希望への扉
管理者は最後に「地上」のロックを解除した。
そして地上には、とても綺麗な「緑」が戻っていた。
「…お前なら、すべてを理解してくれるだろう…。
授けよう、この美しい、失われた緑を。
託そう、この地上を。
認めよう、お前を。」
…管理者が今までしてきた事は、全て試験だったのではないか?
緑溢れる世界…それは人類が夢見つづけてきた「楽園」。
しかし人類は、自らの手によって「楽園」を壊滅させてきた。
おそらく、もう一度人類に「楽園」を授けても、同じ過ちを繰り返すだけだ。
人類とは、吐き気のするほど愚かな存在だから。
管理者は選んだ、緑を守る存在を。
そして試した、すべてを守る存在になる者を。
…皮肉にも、自分が死した後にそれは決定した。
しかし、管理者は後悔などしていないだろう。
自分が死すること…これは予測していた事なのかもしれない。
いや、それとも最終試験だったのだろうか?
自分が死したとき、全てが決定したのだろうか?
どちらにせよ、管理者の願いは叶った、現実となった。
管理者は自分が死んだことを、悔いてはいない。
むしろ安心できたのではないか?
私が死した後、それはこんな悲しい世の中ではない。
レイヤードには輝かしい未来が、光が広がっている事だろう。
「…ありがとう。」 |
作者:アーヴァニックさん
|