはコルセットをしているし、左腕は三角巾で首からぶら下げている
「・・・・・・耳はアロンソに撃たれた傷ですが、折れた左腕と首の鞭打ちはあなたのせいです」
「ああ・・・・・・なるほど」
「手首はすごく痛いし目眩に吐き気に首の痛みに・・・・・・」
右手を握ったり開いたりする
「力も入らない」
「・・・・・・重症だな」
「まぁ、命があるだけでも良しとしましょう」

「あなたの修理ですが・・・・・・苦労しましたよ。一日と半分もかかりました」
「修理?」
「というより完全に取替えですね・・・・・・拘束を開放しますから、自分で見てください」
キースがスイッチを押すと、さっきまでの違和感と開放される
ちなみに拘束と言っても体ではなく中身のほうを拘束されていたようだ・・・・・・

「・・・・・・灰色だな」
自分の体を見下ろして、その第一印象がそれだった
「未塗装なんですよ、CNT特殊装甲の原色は灰色ですが・・・・・・」
違う、そういう事じゃない
「そういうのじゃない・・・・・・白でも黒でもない・・・・・・灰色だな」
「・・・・・・黒銀に未練でも?」
黒銀・・・・・・黒銀か・・・・・・
「いや、ただ、白銀も黒銀も無くなって、今の体が灰色っていうのは何か意味があるのかなってね」

また研究員達がおおーと声を上げる
「ロマンチスト?になってるぞ!」
「いったい向こうで何があったんだ!?」
「本当に中身はディアなのか?」
「いや、それより新しい名前ッス!」
「やっぱり青く塗ってフランカーだろ」
「ロシア野郎は黙ってな」
「やっぱり一番機だから鋼でいいんでないか?」
などと騒ぎ始める研究者達・・・・・・
「えっと・・・・・・変わりましたね、ディアさん」
「ま、まぁ・・・・・・そうらしい・・・な」

「ゲロは?」
「シートごと換えました」

「ロランは?」
「ああ、無事ですよ。彼女と同く集中治療室にいますが・・・・・・僕とは違って別に怪我をしたわけではないので安心してください」
やけに僕と怪我を強調された
こいつ・・・・・・根に持つタイプか・・・・・・?

しかし、なにはともあれ
「良かった・・・・・・ソフィーにも叱られずに済みそうだ」
思わず呟いた
小さな声だった筈だが・・・・・・
好奇心の塊のような研究者達は聞き逃してはくれなかった
「ソフィーって誰だ!?」
「女!?ディアに女!?」
「いや、ロランってほうの女じゃないか?」
「なるほどッス・・・・・・」
「でもそしたら許子の姉御が悲しむねぇ」
「なんで姉御が?」
「ほら、監視とか言いつつディアをストーキングしてたから・・・・・・」
「ストーカーッスか・・・・・・怖いッスねぇ」
「え、姉御はディアが好きだったのか?」
またしても勝手なことを騒いでいる・・・・・・

「あー・・・僕知らないから・・・・・・」
とキースが言った直後
好き云々と言っていた奴は太ももの裏を力いっぱい蹴られ叫びながら倒れた
一瞬後にストーカー云々と言っていた奴は、メリケンサック付きの拳でリバーをジャストミートされて悶絶し、今朝の朝食と対面しつつ自分が吐いた未消化の朝食に顔面を突っ込む形で倒れた
次の瞬間ストーキング云々と言っていた奴は膝で股間を強打された挙句、股間を押さえ前のめりになった所を踵落としで床と激しくキスをさせられた
床が鼻血で赤くそまっていく・・・・・・
後に残るのは太ももの裏を押さえながら
「折れた!折れたかも!絶対折れた!」
などと叫ぶ哀れな負傷者と、滑稽なほど惨めな格好の死体が二つ・・・・・・

「・・・・・・死んだか」
「・・・・・・死んだかもしれませんね」
メリケンサックを外しながら犯人が弁明する
「手加減はしました」
無論、犯人は許子だった
つくづく敵にしたくはない奴だと思った

