サイドストーリー

キサラギ
オペレータ室ではエミルナがゼルに依頼内容を説明していた
ゼルは機械がダメらしくメールすら満足に読めないため
いつもこうした風景が日常になっている
「今回の依頼はクレストからのものです」
「依頼内容は不明ACがクレスト社より強奪した新型武器の回収です」
「今回はクレスト専属のACとの合同ミッションになります」
「依頼を受諾しますか?」
「ん?あぁ、もちろんだ」
「では、ここにサインを・・」
「ん、これでいいな」
「(ん?いやに簡単にサインしたな)では、レイブン、出撃を」
「よし、まかせてくれ。あ・・、場所は?」
「地下下水溝です」
「まーた、なんでそんなとこに逃げたかねー。ブツブツ・・」
「いいから、早く行け!!」
「ヒー!!分かりましたよ!!」
ゼルはダッシュで格納庫へと向かった
格納庫ではすでに発進の準備ができておりスグにACに乗りこんだ
ゼルのACは遠距離狙撃用ACである 装甲もかなりのものだ
簡単に言うとAC操縦技術が全然ないため中距離・短距離では戦えないということ
装甲も、もちろんダメージを受けてもある程度平気なようにだ
『AC、シューティングスター、システムオールグリーン』
格納庫内にアナウンスの声が響き渡る
『三番ゲート開放、これより発進』
「エミルナ、クレストのACはどこだ?」
「既に交戦中です」
「あいよ。んじゃパイロットのあんちゃん!やってくれ!」
「了解。19時31分。発進」
ババババッババッ・・
ゲート開放と同時にヘリは外へと出て
目標地点へと向かった


