サイドストーリー

ファントム 第八話 削除される者
「お兄ちゃん!ゴハン出来たよ〜」
ナナミの声で目が覚める。

「わかった・・・今行くよ」

ベッドから体を起こす。

「お兄ちゃん、髪が爆発してるよ」

鏡を見ると、髪の毛が跳ねていたりした

「ホラ、早く髪を治してゴハン食べよ」

「ああ。」

「ねぇ、お兄ちゃん!今日遊びにいこうよ!お仕事ないんでしょ?」

「ああ・・・・そうだね・・・」
そう言って僕は微笑んだ



こんな幸せな時間を僕が過ごしてもいいのだろうか

一体、僕は何なんだろうか

そんな考えが僕の頭をよぎった。


朝ゴハンを食べ終え、メールを見た


受信メール一件
送信者 ???

『時は満ちた・・・・君に言うべき事は沢山ある』

そして依頼が一件

送信者 ???
事情があり、我々の事は話せないが、排除してもらいたいヤツがいる
イクスパーゲーター・・・削除人だ。
ヤツを排除して欲しい。報酬は後払いだ。
場所はDD−8873だ。至急頼む。

ワナである事がバレバレだった。

だが、僕はもう逃げるワケにはいかない。
もしかするともう変えれないかもしれないな

僕は書置きをしてナナミの家を出る。


「今すぐ出撃したい。」

「ん?ミッションの連絡は入ってないぜ」
クロウドが言った

「いいんだ・・・」

クロウドが不審そうな目で僕を見たが

「わかった・・・ローダーを出そう。目的地は?」

「DD−8873」

「DD−8873・・・今は使われてない研究所だ
何の研究をしていたのかは知らないけどな」



ローダーにACを積み込む


これから先に何が待っていようが僕は逃げない

そこに答えがあるのなら

そのとき、フィアから通信が入ってきた

『レイヴン!どういう事です!私は任務のことは聞いていません!』

「・・・・」

『レイヴン・・・・これはワナです・・・あまりに危険です!』

「それでも行くしかないだろ・・・僕にはそれ以外の道は残されていない」

『レイヴン・・・』

「君は最後まで僕のサポートをしてくれ」

『わかりました・・・・』


目的地に到達する


『メインシステム、戦闘モードを機動します』

『周囲にエネルギー反応が見当たりません。注意して進んでください』

『了解』

警戒しながらさらに下へ進んでいく


そして広いホールのような場所に出る

そこには破壊されたコンピュータの残骸があった。

『これは・・・一体・・・・』
フィアが呟く

『やぁ・・・来てくれたんだね・・・・』

黒い機体を確認した

「・・・・・」

『君の事を話しておくよ・・・・』

『僕の事・・・・やっぱり君は僕のことを・・・』

『まぁね・・・・それじゃあ・・・最初はこの話から
君は人間ではない・・・D→A計画で作られた強化人間だ』

『D→A計画?』

『本当に忌々しい・・・・デリート・アゲイン計画
一端、削除した人間を遺伝子操作で強化人間にする・・・・
強化人間と言うよりは、AC専用のリミッター解除装置かな・・・』

『リミッター解除装置・・・・僕が・・・・?』

『そして・・・次の話・・・君は計画の失敗作とされ記憶を消された。
僕は完成品として、実戦に投入され、このイクスパーゲター
削除人という名前を貰い、この世の秩序を乱すものを削除してきた。
だが、それも今日で終わりだ・・・・僕はこの施設を破壊・・・裏切り者として
”神“に削除される・・・・だが・・・・その前に君を削除しなくてはいけない』

削除人がレーザーライフルを構える

『ランカーレイヴン・・・D→A・・・・・君を削除する・・・・』

削除人はレーザーライフルを連射する
僕はそれを回避し、チェインガンを構え連射する

数発が削除人の機体に当たる。

『チィ・・・!』

削除人がミサイルを放つ

何発かは迎撃装置が破壊するが、後はまともに受けてしまう

『今のところ・・・五分五分と言ったところかな・・・・』
削除人が言った

『そうだな・・・・』

僕はグレネードを発射した

削除人はショルダーキャノンを構え放った

僕はそれを避け、隙の出来た削除人に向けまたグレネードを放つ
グレネードは削除人のエクステンションを破壊する

『エネルギー供給装置が・・・』

電力を帯びていた削除人のキャノンが機能を停止する

『エネルギー武器は使い物にならないな・・・・』

『さぁ・・・どうする?』

『・・・・君は・・本当に存在しているのかい?』

『え・・・・?』

『もし・・・君がこの世の”神“によって作られたこの世に存在して
この世に存在しない・・・・そんな矛盾の中で生まれた
存在だとしたら・・・・いや・・・・君だけじゃない・・・
僕も・・・・かな・・・・・』

『何が言いたい・・・!』

『簡単に言えば・・・君も僕も存在しない・・・この世の”神“がこの世に君と僕が
存在しているという記憶をこの世の全ての人間に植え付けているだけなんだ』


削除人はまたミサイルを放つ

『“神”がいなくなれば・・・僕も君も存在していなかったという事になる』

『黙れぇ!!!!』
僕は必死でチェインガンを連射する
回転を止めることなくチェインガンは弾を吐き出していく

削除人はそれを避けようともせず話し続けた

『だから・・・僕は・・・”神“を破壊しようとした・・・・』

削除人の機体はどんどん削られていく

『僕と君がおかしてきた過ちを全て消すために・・・』

削除人の機体から火花が飛び散る

『神なんか・・・信じない・・・・』

『君は・・・・本当に・・・』

そのとき、削除人のコアを光条が貫いた

『“神”・・・・・』
削除人が呟く

『まさか・・・・僕が・・・・削除される・・・なんてね・・・・
神などいなければ・・・・僕達は出会わずにすんだのかもね・・・・・』

ジェネレーターに引火し、削除人の機体が爆発を起こす

『レイヴン!気をつけてください。何か来ます』

そして、爆炎の中から白い機体が現れた

『我ハ神・・・・万物ノ創造主ナリ・・・・・』

『アンタが・・・神か・・・・僕にはただの鉄の塊にしか見えないけどね』

『神ニハムカウ者ハ・・・・全テ・・・・ハカイスル・・・・』

『かかってこいよ・・・・僕が・・・その鉄の塊で出来た神とやらを破壊してやるよ』

『ハカイ・・・・・ハカイ・・・・・ハカイスル!!』
作者:クリムゾンベルセルクさん