サイドストーリー

CODE:10 In the Future.END
「レディィィィ・・・・・・・」
むしむしとした。
本当に暑い工場内で、作業服の袖を捲くり上げた大柄な男2人が手を組んで構えている。
その周りには人垣までできて、ヤジを飛ばしている。
「ゴオッ!!」
「ふんっ!」
「むぅ!!」
腕相撲――
審判と思われるバンダナを頭に巻きつけた男の合図と共に、大男がこれでもかと言うように腕に力を込めている。
「おお!」
「いいカードだぜ!?」
「パウト、負けんなよー! てめえに賭けてるんだからなっ!!」
ヤジのひとつである最後の言葉に、パウトと呼ばれた男がウィンクをする。
「・・・・・・・・・・・・どおりゃあああああ!!」
「うおっ!?」
ダンッ
瞬く間に勝敗がつき、工場内に落胆と歓喜の叫びが木魂する――

ぅぉぉぉぉぉ・・・・
右腕に包帯を巻かれつつ、
「まぁーったく・・・何をバカやってんのかねェ・・・」
離れた場所からの歓声に、左手で頬杖などつきながら吐息をする。
「そのバカで腕怪我したのは、アンタでしょーがっ」
「いッってぇ!! いてえって!!!」
先の工場内よりも幾分かは涼しい医療室。
そこで右腕を叩かれて思わず叫ぶ。
「いてぇ・・・・・・・なにするんだよ!?」
「これぐらいで悲鳴あげちゃって・・・女と間違われてもしょうがないわね?」
「うるせえ!!」
白衣を着た女の言葉に怒鳴ると、少年は作業服を手早く着て室内へと走り出る。
「ちょっと! 無理しちゃダメよ!?」
「わぁってるよ!!」
いちいち叫び返すのが馬鹿らしいと思いつつ、工場へと急いだ。

「よう、クレオ。遅かったな!」
「・・・なんだよ、パウトか」
工場に入った第一声に、顔をしかめながらクレオと呼ばれた少年が返す。
「随分なご挨拶だな。こっちはお前の代わりにトッドに勝ったって言うのによぉ」
「うるせえ・・・・・・・ひっつくな!!」
寄りかかったパウトを払いのけ、そのまま工場内へと歩み出る。
「ちっ・・・どいつもこいつも・・・!」

「トッド、暇してるんならそっちの端持ってくれ」
「あいよ」
クレオの言葉に気安く返すと、トッドと呼ばれるパウトよりも一回り小さな−それでも充分大きいが−男が進み出る。
クレオの抱える鉄棒の束の端を持つと、
「クレオ、一応言っとくが俺にその気は無いからな?」
「・・・潰されたいのか」
睨まれたテッドの方は、自らの股間をおどけた調子で押さえる。
それが余計に癪に障るが、放っておく事にする。目で威嚇するが。
「けどよ、これぐらい1人で運べるようにならねえのか?
 ココに来て2年も経つんだろ?」
「うっせぇな。俺だってだな、筋力ぐらい鍛えようとしてるんだ。
だからわざわざアームレスリング大会なんぞに出てるんだろ?」
「なんぞとまで言うか?」
「ああ、言う」
「・・・」
トッドはやれやれと言うように肩をすくめた。

「よっし! いいか、てめえら!! 今日は給料日だ・・・おもいっきり遊んで来い!!」
うおおおおおおおおおおおおっ
先程の大会とは比にならないレベルでの叫び、いや雄叫びが響く。
大将だの親分だの呼ばれる、初老の男が封筒を配る。
「へへ・・・」
クレオも周りの大人と違わず、嬉しそうな表情でその封筒を開く。
地上では大抵カードに自らの所持する金額を覚えこませ、それで支払いなどを行う。
しかしここ――地下世界・レイヤードではそうはいかない。
管理者が破壊され、完全に電力供給がストップしたそこでは、大抵の者が地上に進出し、復興などは行われていないに等しい。
それもあって、地上での身を寄せる場の無い者たちはレイヤード内部で死んでゆくのが常であった。
しかし、ミラージュが支持を受ける為という理由もあるが、新しく造った地下世界、第2のレイヤードを作り上げたのだ。
これに反対する者などおらず、結果そこに住まう事となったのだが、娯楽はあれども最新機器などは無いに等しい。
そのため、自らの所持金も資源を多く使わないという理由から紙幣が使われ、カードは一切使われていない。
よって、強奪する者などが後を絶たないのだ。
「クレオ、これから飲みにいかないか?」
「なに言ってんだよ。体力つけねーといけない時にそんなモン飲んでられっか」
「そうそう、クレオちゃんは酒飲んだら乱れるからねー・・・」
ずどぉ
「ぅがぐっ・・・!!」
『・・・』
暑い工場内に、やたらと凍てつく沈黙が降りる。
しばしして医師である白衣の女がうんうん唸る男に駆け寄ると、
「・・・安心して、潰れてはいないわ」
励ますように言う。
合掌。