「作戦領域に到達、これより降下!!」
「よし、SS発進する。」
SSはシューティングスターの略だったりする
ゼルはいつもこう掛け声をして自分に酔っているのだ
クフォーン・・
ゴーーーーー
ガシーンッ
「これより、作戦を開始する」
「では、レイブン、クレストのACと合流後、敵ACを排除してください」
「了解した」
ゼルは広域レーダーでクレストのACを探した
「ん?エミルナ!クレストのACはどこだ?」
「おかしいですね。こちらでも反応を確認できません」
「なんてこった!!今回のミッションは簡単で値段も高いと思ったんだが・・」
ゼルは平手で自分の額を一回たたきながら言った
「レイブン、もしかして!クレストのACに全部押しつける気だったんじゃ!!」
ギクッ
「そうなんですね・・、だからあんなに簡単にサインを!!」
「いやー、その、なんだ・・まぁいいじゃないか!」
「ピーピーッピイイイピー!!」
「ギェ!!分かった!!俺一人でやるから!!そのパルスだけは!!」
ゼルはこのパルスがとぉーっても大嫌いである
「早くしてください!!」
音声越しでもエミルナの怒りが伝わってくる
「ったく。にしてもクレストのACはどこいったんだ?」
「俺のレーダーは最高峰のやつだぞ・・」
「しかたない、やるか・・。では、移動する」
ガシーンガシーンガシーン・・
しばらく進むとなにやら見えてきた
「ん?なんだあの煙は?」
「!!ッ!クレストのAC!やられていたのか!」
「しかし、クレスト専属のACといったらCランク以上の力はあるハズなんだが・・」
ピー、
「レイブン!レーダーに反応!」
「敵ACです!!」
「あぁ、こちらでも確認した。」
「コーテックスには登録されていない機体のようです」
「チッ、なんだか面倒くさそうだな」
ゼルは物陰より敵ACをカメラアイでおった
「しかし、見たこともないパーツで構成されてるな・・」
「ん?あのエンブレムは・・、」
「キ、キサラギ!!」
「なんですって!!キサラギ社はACの外部パーツは開発していませんよ!!」
「あぁ、だがあれはキサラギのエンブレムだ・・」
「こちらには、気づいてないようだな・・」
敵ACは下水溝の奥で辺りを見まわしていた
「よし、この位置から狙撃する」
「狙撃?しかし、あなたの腕では・・」
「なーに、なんとかなるさ。」
「しかし、この距離ではロックオンもできないのですよ!」
「まぁ見てなって、狙撃だけは自信があるからな。」
「だから、スナイパーライフルを装備しているんだよ」
「レイブン、適当言ってません?」
「カッ!たまには信用しろよ!」
「わかりました。レイブン頼みました」
「ハンッ!まかせな」
キュイーン
ゼルはカメラを最大望遠にし狙いをさだめた
「よし、この位置からなら・・」
ピーピーーピー
「なんだ・・!?ロクオンされた!?」
「どこだ!?」
「ハッ!」
ゼルが敵ACの方をみた瞬間蒼く光る弾道が見えた
――――ッガーーーーン・・
「レイブン!!」
「クッ!大丈夫だ!」
「あのACこっちに気づいてやがった!!」
「でも、距離は2500もあるのですよ!!それをロックオンだなんて!!」
「あぁ、俺のライフルでも1200だからな・・」
「しかし、なんだあの武器は!?かなりの大きさだぞ!?」
「クレストより通信・・」
「その武器はミラージュのKARASAWAに対抗すべく試作されたもののようです。」
「チッ、情報がおせーよ!!」
「しかし、弾の種類も異なるようだな・・」
「どうやら、新型のようですね。」
「それは分かっているが・・」
「エミルナ!クレストに通信を・・。報酬を倍にしろとな!」
「!!。了解レイブン!」
「・・」
「・・」
「クレスト、要求を受諾」
「OK。弾の種類も聞き出してくれないか?」
「・・、クレストより通信、どうやら弾はミサイルを改造したもののようです」
「ミサイルを改造?どういう事だ?」
「追尾装置を取り除き、ロケットの様にしたとの事です」
「威力は・・、TITANに匹敵するようです!」
「ハツ、つまりTITANが高速で飛んでくるわけだ・・」
「だが、これで対応策が決まったな。」
「どうゆう事です?レイブン!?」
「あれはあくまでもミサイルだ、しかも追尾性能のないな。」
「迎撃できるんだよ・・コアに装備されている迎撃装置で。」
「しかし!100%迎撃できるわけでは!!」
「でも、0じゃあない」
この時実はゼルはエミルナに止めてもらいたくて言っていたのだが
「レイブン!!お願いします!」
「あ、いや。お、俺の腕にかかればこんなミッションはな・・ハ、ハハッ」
「了解しましたレイブン!」
「よ、よーし、作戦を開始しますか」
ゼルは泣きそうになりながらもしかたなく始めることにした
「OBにより急接近後、距離1200で攻撃開始。うーん、我ながらスンバラシイ作戦だ」
ゼルの顔にこの世のものとは思えない笑顔があった
「行くぞ!!!」
ヒュイーン
フォーーーン ドーーーンッッ
ゴーーーーーッッ
「距離2000、1900、1800・・、」
ピーピーピー
「チッ、ロックオンされた!!」
――――ガーーーンッッーー
「迎撃は!?」
ピヒュイン ピヒュイン
「クッ!ハズれた!!こんな時に!!」
ドズーン ズズズ
「クッ!両足もってかれた!!」
「レイブン!!」
「まだだ、まだ上が残っている!!」
「OBも発動中だ!」
「1500、1400、1300・・ココだぁー!!」
ドン ドン ドンッ
ヒュン チュイン ドガーンッ
「一発命中!?」
「敵AC頭部全壊、これで攻撃はできません!!」
―――ヒューンッ ドガーンー ズガガガーーン
両足を破壊されたACはそのまま地面にたたきつけられた
「クッ、痛ぇー。さすがに足がなければ着地はできないな・・」
「レイブンお疲れ様です。」
「ハッ、まったくだ。機体は大破。脚部は使い物にならんな」
「・・レイブン、クレストより通信・・、パイロットを捕獲しろとのことです。」
「なにぃー?俺が!?」
「他に誰が?」
「いや、そうじゃなくて、それはクレストの連中の仕事だろー?」
「報酬は・・、上がるそうです。」
ゼルの顔つきがいっきに変わった
「いやー、さっきからパイロットも、って思ってたんだよー!さすがクレスト!さすが俺!!」
「・・早くしろとの事です。」
「わ、分かってるよ」
ゼルはコックピット内をガサガサと荒した
「あーと、銃はどこだー・・、あ!こないだ質にだしたんだ!」
「質!?銃を!?違法行為ですよ!」
「まぁ、平気さ。・・たぶんな」
ゼルはしまったと思いながらもまだ何かを探していた
「んじゃ格闘して捕まえるかー。」
「えーと、C4はと・・、よし、あったぞ。これでコックピットを強制的に開ける。」
「レイブン!早く!逃げられてしまいます!」
「わーってるよ!」
ゼルはACを降り敵ACのもとへと走って行った
「クッ、なんて臭いだ!鼻が曲がる!!」
「大丈夫ですよレイブン。すでに根性が曲がっています」
「う、うるさいよ!」
ゼルは通信機を持ってこなければよかったとおもいつつ
C4を敵ACのコックピットに取り付けはじめた

ガチャガチャ
「よし、これでよしと。んじゃいくぜ。」
―ドォーーーンッ
「レイブンだ!(レイブンだ!って言うのもおかしいな。ま、いっか)その場を動くな!!」
爆発の煙の中からかすかに搭乗者の顔が見えた
「ん?女?」
キュイーーン ガシンッ
「クッ!頭部が破壊されたから目視で逃げる気か!!」
ヒュイーン・・ ゴーーーーーーッ
「レイブン!?」
「チッ、逃げられた。まぁ、しかたないエミルナ帰還する」
「了解。ヘリを手配します」
「あぁ、頼んだ。(しかし、今の女どこかで・・。)」

「レイブン、ヘリが到着します。」
「了解だ。にしても長い1日だった。かったりー事になってきたな」



『キサラギ』完
作者:ユビキタスさん