サイドストーリー

グレミテの脅威 前編

カーリッジステージは敵の追撃を無事振り切り、アースセイバー最前線基地「グレミテ」へと向かった。

「ユネ…なんで君がここにいるんだい…?」

「……」

「黙ってちゃ分からないよ!!」

「…私の父さんがセイバーの隊員なの、だから…私も隊員になるって決められてて……」

「……」

「いやだったんだけど…父さんが無理やり……」

「そうだったんだ……ゴメン…」

「ううんジャスティは悪くないよ…」

その頃ブリッジでは

「こちらカーリッジステージ艦長オーツ・アバ。スラジェイン長官。入港を許可して頂きたい。」

「了解。入港を許可する。」

ゴワンゴワンゴワンゴワン

無事グレミテへ着艦したカーリッジステージ。だがその周りを無数の武装した兵士たちが包囲していた。

「スラジェイン長官!!これはどういう事です?!!!」

「確かに私は入港を許可した。しかしながらまだ君達を味方とは認識していないのだよ。」

プシュー

ドアが開きジャスティたちがブリッジへと駆け込んだ。

「艦長!どうなっているんですかこれは!ここは味方の基地じゃなかったんですか?!」

「……スラジェイン長官。我々をどうするおつもりで?」

「それは君たち次第だ。」

その後僕たちは兵士に部屋へと誘導された。艦長と副艦長の「ハイン・ライルード」は長官と共に別の所へと移動させられていた。

「さてオーツ艦長。あの船にはACが積んであるな。」

「はい」

「しかしながら艦1機にあれはもったいない。と私は思うのだがね。」

「あれは我が艦にとってはほぼ40パーセントを占める戦力です!あれがあったからこそ黒い凶星の追撃も回避できたのです!」

「…そうかね、もう少し考えてからでも遅くはない。」

そう言うと長官は指をぱちんと鳴らし、艦長と副艦長は連れて行かれた。
一方僕たちのいる部屋では、副長官による尋問が行われていた。

「あのACに乗っているのは君か?」

さっきからこの質問ばかりしている。だが誰も答えない。

「あくまで口を閉ざすつもりか、ではそこのお前!!」

ユネが呼ばれた。

「な…何でしょう」

「ACのパイロットに特に屈強な身体は必要ない。よって貴様でも十分その可能性があるのだ。
 データを見てもかなり優秀な頭脳を持っているようだしな。オイ!!この小娘を格納庫へ連れて行け!!」

数人の兵士によってユネは今まさに連れ出されようとしている。とその時。

「待ってください!!!」

ジャスティがいきなり立ち上がった。

「あのACのパイロットは僕です!!」

しかし副長官はフンとばかり言った。

「仲間をかばう為の嘘か…だがそんなもの私には通じない。残念だな。」

「嘘じゃありません!!」

「うるさい奴だ。無駄だと言っているだろうが!」

「本当です!!信じてください!!」

「ええーい!!!黙らんか小僧!!!」

副長官は鋭いストレートを打ってきた。しかしジャスティはそれをサッと避け。その腕をつかむと思いきり床へ叩き落した。

「死ぬかもしれなかった凶星との戦いの後で、やっと安心できると思ったらこの扱い!!しかも同じセイバーなのに!!
 何故地球のために戦った僕たちを仲間と認識しないんです!!」

バキッ!!!

起き上がった副長官がジャスティを殴った。

「最前線基地で戦う我々には高い戦力が必要なのだ!!たかが戦艦1隻にはあまりにもったいないのだ!!!」

「くぅ…だからって僕たちはどうなってもいいって言うんですか!!」

「黙れ小僧!!!」

そう言って銃をジャスティの額に向けた。

「そうやって自分さえよければいいってね。」

ガンッ!!!

銃口からは煙が上がっている。弾はジャスティの頬をかすめた。

「こいつを捕らえろ!!独房へぶちこめ!!!」

ジャスティは兵士たちに連れて行かれてしまった。
作者:エマイルさん