サイドストーリー

地上編第九話前編 密林の死闘
[クレスト社ゲート管理施設崩壊]
先日未明、クレスト社の所有するゲート管理施設が戦艦による攻撃を受け、壊滅した。クレスト社はこの件に対し、
「事件発生の3時間ほど前にキサラギ社の領域周辺に偵察に出していたMTが消息を絶った。この事件はキサラギ社による侵略行為である可能性が高い。」
と述べている。この発言を受けてキサラギ社のレイ=キサラギ氏は、
「クレスト社の発表は全くの事実無根であり、このような憶測が立てられていることに強い憤りを憶える。」
とし、全面的に否定した。同時にキサラギ氏は、
「我が社は以前からクレスト社より合併を強要されており、この発言が侵略の口実になりかねない。一刻も早く撤回して欲しい。」
と、いう発言も残し、キサラギとクレストの水面下での争いが垣間見られる。
また、ミラージュ社はこの事件に対し、
「報告を受け、我が社の部隊も調査に向かわせたが、クレスト社が言うような戦艦は発見されなかった。地理的にも我々の部隊に見つからずに逃走するのは不可能で、クレストの証言には疑わしいものがある。いずれにせよ、我が社はこの件に対し一切関与はしない。」
と、傍観の構えを見せた。このままクレストが襲撃部隊をキサラギの部隊と断定するようであれば、近いうちにも開戦の火ぶたが切って落とされるだろう。
今後の両社の動きが注目される。



イーガル
「今思えば、派手なことしたのぅ、、、」

グナー
「自覚するのが遅すぎます。散々反対しても強行したのは艦長ではありませんか。」

イーガル
「仕方あるまい?非常事態だったんだから。」

グナー
「一人のパイロットの為に艦を危険に晒したんですよ!?艦長のとる行為とは思えません。」

イーガル
「どっちにしろキサラギが劣勢に立たされることもないし、ラゴウくんも無事とはいかないが生きている。あれでよかったんじゃよ、、、」

グナー
「ハァ、、、まったく、、、ん?」

通信士
「密林かぁ、暑いんだろうなぁ?」

操舵士
「ただの暑さならまだマシだよ。それに湿気が加わるからシャレにもなんないらしいぜ。」

通信士
「うげっ、勘弁してくれよ、、、」

グナー
「無駄話をしているヒマがあったら索敵ぐらい完璧にこなしてもらいたいものね。」

通信士
「も、申し訳ありません!!」

操舵士
「バーカ。」

グナー
「あなたも。元々走破性が非常に高い艦に乗っていながら振動を感じるのは未熟な証よ?シミュレーターが一通りできたからといって一人前を気取るのは少々気が早いのではなくて?」

操舵士
「す、すいません。」

イーガル
「はっはっはっは。中々教育熱心だの?」

グナー
「私でなくとも誰かがやらなければいけないことです。でなければ命なんて預けられません。違いますか?」

イーガル
「藪蛇だの、、、」

グナー
「なにか?」

イーガル
「な〜んでもないわい。」

通信士
「艦長、暗号通信が入っています。コードは『ウォーマースネイク』と名乗っています。」

イーガル
「あぁ、密林の連中じゃ。繋いでくれ。」

ラムド
『貴方がサルビアの艦長殿ですか。私はキサラギ社所属第6大隊指揮官、ラムド=ホーであります。』

イーガル
「ほほぉ、『毒蛇』と名高いラムド指揮官直々に挨拶を頂けるとはの。ワシが隠密起動母艦【サルビア】艦長のイーガル=ノートンじゃ、よろしくの。」

ラムド
『はい。それでは作戦内容を説明いたします。今回サルビアに来てもらったのはミラージュ社の前線基地攻略ということでしたが、作戦を変更。ミラージュ前線基地の敵戦力の削減に変更されました。』

