地上編第七話 思いのままに 〜その代償〜
ゴゥン ゴゥン ゴゥン ゴゥン
通信士「、、、イーガル艦長、3番ゲート通過、間も無く地表に出ます。」
イーガル「リフト停止と共に微速前進。周辺の索敵を欠かすな。一応、な。」
ゴゴォォン
通信士「リフトの停止を確認。周辺に敵影無し。」
イーガル「うむ。【サルビア】、発進する。」
操舵士「了解、微速前進。」
イーガル「針路80、開発研究地区へ行き、今後の命令を待つ。」
操舵士「針路80、了解。」
副長 「滑り出しは順調のようですね?」
イーガル「過去の英雄が色々と動いてくれたからなぁ。」
副長 「彼は本当に強かった、、、誰も敵わないと本気で思わせるほどに。」
イーガル「ほう、、、『戦乙女』にこうも言わしめるとは、、、今の彼は君の目にはどう映るかね?グナー。」
グナー「らしくありませんわね。まるで逃げている様、、、それに艦長、その名は昔の名前でしてよ?」
イーガル「ははは、、、そのほうが馴染みやすいよ。」
グナー「別に構いませんけど。」
イーガル「ははは、、、さてと、お客さんに挨拶してくるかな?」
グナー「お供いたしますわ。」
リア 「へ〜、結構走破性高いのねぇ。」
ラゴウ「戦車と違ってホバー走行だからな。短時間なら水上も動けるそうだ。」
リア 「ふ〜ん。あっ!ほらケイト!面白い形の雲!」
ケイト「、、、、はぁ。」
ラゴウ「五年も地上で暮らしてて飽きないのか?」
リア 「なに言ってるのよ?見飽きるわけ無いじゃない!?」
イーガル「船旅をご満喫して頂いているようですな?」
ラゴウ「イーガル艦長、、、すみません、、、」
イーガル「なぁに、文句言いに来たわけじゃない。ちょっくら挨拶でもしとこうかなと思ってね。」
リア 「あなたが艦長?でも、レイさんが新米だって、、、」
イーガル「ふむ、確かに私は新米だよ。陸上戦艦に限ってはね。前は潜水艦で働いていた。」
ラゴウ「そういうことだ。これからは口の利き方に気をつけろよ?」
リア 「あら?ラゴウだって雇い主に銃突きつけたりしてるじゃない?」
ラゴウ「な!それはレイがあまりにも不真面目だからで、、、」
リア 「そのレイさんがこの艦のことを新しい家だって言ったのよ?だったら家族同然のクルー相手にかしこまるのもおかしいじゃない?」
ラゴウ「そ、それは、、、」
イーガル「はっはっはっは!君も大変だな。別に構わんよ?戦艦といえども戦わなければ只の船だ。私としても娘ができたようで嬉しいよ。」
リア 「はい!!ほらっケイト!!」
ケイト「助けて、、、、」
ラゴウ「はぁ、、、まったく、、、艦長、少しよろしいでしょうか?」
イーガル「ああ。ブリッジでな。」
ラゴウ「ハイ。」
イーガル「それじゃ、私は一足先に行ってるから、副艦長に案内してもらいなさい。じゃ、頼んだよ?」
グナー「了解しました。」
コツコツコツコツコツ、、、、、
ラゴウ「、、、、、、、、、」
グナー「、、、、、、、、、」
ラゴウ「、、、あからさまに敵意を向けるのは止めてくれないか?」
グナー「、、、なんのことか理解しかねますが?」
ラゴウ「とぼけるな。俺になにか恨みでもあるのか?」
グナー「あなたが、、、」
ラゴウ「え?」
グナー「あなたがエースを変えてしまった、、、あなたが!!」
ラゴウ「エースが、変わった?どういうことだ?アイツに会ったのか!?」
グナー「あなたさえ、、、あなたさえいなければ!!」
ラゴウ「なっ、、、」
グナー「あなただけは認めない、、、絶対に!!」
ラゴウ「お、おい!待て!!」
グナー「ここがブリッジです。ご自由に。」
ラゴウ「なんだっていうんだ、、、」
イーガル「おや?どうかしたかね?」
ラゴウ「い、いえ、問題ありません。」
イーガル「若いのぉ。」
ラゴウ「は?」
イーガル「問題になるまで黙ってるつもりかね?問題は起きてからでは遅いのだぞ?」
ラゴウ「、、、すみません。実は、、、」
イーガル「なるほど、、、そういうことか。」
ラゴウ「なにか心当たりが?」
イーガル「うむ、、、」
通信士「艦長!!」
イーガル「何事か!?」
通信士「六時の方向に敵影!!数6、MTです!!」
ラゴウ「私が、、、」
イーガル「なぁに、構わんよ。隠密起動母艦の真髄を見せてくれよう。」
ラゴウ「と、言いますと?」
イーゲル「全艦第二警戒態勢に移行。『ゴースト』起動、ステルス装甲展開。『WS』 は5番から8番を装填、、、踏み潰すぞ。操舵士!!」
操舵士「りょ、了解!!」
イーガル「『WS』を横っ腹に叩きつけてやれ。『デリンジャー』の弾薬費も馬鹿にならんしのぅ、、、」
操舵士「距離300!!」
イーガル「よぅし、、、、砲撃ぃ!!」
ドドドドドドドドド!!!!!!