「クレオ、送ってくか?」
「いいよ、近いし」
「いやいや、愛しいクレオちゃんが野党共に襲われると思うと・・・」
「どつくぞコラ」
「はいはい」
両手をあげるパウトを睨むと、そのまま工場の外へと出る。
赤く染まった空は、夕焼けを連想させる――が、太陽の姿など何処にも無い。
「太陽か・・・」
地上進出し、しばらく住んだ地下から離れた彼にとって、あれはいささか眩し過ぎた。
それで、やる事もなくなって戻ってきた訳だが。
なんとは無しに、ちらりとすぐ隣にあるゴミ捨て場を見る。そこには、大きめの古い鏡が捨てられていた。
「・・・」
手にとって、自らの顔をまじまじと見る。
金髪碧眼という、レイヤードでは自分と同じ色はあまり見た事の無い風貌で、自分で思うのも難だが、いくらか端整な顔立ち。
ゴミ置き場から少しは地面の整った場所に置くと、自らの体を眺める。
身長もあまり高いとは言えず、低いくらいだ。どうせなら170までいってほしいと真剣に悩む。
引き締まってはいるが、余り体に凹凸が無く丸い感じで、肩も太腿も全てまとめて華奢なイメージがある。
(・・・認めたくねえんだけどな〜)
声も同年代の知り合いとも違い、声変わりすら起きていない。
「む〜〜〜・・・・・・」
「・・・何やってるの?」
「おわっ!?」
いきなり鏡の中に現れた白衣と、ふいに振ってきた言葉にクレオが思わず声をあげる。
「・・・なんだよ、ミストか。脅かすなよな!」
「あんたが勝手に驚いたんでしょうが。それにミストさんよ、ミストさん」
口元をひきつらせて言うと、白衣の女―ミストが調子を変えたように声を潜める。
「・・・鏡の前でなにやってたの?」
「え? そ、それは・・・」
周りが認めているとは言え、自らのコンプレックスを言うのは恥ずかしいものがある。
「まさか・・・自分に合うワンピースのサイズ合わせ?」
「いっぺんその口引き裂いてやろうか?」
真剣に聞くミストに、こちらも真剣に返すクレオ。
「まあ、そんな冗談はともかく。いいの? 男友達はみんな飲みに行くみたいだけど?」
「俺が男じゃないみたいな台詞だな」
「ま、まあまあ」
ギシギシと鳴る歯の音に、多少後退しつつミストが宥める。
「俺だってな、あいつらみたいに無駄な筋力ありゃーな!
 酒だって飲みに行ったるわい! どーせ俺なんか筋肉なんてつかないただのひ弱なモヤシ男だからな!」
「あー、そんなに自分を責めるモノじゃぁないわ。ね?」
「うるせえ! お前なんかに俺の気持ちがわかるか!?」
「え、あいやわからないけど・・・とりあえず、給料日にこんな話しないでくれる?」
「そーだろ! わからないだろ!? どーせ誰も俺の事なんてわかっちゃくれねーよバカヤロー!!」
「やかまし」
「はぅあっ!」
ストンと首筋に落ちた手刀に、クレオの目が反転した。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここは?」
辺りを見回す。
白い壁紙で覆われた部屋の中央に、邪魔ではないかと思われる程のベッドがある。
そこに寝かされていたらしく、その部屋から見える小窓の外はすっかり暗くなっている。
「・・・」
「あ、起きた?」
声を辿って振り向くと、黒いドアからミストが出てくる。
「く、屈辱だ・・・!」
「・・・は?」
「女如きに気絶させられたあげく、担がれるとは・・・・・」
「如きは訂正しなさいよ」
「そんなに俺の体って軽いのか!?」
「軽いって、いい事じゃない?」
何処からとも無く取り出したコーヒーをすすりながら、ミストが投げやりに言う。
「違うだろーが! 俺はここの工場で2年も働いてるんだぞ!!」
「それで?」
「筋力つくとか以前に軽すぎるだろ!?」
「えー。そうかなー」
「・・・どうやって俺をここまで運んだんだよ?」
「そりゃもう、片手で楽々、みたいな?」
「・・・ううう・・・ひぐっ」
(・・・・・・本気で泣いてるし)
改めてクレオのコンプレックスがどれ程重く圧し掛かっているか、再認識した。

