都内の学園に通う少年松戸勇作。
彼は生まれつき不思議な力を持っていた。
見つめるだけで物を動かし、手をかざせばつぼみが花を咲かせる。
しかし、そんな力があっても手品だと思われるのがオチだし、目立つこともしたくない。
勇作はそんな少し醒めたところのある少年だった。
――そう、この程度の力じゃ世界は何も変わらない――そう思っていた。
ある日、勇作が学園へ行こうとした朝、テレビでは奇妙なニュースを伝えていた。
山手線沿線に中世ヨーロッパの様な石造りの塔が出現したというのだ。
それも12ヶ所。
興奮した様子で異変を伝える中継が気になりつつも、遅刻しそうになり家を出る勇作。
電車にギリギリで乗り込み息を整えていると、ふと妙なことに気付く。
通勤時間帯にも関わらず、勇作以外誰も乗っていないのだ。
こんな山手線はあり得ない。
あわてて他の車両を確認しようとしたところに、一人だけいた乗客が目に入る。
電車内にはあまりに不似合いなドレスを着たその少女は勇作に向かってこう言った。
「お会いしたかったです、勇者様……!」
突然「勇者」と呼ばれあっけにとられていると、
次々に少女が現れては勇作を「勇者」と呼び取り囲む。
こうして、勇作の静かな生活は
突然現れた12人の少女によって一変することになった――。
ルーンプリンセス
アドベンチャー
2005年11月24日
プリンセスソフト
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