それは一瞬の戦闘。無防備の状態に真横から砲撃の直撃を受けたMTは、あるものは鉄屑を撒き散らし、またあるものは鉄屑そのものへと姿を変えた。
ラゴウ「な、、、、」
イーガル「『ゴースト』及びステルス装甲を解除、全艦通常態勢に移行。こういうやり方は嫌いかね?『不殺の死神』くん、、、」
ラゴウ「、、、、、、」
イーガル「やり方云々の問題ではなく、人を殺す事が認められないといったところかな?」
ラゴウ「甘いということはわかっています。自分も、人を殺して生きてきましたから、、、」
イーガル「甘くはないよ。本来それがあるべき姿だ。しかし、こと戦場に置いてはそうもいかん。」
ラゴウ「わかっています、、、」
イーガル「しかし―、殺さずに倒せる技量を持った人間がその理屈を振りかざすことは許されん。」
ラゴウ「え?」
イーガル「貫く信念があるのなら、人目を気にせず思いのままに力を振るえ、ってなことを誰かが言ってた気がするのぉ。」
ラゴウ「艦長、、、」
イーガル「私にゃ何のことかさっぱりじゃがなぁ?誰だったか、、、エ、、、エー、、、」
ラゴウ「エース、、、」
イーガル「そんな名前だった気もするわい。はっはっはっは、、、」
ラゴウ「、、、ありがとうございます。」
イーガル「はっはっは、何のことかの?ほれ、さっさと行って来い。長引けばそれだけ犠牲が増えるぞ?」
ラゴウ「ハッ!失礼します!!」
イーガル「伝言ぐらい自分で伝えりゃいいものを、、、パイロットから連絡が入り次第ライトリーフ、1番ハッチ開放!特務じゃ。」
通信士「了解。」
ラゴウ「思いのままに、、、か。ブリッジ!【ブリオニア】出るぞ!!」
通信士『了解。ハッチ開放します、お気をつけて。』
キィィィィン ゴオォォォォォ!!
クレスト社ゲート管理施設、その地下に上層部しか知る者の無い施設があった。
そこにはゲートの管理、防衛と称し、過剰な部隊が駐留していた。
施設の名は、『強化研究所』。
今、死神が舞い降りる、、、
ドゴォォォン!!!
長官 「な、なんだ!?」
通信士『長官!!奴です!!死神が、、、、』
長官 「おい!おい!!くそ、死神だと、、、」
部隊員「こ、コノヤローー!!!」
ブゥオン ドゴォォォン!!
部隊員「うわぁぁぁ!!!、、、、い、生きて、る?」
ラゴウ「思いのままに、思いの、ままに!!」
キィィィィン
ラゴウ「ハァァァァ!!」
部隊員「な、なんだこいつ!!急に速く、、、わぁぁ!?」
部隊長『長官!!!駄目です!!敵の勢いすさまじく、止められません!!離脱許可を!!』
長官 「ふ、ふざけるな!!命を賭して奴を落とせ!!」
通信士「レーダーに機影!!な、、、で、でかい!!」
長官 「ええい!正確な報告をしろ!!」
通信士「せ、戦艦と思しき機影が、、、レーダー上に突然!!」
長官 「クッ、、、主任!!」
主任 「はい?」
長官 「[DOLL]の使用許可を与える、、、役に立つんだろうな?」
主任 「それはもう♪」
ラゴウ「ハァ、ハァ、ハァ、、、これで、全部か?」
ゾクリ
ラゴウ「 !! まだ、いる、、、」
バシュゥゥン!!
ラゴウ「クッ!!」
???『外れた?くそ、、、』
放たれた一発の砲撃、その方向にいるのは燃えるような赤い色をしたACだった。
ラゴウ「感じる、、、この感じ強化人間!?」
???『死んでよ、、、でなきゃ、殺しちゃうんだからぁぁ!!』
ドォン! ドゴォォン!!
