サイドストーリー

サイレントライン:空中要塞突入
「来たぞ・・・」

「ああ、まるで大空襲みたいだぜ。」

「そうだな。」

「取り敢えず、突入は後続に任せて
 俺達は補給を済ませようぜ。」

「補給機が来たぞ。」

一面が攻撃で破壊された空中要塞に
数多くの輸送機が着陸し、大勢の
MTやACが現れる。

「いつ見ても凄い数だな。」

「よく重さで落ちないよな。」

「反重力推進を使ってるから問題は無い。」

「逆にそこが逝かれたらヤバイと言うことだな。」

「そう言う事態は避けたいね。」

「シャウシュッツ、コア、よくやったじゃないか!!」

「フライレか、結構大変だったけどな。」

「今度は俺達が出番だな。」

「斬鬼か、ああ頼むぜ。」

「おーい、ハンクぼやぼやしないでさっさと
 補給を済ませろよ。」

「分かったよ、コア。」

「じゃ、突入するぜ。」

「ああ、気を付けろよ・・・」

大勢の部隊が要塞に点在する多くの入口に
入っていった。
後続のメンバーは
斬鬼、フライレ、メグリム、ラスカーを筆頭に
MT部隊や大勢のレイブン達で構成されている。

「シャウシュッツ、敵はどう動くと思う?」

「おそらくは相手も一騎当千の戦力をぶつけてくるだろうな。」

「じゃあ、コッチもさっさと行った方がいいな?」

「いや、そうすれば乱戦は必死となる。
 ここは時間差で1時間後に出撃だな。」

「分かったよ、シャウシュッツ。」

「取り敢えずは小休止だな。」

「ああ、先の戦闘でパイロットも
 かなり消耗したからな。」

「そうそう、焦りは禁物だからな。」

「そうだな、ハンク。」

一方、D機関側では進行を許したのにも関わらず
まるで何事もなかったように平静な状態
を保ち続けていた・・・

「ディードリット・・・
 状況はどうかね?」

「ハッ、反抗分子の部隊が要塞に突入、
 なおも進行中です。」

「そうか、報告ご苦労であった。
 下がってよいぞ。」

「恐れ入ります、閣下・・・」

「シャウシュッツが戻ってきたか・・・ 
 さて、どんな芸を覚えて戻ってきたの
 かのう。楽しみで仕方ないわ。」

「閣下、準備完了しました!!」

「そうか、ご苦労だ。
 あとはそれに任せるとして
 こちらはもう一仕事だな。」

「了解しました、閣下。」

「・・直ちにナインボール部隊の
 配備を急がせろ、ここらで
 素晴らしいショーの見物と
 行こうではないか諸君?」

「はっ!!シュマイザー閣下!!」

「・・・閣下、自分に提案があるのですが?」

「何かね、カーライル少佐?」

「ハッ、この自分にナインボール部隊の
 指揮を任せていただきたいのです。」

「なるほど、それは彼との決着を付ける為かね?」

「その通りであります、閣下。」

「・・・良いだろう、ではこれより
 ナインボール部隊をひきいて敵戦力
 の掃討に当たれ。」

「ありがとうございます、閣下。」

MT部隊は、既に基地の半分まで進行しており
各隊員から緊張の色が消えつつあった・・・

「なぁ、ここまで何も居なかったよな?」

「ああ、おおかた逃げ出したんじゃないのか?」

「何しろこの数だからな。」

「ああ、俺達の班だけで30体は超えてるからな。」

「にしても、広いもんだよな。」

「ああ、全長40Km級だというらしいからな。」

「いくら何でもでかすぎだろ。」

「確かにな。」

「空中都市だよな。」

「全くその通りだな。」

「おい、エレベータがあるぞ。」

「ああ、これでまた奥に行くんだろうな。」

ウイイィィン・・・

「・・・何か上がってくるぞ?」

「・・・戦闘プログラム起動確認」

「やっとこさ、敵さんのお出ましか?」

「・・・ターゲット補足」

「5秒でミンチだな。」

「・・・戦力差1:35」