「・・・・・・ただいま」
「あ、お帰り」
返事と共に、かなり疲労の溜まった体を刺激する臭いが鼻腔を満たす。
「アメリア、今日の飯はなんだぁ〜?」
「カレーだよ」
「とっとと入れてくれ・・・腹が減って死にそうだぜ・・・」
「うん、わかった」
アメリアと呼ばれた少女が返す。
はめ込まれたようなエメラルドグリーンの瞳に、それとは対を成すような漆黒の髪。
彼女が混血であるという事は一目でわかった。

レイヤードには、当たり前であるが、それぞれの移住区が無料で建てられている。
もちろん、セキュリティ保証などは無く、ただの寝泊りする場として提供しているだけである。
食料・飲料水は自分達で用意し、室内のモノも全て自分たちで用意するのだ。
職についている者にとってはありがたいが、自立能力の無い者には少々酷だ。
今度はクレストが、再就職の場を受け持つと公言し、中小企業からの支援を受けた。
もちろん手伝いはしたが、給料は雀の涙ほどで、大抵の者はこのレイヤードの未開拓地区建設を行っている。

「ところで、クレオさん」
「ん? なんだアメリア」
思った以上のカレーの温度に、悪戦苦闘している真っ只中でアメリアが口を開く。
「レイヴン試験を受けたって・・・・・・本当ですか?」
「ああ、その話か・・・」
ばつが悪そうに口ごもりながら、さじを咥える。
「どうして受けたんですか・・・兄さんからの仕送りもあるし、クレオさんだってこんなに頑張っているのに・・・。
 別にお金には困ってないじゃないですか?」
一瞬、考えに耽る。
そういえば、自分の事をチャカさずにパートナーとして共に戦ったのは、あの男だけだった。
性格のせいかもしれないが。
「ま、まあ・・・そうなんだけどな」
アメリアの言わんとする事をそれとなく悟り、間をもたせる為に再びカレーを口へと運ぶ。
「じゃあ、どうしてレイヴンになったんですか・・・?
 答えてください」
「・・・・・・・」
アメリアの真剣な眼差しを真っ向に受けるが、クレオは沈黙する。
「・・・答えてください」
「なあ、相変わらず攻める時だけ他人行儀になるのってさ、止めてくれねえかな?」
「関係無いです」
静かだが強い口調に、クレオもたじろぐ。
「い、いやだってさ!」
「・・・だって、なんですか?」
「う・・・」
言葉に詰まって、クレオがうなだれる。
「クレオさん・・・」
アメリアは溜息をつくと、
「今からでも遅くないです。グローバルコーテックスに登録を解除するように言ってください」
「け、けど・・・! 俺だってレイヴンになるのが、子供の頃からの夢だったんだぜ!
 おいそれとやめられるモンじゃないって!」
慌てて弁解するクレオに、アメリアの冷たい視線が突き刺さる。
「じゃあ、クレオさんは・・・夢の為に人を殺すんですか?」
「・・・!」
「・・・」
さすがにこう言われてしまっては、返す言葉など見つからない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかったよ!
 明日、グローバルにメール送って登録解除してもらうからよ!!」
「・・・ごめんなさい」
謝るぐらいなら最初から言うなよ・・・。
そんな事を考えつつ、カレーを食べる事に専念した。

「・・・人殺しか・・・」
硬い、石畳のベッドに身を転がして、クレオは仰向けになりながら自分の右掌を見る。
実際、彼は人を殺した事など、何度も経験している。
身を護る為にそれが必要な事もあったし、依頼遂行の為に、更には単に、殺意だけで動いた事もあった。
今は、それに疑問を感じて戦いの場から身を退けたのだが・・・。
(・・・なに考えて、お前はまだ戦場に居るんだよ・・・)
自らの親友の顔を思い浮かべると、疑問が溢れる。
クレオと共に戦った旧友達の中で、一番辛い思いをし、傷ついていったのは彼だったように思う。
「・・・」
手を下ろすと、クレオはそのまま寝る事を意識した。