グナー
「なぜ?サルビアの力は前回の戦闘で証明されたはずよ?攻城戦こそサルビアの真価が発揮できるのに、、、」

ラムド
『それが、つい先日からミラージュの部隊が次々と基地から離れていくのが確認されたのです。』

イーガル
「なに?せっかくの前線基地を放棄するというのか?」

ラムド
『いえ、最低限の兵力は残しているようなので放棄ということでは無いように思われます。』

グナー
「なら尚更基地攻略のチャンスじゃない?」

ラムド
『我々もそう思ったのですが、、、』

イーガル
「お偉いさんから何か言われたのかね?」

ラムド
『、、、はい。』

グナー
「え?敵の前線基地を潰すことにデメリットなんて、、、」

イーガル
「キサラギ自体にはデメリットは無いじゃろう。しかし、キサラギに寄生し、あまつさえ売り渡そうと考えておるものにとって取引相手の機嫌を損ねるのは困るのだろうよ。」

グナー
「なっ、、、そこまで腐敗が進んでいるのですか、、、」

イーガル
「キサラギに限った話じゃないが、キサラギが一番酷い。長い間社長の独裁体制が続いておったからの、反感を持っておる者は多いんじゃよ。」

ラムド
『その通りです。しかし、我々は与えられた任務をこなすことしかできない。立場というものをを疎ましく感じます。』

イーガル
「わかるよ。その気持ちは、、、、、、」

ラムド
『は?』

イーガル
「い〜や。なんでもない。それでどうするね?密林を焼き払うのも気が引けるんじゃが。」

ラムド
『はい、我々の部隊が基地に攻撃をしかけ、βポイントの砂漠地帯に誘き出します。あそこは現在砂嵐が発生しており、より高度のステルスが可能でしょうし、撹乱もしやすいはずです。』

イーガル
「ふむ。了解した。撹乱誘導は任させてもらおうかの。」

ラムド
『お任せください。それでは作戦開始は1900に。失礼します。』

イーガル
「健闘を、、、、、、、ふ〜む、、、」

グナー
「なにか気がかりでも?」

イーガル
「やっこさんは戦力をどこに移動させておるのかのぉ?」

グナー
「『死神』に備え各地の研究所に分散させているのでは?」

イーガル
「しかし、襲撃はここ最近の話じゃないだろう?そうだとしたらいくらなんでも動きが遅すぎる。」

グナー
「確かに、、、」

イーガル
「ひっかるのぉ、、、」

通信士
「艦長、本社より通信が、、、」

イーガル
「わかった。繋いでくれ。」

通信士
「了解。」

レイ
『やっ、元気?』

イーガル
「誰かと思えばお前かい。これから戦争しに行くんじゃぞ?元気じゃ無きゃやってられんわ。」

レイ
『ですよねぇ?襲撃任務の内容変更についてはすみませんでした、、、気付いたときには遅すぎて、、、』

イーガル
「まあ今更どうしようもない事じゃ。戦力が無くなればどっち道あの基地は放棄せざるをえんのだから、大して差はないよ。」

レイ
『そう言って頂けると助かります。ところで、彼は元気ですか?』

イーガル
「親離れして寂しがってるとでも思うたか?どっこい、かえってはりきっとるよ。」

レイ
『私たちもラゴウさんの回復には全力を注いでいます。彼が帰る時までケイト君をお願いします。』

イーガル
「お前にんなこと言われんでもしっかりやっとるわ。」

レイ
『、、、と、リアさんが言ってました♪』

イーガル
「お前は、、、」

レイ
『あははははは、じゃ、頑張って♪』



ブツン



通信士
「、、、通信、切れました、、、」

イーガル
「作戦開始時刻まで小休止とする。ブリッジ要員も交代で休息をとるように、以上。なんだろうか、、、疲れた、、、」



1900 作戦開始



ラムド
『よし、時間だ!!エグゾゼ隊は先行、寝てる連中を叩き起こして来い!私はフーグリオン隊と後詰めを引き受ける!あくまで陽動が任務だ、間違って全滅させるなよ?全機出撃!!管制塔、ラムド=ホー、【アナコンダ】出る!!』

イーガル
「時間じゃ!メインエンジン点火。ステルス装甲、ゴースト展開!サルビア、発進!!」









ラムド
「そろそろ敵が動き出す頃だが、、、」



ドゴォォォン!!!