「ああ、違げぇねぇ」

「・・・戦闘勝利率・・99.99・・・%」

「各員、気を引き締めろよ。」

「武装選択・・・パルスライフルセット・・・」

チーン・・・ガシャアァァン・・

エレベータが開き、一体の赤いACが現れる

「来たぞ!!」

「でやあぁぁぁ!!」

「攻撃目標補足・・・攻撃開始・・・」

バシュシュシュシュン・・・・

「・・・メグ、状況はどうだ?」

「まだ機影はないよ、フライレ。」

「コッチも同じだ、メグ。」

「斬鬼もかぁ・・」

フライレ達も何事もなく進行に成功
しており、その無抵抗なD機関に対して
不気味さが広がっていた・・・

「一体、どうなってるんだろうな?」

「分からないな、ラスカー・・・」

「でも、もう少し抵抗があってもいいと
 思うんだけどな。」

「そうだな、メグ。」

「そう言えば、MT部隊の方はどうなってるんだ?」

「ああ、ちょっと中継してみよう。」

「コッチと同じかな?」

「さぁな。」

「・・・つながったぞ。」

ドゴオォォン!!

・・・ぎゃあぁぁぁ!!

ガシュン・・ズガアァン!!

・・ば、化け物!!・・うわぁぁぁ!!

バシュシュシュシュン!!

・・・助けて・・母さん・・・

バガガガガガッ!!

赤い機体・・9の文字?・・・・ぐわっ!!

ズガァァン!!

・・・死にたくない!!

「・・・なんだよ、これ?」

「わからない、だがとんでもないヤツが
 いるらしいな。」

「さすがに本拠地だからな。」

「赤い・・機体・・9の文字?」

「・・ひょっとして、ナインボール?」

「メグ・・・まさかな・・・」

「だとしたら勝てるのかよ!!」

「だが、やるしかないだろう。斬鬼?」

皆が、ACが2〜3体程度が平行になって動ける
通路には行ったとき、事態は急変する・・・

「・・・おい、奥にエレベータがあるぞ。」

通路の奥にあるエレベータは既に何者かが
使っているらしく、不気味な駆動音が
通路全体に響いていた

「・・・レーダーの感度を上げてくれ。」

「了解・・・反応があるわ、一機よ!!」

「了解だ、メグ!!」

「・・・来るぞ!!」

ガシュウゥゥン・・・

エレベータが開くとそこには
赤いと黒のデュアルトーンに
9の文字が書かれたエンブレムを持つ
ACが立ちすくんでいた・・・・

「・・・目標確認・・AC4機。」

「やはりナインボールか!!」

「・・・排除開始・・・」

「あっちはやる気満々だぜ!!」

「ここでやられるわけには!!」

「来た!!」

ドゴォォォン!!

敵の放ったグレネード弾によって
奥の壁がひしゃげ変形する!!

「狭い部屋でグレネードかよ!!」

「無茶苦茶なヤツだ!!」

「みんな、反撃だ!!」

バシュン!!バシュン!!バシュン!!

「了解だ、斬鬼!!」

バゴォォン!!

「コッチだって!!」

バガガガガ!!・・・ガシュン!!

「これでエンドだ!!」

バシュゥゥン!!

ラスカーが敵機にカラサワをたたき込んで
凄まじい爆発が起きたとき勝利を確信するが・・

「やったか!!」

「直撃だ、これで無事なはず・・・」

「まだ動いてやがるぞ!!」

「それに無傷だ!!」

「ターゲット・・・ロック・・」

「!!・・・メグ、逃げろぉ!!」

バシュシュシュシュン!!・・ボン、ボン、バガァン!!

接近戦を試み、皆より先行していたメグの機体に
攻撃を集中させた

「きゃああぁぁ!!」

パルスライフルの直撃を受け、激しく損傷し
吹き飛ぶAC!!

「ちっ!!よくも!!」

バゴォォン!!

「・・・回避成功・・反撃開始・・」

フライレの放ったバズーカも虚しく
回避され、奥のエレベータのドアを
破壊したにすぎなかった・・・

ドゴォォォン!!

