サイドストーリー

Knockin' on heaven's door 〜 side A [No reply] 〜
Prologue



「だから、私はレイヴンになったの」

「何ものにも縛られない…?」

俺は訊いた

「Yes!」

彼女はそう言って―






風が聞こえ

靡いた草と一緒に、頬を撫でてゆく。

ここは地上。

彼女との約束の地。

判ってる、彼女はいない。

この青空の下で、緑の大地で、

息をしているのはこの俺だけだ。



次の風が吹く頃に、既に彼女は消えていた。















            Knockin' on heaven's door





          〜ARMORED CORE3 Artificial Sky〜





                        〜 side A [No reply] 〜




―Farewell to Artificial Sky






  風が吹いて思い出す


                空の上 雲と風の海を過ぎた先


     空の向こうに 本当の空がある


           空は青くて 夜はライトじゃない


                 綺麗な月と星の光が空に輝く


      幼い頃に  母から聴いた


            子守唄


     今日も私は 空を見上げ 手を伸ばし


                   空飛ぶカラスを手に掴む


        だけどカラスはすり抜けて


  遠い雲へと消えていく


      さよなら―


                       心の中で 小さく啼いた


                 そして空の扉が開いて


             空は 虚勢の群れで溢れ


  ミルクの雲を  血と灰で染め上げて


     鋼鉄を蒔いて     炎を咲かせ


               弾ける指は 詩を連ね


   陰で 紅い宣戦布告を告げて


    風を引き裂いて


                    私の手を腕ごと千切る


           その時(彼の)眼下に落ちた腕


    鋼鉄の雨が降る戦場で


                青く光る鑞付の傷痕


                      寄り添うように 私は隠れて


     もっと速く

                もっと

   もっと強く


                        迷わないで


                   震えた心は



          誰も助けてはくれないから


   大きな声で


              自分で自分の



                       心を蹴っ飛ばすの


   前を見据えて



             私は飛びだす












 たとえ

     この身が切り裂かれ

                        地に落とされて

     灼ける痛みで泣叫ぼうと


 指先に力を込められる限り

               私は銃爪を引き続け


                  自分の信じる暮らしために

      この深い地の奥底で


  精一杯に生きる      守るべき命


 大切な人を守るため

                    私は戦いたい






 たとえ

     この身が打ち砕かれ

                         地に落とされて

     血反吐に沈みかけようと


 脚に力が込められる限り

               私は地を踏み立ち続け



          四角い心臓 四角い魂が

          私をこの世に留める限り



                         体が
                            心が
                         命が



           尽き果てるまで


                        その最期の時まで



        私は戦いたい











 もしも



   いつか 夢見た




                 空の向こう



        そのまた先の


                   遥か彼方の本当の空



           無垢なる空



  人が失くした


          自由


                    懐かしい


                       未来に




         彼と二人で





                       辿り着けたなら・・・
































『よぉ、そっちも片した様だな。
 こっちのミラージュの奴も、今片付いたぜ。
 なかなか、すばしっこい野郎だったが―』


 ・・・


『おい、ルシー?』


 ・・・・・・

 
『どうした、何か――…』















No reply・・・・・・・・・










         ― To be continue of [side B] ―





作者:E&Iさん