サイドストーリー

序章 〜あれから200年〜
見渡す限りの星の海原

そんな宇宙の片隅を小さな船団が慣性航法で進んでいる
いや、それは決して小さいのでは無く、宇宙と言う周りの世界が余りにも広すぎるのだ

4つの宇宙塵で荒れた船体が徐々に近ずいてくる
やがてそれは単なる宇宙船では無く、巨大なコロニー船団である事が判明する
船の全長は一番小さいものでも3KMを軽く超える ドーム状の環境制御プラントを船尾に結合させた異様な外観・・

よく見るとそれぞれの船側には擦れかけたエンブレムが確認できる その綻び具合が彼らの旅の長さを物語っていた

先頭の赤いエンブレムは・・・「クレスト」、
続いて「ミラージュ」、
少し小型艦は「キサラギ」・・最後の大型艦は「ヴァーダイト」。


そう、あれからもう200年の歳月が流れたのだ
彼らが自らの母星を見捨てざるを得ない事態となったあの事件から・・・

無人兵器の無限発動から始まった二度目の大破壊の末に、生態環境は今度こそ完全に破壊され尽くした
僅かに生き延びた人々は死の星と化した地表を離れ、軌道上の宇宙ステーションへと逃げ込んだ。
彼らは永久に不毛の地と化した母星を捨て、新たなる安住の地を求め旅立つ決断を下す。
箱舟と化した宇宙ステーションはプラントの整備や鉱物資源惑星との邂逅を経て、やがて巨大なコロニーへと進化する
やがて嘗ての有力企業達も、それぞれの技術力を生かして自前のコロニーを建造し、「コロニーキャラバン」と呼ばれる一大船団へと進化した。
彼ら有力企業は、大元の巨大コロニーを「ヴァーダイト」と名付け、中立機構を設置し、互いの協力を誓い合った
いや、そうせざるを得なかったのだ 互いが生き残る為に。
それから200年・・・


しかし、当ての無い放浪の旅路の中で、彼らは再び過ちの日々を忘れて行く。
無限の宇宙空間と限られた生活環境、希望の見えない日々、慢性的な物資の不足とそれを巡る企業間の不毛な争いの再燃化・・・・
やがて各コロニーの人口増加と相まって、コロニーキャラバンは一触即発の極限状態にあった。

それから数ヶ月後。

最初にその星を確認したのはミラージュであった
今までの惑星探査モードにも捕捉出来なかったその星は、青く美しい姿の周囲を奇妙な磁気ベルト帯が覆っていた
まるで外敵からその星を守るかの如く。

ヴァーダイトや他企業の警告を無視して、ミラージュは独断で無人探査MTを送り込んだ。数日後の途切れ途切れの返信データー解析により、
その惑星が嘗ての母星の環境に極めて類似している事が判明した。
各企業は協議の上、その惑星への移住を決定。程無く各企業は調査の名目で先遣部隊を続々と降下させた。それは調査の枠を超え、
新たな領土確保紛争の勃発であった。

そんな中で、表向き娯楽としてのアリーナ運営を行い、裏で各企業の依頼を隠密裏に行うことで生き延びてきた「グローバル・コーテックス」も
新たな地でその活動を本格的に開始する事となった。
・・・長い冬眠から目覚めた獣の様に。

しかし地上に降りた各企業部隊は、この星が科学文明の処女地では無かった事に気が付いた。
明らか文明の痕跡、襲い来る正体不明の武装兵器、次々と壊滅する企業部隊・・
判明した古代文字に記された、「エムロード」・「ジオマトリクス」の二つの文字。

やがて彼らは、ここが嘗て「地球」と呼ばれていた事実を発見する・・・・



                                         序章・完
作者:キングスフィールドさん