「・・・・・白銀は?」
「白銀は・・・・・」
明るかった研究員達の表情が暗くなる
許子でさえ悲しそうな表情になる
彼女は、それほど好かれている人物だったのだろうか
「彼女は・・・・・・」
「駄目だったのか・・・・・・?」
はーっと一斉に溜息を吐いた研究員達
「あの姫ちゃんがなぁ・・・・・・」
「気が強いところが好きだったのに・・・・・・」
「いえ、自分はあっちのほうが好みッス」
「おいおい、チーフに怒られるぞ。姉御をけしかけられたらたまったもんじゃない・・・・・・」

こいつら・・・・・・なんて回復力だ
鼻血を噴いていた男もティッシュを鼻に突っ込んで復活している
ちなみに、後でキースに精神的制裁を加えられたのは言うまでも無い・・・・・・

「ま、まぁ彼女は無事です・・・・・・ただ」
「ただ?」
「記憶どころか・・・ちょっと・・・幼児退行しちゃって・・・・・・でも、無事でいてくれればそれで・・・・・・」
流石に辛そうな顔をしている
やっと取り戻したと思ったのに、元の姿には戻らなかったか・・・・・・
「キース、そう気を落とすな。俺達とちがって、まだお前は取り返しがつくんだ。元に戻らないってわけじゃないんだろ?」
「えっ・・・ええ、まぁ・・・それは・・・・・・」

・・・・・・何だ?
「何で皆そんな怪訝そうな顔してるんだ?」
「・・・・・・あのディアが人を気遣ったぞ!俺達のことなんてアウト・オブ・眼中の冷血漢だったくせに!」
「チーフ!気をつけてください!こいつ中身は全然違う奴かもしれませんぜ!」
「ばらして徹底的に調べるべきッス!絶対別人ッス!」
「なんで人間だった頃より機械になった後のほうが人間らしいんだ!?」
ぎゃあぎゃあと研究員達が騒ぎ始める
そういえば・・・・・・
たしかにこんな陽気な奴ら眼中どころか記憶にすら無い・・・・・・

「・・・・・・キース」
「は、はい?」
「迎撃用マシンガンに非殺傷弾って装填できるか?」
「あっはっはっは。そんな無茶な」
「ゴム弾だってそんな大口径じゃ死ぬッス!」
「流石のチーフでもそんな非人道的な事は・・・・・・」
「あー出来ますよ、出来ますとも。是非とも作りましょう」
研究員達の希望をキースはあっさりと打ち砕いた

「さて、一通り説明し終えましたか?」
「ああ、多分な」
「それじゃあ、また後で」
そう言って、研究員達がぞろぞろと帰っていく

研究員達が全員出て行ったのに、何故かキースだけが残った
「どうした?」
「・・・・・・ごめんなさい」
「何故謝る?」
「彼女は元の体に戻れましたけど・・・・・・ディアさんは無理かもしれないんです」
「そんな事か、気にするな。第一あの体はあいつの物だ。俺はこっちの体でいい」
「でも・・・・・・きちんとしたメンテナンス無しじゃ三ヶ月も持たない体なんですよ?」
「三ヶ月・・・・・・か」
「そうです、三ヶ月です・・・・・・あなたは人の助け無しでは生きられない体になっちゃったんですよ?」
「あの事件以来、一人で生きてきた俺が人の助け無しでは生きられない・・・・・・ってか?」
「あなたはそれでも良いって、その不自由な体で良いって言うんですか?」
「確かにちょっと不便かもしれない・・・・・・だけどな、これで良いのかもしれない・・・・・・いや、これで良いんだ」
「本当に・・・・・・それであなたは幸せなんですか?」
幸せ・・・か・・・・・・

「キース・・・・・・俺の幸せは俺が決める事だ。俺の幸せを勝手に決め付けるんじゃない」
「・・・・・・そこまで言うなら、僕も覚悟を決めましょう」
「・・・・・・何の覚悟だ?」
「こっちの話です。それでは」
そう言ってキースは立ち去ろうとして
「・・・・・・あなたは本当にディアさんですか?」
と聞いてきた
「さぁな。俺はディアかもしれないし、全然違う奴かもしれない。ひょっとしたらアロンソかもしれないぞ?」
「・・・・・・やっぱり、変わりましたね」
「・・・・・・そうみたいだな」