さらに反撃にグレネードをフライレに
直撃させる

「うわぁぁぁ!!」

「メグ!!フライレェー!!」

「ちきしょう!!墜ちろ!!」

バシュン!!・・バシュン!!

「・・・エネルギー弾、緊急接近!!」

バゴォ、ドゴォン!!

ラスカーの放ったカラサワが直撃し、
ナインボールが硬直する

「よし、もらった!!」

バシュン!!バシュン!!バシュン!!

続けさまに斬鬼が速射型ライフルを
連射する

「・・・回避行動不可・・」

ドンドンドン!!

「うぉぉぉぉ!!」

バゴォォン!!

「フライレ!!無事だったか!!」

「零距離!!取った!!」

バシュゥゥゥン!!

二人の攻撃に転じてフライレやメグが
攻撃を再開する

「メグも無事か!!」

「よし!!このまま連続攻撃だ!!」

ドゴオォォン!!
バシュン!!バシュン!!バシュン!!
バシュゥゥン!!
ダダダダダダッ!!・・・ガシュン!!

更に攻撃を加え、徐々にナインボールに
ダメージが現れ始める・・・

「機体損傷状況・・・30%破損・・」

「わあぁぁぁぁ!!」

ザシュウゥゥゥン!!

「よし!!決まった!!」

「このまま墜ちろぉー!!」

バシュゥゥン!!・・・ドゴォォン!!

一連の凄まじい攻撃で辺りは硝煙で
曇り、通路も殆ど原形をとどめないくらいに
破壊されていた・・・

「やったか・・・?」

「攻撃開始・・・」

しかし、ナインボールはまだキドウしていた!!

「やば!!」

ドゴォォォン!!

「うわぁぁぁ!!」

「斬鬼ぃーー!!」

「攻撃開始・・・」

バシュシュシュシュン!!

「ぐっ!!このままじゃ!!」

「フライレ!!大丈夫!!」

「メグ!!正面!!」

ガシュン・・・ズシャアァァァン!!

「機体が!!保たない!!」

「・・・全滅か?」

「強すぎる・・・」

あまりの強さに皆が絶望し、
死を覚悟したときだった

「・・・俺が囮になるからその隙に離脱してくれ!!」

「馬鹿を言うな!!フライレ!!」

「コイツの装甲なら10数秒は保つはずだ。
 だからその隙に・・・」

「馬鹿言ってんじゃねぇよ、死ぬときはみんな
 一緒だからな!!」

「斬鬼・・・」

「そうだな、斬鬼の言うとおりだ。」

「ラスカーまで!!」

「それにここで逃げ帰っても後味 
 悪いしね。」

「メグ・・・」

「そうと決りゃあ、早速反撃だ!!」

「方法はどうする?」

「フライレ、そいつの装甲なら10数秒
 保つとか言ってたよな?」

「ああ、このタ・ネルテならな。」

「と言うことは、どうするんだラスカー?」

「フライレを盾にして突撃、そしてメグが
 オーバーリミットで片を付ける!!」

「それしかないな・・・」

「危険な賭だがな。」

「でもやるしかないわ!!」

「なら、そろそろ仕掛けるか!!」

「ああ、一発大逆転の大博打をな!!」

「目標・・攻撃意志確認・・・再攻撃を開始・・」

「行くぜぇ!!」

ヒュゴォォォ!!

バシュシュシュ・・・

いままで連射していたパルスライフルに
異変が現れる!!

「弾切れみたいだな!!」

「油断するな、まだグレネードがある!!」

「2発なら保つはずだ!!」

「頼むぜ・・」

「ターゲット・・ロックオン・・・」

グレネードを構え、正面にいる
フライレの機体に照準を固定する!!

ドゴォォォン!!・・ボガアァァン!!

「!!・・一発目!!」

あまりの衝撃に辺りのがれきが吹き飛ぶ

「あと一発!!」

「ムーンライト・・・」

「最発射開始・・・ターゲットロックオン・・」

ドゴォォォォン!!・・ズガアァァァン!!

二発目のグレネード弾が1発目と同じ
場所に被弾し、タ・ネルテに
大きな衝撃がかかる!!