――ギシッ
唐突に起きた軋むような音に、クレオが目を覚ます。
(・・・・・・)
まだ覚醒しきっていない頭を回転させる。
アメリアが起しに来たのか。
もう朝になったのだろうか? いくらなんでも早過ぎるし、外もまだ暗い。
だとすれば、なにか言い忘れた事でも――
と。
考えを中断させる。
ゆっくりと、その侵入者は足音を忍ばせて、こちらの眠るベッドへと近づいてくる。
――冷たい。
そんなイメージが彼の脳裏に閃く。
刹那。
ドスッ
身を翻したクレオの背中をかすめて、ナイフがベッドでと突き刺さる。
一瞬でも遅れていれば、致命傷であろう勢いだ。
ナイフの柄には、しっかりとした大人の手がはりついており、その先には厳つい体がある。
「!?」
「なろォ!!」
はっきりと驚愕の表情を浮かべる男の顔面に、拳を叩き込む。
「ぐっ・・・!」
「しゅっ!」
息を鋭く吐いて左の回し蹴りを――
しかし、逆にこちらの足が男の左腕に絡め取られる。
「なっ!?」
「ふん・・・」
男が鼻で笑うと、右手の親指を下へと向けて振りかぶる。
ぶぢぃ
「ッ!! がぁぁぁあああ・・・ぐぅうう・・・・・・・・・!!!」
男の親指にアキレス腱を切断され、クレオが呻く。
「口ほどにも無い・・・」
「ぐぅ・・・・そ、れは・・・どーかな!?」
「!」
がきっ
床に置いた右手を軸にして回ると、そのまま右足を男の顎に決める。左足の痛みが激しくなったが。
「ちぃ!」
「っ!」
足に注意を引かれて反応しきれず、男の上段蹴りをまともに受けて地面に叩き伏せられる。
「くっ・・・なんという奴だ!」
「こ、っちの・・・台詞だぜ・・・!」
しかし、さすがに立つ事もできず、クレオが床に蹲る。
顔だけあげて、男の顔を記憶しようと試みるが、涙で滲んだ目ではそれも叶わない。
「くそっ・・・!」
「無駄な足掻きはよせ。女を殺すぞ」
男の言葉に、怒気で赤くなっていたクレオの顔色も変わる。
「なんだってんだよ・・・・ッ!」
「なんだって構わんさ・・・着いてきてもらうぞ。
 貴様には、眠っていてもらうがな?」
男が足を振り上げ――
クレオの意識が途絶えた。


――アメリア
「・・・!」
自分の名を呼ばれ、はっとして、飛び起きる。
「ここは・・・?」
白い光に包まれて、イマイチはっきりしない場所。
――こちらにおいで
その言葉にアメリアは立ち上がり、光に慣れ始めると辺りを眺める。
そして・・・目の前に佇む人物を確認する。
「・・・・母・・・さん・・・?
母さん、生きて――!?」
――うん! 今行く
母親と完全に認識すると同時に、自分のすぐ脇から出てきた少女――自分が女の方へと向かう。
――また服を汚したの? 仕様が無い子・・・
――違うよ、これは兄さんが汚したんだよ
日常的な会話。
ごくごく平凡な会話が自分の目の前で繰り広げられている。
その者達が過去の映像であると言う事以外は、であるが。
しかし。
――今日はね、お砂でこーんなに大きなお城つくったんだよ
――あらあら、頑張るわね
――うん。兄さんが手伝ったからつくれたよ
目の前で過ぎるこの日常的な会話が、今の自分には懐かしく、眩しい。
「・・・」
ただ、黙ってその光景を眺める。
触れてはいけないもの――何故だか、そう感じずにはいられなかったからだ。
――ただいま
ふいに、背後から懐かしい声がする。
誰であろうか・・・誰だったか?
――おかえりなさい、櫂
その言葉に、アメリアは体を硬直させる。
――あ、兄さんお帰りー
幼き自分の声。
「――兄さん!?」
声を上げて振り返った直後。
世界は黒へと染まった。


