投稿者:『サポーターの人』さん


3年C組 富樫先生(中編)


彼は、怒鳴る!

いつもこうだ!

「オイ!!」

その時いっつも思うんだよね!

『ビッ・クッ・ター』って・・・

遠くても、近くても

いつも決まった位置、決まった声で、

「オイ!」 「オイ!!」 「オイ!!!」

でも、ひとつ・・・ひとつだけ決ってない事があるんだよね。

・・そう。言う時間、彼はどんな時も

ランダムにこう言う。

「オイ!」

・・・ってな。



そんな彼も、ひとつだけ、「すげぇー」って尊敬できることがあるんだよね。

それはいつものように歩いてたとき

彼は、食器を持って、階段を駆け上がっていた。

そして僕にこう言った。

「この食器、かたしてくれないか?」

「いいですよ!」

「あ、ありがとう。・・すごい助かる・・。」

・・・!!?

(彼にほめられたのは昨日の授業以来だったが。しかし、彼は授業でしかほめない。これは偶然?)

心はこの出来事を認めなかった。

しかし、頭は認めざるを得なかった。

彼はよく怒る。でも、彼のセリフを聞いたとき

『いいひと?』と、思った。

それは、いつも怒っている彼が言ったセリフだったからこそ、うれしかったのかもしれない。                                 




                                                            中編・完