ラゴウ「グッ!くそ、なんて火力だ!?聞こえるか!!強化されているならやめろぉ!植えつけられた力を他人の意思で振るうんじゃない!!」
???『 !? なによ、、、なんなのよ偉そうにぃぃぃぃ!!!』
突然の声に戸惑いながらも火砲を交える2機のAC。
ラゴウ「力をそんなふうに使い続ければ、いずれはただの人形に成り下がるぞ!!」
???『うるさい!!どうせ、生まれた時から人形よぉぉ!!!』
ラゴウ「な!?ぐ、うおぉぉぉ!!」
ズズゥゥゥン!!
ラゴウ「直撃?バランサーが、死んだ!?油断した、、、」
???『死ぃねぇぇぇぇ!!!』
ラゴウ「クッ!!」
イーガル『トールハンマー、てえぇぇぇいい!!!』
ヴゥゥゥゥゥ、、、、ズオォォォォォォ!!!!
ラゴウ「なに!?」
???『え、、、きゃぁぁぁぁ!!!』
長官 「ハ、ハハハハハハハハ!!??」
カァッ、、、、、、ドッゴォォォォン!!!!!!!
操舵士「敵表層施設の消滅を確認!!」
通信士「ジェネレーターに過負荷!電力供給停止!!」
操舵士「敵施設よりさらにMT!!数20!!」
イーガル「構わん!手動で全ハッチ開放、ACを出せ!その後機関に予備電力をチャージ、FCSの照準をマニュアルで援護する!!」
砲撃手「そんな!?無理です!ACよりもロックが難しいんですよ!?」
グナー「お退きなさい。」
砲撃手「え?」
イーガル「グナー、、、頼む。私怨に囚われ、相手を間違えるなよ、、、」
グナー「、、、了解。」
通信士「『マガツ』、『アヤシ』の起動を確認。」
通信士「ハッチ解放、禍閃紅、妖閃紅、龍閃紅、発進して下さい。」
ケイト『龍閃紅、行くよ、、、』
ゴォォォォォ!!!
???『う、クッ!被害状況、、、左腕消失、脚部稼働率30%!?なんてものを、、、』
ラゴウ「サルビア!?なぜ、、、」
主任 『あら〜、ヒノくん。初陣でまた派手にやられちゃったねぇ?』
ヒノ 『ア、アスカ主任!も、申し訳ありません!!お許しを!!』
アスカ『いや、別に君のミスじゃないからいいんだけどね?死神くんも戦闘不能に追い込んだようだし。』
ヒノ 『あ、ありがとうございます!!』
アスカ『ただ――、通信を繋ぎっぱなしで僕の名前を呼んだのはいただけないなぁ、、、』
ヒノ 『あっ!!しゅ、主任、、、』
アスカ『まだ『調整』が完璧じゃないようだねぇ?とりあえず帰っておいで。ここはもう棄てるから♪わかったな?』
ヒノ 『ヒッ!は、はい。』
ラゴウ「グッ、、、貴様か?彼女を強化処理したのは!」
アスカ『へぇ〜!君が死神くんか〜、若いんだねぇ?』
ラゴウ「ふ、ふざけるな!!」
アスカ『科学者ってのは誰でも限界を見たがるものなんだよ。それにヒノくんは放っといたら死んでるところをわざわざ拾い上げて、
尚且つ生き場を与えてあげたんだから感謝して欲しいぐらいだよ。』
ラゴウ「いいかげんにしろ、、、」
アスカ『どうやら君も強化人間らしいけど、僕の『最高傑作』には敵わなかったみたいだね?あはははははは♪』
ラゴウ「キィサマァァ!!」
アスカ『ははは、、、まぁ数少ない成功品だからね、せいぜい役に立ってもらわないとねぇ?』
ブツン
ラゴウ「、、、さんぞ。」
アスカ『え?なんか言った?』
ラゴウ「、、、許さんぞ。」
アスカ『その状態で何しようって、、、』
ラゴウ「フル、、、アクセス、、、!!」
【マニュアルモード起動、バックアップ開始】
【―FULL ACCESS― START】
キイイイイイン!!
ケイト「 !!! と、父、、さん?」
リア 「な、なに?この寒気は、、、」
ラゴウ「アアアアァァアアァァァァァ!!!!!」
ギギギギギ、、、ズシャ
アスカ『た、立った?バカな、、、あの損傷で、どうやって!?』
ヒノ 『死神、、、本物の、、、』
ラゴウ「ガアアァァアアアアア!!!!」
キィィィィン ゴオオオオオオ!!!
アスカ『なっ、、、え、MTを出せ!!テスト用でも予備でもなんでもいい!!奴を、、、アイツを止めろぉぉぉぉ!!!』
通信士「メインエンジン再起動!!なっ!?施設よりさらにMT10!!ブリオニアの進路上に展開しました!!生命反応無し、AIです!!」
イーガル「いかん!!ラゴウ!聞こえるか!?止まるんじゃ!!」
バババババババババババ!!!!