夜・・・・・・
とにかく暇だった
別にやる事も無いし、一日と半日を寝て過ごしたようなものなので眠くも無い
仕方が無いのでキースに持ってきてもらった本を読んで暇を潰していた
頼んだときは
「本なんて読むんですか?」
などと言って目を丸くしていた
実に小さくて読みづらいが、暇を潰すには十分だった
キースが持ってきた本が専門書ばかりで、難しくて理解できないことを除けばだが・・・・・・

不意に足音が聞こえた
こんな夜更けに誰だろうか
格納庫に何の用だ?
ドアから現れたのは許子・・・・・・だけじゃない
後ろには俺が・・・・・・いや、ロランがいる
髪を切って、昔のロランと同じ髪型になっているせいもあるだろうが・・・・・・
鏡で見た自分の顔とはだいぶ違う
中身が違うだけでこんなにも変わるものなのか・・・・・・

うつむいたままロランが言う
「ディア・・・・・・ディアなのか?」
「ああ・・・・・・多分な。集中治療室にはいなくていいのか?」
「うん・・・・・・ずいぶん、すごい体だね」
「まぁな・・・・・・」
気まずい沈黙
何を言ったらいいのか
何から言えばいいのか
俺はロランが死んでいたと思っていた
ずっと出てこないから
けど生きていた
それは喜ぶべき事だ
だが、ソフィーの言った通り
俺は何年もロランを閉じ込めていたんだ
・・・・・・なんて謝ればいい?

「ごめん」
先に謝ったのはロランだった
「僕はまた・・・・・・肝心なときに逃げて、君に・・・・・・君に全部押し付けてしまった。全部・・・・・・辛いことを全部、肝心なときに逃げて、押し付けて・・・ごめん・・・・・・」
ロランが膝を折って、手をつく
必死で堪えようとしているのだろうが、床に涙が落ちている

ああ、泣くなよ
お前が泣くと俺も悲しい
きっとソフィーだって・・・・・・
「泣くなよ・・・・・・俺だって、お前を長い間閉じ込めてたんだ・・・・・・おあいこさ」
「・・・・・・」
「それより乗れよ、キースのゲロも片付けてくれたみたいだし・・・・・・」
コックピットハッチを開いて、乗りやすいように近づいた

「結構・・・・・・狭いんだね」
「ああ・・・・・・」
またしても気まずい沈黙・・・・・・
今度は、俺から話し始める
「・・・・・・ソフィーがよろしく言ってたぞ」
「ソフィーが?」
「ああ・・・・・・会ったんだよ。夢の中で」
「夢で?」
「いつも俺達の事を見てるってさ・・・・・・」
「ソフィーが・・・・・・」

「・・・・・・俺も謝らなくちゃいけない」
「・・・・・・?」
「俺だって守れなかった。守ってやるよなんて言っといて・・・・・・情け無い話だ。あいつらが死んだ事から逃げて、お前が消えたと勝手に思い込んで、親父を殺した自分からも逃げて・・・・・・守れなかった自分が悪いのにな・・・・・・挙句の果てにお前を一人ぼっちで閉じ込めた」
「それは僕が・・・・・・!」
「だから、おあいこだ」
「でも・・・・・・」
「俺はお前が何をしても許すさ。そして、お前が許してくれるなら・・・・・・俺はまた、お前の全てを肯定し、お前を否定しようとする全てからお前を守ろう」
「・・・・・・」
「駄目か?」
「・・・・・・君が・・・そう言うなら」

「ソフィーがいつも俺達を見てるってさ」
「君は知らないだろうけど、僕も中から君を見てたんだよ?」
「トイレの時もか?」
「・・・・・・ソフィーにも同じこと言って怒られたんだろ」
「良く分かってるじゃないか」

「君はね・・・・・・寂しそうだったよ」
「そうだな」
「僕も逃げてたけど、君も逃げてたね」
「ああ、そうだな」

「・・・・・・変わってないな、君は」
「ああ・・・・・・いや、大分変わったさ」
「そうかな?」
「そうさ・・・それよりも、これからどうする?」
「とりあえず家に帰ろうかと思う・・・・・・」
「そうだな、それがいい」
「帰ろう、家に」
「ああ、帰ろう」