「二発目・・・堪えろぉぉ!!」

・・・・

「よし!!耐えたぞ!!・・装甲解除!!」

ガシャァン・・ダン、ダン

機体を覆っていた厚い装甲を解除し、
中から細身の機体があらわになる

「よし!!一斉攻撃でメグの援護だ!!」

「了解!!」

バシュン!!バシュン!!バシュン!!
バガァァァン!!
バシュン!!・・バシュン!!

その凄まじいまでの攻撃は
辺りを破壊し尽くし、
すでに「通路」としての機能を
完全に失っていた・・・

「機体損傷・・50%突破・・」

「オーバーリミットォ!!」

キュワァァァン・・・バシュゥゥゥン!!

「やったか!!」

「じゃなきゃあ、終わりだ。」

「頼む!!墜ちてくれ!!」

「・・・堪えやがった!!」

「万策尽きたか・・・」

「後一息なのに・・・」

「・・・まて、何か様子がおかしいぞ!!」

「・・・目標・・目・・標・・確確確任任任・・!!」

ドゴォォォン!!

「やったぜ!!」

「さすがに一筋縄ではいかなかったがな。」

「ふぅ、さすがにやばかったぜ。」

「・・・他のナインボールはどうなっているんだ!!」

「まさかコア達の所に!!」

「・・・それは分からないが、ナインボールの部隊のおかげで
 MTやレイブン部隊の半数がやられたそうだ・・・」

「くそ!!・・本当に勝てるのかよ!!」

「・・・いったん、撤退しましょう。
 私たちは余りに損害を受けすぎたわ。」

「メグの言うとおりだな・・撤退するか・・」

「ここまで来たのよ!!」

「仕方ないだろう・・・ラスカー・・」

その頃、シャウシュッツ達はナインボール部隊の
ことを知らされ、愕然としていた・・・

「まずいな・・・これじゃあ物量で勝っても
 戦力では負けている・・・」

「シャウシュッツ、ナインボールっていうのは
 どれくらいの戦力なんだ?」

「一言で言うと、D機関の幹部クラスだ。」

「カーライルとか?」

「そんな感じだ。」

「で、それが何体居るんだ?」

「隊長機らしい機影をいれて9機のようだ。」

「・・・多すぎだろ?」

「ああ、このままじゃ負けるかも知れない!!」

「コア、リニアキャノンで何とかならないの?」

「そうか、その手があったか!!
 さすがメイアだ!!」

「・・・当たればの話だがな・・・」

「水を差すなよ、ハンク・・・」

「それで、フライレ達はどうなんだ?」

「一応無事らしい、ナッツ。」

「一応・・か。」

「・・・まずいな・・・」

「ああ、そうだなゲンズィ・・」

「ブレイカー、勝算はどうだ?」

「限りなく0に近いな・・ナッツ。」

「・・・フライレ達が来たぞ!!」

「おい、無事か・・・非道い損傷じゃないか!!」

「ああ、ナインボールとやり合ったからな・・」

「とにかく、修理と補給を!!」

「そうだな、シャウシュッツ・・」

「・・・マジで自信がねぇ・・」

「弱気になるな・・コア・・」

「それは皆同じさ、ハンク・・」

「ブレイカーまで!!」

「・・・でもやるしか無いでしょう!!
 どうなのよ、コア!!」

「メイア・・・」

「全く、いつもは強がってるクセして
 いざって時に役立たず何だから!!」

「・・キツイ一言だな・・」

「ああ、泣きたくなるくらいにな・・」

「・・・分かったよ!!やりゃあいいんだろ!!やれば!!」

「・・・吹っ切れたみたいだな・・」

「それに、心なしかすこし和んだ気分だな。」

「ああ、メイアに感謝しないとな・・・」

「・・・機影を確認したぞ!!」

「ちっ!!もう来たのか!!」

「・・・やるしかないな・・・」

ドアが開き、中からナインボール達が出てくる・・・

カシュウゥゥン・・・ガシュン、ガシュン、ガシュン・・・

      サイレントライン:空中要塞突入 完
作者:ハンクさん