ラムド
「何だ!?」

キサラギ部隊員
『隊長!!敵が、後方から、、、』

ラムド
「なんだと!?まさか、敵の移動とは、、、」

キサラギ部隊員
『基地守備隊が動き出しました!!数が、予想より遥かに、、、うおおお!!』



ドォォォン!!!



ラムド
「くっ、嵌められた!!サルビアに連絡!作戦失敗、これは罠だ!!」

キサラギ部隊員
『フーグリオンがこのままじゃ全滅します!!隊長!!』

ラムド
「全機、この場からの離脱を最優先とする!!密集陣形をとり、サルビアが待機している東へ抜けろ!!殿は私がとる、連携を回復させろ!!」







通信士
「誘導部隊より連絡、作戦失敗、、、?救援を求む!!」

イーガル
「なんじゃと!?機関最大!!救援に向かう!!全兵装アクティブ、索敵を密に!必ず伏兵がいる、瞬き一つするな!!」

「「「「了解!!」」」」

イーガル
「ACを出す!!ロイヤルガード、頼んだぞ、、、」

リョータ
『へっ、任されて!!【RG1】リョータ=スメラギ、行くぜ!!』

パラヤ
『ちょっと、リョータ!!もう、、、【RG2】パラヤ=シーケンス、行きます!!』

ヒザシ
『これだもんなぁ、、、っとと、【RG3】ヒザシ=スメラギ、行っちゃいます!!』

通信士
「アヤシ、タツの起動を確認、禍閃紅、妖閃紅、龍閃紅、発進してください。」

ケイト
『【禍閃紅】、ケイト出る、、、』

イーガル
「ケイト君、無茶はするなよ、、、」

ケイト
『わかってる。』

通信士
「レーダーに機影!!3時、8時、12時の方向よりMT!!数20!!」

イーガル
「迎撃!!」

リョータ
『いらねぇ!!』

イーガル
「なんじゃと!?」

リョータ
『オレが3、パラヤは8、ヒザシは12、行くぜぇ!!』

パラヤ
『仕切るな!!』

ヒザシ
『どうでもいいよ、、、』

グナー
「あいつ等、、、独断専行もいいところです。艦長!!」

イーガル
「構わん!!サルビア先行する、速度10%上げ、回頭20!!」

操舵士
「了解!!」

グナー
「艦長!?」

イーガル
「罰は後で与えればいい!!急がねば、人が死ぬぞ!!」

グナー
「 !! し、失礼しました!!」

イーガル
「メデューサ全門装填、広域破壊兵器は使うなよ!!」

砲撃士
「了解!!」






リョータ
「よぅし、サルビアは行ったな。」



バババババババババ、、、ドォォォン!!!
RG1が鉄屑を作り出し、



パラヤ
「こんのバカ!!独断専行はやめなさいって言ったでしょ!!」



ドシュルルルルルルル、、、、チュドォォォン!!!
RG2の大型ミサイルが敵を消し炭にする。



ヒザシ
「どうでもいいけどさぁ、はぐれたらどうすんの?」



コォォォォォォ、、、ドシュ!!  ドゴォォン!!!
RG3のパイルバンカーが流れるような動きで敵MTの中心に穴を穿つ。



リョータ
「ヒザシ!!お前の背中についてるレーダーは木偶か?」

ヒザシ
「、、、飾り、かな?」

パラヤ
「うるさぁぁい!!!とにかくさっさと蹴散らして追うわよ!!こっちは数が足りないんだから!!」

リョータ
「へぇへぇ。」

ヒザシ
「多分今まででパラヤのが一番うるさかったと思うよ。」

パラヤ
「ヒザシィ!!!!」








ミラージュ部隊員
「う、うおおおお!!」



ドゴォォォン!!!