話が終わり、ロランが許子に連れられて自分の部屋に帰っていく
家に帰る・・・・・・か
多分、無理だろう
ここを離れたら俺は三ヶ月しか持たない
その上、最早俺自身がクレストの重大機密だし・・・・・・
力ずくで脱出しようとしても、キースが使っていた拘束プログラム・・・・・・
あれを使われたら身動き一つ出来なくなる
そして、重大機密を見ているロランも・・・・・・
だが、それらの問題は次の客人で一気に解決してしまった

「・・・・・・なんであんたが、こんなところへ?」
「君に会いたくてね」
「それはそれは・・・・・・」
次の客人・・・・・・
それは、所長だった

「それで、所長が何の御用ですか・・・・・・?」
「なに、君を手助けしてあげようと思ってね」
「・・・・・・なんだって?」
「S・C・Sの開発中止命令が出た」
「じゃあ、重大機密物品の俺は廃棄処分か?」
「まぁ落ち着け。人の話は最後まで聞くものだ・・・・・・君は白銀を倒したが脱出に失敗して死亡した。そういうことになってる」
「なんだって?」
「先の戦闘でのKIAは十一名。ガードのニコライ、ユーリーと輸送部隊のアブディ、トゥームブリー、キム、ウォデル。そして、研究員のキース、モトコ、アロンソと専属レイヴンのディア。そして彼女だ」
「・・・・・・あんた」
「君達は表にも、裏にも存在しない人間になった・・・・・・そこに居ても居ないことにしよう。そういうことにしておいた」

「・・・・・・何のつもりだ?」
「別に何も企んではおらんよ」
「無料で親切にしてくれる奴には要注意ってな・・・・・・」
「そうだな・・・・・・報酬はもう貰っている」
「何だと?」
「君達はアロンソが望んだ通りに動いてくれた。勿論多少イレギュラーはあったが・・・・・・それだけで十分なのだよ」
「っく・・・・・・俺達は皆あんたとアロンソに踊らされてたってわけか」
「・・・・・・まぁ、そういうことだ。人の親切は素直に受け取っておくべきだと思うが・・・・・・どうかね?」
「出て行ったところで三ヶ月しか生きられないんだろ?」
「ここにいたら一週間でバラバラだ」
「・・・・・・じゃあ、あんたの言ってることが真実だという証拠は?」
「何も無い、信じる信じないはお前の自由だ」
「・・・・・・いいだろう、どうせ他に選択肢は無いんだろ?」

「明日、アロンソの遺したウィルスでこの研究所の自爆装置が作動し、この研究所は沈む。全職員が脱出するのに十分なだけの時間はある。その機体なら十分だろう・・・・・・君は要人輸送装備でキース達を乗せてエリア76のポイントBc77へ行け。そうすれば私の友人の運び屋が君を安全だと思われる場所まで運んでくれる。腕の良い、信用できる男だ」
「分かった」
「要人輸送装備へは今すぐ換装する。作業は作業員達がやってくれる」
「ああ」
「それと・・・・・・息子の・・・・・・」
「息子?」
「息子の最後を見せてくれ」

意外だった
「私の遊びの結果で生まれたのがあの子だ」
なんでそんな事を俺に話すのか分からなかった
記憶からあの時の映像を携帯端末へと流してやった
「あの子はやりたいことをやって死んだんだ・・・・・・少なくとも何も出来ずに死んだ人間よりはマシだろう」
何でそんな事を俺に話す?
「アロンソとの約束でキース君には言えないが・・・・・・代わりに君に言っておこう」
何故・・・・・・?
「ありがとう」


次の日・・・・・・
一度体験した、あの日と殆ど同じことをもう一度繰り返した
真っ赤な通路に耳障りなカウントダウン
違うのは、キースの他にロラン、許子
そして彼女を乗せていることだ
長い間点滴だけで生活していたせいだろうか
とてもACのパイロットだったとは思えないほどやせ細り、弱っていた
要人輸送のシートに座るのを嫌がり、ハーネスを装着するだけでも一苦労だった
これは気をつけないといけないな・・・・・・

脱出は難なく成功した
クレストの部隊が来る前に立ち去り、ポイントへと向かう・・・・・・
ポイントへ向かう途中も、障害らしい障害にはあわなかった
夜通し走ったので、うるさくて眠れないとキースに文句を言われたくらいか・・・・・・