展開したアローポーターから銃撃が襲い来る。しかし、
ラゴウ「ジャ、マ、ダ!!」
ドォォンダダダダダダダバシュゥゥゥン、、、ドドドドォォォン!!
通信士「え?よ、四機撃墜、、、そんな一瞬で!?」
イーガル「ぬぅぅぅ!!彼になにがあったと、、、」
ラゴウ「グゥオオオオ!!」
ブブゥゥゥゥゥン、、、ドォォドォォォン!!
通信士「さらに二機撃墜!!ブリオニア、施設内に侵入します!!」
イーガル「いかん!!ここで彼に人を殺めさせてしまえば、、、立ち直れんぞ!!」
ピピピピッ ピピピピッ
通信士「え?あ、艦長!!通信が、、、」
イーガル「こんなときに誰だ!!」
???『ACの搬入と撤退準備をしておけ!!』
イーガル「キミは、、、」
???『無駄話は後だ!切るぞ!!』
通信士「あっ、ちょっ、、、通信切れました、、、」
ラゴウ「ウゥオオオオオ!!」
ドゴォォォン ドゴォォォン ドゴォォォン!!
アスカ「隔壁はあと何枚だ!?」
研究員「の、残り二枚で、、、」
ドゴォォォォォン!!!
研究員「う、わぁぁあぁ!?」
アスカ「な、、、」
ラゴウ「シ、ネ。」
???『ぬぅああああ!!』
ガギィィィィン!!
ラゴウ「グゥウウゥ!?」
???『ハァァ!!まったく世話の焼ける!!』
ラゴウ「ウゥガァァァ!!」
???『チェクメイトだ、、、』
ズダダダダダダダダ!!!!
ケイト「FINGER?父さん!!」
???『同じことを何度も、、、させるな!!』
ズシャァァァァ!!ブチブチブチ、、、バギィィィン!!
イーガル「ブレードを突き刺した!?いや、何かを引きずり出しとる、、、」
ラゴウ「ガ、アァァ、、、」
???『とりあえずはこれで、、、そういえば、ヒノ、、、と言ったか?行け。これ以上この場に留まれば、ミラージュに捕まるぞ?』
ヒノ 『え?あ、、、』
???『お前より辛い経験をした奴など、掃いて棄てるほどいる。不幸のヒロイン気取りはやめるんだな、、、』
ヒノ 『な!!』
???『フン、、、こちらキサラギ社レイ直属部隊『ロイヤルガード』所属、ネームレスだ。ACの回収と、着艦許可を。』
イーガル「構わん、急いでくれ。ミラージュのゲート管理部隊がこっちに向かっておる。」
ネームレス『わかっている。こいつは私が担いで帰る。』
イーガル「頼む、、、ACの収容後、最大戦速でこの領域より撤退する。索敵は密に!ゴースト、ステルス装甲起動スタンバイ!全機呼び戻せ!!」
「「「「了解!!」」」」
イーガル「グナー!」
グナー「ハッ!!」
イーガル「出迎えてやってくれ。」
グナー「え?し、しかし、、、」
イーガル「命令を二度言わせるのは恥ずべき行為だぞ?」
グナー「りょ、了解しました!!、、、ありがとうございます。」
通信士「ケイト機、禍閃紅、妖閃紅、着艦。ネームレス機とブリオニアの収容も確認しました。」
イーガル「機関最大!!全速離脱!!」
操舵士「了解!!」
イーガル「ふぅ、、、厄介なことになりそうだの、、、しかし初日からこれじゃ、先が思いやられるのぉ、、、」
第八話へ続く
あとがき
不定期更新の代名詞、ミストです。
本日はINTENSIFYについての『私の解釈』を説明しておこうと思います。
一つ、ブレード光波を可能にすることから、エネルギー効率の最適化を行える一種の演算装置ではないのか?
二つ、本来なら発射態勢をとり反動を押し殺すキャノン発射時の反動制御をミリ単位で制御し、動きながらの発射を可能とする制御装置ではないのか?
三つ、○ンダムのサイ○ミュのような精神感応装置ではないのか?(根拠なし。)
とまぁ、こんなところです。これについては皆様それぞれの考え方があるので、一概にこうだとは言えません。
ですが、私の駄文を読んで頂ける際には私はこういう風に考えているということを頭の片隅に憶えていてくださればいいなと思います。
また、新ACについては後でまとめて、ということで。
それでは皆さん、ごめんなさい。
作者:ミストさん
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