ケイト
「今ので、16。」

キサラギ部隊員
『み、味方か!?助かった、、、』

ケイト
「他は?」

キサラギ部隊員
『直に追いついてくるはずだ。ラムド隊長が殿を務めてくれているが敵にもACがいてそいつがやけに手強い、助けてくれ。』

ケイト
「わかった。サルビアももうすぐ来る。早く。」

キサラギ部隊員
『わ、わかった。少年、死ぬなよ、、、』

ケイト
「死ぬ?まさか。」








ラムド
「ウオォォォォ!!」

ソウゲツ
「勢いばっかあってもさぁ。」



勢いをつけた突進も、いとも容易くかわされハンドガンを撃ちぬかれる。



ラムド
「ぐあっ!くっ、こいつ何者だ!?動きが普通じゃない!!」

ソウゲツ
「はぁ、、、見え透いた罠に引っかかる連中もだけど、この程度のACも倒せないようじゃ、ミラージュも底が知れるなぁ、、、」

ラムド
「クソッ!こいつ、落ちろぉ!!」



アナコンダが満身創痍の体をおしてチェインガンを放つ。しかし、



ソウゲツ
「叫んで何が変わるのさ?バカみたい。」



相手が悪すぎた。



ラムド
「なぜ、なぜ当たらない!?」

ソウゲツ
「バイバイ、おっさん。って、このセリフ言うの二度目だっけ?」

ラムド
「ウァァァァァ!!!」



ドゴォォォォン!!!!



ソウゲツ
「ふぁ〜ぁ、お仕事終わりっと。帰って寝よ、、、」



ビーー ビーー



ソウゲツ
「あん?」

ラゴウ
「アイツ、、、あの時の!!」



忘れもしない。自分に戦いを通じて戦い方を教えてくれた人を自分の目の前で殺した、蒼いAC。



ソウゲツ
「またぁ?未成年を働かせすぎだって、、、訴えるよ?しまいにゃ。」

ケイト
「お前、オマエェェ!!」



ドシュゥゥゥン!!!



ソウゲツ
「どあっ!!っとと、あ〜ウザ!!【アルテミス】に傷でもついたらどうしてくれんだよ!!」



蒼と紅が交錯したそのころ、キサラギ社医療センターにて事件が起きていた。



医者
「全身をくまなく検査してみましたが、やはり外的要因ではありません。精神的に強い負荷がかかった場合に見られる一種の退行現象である可能性が高いです。」

リア
「それは、治るん、、、ですよね?」

医者
「前例が少ない上に結果もまばらで、今のところはなにも、、、」

看護婦
「せ、先生!!」

医者
「なんだね!?静かにしなさい。」

看護婦
「さっき検査を行った患者さんが、、、」

リア
「ラゴウが、ラゴウがどうかしたんですか!?」

看護婦
「い、いないんです!!病院内のどこにも、、、」




後編へ続く





あとがき

今日出したAC【アナコンダ】は後でまとめて紹介します。
ラムド=ホー、、、ちょい役すぎたかな、、、


オリメカ紹介
では宣言通り【フタバ】について紹介しようと思います。

正式名;陸上軽巡洋艦【フタバ】
最大速度;時速700km
全高;30m
全幅;100m
武装 主砲;デリンジャー×1 副砲;30m級長射程砲『ホークアイズ』×2 WS×4

設定
サルビアと違い、SRBIAをそのまま改造して造られた。拡張作業は行われたがそれでもサルビアと比べるとかなり小さく、そのため軽巡洋艦の名がつけられた。副砲である30m級長射程砲『ホークアイズ』は射角は取りにくいが射程は半径十キロ先まで狙撃することが可能である。名前の由来は『鷹の目』。
特務として各地を回ることになったネームレスが受領し、専ら移動に使われている。ACの搭載数は2。
同じSRBIAから造られた兄弟艦、【ヒトバ】がある。(未登場)
作者:ミストさん