砂漠を抜け、森の中を走る
草原を避けて迂回した
時々止まって、休憩を取る
特に障害の無い、まるで・・・・・・そう、ピクニックのような逃走劇
ロランはあっという間にキースや許子と仲良くなってしまった
誰とでも仲良くなってしまうのはロランの才能だろうか
彼女は見るもの全てが珍しいらしく、虫や動物を追いかけては皆を困らせた

合流ポイントに現れた運び屋・・・・・・所長の友人とは、ビルのことだった
ビルは始めロランを見て驚いていた
「あれまぁ・・・・・・もう会えないと思ってたがなぁ・・・・・・俺の勘は外れたのか。まぁ、また会えてよかったぜディア」
などとロランに話しかけるビル
当然ロランは困惑するだけだ
「あー、違いますよ。ディアさんはあっちです」
などとこっちを指差すキース達
俺も親指でビシッと自分を指差した
「・・・・・・なんだ、お前双子だったのか?ACなんか乗ってないで降りて来いよ」
「いえ、違いますってば・・・・・・」
まぁ、これが普通の人の反応だろうが・・・・・・

流石に許子もロランも普段から鍛えているので二人は大丈夫だった
まぁロランの体は俺が鍛えていたわけだが・・・・・・
キースと彼女・・・・・・とくに彼女の疲労が激しかったので、ヘリで出発する前にここで一夜を明かすことにした
ビルは最後まで俺がACになった事を信じられないようだった

星を見上げて、今日は雲ひとつ無い事に気づく
星を見るなんて何日ぶりだろうか・・・・・・
無限に広がる星空の下で、今までのことを振り返る

いろんなことがあった
白銀と遭遇して死にかけた
クレストにスカウトされて、キースや許子と出会った
あと研究員達もか・・・・・・
ガードの部隊の奴らと散々模擬戦をした
そしてキースからの依頼
過去の記憶を思い出し・・・・・・
ミラージュの部隊と戦って、体をロランに返した
アロンソの出現に、白銀と二度目の戦闘、脱出・・・・・・
ソフィーとの会話
所長と話して、また脱出、逃走

いろんなことがありすぎた
研究所に入ってからは特にだ
もう何ヶ月も地下にいた気がする・・・・・・

「星を見てるんですか?」
キースに呼ばれて振り向く
「まぁな・・・・・・俺は星を見るのが好きなんだ」
「へぇ、意外な趣味ですね」
とか言いながら俺の隣に座る
「僕のこと、潰さないように気をつけてくださいよ」
「分かってる」

「世界は広いよな・・・・・・」
「それはもう、一周四万キロメートルもありますからね」
「知識としては知っていたが、実際に自分の目で外を見た時は驚いたよな」
「驚きましたね・・・・・・」
「けど宇宙はもっと、途方もなく広い。きっと無限に広がってる」
「まぁ、多分そうでしょうね」
「星空を見てると、自分の悩みとかが恐ろしくちっぽけな物に思えてくる。俺が悩んだところで、別に世界は何も変わらない。俺一人居なくなったところで、世界は何も変わらない・・・・・・世は全て事も無しってやつだ」
「・・・・・・」
「考えるのも馬鹿馬鹿しくなって、悩みなんてどこかへ行ってしまう・・・・・・クレストだとかミラージュだとか、くだらない企業の話だってな。だけどな、同時に何で生きてるのか見失いそうになる。生きる価値を、自分の価値を見失いそうになる。俺が死んだところで世界は何も変わらない、俺が死んだって誰も悲しまないんじゃないか?どうせ皆すぐに忘れて、いつもの生活へと戻っていくんじゃないか?だったら、生きていたってしょうが無いんじゃないかってな・・・・・・」
「そんな事はありませんよ・・・・・・ロランさんにはあなたが必要なんじゃないですか?」
「どうかな、俺が一緒にいるよりもお前らが一緒にいたほうが良いかもしれない・・・・・・まぁ、ソフィーに一緒にいてやれって言われたからな、勝手なことしたら散々怒られるだろうが・・・・・・」