「――とどのつまり、ようはキサラギの専属レイヴンになれ・・・ってか?」
「まあ、平たく言えばそうなりますね」
「・・・あのな〜〜〜〜〜〜」
暗い一室に、クレオの陰険な声と、それとは別の明朗な声が響く。
「お前んとこの誰かは知らないが、そいつに殺されそうだったんだぞ、俺は!!
 そいつと揉め合ったせいで左足もこの様だ!」
「ッハハ、あれは色々と手違いがありましてね・・・。
まず先程の非礼はお詫びします」
「笑い事で済むかよ!? それにな、素直に悪かったっていう気持ちがあるんならなァ」
クレオの目つきがますます険悪になる。
「この縄解きやがれ! ついでに医者も呼べ! 足治させる!!」
「相変わらずですね、彼方は。
 もう少しそのままで、落ち着きというモノを学んでは如何ですか?」
「ざけんな」
更に険悪な目で返すと、ふと表情を戻してクレオが聞く。
「・・・アメリアは?」
「もちろん、無事です。元より危害をかける気は有りませんからね。
 しかし・・・・・・驚きですよ、彼女が生きていたというのは」
「俺だってそうだけどな・・・・・・」
目を伏せ、吐息をしながら呟き――
「だから、解けって言ってんだろ!?」
「いえいえ、もう少し落ち着きを得る為に――」
「同じ事言ってんじゃねえや!」
クレオが犬歯をむき出しにして叫ぶ。その相手はただただ微笑みながらクレオをあしらっている。
ルーシア・エクティスト――それが彼女の名である。


「ここが、か・・・」
暗い通路の中、ロデオアディクションは暗視モニターを見ながら呟く。
「オペレーター、こちらアンルーリー、ロデオアディクション。目標地点へ到達。
 次はどうすればいい?」
『目標物サンプルの地点は・・・ここの突き当たりの場所を左へと曲がった所です』
「了解」
返事を返すと、アンルーリーを進める。
今は速度を落としているからとはいえ、見る見るうちに視界外へと消えて行く通路の壁に、彼は満足気な笑みを浮かべる。
(やはり、フロート型はいい・・・タンクや重量に乗っている奴など、何を考えているのかわかりはしない。
 当たらなければ、全くの無意味なのだから・・・)
と――
「・・・!」
通路奥に佇む、漆黒の機体に目が止まる。
AC――しかも超重量の。
「・・・敵か!?」
『・・・・ロデオアディクション、大丈夫です。モニターで捉える事はできましたが、目標物に反応はありません。
 見た所、ECMの類も装備されていませんし・・・引き続き作業を行ってください』
「・・・了解」
不安を拭えないながらも、ロデオアディクションは返す。
じょじょにはっきりとし始めた機体に、ロデオアディクションは眉を潜める。
その機体は月光、パイルバンカーまで装備しておきながら、それでは飽き足らないとでも言う様にバズーカを構えている。
しかも両手に。
素人目にもわかる。明かに重量過多だ。
「やれやれ・・・誰がこんなゴミ屑を置いたのやら・・・」
呟くと、漆黒の機体の脇を潜らせようとして――
ドガンッ
「!!」
一瞬だけ意識が飛ぶ。
「くっ! なんだ!?」
『も、目標に反応は無いまでも、起動していますッ!!』
「な・・・に・・・!?」
驚愕に目を見開くロデオアディクションに、漆黒の機体が通信回線を開く。
『・・・ダレガ、ごみクズダッテ・・・?』
寒気を感じた。


Again?




後書

あ〜今日も良い天気(曇り空は涼しくて良い天気なのさ!)だこと。ずずっ(渋茶を啜る。
おやま、皆様こんにちは。(もしくはこんばんは
今回の作品・・・というか続きというか; ビミョウな終わり方だねぃ。
これには初回ながらも数多くの人が名乗りを上げましたねぇ・・・。(渋茶を啜る。
とりあえず、筆者自身が忘れないように、一口メモを入れながら書き留めて置きましょう。

クレオ・マキシマ
いくらなんでも、忘れる事は無いわァな。
アメリア・カツラギ
前記と同文。
パウト
マッチョマッシヴな感じ?
トッド
マッチョマッシヴな感じもするが、実は・・・
ミスト
工場担当医務所属。実は・・・
ルーシア・エクティスト
元リターナー。今はキサラギで出世中。

と、まあこんな感じ・・・・
詳しい説明はまた後ほど。
おやまあ、中らへんの3人が同じ字数でト・ドで終わってらっしゃる;
ま、どーでも良い事は置いときましょう。
・・・念のため、記しておきますが。
筆者の小説に度々登場する説明文・・・はっきり言って、筆者の頭の中だけでの事です。
平たく言うと、『嘘か真か判らないのだから適当至極に書くのも一興也』ってぇ感じ? ですね;
あまり本気にせず、こんな感じかぁ
ぐらいに思ってくれィ!
・・・ってか工業高校に入るからってメカニック詳し過ぎなんだよ、この世界!!
ついてけないぜィ!!(爆
えー、ごほん、ゴホゴホ・・・ぐはッッ・・・・・・・と、吐血・・・
余りにも侘しい、懐かしいネタは置いといて。
さようなりー・・・・・・


終。
作者:安威沢さん