「・・・・・・ソフィーさんってもう死んでるんですよね」
「ああ、俺が記憶を無くす前にな。むしろ記憶を無くしたのはあいつらが原因だ」
「それじゃあ、いつ言われたんですか?」
「基地から脱出に失敗して、死に掛けた時さ・・・・・・。夢を見たって言っただろ・・・・・・?」
「馬鹿馬鹿しい、そんなの妄想ですよ・・・・・・と、言いたいとこですが・・・奇遇にも僕も夢で彼女に助けられましたからね」
「なんだ、お前もか」
「ええ・・・・・・でも、夢なんて自分の中だけで見る物でしょう?臨死体験だって酸欠から来る脳の防御反応だって言われてますし・・・・・・」
「それでも、本物の彼女に助けられたように思えたんだろ?」
「そうですね・・・・・・頭を撫でられた感触とか・・・・・・」
「俺も彼女が本物のように思えた」
「でも、それはそう思いたいだけで実際は・・・・・・」
「キース、肝心なのは本人がどう思うかだ。俺が本物だって信じたなら、少なくとも俺の中では夢に出てきたソフィーは紛れも無い本物だったってことさ」
「まぁ・・・・・・そうですかね」
「人は自分が思っているほど幸福でも不幸でもない。自分の境遇を嘆いて悲しみに暮れるならばそれは不幸だろう。僅かな糧を神に感謝して暮らすならそれは幸福だろう。結局は自分がどう思うかなのさ・・・・・・日々の出来事の一つ一つを自分がどう感じるか。一番不幸なのは、前の俺みたいに全てに無関心で、何も感じずにただ生きる事だ。何しろあの騒がしい研究員達に気づかなかったくらいだからな・・・・・・お前はどうだ?」
「それは・・・・・・僕だって幸福に生きたいと思いますよ」
「だったら、夢の中に出てきた彼女を本物だって信じてやれ」
「そうですね・・・・・・」

「そういえばお前、どうしてクレストを抜けてきたんだ?」
「何でって・・・・・・抜けたいから抜けてきたんですよ」
「そうか」
「あっさり納得しないでくださいよ・・・・・・あんなふうになった彼女を、あの場所に置いておきたくなかったからですかね・・・・・・」
「そうか・・・・・・そういえば彼女の名前ってなんていうんだ?」
「言ってませんでしたっけ?いい名前ですよ。アンジェリカっていうんです」
「アンジェ・・・アンジェロ、天使か・・・・・・いい名前じゃないか」
「そうですね・・・・・・」

「お前ら、どこか行くあてはあるのか?」
「いえ?特にはありませんけど・・・・・・僕らの携帯端末はもう使えませんし、どうしましょうかね」
「行くあてが無いなら、一緒に来ないか?」
「いいんですか?」
「そのほうがロランも喜ぶだろうしな」
「なら、甘えさせてもらいますかね」
「結構良い所だぞ。ここらへんと違って四季があるんだ。冬になれば雪も降る」
「レイヤードの中ですよね・・・・・・人工的な物じゃないですか」
「まぁな」

「チーフ、食事の用意が出来ましたよ」
と、呼びに来たのは許子だった
後ろにはアンジェがくっついている
・・・・・・文字通りくっついている
いや、引きずられている
「あれ、手伝えなくてごめん・・・・・・」
「お気になさらず、あれくらい手伝ってもらわなくても結構です。ディアは・・・・・・食べますか?」
「いや、無理だからいい」
どこから食べろと言うのだろうか・・・・・・
「そうですか。ではチーフ、先に行ってますので」
そう言ってアンジェを引きずりながら去っていく
「・・・・・・ずいぶんとなつかれてるな」
「そうですね」
「とても白銀のパイロットだったとは思えないな」
「ええ、まぁ・・・・・・それじゃあ、食べてきます」
そう言ってキースも去っていく

また星空を見上げる
今日は星がたくさん出ている
多分、俺は後三ヶ月で死ぬ
それまでに家に到着できるだろうか
俺が死んだ後ロランはどうするのだろうか
ロランを置いて死んだ後、あいつに何て言われるだろうか
今も、ソフィー達は俺達の事を見ているのだろうか・・・・・・

ああ、考えるのが馬鹿らしくなってきた
今はただ、星を見ていよう・・・・・・
作者:NOGUTAさん